GAMERA ガメラ2   作:AS365

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本作品では福島第一原発事故を連想させてしまう場面があります。
ご了承下さい。


2つの隕石

1999年

地球に2つの隕石が向かっていた。

その2つの隕石のうち、1つは北アメリカ大陸に、もう1つは東アジア方面に落下して行った。

 

 

日本 宮都県

雀路羅市

ゴォーーーー!!!

「「「「「「?」」」」」」」

「何?」

雀路羅市の人々は空から鳴り響く轟音に視線を空に向けた。

ドーーーーン!!!!

隕石は、原子力発電所の近くに落下した。

 

 

雀路羅原子力発電所

「原子炉に異常はないか?」

「ありません!」

雀路羅原子力発電所の専属技術、ジョー・モートンは隕石落下に伴う対応に追われていた。

「隕石落下で被害が皆無なのはかなりの救い

だな」

発電所の所員達は実害が皆無なのに胸をなで下ろしたが、ジョーだけは違った。

「だが何故だ?隕石落下ならかなりの衝撃になる。1キロ地点なら発電所が吹き飛んでもおかしくないはずだ」

「速度が落ちたからじゃ?」

「………どう言う意味だ?タカヒロ」

「その隕石、どうやら制動がかかったようなんだ」

「制動?つまり、隕石が自分から速度を落としたってことか?」

「そう言うことに……」

『ジョー、聴こえる?』

そこに、ジョーの妻で同じ専属技師のサンドラから無線で連絡が入った。

『今から第2原子炉に入るわ』

「わかった、気を付けろ。放射能を浴びたら防護服でも防げないぞ」

 

第2原子炉

「カウンターは?」

「反応ありません」

「放射能漏れは無さそうね」

サンドラ達はガイガーカウンターで放射能を測定し、数値から放射能漏れは起きていない事を確認した。

 

発電所制御室

「サンドラ、念のため原子炉の様子を直に確認してくれるか?」

『了解』

「ジョー、これを見てくれ」

「何だこれは?」

タカヒロがジョーに見せたのは電磁波の波形グラフだった。

「さっきからこのパターンの波形が観測されてるんだ」

「この波形はいったい」

ザーー!

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

ジョーがタカヒロと観測された電磁波パターンについて話していると、制御室のモニターが全て乱れた。

「何だ!?」

 

 

第2原子炉

ドゴーーン!!

「「「「「「「!?」」」」」」」」

ガーーガーーガーーガーー

「カウンターの数値が!」

第2原子炉では奥から巨大な轟音がし、ガイガーカウンターの数値が急激に上がり始めると、原子炉の方向から放射能の煙が迫って来た。

「逃げて!早く!!ジョー!緊急事態よ!放射能が漏れ出した!」

サンドラ達は迫り来る放射能から急いで逃げた。

 

発電所制御室

「緊急退避だ!」

「はい!」

ビーー!!ビーー!!ビーー!!ビーー!!ビーー!!

ジョーが指示を出し、発電所の全フロアに緊急警報が鳴った。

 

雀路羅市

ウーーーーーーー!!!

雀路羅市全域にも警報が鳴った。

 

 

雀路羅原子力発電所

発電所制御室

「隔壁を閉鎖しろ!急げ!」

「待て!まだサンドラ達が!」

「だが閉鎖しないと街が!」

「………私が迎えに行く、操作を隔壁前にまわしてくれ!」

「おい!待てジョー!危険だ!」

ジョーはタカヒロの警告を無視し、サンドラ達を迎えに避難する職員達とは逆方向の第2原子炉に走った。

 

第2原子炉 隔壁前

「はぁ、はぁ、はぁ」

ジョーは第2原子炉の隔壁前に到着したが、サンドラ達はまだ来ていなかった。

「サンドラ…………サンドラ聴こえるか?今隔壁の前に居る」

ジョーは無線機でサンドラに呼び掛けたが、誰も答えなかった。

『ジョー!』

「サンドラ!」

『隔壁を閉じて!もう間に合わない!』

「ダメだ!頼む諦めるな!」

『もう放射能がそこまで来てる!早く!』

『ジョー!早く隔壁を閉じろ!街が汚染されるぞ!』

「………」

サンドラとタカヒロからの無線を聞く中ジョーは葛藤した。

今隔壁を閉じればサンドラ達を見殺しにしてしまう、かといってこのままでは放射能で雀路羅市が汚染されてしまう。

状況から見て、街かサンドラ達か、二つに一つだった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ジョーの方へ放射能の煙が迫って来た。

「………………ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

バン!

ゴォーーー!

ガン!

ジョーは葛藤の末、放射能が出る寸前の所で隔壁のボタンを叩き押し隔壁を閉鎖した。

中に居るサンドラ達を残して。

「…………ぅ…………ぅぅ」

バンバンバンバン!

サンドラを見殺しにした負い目からジョーは泣き崩れていると、叩く音が聞こえた。

立ち上がり扉に付けられた覗き窓を見ると、逃げ遅れた職員達が助けを求めて窓を叩いていた。

「……………済まない…………」

雀路羅市を救う為には彼らを見殺しにするしか方法がなかったジョーは許してもらえないとわかっていたが、ただ謝る事しかできなかった。

「ジョー!」

「サンドラ!」

もう助からないと悟ったサンドラはガスマスクを外して、窓越しにジョーと対面した。

「……済まない………済まない」

「良いのよ…………」

シューーー

隔壁の最後の扉が閉じ、サンドラ達とは完全に寸断された。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「!?」

その直後、地鳴りのような音が発電所全体を包んだ。

『ジョー!発電所が崩壊するぞ!早くそこから逃げろ!』

タカヒロからジョーの無線に発展が崩壊を初めている事が伝えられた。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ!!!!

「逃げろ!」

「急げ!」

発電所から職員達が避難する中、雀路羅原子力発電所は崩壊を始めた。

ドジャン!!!!!!

ガシャン!!!!!

「崩れるぞー!!」

発電所は跡形もなく崩壊し、ジョーがサンドラ達を見殺しにしてまでも閉じた隔壁も意味を成さくなく、放射能は雀路羅市を汚染し、住民は問答無用で避難させられ政府によって封鎖された街はゴーストタウンへと変貌した。

 


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