全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで   作:一二三 四五八

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200pt感謝回ノーマル部門の話です。

ほのぼの要素を少し取り入れてみましたが隠せない哀愁が漂いますね。


51)200pt感謝回「天使会議は終わらない」

私は石造りの彫刻柱が立ち並ぶ、大理石の廊下をしばらくひた歩いた後、その先の一室。壁面に豪奢で威厳のある彫刻が施された石造りの小部屋。我々天使が会議に利用するソコへと足を踏み入れた。とたん、風景が変わり、私の周囲はどこかのオフィスビルの、机と椅子が多く並んだ一室のように変化する。

 

まぁそのものズバリ会議室なわけなのだが。我々が何かと不便が多い魔術よりも便利な科学を優先して取り入れた結果、この場所はどこに出しても恥ずかしくない現代的な会議室へと生まれ変わったのだ。

 

この部屋に足を踏み入れた瞬間に、俺の着ていたいかにも天界のモノですと言わんばかりだった白絹のトーガが、地球産の仕立てのよいスーツへと切り替わる。

正直あんなピラピラしたもので仕事などしたくない。

 

しかし天界においてもまたイメージ戦略というものは無視できぬモノであり、下界の人間と交わる時のみ、俺たちは仕方なくあの非効率な衣服を身に着けているのだ。

 

「ああぁぁっもうっっっっっっっっっっっ!!!

マジムカつくわあのクソハゲ野郎っっ!!

こんどあったら叩きのめしちゃるわっっっっっ!!」

 

入った俺は開口一番、そこに集まった部下たちに愚痴を零す。あれが神のやることか。正直腸はいまだ煮えくり返っていたが、これも仕事、家族の為と思い割り切る。その苦悩は部下と分かち合っていくのが俺の天使としてのスタイルだ。

 

俺、天使長ルイサ・イラスの魂の叫びを聞いた頼れる部下達は、みな一同にその言葉を受け入れてくれた。つまり誰もがあのハゲに不満を抱えているというワケだ。

 

「おお、ルイさん、今日は一段と荒れてますねぇ。なんすかあのハゲ、またそんな面倒な事言い出したんですか?」

「いやまじハゲよねあのジジィ。ありえなくない?」

「……いや、……みなさんその、……あまり神様の事を、ハゲハゲと連呼するのは、どうなのかと、……思うのですか。」

 

我々の様なブラック世界に務めている使徒は、大きく分けて3つに分かれる。すなわち上からの無茶に思考する余裕すら無くし、半ばノイローゼのような状態で職務をこなし続けるか。上から与えられたギスギスが下にも蔓延し、日々互いを傷つけ、けなしながら仕事をするか。

 

最後に我々のようなチームとしての団結力を強化し、その絆でもって上からの無茶に対応するかである。

 

普段からあのバカに無茶な仕事ばかり振られているので、我々共通の話題といえば勿論あのハゲに陰口を叩くことだ。共通の敵とは仲間内の団結を凄ぶる強固にするものなのだ。あのクソジジイが我々に与える唯一の恩恵である。

 

「うっせぇっ、ミカっ。良い子ちゃん振りやがってぇ。オメェも内心あのハゲの事にいらついてんだろぉ。いんだよあのハゲがクソなのは事実なんだからっ。いっつも俺らに無茶振りして、それが経営手腕だとか思ってるようなクソだからなアイツ。そりゃ唯の仕事放棄だろ、おい。そう思うよな、おいっ?」

「おいおい、いいすぎだぞ、ヴィリエル。」

 

この少しばかり口の悪い長身金髪の、碧眼垂れ目の優男はヴィリエル・デイラ。俺の次にあのバカの使徒を長くやってる天使であり、その飾らない性格から偶に面倒事の引き金になるが、我々のムードメーカーとして大いに場を盛り上げてくれる存在だ。神から与えられた権能は粛正。こうみえて純粋な武力では武神にすら並ぶ、この世界でも有数の実力を持つ男だ。

 

「なんすかルイさんっ、ルイさんだってそぉ思うでしょうよぉ。」

「そんな事いったらクソが可哀そうだろうが、おい、なぁ?」

 

「ふぁっはぁっっ、そりゃそうだわっ。流石ルイさんっ、分かってるぅwww」

「ぶふぅっっ、マジうけるっ、マジ正論なんすケド、コレwww」

「っぶ。」

 

