サラトガ
「確かか?」
「はい」
「わかった。提督、ミサイル追跡艦ハワード・O・ローレンツェンがオアフ島付近で消息を断ちました」
サラトガのCDCに居たハンプトン大佐はアメリカ海軍のミサイル追跡艦が消息不明になったことをステンツ提督達に報告した。
「ミサイル追跡艦?」
「弾道ミサイルやロケットをレーダーで追跡する艦だ。今回はレギオン捜索に使用されて居たが」
ステンツ提督はメグミにミサイル追跡艦の説明と今回の任務内容をざっと教えた。
「…………ねぇ、レギオンは電磁でコミュニケーションをしているのよね?」
「あぁ、そうだが……それがどうした?」
「イルカは超音波で仲間とコミュニケーションを取るんだけど、その時に別の超音波を発する物があるとイルカはコミュニケーションを妨害されて混乱することがあるの」
「もしかして、レギオンがレーダー波を敵対信号だと思って襲った?」
ウチギド博士とメグミは海洋生物学の知識を生かして、レギオンに対する仮説を経てた。
「ではハワードはレギオンに襲われたと?」
「その可能性はあるかと、雀路羅でもガメラを襲った小型レギオンがガメラを離れてレーダーサイトを優先して攻撃してたし」
「…………ハワードの捜索は?」
「現在、SEALsチーム1が最後に信号を受信した地点を捜索中です」
オアフ島
海軍特殊部隊、Navy SEALsチーム1は行方不明となったハワード・O・ローレンツェンの捜索を行っていたが、何故かオアフ島のジャングルをM4A1カービン銃を構えて警戒しながら歩いていた。
「で?何で俺達はジャングルを歩いてるんだ?」
「信号がこの近辺から出たんだから仕方ないだろ?」
SEALsはぼやきながらも任務は任務と割りきって捜索を続行した。
しばらく歩くと先頭を歩いて居た隊員がハンドサインで止まるよう合図した。
先頭を歩いて居た隊員がM4A1に装着したライトを点けて見つけた物を照すと、それはオレンジ色の救命艇だった。
「何でこんな所?」
ガサガサ
「「「「「「?」」」」」」
救命艇の存在に困惑していると頭上から木が折れるような音がし上を見ると、そこにはあったのは船のスクリューだった。
「おい………嘘だろ…………」
あまりにも現実離れしている光景にSEALs隊員全員が呆然とし、更に上空から捜索していた海軍のヘリがサーチライトを点けると、彼らが探していたハワード・O・ローレンツェンの船体が丸々、ジャングルの木々に引っ掛かっていた。
「おい、マジかよ……」
ヘリのパイロットもその光景に絶句した。
ガシャン!
そして船体は巨大レギオンが壊している真っ最中で、この艦船は巨大レギオンが大平洋からわざわざ持って来た物だった。
サラトガ
サラトガにはヘリから送られて来たレギオンの映像が流れていた。
「やはり、船のレーダー波を敵と認識したのか」
映像を見たグラント博士は巨大レギオンが襲った理由をウチギド博士とメグミの仮説通りだと確信した。
「市街地の目と鼻の先だ、もうこれ以上は野放しに出来ない。博士、異論はないな?」
「あぁ、始めてくれ」
ステンツ提督はグラント博士に確認を取ると命令を出した。
「総員戦闘配置」
ビー!ビー!ビー!
ステンツ提督が戦闘命令を出すと、艦内全域にサイレンが鳴り響いた。
「………!」
「メグミ?どうしたの?」
「甲板に出ます」
艦内が戦闘体制に入る中、メグミは何かを感じ取ったようにCDCを出て、グラント博士とウチギド博士はメグミを追った。
「ちょっとどうした?」
「ガメラが………ガメラが近くにいます」
サラトガ 飛行甲板
ゴォーーーー!!!!
飛行甲板からは艦載機のF-35Cが続々と発艦し、巨大レギオン攻撃に向かった。
オアフ島 ホノルル
バババババババ!!!
ホノルル市街の上空に軍のヘリが飛来し、浜辺にあるレストランのオープンテーブルで食事をしていた民間人は、低空飛行する軍のヘリに注目した。
ハワイには海軍や空軍の基地がある為、たまに軍用機が飛行することがあったが、それでもかなりの低空飛行であり、皆が不思議がって居ると、近くのビルにヘリの一機がホバリングし、良く見るとヘリからロープが垂らされていた。
バババババババ!!!!
シュルルルル
「よし!射撃用意だ!」
カチャカチャ
ビルの屋上には第七艦隊所属のVBSSチームの水兵が降下し、射撃体制をとった。
ダニエル・K・イノウエ国際空港付近
ゴォーー!!!
ゴォーー!!
国際空港の付近をサラトガから発艦した戦闘機が通過して行き、列車からニックと、ニックが保護した子供 ヨシキも飛んで行く戦闘機を見ていた。
「目標発見」
ホノルルを通過したF-35Cのパイロットはジャングルに居た巨大レギオンを目視で確認した。
ゴォーーーー!!!!
ゴォーーーー!!!!
