全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで 作:一二三 四五八
異っ世界スナック楽っしみだっ♪
そんな風にオレが完全に浮かれちまってた時の事だ。
「おうテメエ、こんな所で随分なはしゃぎっぷりじゃあねぇかよ、あぁん? 田舎者如きが我が者顔たぁ良い身分だなぁ。……目障りなんだよ、クソガキがっ!!」
「ここはオメェの地元じゃねぇんだよお嬢ちゃん。なんならオレラが手とり足取り詳しく冒険者のルールって奴を教えてあげましょかねぇ。
へへっ、きっと楽しい時間になりますぜぇ?」
「……ただし授業料はたっぷり払って貰うがよぉ?」
「「「がははははははははっっ!!」」」
「ふにゃぁっ!!」
そんなおっちゃん達の怒鳴り声が聞こえてきた。
しかも怒鳴れてるのはアンダーだ。やっべぇ、確かにオレら浮かれすぎてたしナンも言い返せねぇわ。
そうだよなぁ。今まで冒険者でずっと危険な仕事やって来たあのおっちゃんらからしたらここは命がけの職場だもんな。そんな所でオレら見てぇなペーペーが浮かれてたらそりゃいい気しねぇわな。
《質門。そういうものですか? 彼らずいぶん酔っているようですが。》
的屋のおっちゃんらとかその筋の人とかよ。結構仕事中飲んでたりすんだけども、それでも締める時はちゃんと締める人らなんだよそういう人は。やり方はどうあれ大人なんだな。けじめはつける。つまりあのおっちゃんらもそういう人なんだろ?
《なるほど。貴方らしい考えです。》
なんだそりゃ。
いや今はそれ所じゃねぇ。アンダーだけにあんな当たり方されちゃそりゃ筋が通らねぇぜ。一緒に浮かれて買いに行ってもらったオレにも原因があんだから、お叱りは一緒に受けるべきだろ。
「ツルギ、メイルさん。アンダーと合流しよう。」
「承知。私が片付けますか?」
「いや、みんなでいこう。まずは話しを聞いて、どうすっかはそれからだ。」
「はっ。」「了解ですわ。」
・
で、オレらはアンダーと合流したと。
《ここはいつものお決まりの
いやまだ本当のトコ、どこがおっちゃん達が本気で怒った点なんかも分からんし。だからここはひとまず話を聞いてからだな。こういう仕事に誇りもった人達はな。なんでもかんでも謝られるのが一番嫌なんだ。最初は柔らかく声かけてそこんとこ探ってみるわ。
《質門。ずいぶん手慣れているように見えますが?》
まぁな。オレは悪人面だったからバイトなんかも飲食店やら接客やらは全滅だったし、そうなっと的屋とか、ちょっと問題のあるような怪しい土建屋さんとか魚市場とかな。そういう所でよく働いてたからな。こういう事は日常茶飯事だったぜ。
《……なるほど。その頃から貴方は変わってないのですね?》
おうどした? まぁ今はそういう場合じゃねぇや。
【ここより神威の台詞は2重音声でお送りします。】
「
さもどうしましたかって風に聞くのがコツな。ここで怒りながらあった事全部説明してくれてもよし。毒気がヌカれてちっと冷静になってくれても良し。とりあえずコレで間違いないって。大体どっちかが返ってくるから。
《ではお手並み拝見と行きましょう。》
・
【これよりルスト視点。()で神威視点。】
お、お、お、落ち着け俺。か、考えろ。俺達は今、絞首台の上に立たされている。見ろ、あのおつきの東国の女の顔。涼やかそうな顔して俺達がよからぬ事を言った瞬間に、
見ろ、あの防衛職の女。なんかあった時にゃ即座に仲間全員守れる位置取りでいつでも動けるように備えてやがるぅっ。
そ、そんな中でこのお嬢さんのお供の娘に良からぬ事を考えてたなんておおっぴらにしてみろぉっ。俺らゴミの命なんざその瞬間トンじまうぅっ!
考えろぉっ、考えるんだぁ。命をぉ、命を掴めルスト・ルーラーっっ!!
(あっれ。なんか見たことない位に震えだしたんだけど。そんなに怒ってるんかなこの人ら。そうだよなぁ、ちょっと緊張感足らなかったもんなぁオレら。)
《……。》
「あ、いやいやいやいや、そんな、そんなですね。そのぉ、なぁ?」
「お、おう。俺たちはその……、その娘があんまり浮かれてたもんだからちょっとこうね。そぉ。それっ!!」
バ、バカどもぉっ、なんだその最悪のキラーパスはよぉぉぉっっっっっ!!
あ、が、くそぉッ。
こうなりゃこの流れにぃ、乗るっきゃねぇのかよぉっ!
「そ、そうですよぉ。お、お嬢さんがこのまま浮かれてたんじゃあ、ねぇ。なんか外で悪い奴に騙されるかも知れないでしょおぉ?
だから俺ら心を鬼にして、そう鬼にしてお嬢さんにそれを教えとかにゃあならんと、そういう次第だったんですよぉっ!」
「ああ、
(あっれぁ、なんか思ってたのよりめっちゃいい人らジャンっ。なんだよぉマジで見ず知らずのオレらの事心配してくれてたんじゃねぇか!!
おいおい、この街の人らっていい人達ばっかかよ、すげえなっ。)
《(小声で)……それはどうでしょうか?》
つ、掴んだっっっ、まさかの流れをワシ掴みぃっ!!
