全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで   作:一二三 四五八

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義賊さん視点。なんか空から降ってきた人ね。

ハーメルンの評価100pt達成を記念ヒロインアンケート終了しました。
結果はワカバ・コイシ13票でトップに輝き、見事アレな小説の題材に決定です。
時点はアンダーの9票。追い上げがすごかったぜ。
それでは後日行われるアレな話の更新をお待ち下さいませ。

皆様アンケートへのご協力ありがとうございました!
次は200pt達成の時にまたやろうと思います。
出来たらいいなぁ(遠い目)

10/30 9:00
第4話 オレは初めてステータスを見る(上)
第5話裏 下着ちゃんは履かせたい
のアンダーの行動を大幅変更しました。

気になる方はもう一度ご確認を!


34) 第14話裏 義賊さんは救いたい

【《》はナレーションです。】

 

《天には月、星々の外灯。絢爛豪華な屋敷の庭園。そこで小太りの年経た男が仮面の青年に剣を突きつけられていた。》

 

「さぁ贖罪の時だ。オレには罪を、お前に罰を与えよう。」

「ひ、ひ、ひぃっ、待てっ! 金ならヤルっ、欲しい物もなんでもヤル。女でも、地位でもだ、だから殺すなっ、命だけは、勘弁してくれぇっ!!

 

《彼らの降り立つ足元には無残に散った年若き女性。美しい裸体に鞭打たれ、苦痛の果てに無残に散った無辜の華花。》

 

何時頃からだったろうか。貴族達を殺すのに抵抗が失くなったのは。

 

「悪しき貴族に剣先を。悩める民に花束を。」

「や、やめろっ、ヤメ、あああああぁぁぁぁぁあっっ!!」

 

何時頃からだったろうか。義賊などと己を騙り始めたのは。

 

《醜い貴族を貫いて、月光の下。快賊は呟く。》

 

「故に天秤は揺るがない。」

 

ただ母と己を救う術を、見付け出したかっただけなのに。

今日も己は仮面を被り。

消えない罪を背負って進む。

 

《7つの海を渡り歩き、数多の国々を股にかけて暴れる男。

快賊義侠マスカレイドは、今日も悪しきに剣を剥く。》

 

 

俺が殺し(仕事)を終えた後、宝物庫を襲撃していた仲間たちが俺の元へとやってくる。カットラス(曲刀)に、軽装の革鎧。実用性に富んだ海の男特有の、身のこなし重視の装備を身につけている。

 

どうやら今回も首尾よく、貴族のお宝を手に入れられたようだ。

 

「兄貴、こっちの回収は終わりやしたぜっ!!」

「エリクシールはどれだけあった?」

 

俺は、この騒動の目的で在る万能薬の事を部下に聞く。俺と母の命を繋ぐ為に必要な命の薬の存在が、俺にとっては貴族達襲撃の最大目的なのだから。

 

奪うのは悪党からと決めている。

悪逆な貴族ならなんの躊躇いもなく、心置きなく奪い尽くせるからだ。

 

「小瓶で3つです。バカ貴族が。さんざ放蕩で使い込んでやがりました。」

 

エリクシールがたった3つか。この規模の庭園を襲ったにしては、景気がいい話とは言えないようだ。

ならいつも通り、そいつと奴らの手がかりだけを俺は受け取ろう。

 

「ならそれと奴らの経脈図はオレのモンだ。後の訳分はいつも通りだ。」

「へいっ、民草どもに銭巻いてその間にトンズラっすね?」

 

金は確かに必要だか、持ちすぎても動きづらい。その大半を民草相手にばら撒いてその隙に逃げ失せる。これが俺らの常套手段だ。

 

「わかってるならいちいち聞くなっ。野郎ども、すぐさま船に撤収するぞっ!!」

「「「「「「へいっっっ!!」」」」」

 

まんまと悪徳貴族を殺してみせた俺達を取り囲もうとするグラニア国軍の兵士達。だが市民達は常に俺たちの味方だ。彼らの前で奪った金の大半をいつも通りにばら撒いて一路俺らは逃走を図る。周囲はあっという間に混乱のるつぼだった。

 

激しく響き渡る俺たちへの声援の中。俺たちは足早に商船の中に隠してあった俺たちの船へと乗り込んだ。

 

「野郎どもっ面舵いっぱいっ、全速前身っっ、新たな港へ出発だっっ!!」

「「「「「「おうっ!!」」」」」」

 

鈍足の北のガレオン船(グラニア海軍)じゃ俺たちの高速魔導艦(快賊船)にゃ追いつけねぇ。伊達に剣角魚(ソードフィッシュ)を名乗っちゃいない。

回り込もうとするヤツは、オレラの(女神)魔術式船頭剣角(ソードホーン)の鉄槌を喰らうことになる。

 

幾つかの軍船の腹を食い破り、荒々しくも迅速に。

俺たちはその海域から姿を消した。

 

