提督に憑依して自身の体を持ち主に返そうと四苦八苦する話(の予定)   作:本に付いてる帯を栞にする侍

4 / 4
本当はこっちを先に出すつもりだったんですが、直前で変更。初投稿。
シリアスの後はシリアルをどうぞ(激ウマギャグ)


2話 防波堤にて

 部屋から出た! 外は廊下だった! 廊下を歩いた! 階段に着いた! 

 

 

 …………いやさ……勢い付けたら、恐怖心克服出来るんじゃないかなって……え? 出来なかったけど何か? 

 

 廊下は薄暗く、人気が無い。階段は下りのみで、ここは建物の最上階のようだ。一応他に部屋はあるが、これも人の気配はない。提督専用のフロアなのか? 

 

 下に降りると、1階のようで、廊下の奥に入り口を発見。早速向かって歩き始める……と。

 

 途中で、ドアから出ようとしていた赤毛の艦娘……明石とすれ違った。

 

 をー初艦娘だー……と喜びたいのだが……明石は俺を視認すると、口を開けて固まってしまった。

 

 ……何なん? 俺になんか付いてるん? なんだよそのUMAを見た時のような表情はよ! (被害妄想)

 

 すれ違い様に顔を向けると、顔を真っ赤にして脱兎の如く来た部屋に戻ってしまった。その時、焦りすぎてスカートが捲れ、似合わない純白のパンツなんかを履いていたことには突っ込まないでおこう。(スゴイ シツレイ)

 これはあれだな。俺のイケメソフェイスに惚れたんだな(妄想)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……」

「ん?」

 

 防波堤の上で、突っ立って海をながめていると、ふと横から声が聞こえた。

 横を向くとオレンジ色を基調とした制服に髪をツインで短く纏め、夜戦バカの名で有名な少女がいた。リアル艦娘。間近で見ると更なる迫力。これはふつくしい。

 あ、おねーさん1000円でどう? 大丈夫大丈夫、天井のシミを数えてたら終わるかr(殴)

 

 閑話休題(気を取り直して)。思考がクズに染まる前に話しかけよう。

 

 あれ? ……実際に艦娘話しかけんのって初めて? 

 緊張するけど、とりあえずボロが出ないように……

 

「川内か」

「っ!?」

 

 えっ!? 何その反応!? ミスった!? どこで!? (10ダメ+混乱)

 

 内心大慌てで、でも表情は変えずに……(なんか意識したらできた。この体のスペックぇ……)

 ……とりあえずこのまま行くか(脳筋ゴリ押し)

 

「……何だ? 違うのか」

「えっ!? い、いえ川内で合って……ます。え、えっと……おはようございます?」

「ぷっ……」

 

 クク……画面上とは言え、ゲーム内のイメージと掛け離れた敬語に思わず笑いが……

 

「何だそれ。いつも通りの口調で良いぞ」

「い、いつも通り?」

 

 ………………あ、そうじゃん「いつも通りの口調」ってゲームの話で、此処じゃないじゃん。何言ってだ俺(ん抜き言葉)

 困惑する川内に物凄い罪悪感が湧いて来た。すまぬ。

 

 

「あ……いや、何でもない。忘れてくれ」

「……」

 

 すると、川内は考えるように黙り込んだ。

 ……これ入れ替わりバレたか? いやそりゃバレるよな。今頃成り済ましか記憶齟齬を疑われて──

 

「け、敬語で話さないでいい……ってこと?」

 

 ──ない? あれ? どゆこと? 