も、もう離さないその手を俺は、俺たちは絶対にぃっっ。
「そそそ、そうですよぉ。俺ら一応これでもそれなりに冒険者歴も長いですしぃ。そりゃ、そんなビギナーさんがおったら、ねぇ。気になっちゃいますでしょぉ?」
おおし、ナイスセーブ。いいよいいよぉ。このまま押し切れるぜぇっ!
ほらっ、お前も続けっっ!!
「そうっ、そうっス。俺たち全然その可愛いらしいお嬢さんを罠にはめようとか、こうイタズラしてやろうとかぁ、これっぽっちっも思ってないっスからぁっ!」
・
・
・
死ねぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ!!
もう今スグお前だけ絞首台に飛び降りろやぁぁぁぁっっっっ!!
今更「あ、やっべっ」て面してんじゃねぇよボケなすがぁっっっっっっっ!!
1人で百万回死んでこいやぁぁっっっっっっっっ!!
はは、オワタ。俺たち終わっちまったよ。
だってもうあのお嬢ちゃんも、今にも泣き出しそうな目で身体を両手で隠しながら東国の女に「ユー、やっちゃってよっ!」って合図出してるし。本人もやる気だ。何より防衛職のねぇちゃんがすっげぇご立腹なんですものぉ。
あは、あはははは、思えばひでぇ人生だったぜぇ。なんか別に思い出すような特別なこたぁ1つもねぇが、気付きゃあずっと底辺だった。
ああ。その終わりがこのバカ野郎のうっかりなんてよぉ。
くっそこんな事になるんなら昨日ゼノヴィアの所でもっと楽しんどくべきだった。あの気位のタケぇ
俺がそんな末期の叫びを心中で上げ続けていたその時だ。
奇跡が、起こった。
「
(俺もこうやって散々見た目で勘違いされてよ。どんだけ人の為だって頑張ってもずっと空回ってきたからよ。そういう辛さは身に染みてわかるぜ。へ、でもオレぁアンタ達の事信じるぜ。見た目なんざぁ当てになんねぇモンなのさ。)
《そうですね。貴方を見ているとそう思います。》
おお、なんかお嬢様が目ぇ潤ませながら俺らの事を心の底から気遣ってくれとる。おいおい世間知らずが過ぎるぜ、アンタ天使様かよ。そんな俺らみてぇなクズによ、そんな綺麗な涙流してくれるなんざ。流石に俺らでもこう胸にくる……
というとでも思ったかっ、甘ちゃんめぇぇっ!!
ぎゃはは、バカな嬢ちゃんだぜぇっ!
んなコッチャいつかてめぇ騙されて露頭に迷うっちまうわぁっ、そんときゃテメェもどっかで売られて変態どものおもちゃになっちまうのがいいトコだぜぁっ!!
おいっサムス。笑ってんな、こらえろよおいっ。俺だってひひ。笑いが止まらねんだからよぉ。
(ああ、やっぱ辛かったんだな。人にわかって貰えて色々堪えて震えてら。オレも最初ワカバとコイシに会った時はそうだった。嬉しいよなぁ。わけわかんなくなる位によぉ。そりゃあ、そういうのは痛ぇ程わかるぜ?)
《……貴方という人は。》
しかしっ、コレでオレ達の命は繋がったっ。
ありがとう世間知らず。素晴らしきかな人生よっ。
オレここ抜けたらゼノヴィアんトコいって鬱憤ぶちまけるんだぁ……(フラグ)
今クズ達の心が1つになる。追い詰められた状況から全員目に涙が浮かんだまんまだから演技しやすいったらねぇわコレ。
「あ、ありがとうございますぅっ。信じて頂けてぇ。あっしらっ、そ、それを伝えたっかった、だ、っだけですからっ、コレでっ!!」
「ええ、分かって
「く、くうっ、ふ。な、なんてお優しいっ、お嬢さん、だぁっ。」
「ふ、くっ、くくっ。」
やべぇ笑い止まんねぇわ(笑)
おいオメェラも笑うんじゃねぇってっ、ひひっ。目からヨダレが出ちまいやがるっ!
「しかしヴィリス様、粗奴らは。」
「
「……承知。」
「ええ、わかりました。」
(ツルギ:この様な者の事でも信じて、機会をお与えになられるとは。どこまでもお優しい御方だ。)
(メイル:それが貴方様の選ぶ道なのですね。)
(アンダー:……ああ、やっぱお人好し発動しちゃうよね~。)
あっぶねぇっっ、やっぱそりゃお付きの方にゃあバレるわなぁっ!?
でもへへっ、あのお嬢ちゃんホント笑っちまう位アメぇや。今のうち今のうち。
・
勝ったっ、掴んだぜ俺は、俺たちは明日をよぉっ。
待ってろよゼノヴィアぁ、今日の俺はちょっとエグいぜぇっ!!(フラグ)
「と、逃げられるとでも思ったか、クズどもがぁぁぁっっ!!」
あ、ギルド長の旦那。
ギルドのお偉いさんの皆さんもお揃いで。
ちょっ、なんですかヤブから棒に俺ら押さえつけてぇっ!!
あれぇ、やっぱりこのお嬢さんってあんたら全員がお出迎えするようなそんな大物なんですか。
……。
くっそ、やっぱ俺ら最初からツンでるんじゃねぇっかぁぁっっっ!!
だ、だれか助けてぇっっ!!
閲覧ありがとうございます。
汚い冒険者がホントに汚かった件(ふるふる)