黒鉛と薄氷 作:AWの新作ゲーム楽しみです。
追記
キリトたちの年齢を下げました。
【とある潜水艦の中】
side桐ヶ谷悠人
やぁ、PCやスマホ。もしくはタブレットから見てくれている皆さんはじめまして。
俺の名前は【
相棒のユージオ・シュトリーネンと一緒に傭兵の真似事をしている。
本来なら普通に過ごせた筈の俺たちの人生をこんな火花と陰謀飛び交う世界に入ることになってしまったのは、今俺の腰に
【
某日、日本へ向けて大量のミサイルが諸外国から打ち込まれるという異常事態が発生。あわや日本壊滅かと思われたその時、白い人型の機体がその悉くを粉砕。しかもその機体を鹵獲、若しくは破壊しようとしたら海外からの正規非正規問わずの軍隊相手に大立ち回りを演じ、その全てを無力化した。
その後開発者【篠ノ之束】が世界中へと発信した【IS】のカタログスペックに世界が驚愕し、同時に恐怖した。その後【アラスカ条約】とか何やらが出来上がり、今の【IS】が世界を中心に回っているといっても嘘偽りないクソたれな世界が爆誕した。
件のISが女性にしか動かせないこともあり、世の中は【女尊男卑】という考え方が浸透し今の世の中はめちゃくちゃである。
……っと、まぁこの世の中における恨み辛みはここで区切ろう。
が、何故か女性にしか動かせない【IS】を動かせてしまったアホがここに若干2名程いる。
俺こと【桐ヶ谷悠人】
親友の【ユージオ・シュトリーネン・Jr.】
経緯は省くが、今ではこうして男の操縦者であることを隠しつつも、世界で行われるテロ、紛争、誘拐を粉砕するため活動をしている。
今回の仕事だって【IS】関連のテロを多く起こすテロ組織【
……まぁあとは適当な証拠を国際警察にでも渡せばいいかーと思ってたら自爆装置が起動して跡形も無くなるとは思わなかったが。
いまはこうして寛ぎつつも依頼主に依頼(?)している俺たちのISの整備が終わるまでこうしてのんびりしているという訳だ。
――あの、束様。そんな改造は頼まれていないと思うのですが……
――大丈夫大丈夫。あの二人はロマンが分かっているから平気だよ!
――いや、悠人様はともかくユージオ様は確実に起こると思うのですがっ
……………!?
「俺達の機体になにしてるんだっ!?」
自動ドアが開くまでの時間すらも待てずに蹴り飛ばし、自分達の機体が痴態を晒していない事を祈りながらも【天災】のラボに突入した。
【とある潜水艦の中】
sideユージオ・シュトリーネン・Jr.
「……なんでだろう。凄く嫌な予感がする」
具体的には僕のなくてはならないものがこう……誰かに色々されてるような気がするような――――
取り敢えず、シャワーを浴び終わったら悠人に聞いてみることにしよう。
あぁそうそう。僕の名前は【ユージオ・シュトリーネン・Jr.】ジュニアとあるのは僕の父である【ユージオ・シュトリーネン】と同姓同名だからだ。
なぜ同姓同名なのかというと僕が生まれた時――
――わぁ!ユージオにそっくりな子ですね!
――うん、そうだねリーネ。本当にそっくりだ。
――これは同じ名前にするしかありませんね!
――……えっ?
――決めました!Jr.…これから貴方は、ユージオ・シュトリーネン・Jr.です!
――え、えぇ!?だめだってリーネ!この子にはちゃんとした名前を付けなきゃ!
――え?でももう書いてしまいました。
――………………
――………………
――ごめんね。【ユージオ】
うーんこのお母さんの暴走っぷり。相変わらず暴走するとお父さんでも止められないね。
まぁそんなわけでお父さんと同姓同名にやっちゃったけど僕は意外と不快に思ってはいないので大丈夫だよって伝えた時安心していたのが印象的だったなぁ………
僕はそんな事を思いながらもシャワーの口を締め、タオルで頭と体を拭いた後準備しておいた着替えとクローバーの押し花で形創られた小さな栞を持ってバスルームを出た。
さて、束さんは性格は兎も角腕は確かだから安心して僕らのISを任せられる数少ない存在だ。一応僕らのISは完全な非合法だから、やっぱり正規の技術者に整備が頼めないのは痛いね………いい加減どこかに腰を落ち着けた方が――いや、僕らには無理な話だね。
どうにか出来ないものかとおもいながらも僕らはガヤガヤと何やら騒がしいラボへと向かって行った。
【とある潜水艦の中】
side三人称
篠ノ之束が世界中から雲隠れする為に運用、稼働している潜水艦内部。その中でも束第二の自室と言っても過言ではないラボの中では、とても陰鬱とした空気が漂っていた。
「あ、あの〜」
「――なんでしょうか。人の機体を何の断りもなく改造しようとした人で無しの束さん?」
珍しくしょんぼりとした顔で正座している束と、自身のISの待機状態である水色の長剣を腰に帯剣しながら忌々しげな表情で束を睨み付けるユージオの姿があった。
経緯としてはこんな感じである。
1.ブレイドオンリーな機体を束が見つめていたらいつのまにか発明家としての自分がハッスル。
2.クロエが止めようとするが自身の命の恩人であり、ほぼ母の様な存在の束には強く言えずアタフタ。
3.騒ぎを聞きつけた悠人が怒った際のユージオの事を脳裏に浮かべ。その後必死に束を説得開始。
4.口先のみでは勝てないと判断し何とか引きはがそうと試みるが、細胞レベルで天才的なハイパームテキなDr.束には勝てなかった。