 ……一瞬、何を言われたか分からなかったけど、俺は一種の可能性に気がついた。

 

「……あぁ。そうしてくれると有り難い」

「なら、『いつも通りの口調』にするね」

「……助かる」

 

 そうか……川内は『提督と話した事』がなかったんだな。だから、急に話し方を指示されて困っていた……と。

 証拠に、困惑顔はされても、他人だと疑うような素振りは見せなかったし。

 

 ほら今も……早速気易い笑顔を向けて話しかけてくる川内がいた。

 

「提督はさー、なんで防波堤に来たの?」

 

 画面上以外(リアル)で、ゲームにないセリフ(なまのこえ)を聞けるとは……女優の公開演技に来た気分……はふぅ……尊い。

 思わず拝みたくなったが、鋼の意思で我慢し、内心で拝み倒しながら冷静に応える。(我慢できてない)

 

「……自室から見た海が綺麗だったもんで、間近で見たくなって碌な着替えもせず飛び出してきた」

「えー何それ」

 

 可笑しそうに笑う川内を、俺は犯しそうになる(笑えない冗談)

 

「でも……確かに。キラキラしてて綺麗だね」

 

 ……そいつは意外。夜の海以外興味ないのかと思ってた。

 そう言いかけたが、「なんで知ってるの?」と疑われそうでやめた。

 

 それから暫く、川内は海に見惚れ、俺も海に(見惚れるフリをしつつ横目で川内に)見惚れる時間が続く。

 

 ……ふと、川内が防波堤に来た理由が気になった(おっっっっそ)

 

「そういや、川内の方はなんで防波堤に?」

「あ……、それは……」

 

 言い淀む川内に、『これは聞いちゃいけないパターン』だと即座に理解する。

 

「……言いたくないなら言わなくて良いけど」

「……ううん。やっぱり聞いてくれる?」

 

 いいんかい。(ツッコミ)

 

「あいよ」

 

 そう返事すると、川内は昨日のとある出来事を話し始めた。

 

 

 ──なんか真面目なふいんき(変換できない)になってるので、ちょっと空気変えます(唐突)

 

 

 ☆☆☆

 

 

「……そうか」

 

 

 なるなる。川内の話を纏めると……

 

 詰まるところ、川内ちゃんは、昨日の夜戦演習で小さなミスをしてしまい、それから挽回しようとして更にミスって、それからそれから……てな感じで負の連鎖に嵌ったと……

 

 

 ……え? シリアス? 俺の内面見て逃げ帰ったよ? (勝利)

 

 

 でも、そもこれは相談ってよりかは、ただ誰かに吐露したいだけだったんだと思う。

 その証拠に、川内の話し方は何処か冗談を言う感じで、時折虚勢とはいえ自虐ネタをかましてきたし。

 あ、あと俺自身、用語が分からんで話が5割程度しか理解できなかった。

 

 そんな奴がどうアドバイスしろと? 

 

 なもんで、此処は黙って居るのが正解なんだ。

 

「…………」

「…………」

 

 正解なんだよ! 

 

「…………」

「…………」

 

 正解だよね? 

 

「…………」

「…………」

 

 …………あれ? 

 

 なーんで川内ちゃんは黙ったきりなん? ここは「気が楽になった。ありがと提督。大好き」とか言うところじゃ? 

 

 

 …………回答待ち??? 

 

 マジか……よし。

 ならば答えて見せよう(ラスボス風)

 

 見よ! 俺の話術(その場凌ぎ)を!! 

 

 

 

 その後、俺は

 

「逆に考えようぜ!」とか

「あれじゃ? 失敗に慣れてないんじゃ?」とか

「川内はおねーさん(1番艦)だけど、支えてくれる妹がいるだろう?」とか

 

 とりあえず、思い付く限りの励ましの言葉を述べた。

 おらこれで満足だろ!! 