戦闘機がレギオンの上空を通過すると、レギオンは船の破壊をやめ、戦闘機を見た。
『全機攻撃用意』
「了解。ウェポンベイ展開」
サラトガから攻撃用意を命令されたF-35Cは機体内にミサイルを格納しているウェポンベイを開いて準備をした。
グゥゥゥゥガギギ!!!
レギオンは吠えると、角の根元が蒼白く点滅した。
バヂヂヂヂヂヂヂ!!!
そしてレギオンは角の根元を一瞬強く光らせると、胴体脇の爪からマイクロ波を発生させてた。
ドーーン!!!!ドーーン!!!!
戦闘機がマイクロ波を受けると、戦闘機は空中で爆発した。
「危ない!!」
ドン!!!
「うわ!!」
撃墜されたF-35は次々と墜落し、そのうち1機の破片が下に居たSEALsの近くに墜落し爆発した。
バババババババ!!!
「こちらホーク8、海面を何かが移動している。サラトガに接近している」
艦隊の上空を飛行していたヘリは海を移動している影に気付き報告した。
サラトガ 飛行甲板
メグミ達は飛行甲板に出て、双眼鏡で接近する移動物体を見た。
「ガメラ」
メグミ達が見た移動物体はガメラの甲羅だった。
ガメラはサラトガに近付くと、先行し海中に潜った。
ホノルル
ホノルル市街では突然山の方でおきた爆発で、ただ事ではないと気付いた。
ガァァァァァァ!!!!
「「「「「「!?」」」」」」」
海の方から突然聴いたこともないような大きな音がし、市街に居た全員が海の方を見ると、ガメラが海から姿を現した。
「「「「「「わぁぁぁぁぁ!!」」」」」」
人々は見たこともない巨大な怪物に一斉に逃げ惑った。
「撃て!」
ダダダダダダダ!!!
ダダダダダダダ!!!
ビルの屋上に居たVBSSチームはガメラを見ると敵と判断し、M4A1で一斉に銃撃を開始した。
ダダダダダダダダダダダダダダ!!!
ガァァァァァァ
銃弾は確実にガメラに命中していたが、ガメラはダメージを受けた様子はなく、そのまま空港の方へビルを壊しながら歩いて行き水兵や、民間人はそれをただ見送るしかなかった。
「負傷者の確認!」
SEALs は墜落に巻き込まれた隊員が居ないか確認作業を行っていた。
キヨォォォォォォ!!!!
「「「「「「「!」」」」」
「あいつ、街に向かいやがった」
レギオンの鳴き声がし、全員が声のした方角を見ると、レギオンが歩いて折られた木々で線が出来ておりその進行方向先がホノルルに向かっていることから、レギオンが市街地に向かったことがわかった。
ダニエル・K・イノウエ国際空港
ドン!!
キショォォォォ!!!!
「「「「「「!?」」」」」」
山から市街地へ飛翔したレギオンはニック達が乗車している列車の進行方向先に着地した。
「おい!何で停まらないんだよ!?」
列車は自動運転のプログラムに従ってレギオンが居る国際空港に向かって走りレギオンに徐々に近付いて行き、列車の中は一気にパニックになった。
ダダダダダダダ!!!
「伏せろ!!」
列車の外から銃声がし、ニックはヨシキを伏せさせた。
ダダダダダダダ!!!
列車の横を2機のUH-60がレギオンに銃撃しながら通過したが、レギオンには全く効果がなかった。
ゴォーーーー
列車はレギオンの目前まで迫った。
「奥に行け!!」
ニックはヨシキ列車の奥に避難させた。
グシャン!!!!
レギオンは近付いて来た列車の先頭車両を頭の外殻で叩き潰し高架橋ごと破壊した。
その際に列車の先頭部分に居た乗客の何人かもレギオンによって叩き潰された。
ガガガ
「うわぁぁぁぁぁ!!」「いやぁぁぁぁぁ!!」
列車は停車したが、高架橋が破壊されたことにより宙吊り状態になっ先頭車輌は地面を向く形になり、壊されて空いた穴から次々と乗客が地面に落ちて行った。
「ぐっ」
ニックも先頭車両に居たが、近くの手摺に捕まり落下は免れた。
「あぁ!」
「ま、待て!ダメだ!」
ニックが奥に避難させたヨシキが掴んで居た手摺を離してしまい、床を滑り落ちて行き近くに居た老人が掴もうとしたが、掴まえられずヨシキは穴に向かって滑って行った。
「あぁぁ!!」
「っ!」
ガッ!
穴に落ちる寸前でニックがヨシキを掴まえて、ヨシキは急死に一生を得た。
「攻撃再開!撃て!」
ダダダダダダダ!!!
ヘリは搭載した機関銃で再びレギオンを銃撃したが、やはり効いてる様子はなかった。
キヨォォォォォォ!!!!
「避けろ!!」
ガン!!!
ヘリの1機がレギオンに接近し過ぎて角に激突し、炎上しながら空港の滑走路に墜落した。
ドン!!!!
キヨォォォォォォ!!!!
ヘリが墜落した直後巨大な足音がし、足音の正体に気付いたレギオンが相手を威嚇するように吠えた。
ガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!ガァァァァ
同じく、足音の正体であるガメラもレギオンに向かって吠えた。