大平洋
サラトガ
「ガメラ、海に着水。現在海上を60ノットで東に向け移動中」
ガメラは飛行するエネルギーを使い果たしたのか海を移動し初め、第7艦隊はガメラと並走しながら追尾を続けた。
「何で東に向かってるのかしら?」
メグミはガメラが東に向かってる事に疑問を感じ、それを口にした。
「レギオンが東に向かって飛んで行ったからでしょ?」
「まぁ、そうですけど、そのレギオンも何で東に行ったのかと思いまして」
「お友達でも居るのかしら?」
「…………友達………」
「アラン?どうしたの?」
グラント博士はウチキド博士が言ったジョークである可能性に気付いた。
「21年前、雀路羅にレギオンの隕石が墜ちた日、北米にも隕石が落下したというデータがあった」
「まさか……それもレギオンだって言うの?」
「おそらく……」
「巨大レギオンは……1体だけじゃなかった……」
「グラント博士、その隕石はどこにあるんですか?」
ハンプトン大佐はもう1つの隕石がどこにあるか聞いた。
「あなた達軍が持って行ったわ。未知の生体の可能性があるとか称して」
「どこに?」
「ネバダ………エリア51だ」
アメリカ合衆国
ネバダ州 グルーム・レイク空軍基地
「降車!」
ネバダ州のグリーム・レイク空軍基地こと、エリア51では第七艦隊の通報を受けた空軍が特殊部隊を基地に派遣し、地下の隕石保管庫に向かっていた。
ガラ!
「クリア!」
「クリア!」
特殊部隊は沢山ある保管庫の小窓を開けて、中に異常がないか虱潰しに調べた。
ガラ!
「っ!おい!」
「「「「「「!」」」」」
隊員が保管庫の1つの小窓を開けると、そこから光が射し込み、開けた隊員は他の隊員を呼び止めた。
「開けるぞ」
隊員は扉を開け、他の特殊部隊は銃を構えて警戒した。
しかし、扉を開けるとその先は壁に巨大な穴が開いており、そこから塩の砂漠で有名な、グルーム乾燥湖が広がっていた。
特殊部隊は双眼鏡で塩砂漠の先を見ると、巨大レギオンが歩き去って行くのが見えた。
大平洋
サラトガ
「UAVからの映像入ります」
サラトガのCDCには無人偵察機から送られて来た、もう1体の巨大レギオンの映像がモニターに映された。
「奴はこのレギオンと話していたのか」
彼らは映し出された巨大レギオンの映像を見て困惑した。
「100メートル以上はあるわ。もう1体よりずっと大きい」
「こいつには翼が無い」
ウチキド博士とステンツ提督が言った通り、ネバダの巨大レギオンは形こそ雀路羅から出現したのとほぼ同じだが、全長が140メートルあり、背中には翼が無く、常に歩行している点が違ったが、グラント博士は即座にその答えを見つけた。
「そうか………私達は最初に現れた巨大レギオンがアリで言う女王アリだと考えて居たが、そもそもそれが間違っていんだ」
「どういうことだ?」
「あれは雄だったんだ。そしてネバダの巨大レギオンこそが女王、雌だ。地球の生物でも雄雌で形態や大きさが違う生物は多数いる、レギオンもそれと同様なんだ。雀路羅の草体が21年間も種子を発射しなかった理由もこれで説明がつく。雄のレギオンと草体は雌が目覚めるまで休眠して待っていた。そして雌は繁殖が可能な状態になり、雄も活動を開始した」
「じゃあ、雄と雌が合流したら……」
「………今度こそ繁殖を始める、卵を産む前に雌だけでも倒さないと」
「ガメラと雌レギオンの進行方向を検討した結果、3体はサンフランシスコに集結する可能が最も高いと推測される。よって、サンフランシスコを最終防衛ラインとし、ここを決戦場とする」
ステンツ提督はガメラと2体のレギオンをサンフランシスコで迎え撃つ計画を説明した。
「サンフランシスコまでは野放しにするき?」
「勿論、雌レギオンの進路にも軍を配置し攻撃する。それと、3体に対する戦術核攻撃も準備中だ」
「核だと!?」
「ちょっと本気!?人口密集地域で核攻撃するなんて!」
ステンツ提督は核兵器使用も辞さないと伝え、グラント博士達、特にメグミは反論した。
「提督!いくらレギオンを倒す為とは言え核兵器を使用するなんて!」
「安心しろ、今の核兵器はメガトンクラスの威力がある、確実に3体を抹殺出来る」
「そう言う問題じゃない!核爆弾を使えば放射能が撒き散らされて何千、いや、何万何億ともいう人達が原爆病に犯される!それに放射性物質でサンフランシスコ全体が死の街になり、風で他の地域にまで運ばれて影響が及ぶ!あなた達それを考えて使うつもりなの!?」
メグミはハンプトン大佐の核兵器を過信する言葉に対して激しく反論した。
「メグミ君、君は日本人だから核兵器に強い反感を持つ気持ちは理解出来る。だがこれは大統領命令だ」
「………結果あなた達は、戦争をしてもその後のことなんてこれっぽっちも考えていないのね」
「では他にいい策があるのかね?」
「ガメラなら、レギオンを倒せます」
「そのガメラだが、人間の味方とは限らないのではないか?」
「え?」
「現にガメラによって多数の死傷者が出ている。2年前も今回も」
「ですがガメラはわざとそうした訳では」
「わざとでなければ、例え大勢の人間が死んでも許せるのか?残された家族や友人はガメラを許せると思うか?」
「それは……」
メグミはステンツ提督の反論に上手く言い返せなかった。
実際ガメラによって死傷者が出ているのは隠しようのない事実であり、ステンツ提督の意見も最もであった。
「………各自持ち場に着け」
ステンツ提督達は話を終わらせると会議室を出た。