 

「……ありがと、提督」

 

 勝ったぜ、飯食ってくる。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「ありがとね、提督っ! 相談に乗ってくれて」

「元気が出たようで何より」

 

 あの後も、川内と防波堤で雑談してると、気付いたら太陽が昇り切り、昼頃になっていた。

 川内は妹らを起こしに部屋に戻るらしい。

 本人は一睡もしていないし、少し心配だが、今日は(夜まで)何も無いからその間に休むとのこと。

 昼に寝て夜戦う……うん、安定の夜戦バカだな(確信)

 

 

「うん。それじゃ、ちょっと夜戦に行ってくる」

「その前にちゃんと寝ろよ? 昨日からまだ寝てないんだろ」

「はーい。提督、またねっ!」

「また後で」

 

 川内は何か嬉しいことでもあったのか、笑みなんて浮かべている。

 

「どうした?」

「ううん、何でもない」

 

 そんなに俺に会えたのが嬉しいのか……

 ……分かってるよ、そうじゃない事くらい。自虐ネタだよ笑ってくれ。(本当に笑った奴はぶっ飛ばす)

 

「さっきの件、よろしくね!」

「あいよ、任された」

 

 そう……川内には頼み事、「今夜……夜戦しよ? (意味深ではない)」というお願いを受けた。

 具体的には、「今夜また夜戦演習をしたい、ついでに提督も見に来て」と言われた。

 あれか? 「観客がいる方が燃える!」的なタイプなんか? テニスかよ。

 

 いや……ある意味砲弾の撃ち合いだからテニス的な……ないな

 

「それじゃ!」

 

 俺が下らないことを考えてるうちに、川内は去っていった。

 

 そろそろ部屋に…………戻る意味なくね? うん、ないな。夜戦も今からでなくとも大丈夫だろ……たぶん。

 

 そうだな。なら次はどこ行こうか……そういや腹減ったな。起きてから何も食ってないしな…………

 普段はどうしてんだか……食堂でも探してみるか? 

 

 そんな事を考えながら、俺は行先も決めずに歩き出した。

 




こんな駄文読んでくれる皆様に盛大な感謝を。


【オマケ】
地の文なしシリーズ2


明石と大淀

「お、大淀~!!」
「…どうしたんですか。言い忘れたことでも…」
「そ、そうじゃなくて!提督!提督がっ!!」
「提督?提督なら自室にいらっしゃる筈です。こちらに来られないという事は、恐らく次の作戦でも…」
「提督が礼服を着てなかったの!」
「………明石の見間違いでは?」
「思わず凝視したけど、多分提督の私服だと思う。私初めて見た…」
「私服なんて、部屋ではいつも──」
「それに寝癖もあったし、どこか急いでたし…急用かな?」
「…提督は何方に?」
「わ、わからない。気がついたら目の前にいて、ビックリして戻ってきちゃったし…」
「…集中したら注意力が散漫になるのは相変わらずですね」
「ご、ごめん」
「執務室に用があった訳ではない…とすると外に行かれたのでしょう。明石は提督を追って下さい。私は書類が残ってますので、片付け次第合流します」
「分かった…ってなんか私言い包められてない?」
「気のせいです」
「……うん、別に構わないけど。でも、秘書艦の任務はいいの?流石に誰もいないのは──」
「その辺の暇そうな艦娘を拾ってきます。いざとなれば入渠中の翔鶴さんを押し込んで…」
「うわぁ…黒い……」
「………流石に冗談ですよ?」
「そうは聞こえなかった」

大淀:the仕事人。なので無駄の無い提督(前)とは馬が合った。でも仕事以外で関わりたいという乙女心もあったりする。「艦娘は兵器だ」発言は特に気にしていない。愛情より信頼を選ぶからね。
明石:大淀の友人。大淀に対してのみタメというオリ設定。大淀の影響で提督に対する好感度は高い。「艦娘は兵器だ」発言には数少ない賛成派。

Q、明石と大淀の出番は?
A、それぞれあります。でも次回じゃないです。
Q、オマケもっとないの?
A、他にも川内が途中で寝落ち(hizamakura)する話とかならあるけど、需要ある?

おまけの需要

  • ある
  • ない
  • あとがき読み飛ばす派
  • もっと長くてもOK
  • 駆逐棲姫を膝枕させる話を…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。