黒鉛と薄氷 作:AWの新作ゲーム楽しみです。
【
side三人称
ビー!ビー!ビー!
白一色の殺風景な廊下がサイレンの赤い警戒色で彩られる。廊下でたむろしていた研究者は即座に緊急事態(つまり今)の際設定されていた避難所へと向かっていった。
廊下の角や死角に配置されていた警邏達は、
が、大体この手の物語で敵キャラムーブかます輩の結末は大体決まっていたりする。
次の瞬間。壁の一角に
この基地を設立、運営している機業が機業なだけにそれなりの耐久性を持つ壁が跡形もなく吹き飛ぶというそこそこ信じられない現象が起こったが、意外にも警邏達の動揺は少なかった。
寧ろ入ってきた
実際そうなっていた前述した一部の女性は『おいでなすった』とばかりに自身のアクセサリーに手をかざし、それに呼応するようにアクセサリーが光り輝き―――――
『ウラァア!!』
――始める前にアクセサリー自体を弾き飛ばされた。あぁそうそう。そういえば先程言った『大体この手の物語で敵キャラムーブかます輩の結末は大体決まっていたりする』についての解答だが、その答えは………
『……セイッ!』
ゴインッ!
「ウッグ…ァ………」
あぁ恨むならこの作品最初に出てきてしまった自分自身を恨んで欲しい。
即座にこの場における最高戦力を潰されて、多少面食らう警邏達だが、それでもまだパニックというわけではなかった。先程伸された彼女の代わりに激と指揮を飛ばそうと口を開きながら自身の半身をいつもより輝き成分強めで展開――――
『悪いけど、やらせないよ!』
――されることも特になかった。
またも見事にアクセサリーを弾き飛ばされそのまま昏倒されられた彼女達二人の声を聴き、ここに来て警邏達は急に焦り始めたが………残念ながら、少々遅かった。
彼ら彼女らがもう少し早く敵手を油断せずに索敵し、彼女達2名をがいるからと慢心せずに構えていたのなら、一太刀いれるのは未だとして、せめて敵の姿形を視認し、友軍に知らせる事ができただろうに。
『《バーチカル・スクエア》!』
『《シャープネイル》!』
直後土煙を切り裂く様に現れた水色と薄緑の光を纏った剣が無防備晒していた警邏達を切り裂……く事もなく強打した。
壁にドン!ゴン!ズバン!!と叩き付けられていく警邏を尻目に、たった今一つの部隊を壊滅させた。謎の二人組は残心等をする事もなく即座に走り出した。
『グラファイト!だから言ったんだよ僕等が【力付く】という手段を取った時は絶対にロクでもない事が起きるって!!?』
『そーゆうグレイシャスだって壁の向こうに敵がいるって報告した途端壁を切り倒すなよ!』
そのままサイレンにて赤く照らされた廊下を人間としてはあり得ないスピードで駆けて行く。施設の防護システムも働いてはいるが実弾系もレーザー系も彼らの剣撃によって悉くが破壊、逸らされていった。インターフェースに示された施設のマップを頼りに――因みにこのマップの提供者は住所不特定な奴なのだが信頼度としてはほぼ100%である「安心して!ウサギのマップだよ!」――迷う事なく進んでいく。
『ここを曲がれば後は一本道!目的のサーバールームだよ』
『分かった!』
が、二人が見たのは障壁にて固く閉ざされた通路だけだった。
『…ッ!―――突貫する!グラファイト!!』
『嗚呼!!行くぜグレイシャス!』
水色と銀にてカラーリングされた機体――《グレイシャス・ナイト》は今まで片手で構えていた剣を両手で持ち直し、大上段に高々と構えた。
『……
雄叫びを上げながらも自身の目の前に何重にも重ねられた障壁を易々と斬り伏せていく。
壁を次々と切り裂いていく頼もしい相棒の後ろ姿を見ながら、黒一色の機体――《グラファイト・エッジ》は自分が次取る行動のための準備を進めていた。
自身の持つ剣を右手で構えながら剣の腹に左手を据え、引きしぼる様に徐々に剣を弾いていく。
その姿は自分の弓の弦を最大まで引いて狙いを定める弓兵の様で、
また、愛用の槍を携え敵に必死のチャージをぶち当てんとする槍兵の様でもあった。
《グレイシャス・ナイト》が最後の障壁を切り捨て、この様な施設特有の病的なまでに白い明かりを目にした瞬間――――
彼らの目の前にあったのは巨大な【
並の物なら容赦なく融解し、二人が身に纏う地球上最強の個人兵装であるこれらが待ったとしても大損害は免れないであろう一撃が、二人に向かって放たれた。
『《