 

「母上、只今戻りました。」

 

俺はグラニア海域を抜けきるやいなや、ソードフィッシュの船内中央、母上の為に拵えた一等上等な看護室へと足を向けた。

 

船揺れを殺す大規模な制御魔法をかけられたその部屋には、俺の最愛の母がベットに横たわっていた。美しい、俺も受け継ぐマリンブルーの長い髪は見る影もなく所々抜け落ち、まるで骸骨のようにやせ細っている。

 

死病に侵され、万能薬ですれすれに命を繋ぐこの女性こそが俺の母だ。

 

俺が部屋へと足を運ぶと、母は私に掠れ掠れの声色で、話かけてきてくれた。

 

「……おお、おお。ワタシのファルケ。よくぞ無事で戻ってくれました。」

「母上より先に死に至るような親不孝は考えておりません。今回のエリクシールはこれだけですが、またしばらくは母上共々、生き延びることが出来そうです。」

 

ああお労しい。そしてこれが将来の自分の姿だと思えばそれがなにより恐ろしい。俺たち一族はどういうわけか短命で、胸を患う定めにある。かくいう俺の身体にもその死病はもう潜んでいる。最近目の下がくぼみ始めた。衰退が始まった証拠だ。

 

だから俺には、マスクが欠かせない。こんな面を見せたんじゃ部下にも敵にも舐められちまう。マスカレイドなんて大層な通り名で呼ばれちゃいるが、結局臭いもんへの蓋をしただけの、病弱な男。それが俺の正体だ。

 

「ああ、ファルケ。私の愛しい舞い飛ぶ鷹よ。もう母は疲れました。どうかその薬はあなたがお使いなさい。病に侵され自由の効かぬこの身体、私はもう貴方の重荷となりたくないのです。どうかわかってくれませんか?」

「なにを仰るっ!! 最愛たる母親を重荷などと思う息子が要るものかっ。俺が必ず母上の、我が一族の受ける病魔を散らして見せます。ですからどうかどうか母上、万能薬をお飲み下さいっ。このファルケを、親不孝の愚か者になどさせないで頂きたいっ!!」

 

俺とこの人は実は血が繋がっていない。放蕩者で人非人の、貴族の父の妾であった母の従姉妹が捨てたこの俺を、子どものいなかったこの人は心の底から愛して下さった。あの男からひどい目に合わされても、必死に俺を庇って育てて下さった。

 

捨てられるものか、諦められるものか。

 

父は病魔に侵され早くに死んだ。ということにした。母が死病に侵されたとわかるやいなや、捨てようとしたヤツを俺が殺した。

 

ああ。思えばその時からかも知れんな。俺が悪を殺すのに、悪逆の貴族達を殺すのに抵抗が失くなったのは。奴らは人間なんかじゃない。豚よりひどい畜生だ。

それを殺して何が悪い?

 

「ファルケ、ああファルケ。母は貴方が心配なのです。私の為に、多くの無茶など背負う必要は有りません。どうか母をお捨てなさい。母には安息の死(夜の神の導き)こそ必要なのです。愛しい息子よ、聞き分けてくれませんか?」

 

「わかりません。それだけは分からない。あなたに必要なモノは何もなさぬ身勝手な神々などではない。明日を掴む俺の翼だ。必ず俺は母上を救って見せる。どうか母上。貴方の息子を信じてほしいっ。」

 

もう何度となく繰り返したやり取りだ。母が俺を思って死にたいと願い、俺はそれを許さない。そういういつものやり取りだ。

 

そうだ。神々が何をしてくれるというのだ。俺は世界中を渡り歩き、様々な神々に出会ってきた。だかやつらは皆、人のことなど虫けらのようにしか思っていない。あんなものをどうして神と崇められる。

 

母をどうにか説得し、その部屋を出た俺は1人、血を吐き出す。

俺に残された時間も少ない。間に合わなければ精々母と運命を共にするだけのことだ。なにも恐れることはない。

 

俺は自室に戻ると死病を治す手がかりとなる、悪徳の魔工師の住処を探るべく貴族共の書簡を漁る。サトゥ・タナカ。多くの偉業を残したこの伝説の魔工士は、同時にたくさんの黒い仕事を請け負っていた。

 

晩年どこかに姿を晦ましたこの男は、多くの毒や薬にも通じていた人物だ。その中の1つに俺達の死毒を治療してみせたという記録がある。

 

そうだ。俺はずっと彼の住処を探しているのだ。

 

悪徳貴族の家の書簡を片っ端から探っていけば、いつかなにかが見つかるかもと、その日も縋る思いでそれらに読み耽った。

そうしてずいぶんな時が過ぎ、俺が一枚の書簡を手にとった時だ。

 

俺はやっとソレを掴んだっ!

 

「は、はは、はははははっ、ははははははははははっっ!!