5.最終手段としてISの発動を思い浮かべた瞬間シャワーから帰って来たユージオが喧騒を聞き付けラボ室へ
テ デ ド ン(絶望)
と、いうわけである。
特に自分から何かしらを言うわけではなく、時折相手の発言を遮り正論を静かに言うという感じのなかなか精神的にくるタイプの説教をされ面白くないという表情をする束を尻目に、悠人とクロエが話し始めた。
「なあ、束博士って天災だよな?」
「そうですね…その筈です」
「俺の目にはどうにも叱られて膨れっ面晒してる子供にしか見えないんだよな」
「束様は、常々『いつまでも子供の心でいたいよね!』と言っているのであながち間違ってないのかも知れません」
「それ『発想』の話じゃないかなぁ…」
普段から一緒に過ごしている為怒るユージオの恐ろしさを身を以て知っている悠人は、あーもういいやとばかりに端末を弄りだす。
端末の中にある受領ミッションが何もないことを確認し、新規依頼のフォルダを開き中身を精査し始めた。
(要人警護…長期の依頼だから性別バレの恐れがある、却下だな)
右へスワイプし『依頼拒否』のフォルダに突っ込み、次の依頼を見る。
(次は…えー登録済みとは言え強大な力を持つISを個人が持つのは非常に危険なため………)
その後長々と綴られた勧誘文は読む気を失せるのに十分な為、目を閉じ『依頼拒否』ではなく『ゴミ箱』へ直接叩き込んだ。
(んー他の緊急性の高い依頼はない、な)
まあ絶対世界のどこかで事件は起きてるんだろうがと、益体も無いことを脳裏に浮かべながら端末をしまった。
「そもそも、束さんはデリカシーがというものが無い!これでマシって、前はどんな事になってたんですか!?」
「うるさいなぁ!なんでこの超天災束様がそこいらの凡人どもに足並みと気を使わなくちゃいかないんだ!非効率だし!非効率だし!!」
『大事なことなので二回言いました』か?と苦笑いしながら思案に耽る。
(さっきユージオにも言われたけど、やっぱりもう一つの組織に身を置くべきか……)
だが彼等はご存知の通り今現在世界で唯一の男性IS搭乗者である。いま世界にそれを公表しようものならよくて全世界を相手にした逃亡劇、悪かったら何処かの世間一般には言えない場所でホルマイン漬けだろう。
(せめて大々的に『男性搭乗者です!』と発表された奴がいればいいんだけど……)
まあそうそう都合よく行かないのが運命であり、世界なのだ。
一通り言いたいことはいい終わったのか一転和かな態度を取り始めたユージオに束が胡乱げな顔をしながらも立ち上がった。
「そもそも束さんは、君達二人の為に改造を施そうとしたんだよ?いくらユーくんとキーくんのISが私自ら手がけたオンオフ機だとしても、もう
「いやいやいや!初期の第二世代機で軍事用の第三世代機と同等って時点で十分だから!?」
もはや
本来ならあそこでは第二世代機である此方が負けると思っていたのだが、高速飛行とオールレンジ攻撃に特化した福音を直線で追い抜かした時はびっくりした。
「うん?あぁ
プライベート時のみ悠人を指す渾名を呼びながらユージオは質問をした。
「ロクな依頼が無かったからな。以前は唯一の【私営IS部隊】だから依頼もたくさん来てたんだが、もう世界中にISが配備されたからか?」
「いや〜?だとしても世界中の人達が自由に動かせるIS部隊は君らぐらいだよ思うよ?」
「……まぁ確かに、俺たち以外の私営のIS部隊は消えた事ないな。裏も含めるなら【
「だとしても、僕らが唯一無二なのは間違いない筈…なんだろう?」
陰謀でも働いてるのかね?と三人は腑に落ちない感覚を共有したが、依頼が減った事を考慮しても仕事自体は選り好みできる程度にはあるので別に良いかという結論に落ち着いた。キリトとユージオは実利面で問題がないと判断し、束としては元々興味が薄い話だったからだ。
世間話から、現在の裏組織の本部の場所と多岐にわたる話題を出しながらも、四人は話し始めた。話題を出すのは全員だが、戯けて笑いを誘うのはキリトと束の役目。其れを宥めつつも綺麗に纏めるのはユージオの役目で、それに対して、初出の話に(薄いが)リアクションをとるのはクロエの役割だった。
『世界を股にかける傭兵部隊(二人)』
『世間を騒がせる科学者(天ぇん災)』
違うところもあるが何処か似た所がある四人は、不思議と噛み合った。
そのまま話す事数十分――――
「んあー、くーちゃん。テレビ付けてくれない?」
話題出しに難儀して来た束が、手軽な話題提供機としてテレビを付けさせた。
トークやバラエティは束の性質上非常に不愉快な事が多い為、自然とチャンネルはニュースやヒストリア系の番組へと移って行く。
キリトが『ここ太平洋の数千メートル下だよな?』と疑問を出しながらもチャンネルは切り替わっていく。
歴史の隠された裏話と言って信憑性のカケラもないトンデモ論議。
史実に基づいてはいるが何処かに内容が薄っぺらく感じる司会者のトーク。
それらを全て無視しチャンネルを切り替えていき、大抵日本人なら見たことのあるN◯Kへとなった。
最近話題となっている国家代表候補生についての特番が放送されていて、【
『大ニュースです!なんと今日、初の男性搭乗者が現れました!!』
次の瞬間、自分が予想しなかった事についてニヤリと頬を上げた。