が、この二人には既にこれを迎撃する準備があった。彼の持つ剣は『キイイィィィィン!』という正にジェット機の如く高音を鳴らし、剣は正しく【
パァン!とい甲高い炸裂音とともに神速の突きが光線を切り裂き、その後ろで役目を終えようとしていた【光線砲台】ごと真っ二つに破壊した。
剣を振り抜いた格好の《グレイシャス・ナイト》と突きの格好のまま硬直していた《グラファイト・エッジ》は同時に動き出し、何も言わずに互いの右腕を振り上げ、振り下ろした。
パァンという先程とは比べ物にならない程小さく、乾いた音が響いた。
『ナイスチャージ!』
『そっちもね。ナイスリカバー』
今回の依頼内容はデータの奪取ではなく
そして最後に残った一際大きなメインコンピューターの前に二人は並び立ち、《グラファイト・エッジ》は依頼主から渡されたウサギ型のUSBを取り付る。ここだけこうした処置をとっているのはこのメインPCのみ破壊される前に別の場所へとデータを移すという特別仕様だからである。
なのでこうして依頼主がハックしてクラッキングしてから二人によって壊す手筈となっている。
『…大丈夫だとは思うけど、ここまで上手くいくと逆に不安になってくるね…』
『オイオイ《グレイシャス》不穏な事言うなよ。そうゆうのは言ったら起こるんだぞ?』
『まぁ、ね――分かってはいるんだけどどうしても不安で………』
『時代を100年先取りしてる天才科学者だぞ?そんなことはそうそうないっ――
ビーッ!ビーッ!ビッー!
急に鳴り響く先程よりもよほど大きな警戒音。明らかにヤバそうな雰囲気に《グレイシャル・ナイト》は小首を傾げ、《グラファイト・エッジ》はどこか青ざめた様子となり、即座に自身の耳元にある無線機で依頼主との連絡を取り始めた。
『此方《グラファイト》!突如進入時よりも大きな警戒音が発生!何か
……無線機から数秒程の沈黙が流れ、その後何処か焦りを含んだかのような軽薄な声が聞こえてきた。
『あっちゃ〜ゴメーン――いやこれは大天才束さんに有るまじき失態だー!?』
『言い訳は要らないから、情報提供が欲しいな』
『りょーかい!さっきハッキング中にちょいとポカやらかして君達のいる基地内の
『自爆装置ィ!?』
《グラファイト・エッジ》が動転した声を上げるのとは裏腹に、《グレイシャス・ナイト》は落ち着き払った声で詳細を聞き出し続けた。
『威力はどの位?』
『軽ーくこの基地丸ごと吹き飛ぶ程度!』
『周囲への被害はどの位出しそう?』
『大丈夫。元より人気の少ない場所に建てられた基地だし、仮に想定の三倍の威力が出たとしても人的被害はないよ!!』
『わかった。らしいよ《グラファイト》』
『なぁ《グレイシャス》。聞いてくれたことは感謝するんだが、それらよりもっと聞かなきゃいけない事があるんじゃないか?』
『え?』
『…………』
まるで『そんなことがあるのかい?』とばかりに首を傾げる相棒と、急に無音となった無線機の向こう側という『如何にも』な光景に白目を向いて気絶してしまいたいという衝動に抗いながら、《グラファイト》はどこか覚悟を決めた様な口調で問う。
『なあ、博士』
『なんだい《グラファイト》くん』
『
『あと10秒だね!』
…………
…………………
………………………
『『
即座に自身が持ち得る最大火力の兵器を使い、施設の壁という壁をぶち壊し、二人は【
その後施設は物の見事に跡形なく消え去った。
『…………………』
流石に予測不可能な事態にあって茫然自失となる相棒を尻目に、先程とは立場を変えて問答を続けた。
『――急に出たから確認しなかったがデータは大丈夫なのか?』
『あ、そこはヘーキ。ちゃんと壊しといたよ♫』
『じゃあこれで、一応はミッション
『うん!ありがとー!!じゃあ依頼金の受け渡しと報酬のIS整備をやるから一旦こっちの潜水艦に戻って来てねー!』
通信がプツリと切れたため役目を終えた無線機をしまいながら、《グラファイト・エッジ》は地面に腰を下ろした。
隣に、混乱から戻ってきた相棒である《グレイシャス・ナイト》も座った。
『束さん。根はいい人で、キチンと報酬とサポートをしてくれるいい
『何かしらやらかした時が怖過ぎる…な』
ハァ…と溜息をついた二人は自身の身に纏う
そこから出てきた二人の相貌は………
「まぁなんにせよ、お仕事お疲れ様。悠人」
亜麻色の髪と紺碧色の眼を持った青年と、
「お前もな、ユージオ」
黒目黒髪の、女顔の優男だった。
次回は未定です。あとタグにある通り完全なあの二人ではないです。