GAMERA ガメラ2   作:AS365

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出兵

カリフォルニア州上空

オアフ島から第25歩兵師団を乗せた空軍のC-17輸送機は、カリフォルニアの上空を飛行していた。

「みんな、新しい目的地と命令が出た。降りる準備をしてくれ」

予定より早く着陸するとC-17の乗員の空軍兵に言われて陸軍兵は荷物をまとめ始めた。

歩兵師団と共に輸送機に乗り込んでいたニックは何故予定より早く降りる訳を聞いた。

「どうかしたのか?」

「レギオンがもう一体出たんです。第25歩兵師団にはサンフランシスコの防衛ラインに配置されることになったそうです」

 

アメリカ合衆国

カリフォルニア州 インディペンデンス

ネバダからカリフォルニアに入った雌レギオンはインディペンデンスに到達していた。

ガン

ウィィィィン

だがインディペンデンスには既に陸軍のM1A1戦車大隊が待ち構えおり、レギオンに砲口を向けた。

ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!

ガン!!!!ガン!!!!ガン!!!!

キショォォォォ!!!!

戦車大隊はレギオンに向かって一斉射撃を開始し、レギオンに命中した榴弾は爆発はするが表皮がかなり硬い為か、時折金属音のような音が混じっていた。

 

カリフォルニア州 ローン・パイン

インディペンデンスから約25キロ程離れたローン・パインには多数の軍の車両が集結しており、線路にはサンフランシスコへ戦車や兵士を輸送する軍用列車が停まっていた。

ローン・パイン空港に着陸したC-17輸送機からM939トラックに乗り換え、ローン・パインに到着したニックと第25歩兵師団はトラックから降りた。

(メグミに電話しとくか……)

ニックはメグミに連絡を取ろうとスマホを取り出した。

「…………ぁ、もしもしメグミか?ニックだ。そっちは今どうだ?」

『あまり乏しくない………』

「………何かあったのか?」

メグミの声に違和感を感じたニックは理由を問い質した。

『……………ガメラも殲滅対象に入った』

「本当……なのか……?」

『軍は核攻撃も辞さない構えよ』

「核だと!?まさかグラント博士達が言ったのか!?」

『博士達は反対したわ………でもガメラも被害を出してるから仕方ないってステンツ提督は………』

「…………わかった。俺は俺で何とかする」

『何とかって?』

「……ガメラと一緒に戦う」

ニックは私服から陸軍のACU戦闘服に着替え、防弾ベストを着用し、頭にヘルメットを被り、M4カービンと拳銃を携えて第25歩兵師団と共に軍用列車に乗り込みサンフランシスコへ向かった。

 

インディペンデンス

ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!ドン!!!!

ガン!!!!ガン!!!!ガン!!!!

グゥゥゥゥガギギギギ!!

ガーーー!ビィーーン!!!

戦車隊に攻撃されたレギオンは反撃に転じ、顔の外殻を左右90℃に開き、両方の外殻の先端と、頭の角の先端から出したマイクロ波の稲妻を、開いた外殻の間に集束させ青い光の帯を形成し、戦車大隊に向かって集束させたマイクロ波の光線、マイクロ波シェルを発射し、一撃で戦車隊の半数を消し飛ばした。

 

太平洋

サラトガ 戦闘指揮所(CDC )

「ガメラ急速潜航!」

その頃、太平洋のガメラは潜航を始め、あっという間にソナーの探知圏外まで潜って行った。

 

カリフォルニア州

日が沈んだアメリカ西部では、ニック達が乗り込んだ軍用列車が山間部の線路を走っていた。

時折、レギオンに壊されたと思われる渓谷に架かる橋が幾つもあった。

「あの橋、やっぱり怪獣がやったのかな?」

「インディペンデンスの戦車大隊が壊滅したらしいぞ」

「本当か!?」

その傍ら、米兵達は怪獣に対する話をしていた。

「大尉」

「何だ?アレン上等兵」

「怪獣ってかなりの強敵ですかね?」

「多分。でもガメラは大丈夫だ」

「え?何でです?」

「ガメラは、俺達の敵じゃない」

「……何でそう思うんです?」

ガギィィィ!!

「「!?」」

ニックとアレンが話していると列車はトンネルの前で停車した。

ドーーン!!!

