インフィニット・ストラトス~アイズ・オブ・ソウル~ 作:真神牙
時刻は少し遡り
「上空から新たなIS反応!」
「なに……?またあの機体か?」
「いえ、照合あり!モニターに出します!」
モニターに映ったその機体に私は絶句していた
「闇照……だとぉ!?」
バカな、あの機体は
「誰が乗っている!?」
「それが……誰も乗ってないんです!無人で動いてます!」
「何……だと……?」
「ザルバ、
『最速で一分ってとこだな』
「遅いね40秒で終わらせてくれ」
『そういうと思って20秒かさ増しした、どうやら魔理沙はお前さんに似たらしいな』
そいつは心外だ
_10秒経過
とはいえ初陣で2機と相手するのは手間取る
片方に近づけばもう片方からビームを打たれる
「だからオルコット君は片方の相手をしてくれないかい?」
そういって頭上を見やる、見ればセシリア・オルコットがブルーティーアズを装着しやってきていた
「了解ですわ。ですが森近さん、その機体は……?」
「説明は後だよ」
これで1対1の状況に持ち込む
(闇照の武器はこの剣『金狼剣』と尖端がリング状のマフラー型多節鞭『ディバインフレイム』のみ……やはり近づかなければいけないか)
__20秒経過
正体不明機が拳を正面に向け構えをとる、腕のビーム兵装を使用するつもりだろう
「いまだ!借りるよオルコット君!」
そう言ってディバインフレイムをセシリアのビットに絡ませる
「え!?何をしますの!?」
「君はブルーティアーズを固定すればいいさ」
絡ませたビットを支柱にしてこの身体をスイングの要領で飛ばす
___30秒経過
正体不明機の拳に目掛け、金狼剣を突き立てる!
____35秒経過
刻一刻と正体不明機の腕からビームが収束する
_____36、37、38、39……
「ジャスト40秒だ」
その瞬間闇照のファーストシフトは終わり、僕と闇照は一体化した
そして剣に込められた力を強くして
正体不明機を切り裂いた
「……次!」
突然のことでなにがなんだからわからないが、霖之助が正体不明機を倒したのは確かだ
もう一体の方を見るとセシリアの攻撃を掻い潜り、霖之助に向けて今まで最大の収束をもってビームを発射した
「っ!?森近さん!?」
「危ない霖之助!」
その言葉が届く前に無慈悲に巨大な光の洪水は霖之助を包み視界から霖之助が消えた
「そんな、アイツは……!?」
「霖之助ぇぇぇぇぇ!」
巨大な光りの洪水が晴れるとそこに
『さぁ、闇を照らす者よ、金色になれ!!』
ザルバのそんな言葉と共に
漆黒から金色に姿を変えたISが目の前に立っていた
≪システム:ゴールド・ストームの発動を確認。稼働限界時間残り99.9秒≫
声が脳内に響く、ファーストシフトにより鮮明に闇照の声が聞こえるようになった
今闇照は先ほどまでの漆黒の姿から金色に輝く姿をしている
「行くよ、闇照、ザルバ」
≪
『あぁ、行くぜ!』
金狼剣の刀身をザルバに噛ませる
ザルバからエネルギーが放出され、刀身を緑色の炎を纏わせた
左手を前に、腰を下ろし、前方の敵に狙いを定める
「これで終わりだ!」
跳躍で急接近する
敵は反応し拳を突き出してくる
___だが、遅い
すでに僕は剣を横に斬っており敵を通り抜けた
金狼剣を鞘に戻しカチッと音を鳴らす
その瞬間正体不明機は上半身と下半身が分裂した
≪残り98.7秒、戦闘終了です、ゴールドストームを解除します≫
金色に輝いた闇照が再び漆黒の姿に戻る
「ふぅ、なんとか終わったようだ、やはりこういうのは苦手だ」
『だが、後戻りはできないぜ、苦手でもやると決めたんだろう?___の為に』
あぁ、そのために……ここにいるのだから
乱入事件もおわり、対抗戦は中止となった
俺は箒、鈴、セシリアと一緒に保健室にいた
「一夏、怪我はないのか?」
「あぁ、箒こそ大丈夫かよ、あそこで生身だったのは箒だけだろ?」
「セシリアも大丈夫?あんたも随分ボロボロのようだったけど」
「あら、鈴さんの方こそ慣れない龍砲の使い方で疲労が溜まってません事?」
そんな風に四人の無事を確認したところ、霖之助がやってきた
「皆、怪我はないかい?」
「森近さん!それよりもあの時のあなたのISの事について事情を聞かせてくれません事?」
そうだあのIS、闇照といったアレはなぜ霖之助が使ってるのだろうか
「あぁ、彼女かい?彼女は……」
「あれは闇照、IS史上最も欠陥のある機体だ」
千冬姉がそう割り込んできた
「欠陥?白式以上に欠陥なんてあんの?」
「敬語を使え鳳……まだ起動できるだけ白式の方がマシだ」
そう言って一呼吸置いた後千冬姉は口を開いた
「アレはな、誰も起動できなかったんだ、動きもしないのだから欠陥以外の何物でもないだろ?」
「え?」
「色んなIS乗りがあれに乗って起動しなかった、私でもな、まるで乗せる相手を決めていたかのように、まさかそれが森近だったとはな」
「彼女は偏屈でね、あんな状況でもなきゃ乗せてくれないさ、たまたま僕の所に来てくれてよかったよ」
「たまたまか……無人のISがたまたまこの学園に向かって動き出したのもたまたまか?」
「無人でですの!?ありえませんわ!?」
「そうよ無人って……そんな技術まだアメリカ製以外テスト段階にも行ってないでしょ!?」
鈴とセシリアが異論を出した時に箒が口をはさんだ
「いや今回の正体不明機も無人機だったろ?」
「え?そうなのか?」
