部屋に通された俺は直ぐにベッドに横になった。
「なあ、これってゲームみたいだな」
目を閉じかけようとしたとき、盾の男が喋り出した。
「っていうかゲームじゃね? 俺は知ってるぞこんな感じのゲーム」
何か喋り出したな。
「え?」
「というか有名なオンラインゲームじゃないか、知らないのか?」
知らん。
「いや、俺も結構なオタクだけど知らないぞ?」
「お前しらねえのか? これはエメラルドオンラインってんだ」
「何だそのゲーム、聞いたことも無いぞ」
「お前本当にネトゲやったことあるのか? 有名タイトルじゃねえか」
「俺が知ってるのはオーディンオンラインとかファンタジームーンオンラインとかだよ、有名じゃないか!」
「なんだよそのゲーム、初耳だぞ」
「え?」
「え?」
「皆さん何を言っているんですか、この世界はネットゲームではなくコンシューマーゲームの世界ですよ」
「違うだろう。VRMMOだろ?」
「はぁ? 仮にネトゲの世界に入ったとしてもクリックかコントローラーで操作するゲームだろ?」
何かもめ始めたな。メンドクサイ。
「クリック? コントローラー? お前ら、何そんな骨董品のゲームを言ってるんだ? 今時ネットゲームと言ったらVRMMOだろ?」
「VRMMO? バーチャルリアリティMMOか? そんなSFの世界にしかないゲームは科学が追いついてねえって、寝ぼけてるのか?」
「はぁ!?」
「あの……皆さん、この世界はそれぞれなんて名前のゲームだと思っているのですか?」
弓の奴が皆に尋ねる。
「ブレイブスターオンライン」
「エメラルドオンライン」
「知らない。っていうかゲームの世界?」
「あっ自分はディメンションウェーブというコンシューマーゲームの世界だと思ってます。後、充鷹さんはさっきから黙ってますけど何か言ったらどうなんですか?」
「俺も知らん」
剣槍弓の奴等は聞いたことも無いゲームの名前を告げる。
「待て待て一旦、情報を整理しよう。錬、お前の言うVRMMOってのはそのまんまの意味で良いんだよな?」
「ああ」
「樹、尚文、充鷹。お前も意味は分かるよな」
「SFのゲーム物にあった覚えがありますね」
「ライトノベルとかで読んだ覚えがある」
「俺も空想上の物と把握している」
「そうだな。俺も似たようなもんだ。じゃあ錬、お前の、そのブレイブスターオンラインだっけ? それはVRMMOなのか?」
「ああ、俺がやりこんでいたVRMMOはブレイブスターオンラインと言う。この世界はそのシステムに非常に酷似した世界だ」
剣の奴が言うものは俺らがイメージしている通りの物らしい。
「それが本当なら錬、お前のいる世界に俺達が言ったような古いオンラインゲームはあるか?」
剣は首を横に振る。
「これでもゲームの歴史には詳しい方だと思っているがお前達が言うようなゲームは聞いたことが無い。お前達の認識では有名なタイトルなんだろう?」
他のやつらも頷いている。
「じゃあ一般常識の問題だ。今の首相の名前は言えるよな」
「ああ」
全員頷いてるし、俺も言わんとダメか?
「一斉に言うぞ」
「湯田正人」
「谷和原剛太郎」
「小高縁一」
「壱富士茂野」
「…徳川信足」
「「「「「……」」」」」
歴代、首相を遡ってもいないなコイツらが言ったのは。
「どうやら、僕達は別々の日本から来たようですね」
「そのようだ。間違っても同じ日本から来たとは思えない」
「という事は異世界の日本も存在する訳か」
「時代がバラバラの可能性もあったが、幾らなんでもここまで符合しないとなるとそうなるな」
なんとも奇妙な5人が集まったもんだな。
「このパターンだとみんな色々な理由で来てしまった気がするのだが」
「あんまり無駄話をするのは趣味じゃないが、情報の共有は必要か」
剣の奴は、一々鼻にかかるよう話し方をする。
「俺は学校の下校途中に、巷を騒がす殺人事件に運悪く遭遇してな」
「ふむふむ」
「一緒に居た幼馴染を助け、犯人を取り押さえた所までは覚えているのだが、気が付いたらこの世界に居た」
刺されたな。
「じゃあ次は俺だな」
軽い感じで槍が喋り出す。
「俺はさ、ガールフレンドが多いんだよね」
「ああ、そうだろうよ」
「それでちょーっと」
「二股三股でもして刺されたか?」
剣が小ばかにするように尋ねる。すると槍は目をパチクリさせて頷いた。
「いやぁ……女の子って怖いね」
「ガッデム!」
盾が中指を槍に対して立てる。
「次は僕ですね。僕は塾帰りに横断歩道を渡っていた所、突然ダンプカーが全力でカーブを曲がってきまして、」
「「「……」」」
轢かれたか…なんとも言えん最後だ。
「あーこの世界に来た時のエピソードって絶対話さなきゃダメか?」
「そりゃあ、みんな話しているし」
「そうだよな。うん、みんなごめんな。俺は図書館で不意に見覚えの無い本を読んでいて気が付いたらって感じだ」
「俺も同じようなもんだ」
「「「……」」」
三馬鹿衆が急に黙り出した。
「でもあの人、盾だし。っていうか銃何て合ったか?
」
「やっぱお前の所もそう?そっちも銃って無いのか?」
「ああ……俺の所も」
ヒソヒソ静かに言ってるが何となく聞こえてる。そりゃあ、剣と魔法の世界に文明の武器が有ってたまるかってか?
「じゃあみんな、この世界のルールっていうかシステムは割と熟知してるのか?」
盾が勇気を出して切り出した。
「ああ」
「やりこんでたぜ」
「それなりにですが」
「な、なあ。これからこの世界で戦うために色々教えてくれないか? 俺の世界には似たゲームは無かったんだよ」
「よし、元康お兄さんがある程度、常識の範囲で教えてあげよう。まずな、俺の知るエメラルドオンラインでの話なのだが、シールダー……盾がメインの職業な」
「うん」
「最初の方は防御力が高くて良いのだけど、後半に行くに従って受けるダメージが馬鹿にならなくなってな」
「うん……」
「高Lvは全然居ない負け組の職業だ」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ウルセェ。
その後の盾は救済措置が無いのか?と剣と弓に聞いていたが無かったらしい。
「後、充鷹」
剣が話し掛けてくる。
「何だ?そろそろ寝たいんだが?」
「銃、何て無かった俺らの知る限りだと」
あっそう。
「勇者様方、食事をお持ちしまたした」
食事を軽く取り、横になり寝た。誰かが文句を言ってた気がするが他の奴等は知らん。