見つけたぞ、ついに、ついに見つけたぞサトゥ・タナカっっ!! リーヴァイ、リーヴァイだっ。貴様の家はリーヴァイにあるっ。ああ待っていろ。そこで俺も母上も見事に運命から逃れてみせるっ、この手で未来を掴み取ってやるぞ神々よっ!」

 

俺は弾けるように部屋を飛び出し、操舵室へと駆け走る。

団員達に指示を出しながら、ただひたすらに走り抜けた。

目指すはリーヴァイ。西方にある辺境の街。俺と母の未来がある場所だっ。

 

 

あれから最大船速で西方へと駆け抜けた俺達は、リーヴァイの北の港町エンフィールドに到着した。リーヴァイと他都市を海で繋ぐこの都市は、古くから海を挟んだ島国の海洋国家、アゼルランドと交流がある。

 

あいつらの操る猟犬みてぇな高速魔船は俺たちでさえ厄介な相手だ。

 

だから俺はエンフィールドで仲間と分れた。船を遊ばせておけばきっと、アイツラの鼻で嗅ぎつかれるのがオチだ。俺たちは別行動を取ることにした。

 

そして今俺は単身、リーヴァイへと訪れている。

 

姿はいつもの快賊義侠のソレじゃない。盗賊稼業がするような、軽装でもって件の家へと潜入したのだ。仮面も外している俺の窪んだ面を見て、マスカレイドとは誰も思うまい。そして俺の根源は舞い翔ぶモノ。根源魔術を使う隙さえあれば、屋根の上を飛び回り、静かに侵入することなど難しくない。

 

晩年にサトゥ・タナカが住んだというその家は、西と東の建築技術を組み合わせた、変わっているが価値の高いモノだった。そんじょそこらの馬の骨に作れるような、安い素材は一切使われてない。高い技術と、浴びる程の資金でもって作られたこの家がなによりここが魔工師の住処であったことを教えてくれる。

 

下調べした結果によると、この家はここ数日の内に取り壊されることになっていたらしい。こいつを知った時には流石に俺も、神に祈りを捧げそうになっちまった。

 

時刻は夕暮れ。

 

本当なら夜にこそ忍びこみたかったがいつ取り壊されるかわからない状況だ。文句は言ってられない。俺は屋根裏を伝い、その家の2階の中へと入り込む。

そん時だ。

 

とたんに外が騒がしくなる。

 

耳を済ますとどうやらココを取り壊す職人がその段取りのことで揉めてるらしい。まずいな。急がないとっ。

 

ひとまず入った2階を隈なく調べる。どうやらここは書斎らしい。どうやらここがサトゥ・タナカの家であることは知られていないらしい。建物の中には手つかずにまだ、書物や家具が立ち並んでいる。まったく怖い位に運がいい。

 

どうせ取り壊しになるんなら気遣いなんざ必要ないね。手当たりしだいにヒックリ返して、めぼしいモノを探し出すっ。

時間と俺の運との勝負だっ。大丈夫、今の俺の運勢は最高だっ。急げっ、急げっ!

 

そんな中、俺はある一枚の記録を見つけた。

 

それはある医療結果の裏帳簿。

それを見たとたん俺の頭の中が真っ白になった。

 

ああなんてこった。サトゥ・タナカは、死病を治してなどいなかったっ!!

悪徳どもがよくやる手口だ。

死病にかかったように見せかけて、そいつを治してみせただけ。

 

誰も死病など、治していなかったのだ。治せていなかったのだっ!

 

目の前の事実をどうしても認められず、飲み込む為にあえて大声で叫ぶ。

 

「な、ん、だとぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」

 

その瞬間、俺の足元が消えたように感じ、身体は遠く、奈落へと堕ちていく。

ああ、そうかい。

人間が本当に絶望しちまったら、こんな感じなんだな。

 

もう何もかもどうでもよかった。

 

流れに身を任せ、沈みこむ。

そうして俺が堕ちきった時、何か温かいモノが俺へと触れた。

崩れ落ちた俺が気づいた時。

俺はこの世のモノとは思えない美しい女に抱きとめられていた。

 

それが俺と、本物の女神様との。長い付き合いの始まりだった。

 




閲覧ありがとうございます。
アレ、お気に入り数とか評価とか色々凄い増えているんですけど。
な、何が起きたん?(白目)

と、とりあえず全力で感謝ですっ!!
皆さんよろしくお願いしますっ!

なお今回の病弱な母親設定は感想欄でくっつく餡玉様から頂きました。
それが無ければ義賊さん、こんなキャラになってなかったです!
もう感謝しかねぇっ!!

あ、作者の友人がなろうで同じネタ使って男性主人公の美少女化モノを書いて下さっています。そしてなんとこちらのリンクをして下さったので相互リンクです。
もしよろしければ縛炎先生の作品も覗いて見て下さい。
先生は執筆も展開も速いのよ。すげぇやっ!!

この世の全てを美少女に!  
https://ncode.syosetu.com/n2263fu/
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