あの時はたしか相手のことを考える暇もなく、倒した後すぐ教師陣の救援がやってきてあの正体不明機の事を考える時間はなかったはずだ
「……なぜ篠ノ之がそれを知っている」
「えっと、なんといいますか、見た時脳裏にあれは無人機だ、と感じて」
「ほう、他に何か感じたかい?」
霖之助が箒の発言に疑問を投げる
「なぜかあれは私を狙っている……そんな気がしたんだ」
「篠ノ之を……か?」
千冬姉が意外そうにその発言を聞いていた
「はい、私が目的なら私が前に出れば他の人に手を出さないんじゃないかって、だから……」
「はぁ……無事だったものの危険な行動をするな」
「す、すみません……」
「まぁ、結果的には皆無事だしいいじゃないか、それより彼女の話題からズレて彼女が拗ねてる」
「さっきから気になってたんだがよ、霖之助、彼女ってもしかして」
「あぁ、闇照のことさ、ISコアには人格があるからね」
まるで直にISコアと話してるかのような口ぶりだ
「あぁ、闇照の事だがまず起動できないといっただろう、故にどこかの技術部のバカどもが競技用に囚われない机上の空論で出来る限界の追求のため改修されたんだ、まず一つにこいつは空を飛べないんだ」
「空を飛べない?それはISとして機能していないんじゃないか?」
「あぁ、あの闇照は通常時はエネルギーを消費が0なのさ。絶対防御やシールドエネルギーすらない」
「はぁ!?」
さすがに絶句する空を飛べず絶対防御がないとなるとほとんどただの鎧だ
「あぁ、ですから最初の時私のブルーティアーズにあのマフラーみたいのを絡ませてのは高速移動のためのスイング移動でしたのですね」
「でもそれってもうISじゃなくない?空を飛べて絶対防御で守れるのがISでしょ?」
「確かにね、故に一つの仕掛けがある」
仕掛けというとアレのことか?
「それってアレか?いきなり金色になってた奴」
「あれこそが闇照のシステム、ゴールドストームによる
「あの状態は正式名称は闇照・金色と呼ばれてる、逆に通常時は闇照・漆黒だよ」
「金色モードはあらゆるエネルギーの消費を0にした状態から一気に全身から放出、あらゆる攻撃をエネルギーの鎧で相殺する、いわば纏う零落白夜だ」
「あの正体不明機の攻撃を受けて無傷だったのはそんなカラクリでしたのね」
「だけど零落白夜と同じく消費が激しくてね、時間で言うところ99.9秒でエネルギーが0になる」
あぁ、だから漆黒ではエネルギー消費が0なのか、金色での起動時間を増やすために
「ついでに言えば一度エネルギー0になるまで起動し続けると24時間システムの冷却が必要だ」
「それって一日に一回しか使えないじゃん!」
確かに欠陥機と言っていいかもしれない、金色に代わるのはすっげぇかっけーと思うけど
「冷却とエネルギーの供給の両立のため、漆黒にはエネルギーが自動供給されるシステムが組まれてる。供給量が少ないため漆黒のエネルギー消費量を最大限迄落としたんだ」
「闇照に関しては以上だね」
「まぁ、一番の問題はよりにもよって二番目の男性操縦者にアレが動かせてしまった事だ」
「どういう事?」
「競技用ではない上漆黒の仕様でISの行事に参加できるか?」
「なるほど、絶対防御がないからISの攻撃に丸裸なのね」
「あぁ、死ぬ程痛いよ?」
いや死ぬだろ
「故に行事では量産型ISを使用してもらうつもりなんだが……」
珍しく千冬姉が歯切れが悪い
「……誰も動かせなかったISが動いた、それの解明の為に専用機として受理するべきだという意見もあるんだ」
「たしかに……言ってしまえば技術分野じゃ一夏がISを動かしたのと同レベルの衝撃よね」
しかもひとりでに勝手にやってきて
「でも行事の時に漆黒状態でもしものことがあったら……」
「それらの調整を考えると頭が痛い……まったく……専用機受理の書類の為についてこい森近」
「じゃあね、一夏」
そういって二人は出て行った
闇照が動いた事も謎ではあるが、私の中で一番腑に落ちないのは他にあった
未登録のISコアの正体不明機……いつまでも正体不明機というのもあれだからゴーレムと名付けよう……の目的
そして……篠ノ之箒の発言
(【私を狙っていた気がする】……か)
ゴーレムは未登録のISコアが使用されていた
つまり現存するISコアじゃなく新たに作られたのだ
それができるのは篠ノ之束のみ
(だがならなぜ篠ノ之を狙う?)
あれの目的が一夏や鳳であればまだ奴の可能性もある
だがもしも篠ノ之が目的なら、自分の妹を狙うのなら
(やり方が束らしくない)
「織斑先生?大丈夫かい?」
「……すまない考え事をしていた」
「ほう、考え事……それは例えば未登録の新しくコアが作れるのは篠ノ之束だけ、だけど妹を狙う理由がわからないって考え事かい?」
「!?」
『随分と顔に出るじゃないか織斑千冬、図星か?』
「……なぜあのISが未登録の新しいコアだとわかった?」
「何単純な事さ、ザルバはこの世界のすべてのISコアの情報がインプットされている、彼が見て分からないのなら新しいISコアだと推理した、そしてそれを作れるのは篠ノ之束だけだろ?」
筋は通っている、だが私は森近に何か得体のしれない何かを感じた
「安心していいよ、
そういって彼は私に書類を渡した
ザルバ「こんな時期に転校生とは何やらきな臭いな
なに?二人?
次回『転校』
また新しいトラブルの始まりだぜ」