そのトンネルの向こうの山から砲撃音と銃声が聴こえてきた。

「こちらエコー中隊、ブラボー大隊応答を」

『………』

「こちらエコー中隊、ブラボー大隊応答を」

『…………』

部隊長は山の向こうに居る筈の部隊と交信をしたが、相手の無線からは雑音しかしなかった。

「様子を見に行こう。」

ニックはアレン上等兵の他、2人の陸軍兵と共にトンネルの先の偵察に出た。

4人はトンネルの先の渓谷に架かる高架橋に出た。

「何もありませんね」

「…………!」

カチャ

ニックは一瞬何かの気配を感じ、下の渓谷に銃口を向けた。

「大尉、何か居ましたか?」

「………いや、気のせいだ。フューリー軍曹とランド一等兵は下を見て来てくれ。アレン上等兵は俺と橋の上を調べるぞ」

「「「了解」」」

 

フューリー軍曹とランド一等兵は梯子を伝って下に降り、川岸を調べた。

「何も無いですね」

「あぁ………ん?」

「軍曹どうしました?」

フューリー軍曹が何かに気付き、ランド一等兵も同じ方向を見ると、河の方からやけに明るい物体が近付いて来た。

「何だ?」

「……………!伏せろ!!」

ガン!!

フューリー軍曹が近付いて来る物体に気付き、2人が後ろに飛び退くと、物体は川岸にぶつかった。

「戦車!?」

迫って来た物体の正体は、炎上する戦車であり、そのまま燃えた戦車は河の流れに流されて行った。

2人は河を再び見ると、河上から多数の燃えた戦車や装甲車が流されて居る光景を目の当たりにした。

「………早く通過した方が良いな」

グゥゥゥゥ

「「?」」

フューリー軍曹とランド一等兵は頭上から音がしたのに気付き、上を見た。

 

「合図無いですね」

「あぁ」

橋の上を調べてたニック達は下に居るフューリー軍曹達からの合図が無いことを不審がっていた。

グゥゥゥゥ

「「!」」

2人が渓谷の下を覗き込もうとしたら、下から雌レギオンが頭を上げて来た。

「隠れろ」

ニックとアレン上等兵はレギオンに見つからないように、線路に隠れるように寝そべった。

グゥゥゥゥ

レギオンは2人に気付いてはいないが、橋を探るように動いた。

ガァァァ

「これ消さないと」

「静かに」

アレン上等兵は背負ってた無線機から通信音がし、慌てて消した。

 

「エコー3応答せよ」

『…………』

「エコー3、異常はあるのか、無いのか?」

『…………』

トンネルの反対側にいる列車では、部隊長がニック達に連絡をとろうとしたが、無線機はアレン上等兵が切っている為通信は出来なかった。

「…………出発だ!」

痺れを切らした部隊長は列車を走らせるよう命令した。

 

パワァーーーン!!

グゥゥゥゥ!

レギオンは反対側から聴こえて来た列車の汽笛に反応し、橋から離れた。

「……………ふぅ、もう大丈夫だ」

ニックとアレン上等兵はレギオンが居なくなり、起き上がった。

ドーーン!!!!

「「!?」」

トンネルの方から突然爆発音がし、2人はトンネルの方を見た。

2人が後ろを見ると、トンネルからレギオンに攻撃され炎上する列車が2人目掛けて突っ込んで来た。

「走れ!!」

ニックとアレン上等兵は列車から逃げようと線路を走ったが、高架橋の脇に再びレギオンが現れた。

「大尉!た」

ガシャン!!!!

「っ!くそ!」

レギオンはニックの後ろを走るアレン上等兵ごと高架橋を破壊し、ニックは高架橋から渓谷の河目掛けて飛び降りた。

ボチャッ!

ニックは河に飛び込んだ。

河はある程度の深さがある事と、空中で体制を整えた事で河に入水する事は出来た。

ドン!!!

ニックが飛び込んだ直後、直ぐ近くに炎上した列車が橋から河に落ちた。

「ぶはっ!」

ニックは水面に上がり、顔を出した。

キショォォォォ!!!!

ドーーン!!!!

ニックがレギオンを見ると、レギオンは山肌を突き破って地中に潜って行った。

 

大平洋

サラトガ 戦闘指揮所(CDC)

「消息不明………!?」

「あぁ、おそらく雌のレギオンに襲われたんだろう」

メグミはハンプトン大佐からニックが乗った軍用列車が消息不明になったと伝えられていた。

「ニックは……無事なんですか!?」

「残念だが、兵士の安否は不明だ」

「そんな……」

ハンプトン大佐から現実を突き付けられたメグミはショックのあまり椅子に座り込んでしまった。

「落ち着け、安否不明なだけでまだ死んだとは決まってない。モートン大尉が見つかったら君に知らせる……元気を出せ」

「………はい」

ハンプトン大佐から励まされたメグミは完全とは言い切れないが、立ち直ることが出来た。


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