オークランド 戦闘指揮所
「市内に!?」
「えぇ、草体が現れて以降は音信不通よ」
空軍に救助されたニックは、オークランドの戦闘指揮所にヘリで送ってもらい。
そこでウチキド博士からメグミがサンフランシスコに向かったまま行方不明だと教えられていた。
「……………草体への攻撃は?」
「雌が産卵しているから親は何がなんでも草体を守ろうとしてる。現に爆撃しようとした戦闘機が全滅させられた上に、電波障害がより強力になって誘導兵器も上手く作動しなくなってる。街には多く人が取り残されているから、絨毯爆撃をする訳にもいかないし」
「気付かなかった……で済ましますよきっと」
ニックはもしサンフランシスコ全体を爆撃して、民間人に死傷者が出れば軍は言い訳をすると言い放った。
これは過去に米軍兵士だった父親を、同じ米軍の誤爆で失ったニックなりの嫌味だった。
「それ………お父さんのこと?」
「えぇ、その時言われたんです。爆撃地区に父が残っていたことに気付かなかったって………本当はわかっていたはずなのに、当時の司令官は味方の犠牲より作戦成功を優先したんですよ…………すみません、話が逸れました」
「良いのよ」
「それで?まさか、このまま指を咥えて黙ってるつもりはないですよね?」
「今ステンツ提督達が新しい作戦の説明をしているわ。あなたも来て」
戦闘指揮所の中ではグラント博士とステンツ提督、ハンプトン大佐が草体破壊作戦のブリーフィングしていた。
「精密誘導兵器は草体からの電磁波によって妨害される為、高度1万フィートからHALO降下で市内に突入する。諸君らの任務は種子の発射を阻止する事だ」
「グラント博士、草体の活動を止めるのに最適な攻撃ポイントは推測出来ますか?」
「根だ。草体は基本的には地球の植物と変わりない、根を破壊すれば草体の活動を大幅に制限出来る」
「それに草体は種子の発射の際に酸素を増やす、上手く行けば少ない爆薬で大ダメージも与えられる、ですよね?」
「あぁ」
ニックがグラント博士の後を引き継いで話した。
「彼は?」
「彼は空挺師団のニック・モートン大尉。2年前はガメラと遭遇した部隊の隊員だった」
突然入り込んだニックの身元を聞いた、作戦を担当するNavy SEALs隊長 アンダーソン海軍中佐に対してハンプトン大佐が説明した。
「あの島の生存者?」
「そうだ。モートン大尉は怪獣との実戦を経験している、何か役に立つかもしれない。中佐、彼にも作戦に参加してもらう、構わないか?」
「勿論です。モートン大尉、私はSEALsのアンダーソン中佐だ、今回はよろしく頼む」
「モートンです、中佐」
ニックは隊長のアンダーソン中佐と自己紹介をした。
「諸君、この任務は非常に重大だ。この任務の失敗はサンフランシスコのみならず、アメリカひいては世界の滅亡に繋がる。人類の命運は諸君らの手に掛かってる、心してかかれ。健闘を祈る」
「30分後に出発する。直ぐに準備に取り掛かってくれ」
「「「「「「了解」」」」」」」
「ニック」
ステンツ提督の訓示を聞いたNavy SEALsは出動の準備にかかり、同じ準備に入ろうとしたニックにグランド博士が声をかけた。
「ジョーの事だが、我々がレギオンを早く抹殺しておけば、彼は死なずに済んだはずだ。本当に済まなかった」
「……………あれは博士のせいではありません。それは叔父さんもわかってくれてると思います」
「…………そうか」
「グランド博士、これが終わったら一杯奢らせてください」
「あぁ、喜んで」
サンフランシスコ
ビュン!!
キショォォォォ!!!!
雄レギオンは高層ビルの屋上に着地した。
ガァァァァァァァァァァァ!!!!
その反対方向から、サンフランシスコ湾から上陸したガメラが現れ、2体は対峙した。
「シェルターだ!シェルターに入れ!」
街に居た市民は2体の怪獣から逃れようと緊急時に設置されて居たシェルターに一斉に駆け込んだ。
その中にはメグミもいた。
キショォォォォ!!!!
ガァァァァァァァァァァァ!!!!
メグミがシェルターに避難した直後にガメラとレギオンは戦闘を開始し、メグミはシェルターの扉が閉じられるギリギリまでその様子を見ていた。
1時間後
サンフランシスコ上空
ガメラとレギオンがサンフランシスコで戦闘を開始してから1時間後、サンフランシスコの上空1万フィートにはNavy SEALsを乗せたC-17が旋回していた。
C-17 貨物室
「主よ、此度は仲間と共に戦う機会を与えてくださった事を感謝いたします」
貨物室ではNavy SEALsの隊員達が降下開始までの間、武器の点検や聖書を読み上げていた。
「モートン大尉、1つ聞かせてくれ」
降下を待っている間にアンダーソン中佐はニックにある質問をした。
「はい、何でしょうか?」
「ガメラは、信用出来る奴か?」
「……自分はガメラと共にギャオスと戦いました。その時確信しました………ガメラは信用出来る戦友だと」
「そうか、ならその言葉を信じよう」
「ありがとうございます」
ビー!
「降下用意!」
貨物室に降下準備のブザーが鳴り、アンダーソン中佐の命令で、全員椅子から立ち上がり、ゴーグルと酸素マスクを着用した。
ゴォーーー!!!!
貨物室の搬入口の扉が開き、機内にマイナス50度の凍り付くような冷たい空気が流れ込んで来た。
扉が開ききると、外には日の入りが見えた。
ビー!ビー!ビーー!
降下開始の合図が鳴り、SEALsの隊員達とニックは外に飛び出し、脚に着けた位置を知らせる赤いスモークで尾を引きながら時速100㎞の速度で降下して行った。
サンフランシスコ
SEALsは雲を通り抜け、街の彼方此方から火の手が上がるサンフランシスコに迫って行った。
ガァァァァァ!!
その際、戦っているガメラとレギオンのほぼ真横を通り抜けて行った。
ピン!バッ!
ニックは高度300メートル以下まで降下し、背中に背負ったHALO降下用のパラシュートを展開し、地面に着地した。
カチャ
着地したニックはパラシュートをしまい、M4カービンを取り出した。
ドン!!!
ニックはビル群の奥へ行く、ガメラの尻尾を見送った。
「大尉!こっちに来い!」
アンダーソン中佐に呼ばれたニックは他のSEALs隊員達と共にアンダーソン中佐の下に集まった。
「状況は?」
「ビルに激突し、2人失いました」
「………認識表は回収したのか?」
「勿論です。身体も必ず連れ帰ります」
「よし、では予定通り、草体にC4を設置する。巨大レギオンはガメラが相手してくれるが、小型はこちらに向かって来るだろう。油断するな」
「「「「「「「了解!」」」」」」
「行くぞ!」
SEALsは草体が生えているトランスアメリカピラミッドまで走り始めた。
サンフランシスコ市内地下シェルター
「おい!あんた正気か!?」
「危険過ぎるわ!」
その頃、サンフランシスコにある地下シェルターでは、避難していた市民達の間で揉め事が起きていた。
「承知の上です」
その揉め事の発端となったメグミは荷物を持って地下鉄を通じて出ようとしていた。
「あんた状況解ってるか!?外にはバカデカイ怪獣が3体も居るんだぞ!?直ぐに踏み潰されるぞ!」
「ここで助けを待っている方が安全よ」
「でも行かないといけないんです」
メグミは周りの説得をしても外に出る決心を曲げなかった。
ストッ
メグミは地下鉄の路線に降り、ストロタワーを目指して歩き出した。