まったく。あのクソにそんな価値があるものか。畑の肥やしになる分だけクソの方が何倍もあのジジィよりマシな存在だわ。

 

「お、なんだぁ。真面目っ子のミカもしっかりウケてんじゃん?」

「わ、笑ってない、です。」

「クソかわ。」

「っぶ。」

「いいよなぁガヴリエちゃんはぁ。」

 

「あによ突然。んな当り前のこと言ってぇ♥ わかってんじゃん?」

 

この調子に乗りやすい、長い桃色の髪を頭上で適度に盛った碧目のギャルの名は、ガヴリエ・リブラ。ラファラが地獄から(風となって)逃亡した(出ていった)今となっては俺たちの紅一点だ。見た目はこんなだか権能は治世。まぁ逆にこんなだからこそ、未だ世界は安定していないのだろう。

 

「だよねー。いやぁ、ミカは素直でいいよなぁ。」

「こっ、こんな、こんな、ことでっ。」 

「出ったミカの笑い上戸。長いよぉコレ、始まっちゃたら?」

 

最後にこの、割とどうでもいい事で長らくツボって動けなくなっちまう真面目ちゃんはミカエラ・イシス。赤いショートボブと金色のおっとり眼の、全体的に生まれてくる性別を間違えちまった男だ。慌てた時の言動から見た目まで、どうみても女の子にしか見えない。権能は制約。皆に規律を守らせるのがコイツの仕事だから、まぁ口うるさくなるのは仕方がないさ。

 

「ふっ。おーし、じゃあいい感じにほぐれた所で、今回の会議の議題配んぞ。それ。」

「あ、ガヴリエちゃん。そこのホッチキスとってよ。ちょっとコレ、ないわぁ。」

「自分でとれっしょ、ホレっ。」

「っ、っっ、く、く。」

「おーい、ミカぁ、そろそろ帰ってこぉーい。お仕事の時間だぞぉ。クソ仕事だぁ。」

「っぶふぅ!!」

「もう、ルイさんが止めさしてどうすんスかぁ、ちょっとぉ。」

 

まぁこんな感じに俺らは割とゆるく付き合ってる。新入りのミカなんかはまだ少しばかり馴染めきれてないが、まぁ関係は良好といった所だろう。

ぴりぴりしても仕事は早くならんし、給料も増えない。ならば肩の力は抜ける所できちんと抜くべきというのが俺の持論だ。

 

この絆が職務上のパフォーマンスに繋がる、というよりもどちらかと言えば楔だな。これだけ親しげに普段から過ごしていれば、中々に仲間を置いて地獄から抜けたりできないものさ。ああ、中間管理職ってツライわぁ……。

 

「ミカは、今日も真面目バカわいいなぁ。

ゔぇ、何これ。はぁ? こんなンどう考えてもまとまらんでしょよぉ。」

「ああ、やっぱそう思っちゃう?」

「ええっ、なんすかコレっ、まじ引くわぁ~~。」

「っふ、ふ、く。」

「ああ、ミカはこりゃまだ無理かこりゃ。ルイさんこれどうすんですか。」

 

どうすんですかね?

俺が聞きたいわ。

 

「どうもこうも、これからそこに書いてる要望通りに能力をまとめあげて、そこのクソガキに渡すのが俺らのお仕事。さぁ切り替えよぉ。こっからディスカッションしてくぞぉ。」

「は、はぁっ?

どう考えてもワンオン能力じゃ無理っしょ。予算はっ、予算どうなってんすかっ?」

 

だよなぁ。オレもそう思うもん。

 

「お値段据え置き。いつも通りでどん。」

「まじありえなくない? もぉっ死ねばいいのにあのクソ以下ミさまぁっっっ!!」

「ちょっ、ふっ!」

「ああ、またミカが撃沈しちまった。しゃあねぇ。ここはこのヴィリ様自ら問題点をボードに書き上げちゃいましょおっ。」

 

こういう時明るさで色々誤魔化してくれるヴィリエルは頼りになるわぁ。もう俺心折れそうだもの。てかプロジェクター使ってくれても、まぁいいか。

その場のノリって大事だよなぁ。

 

「ああ頼む。ガヴリエ。悪いんだか人数分のコーヒー入れてくれ。いつものヤツな。」

「ちょっ、パラハラだしルイさぁん。いいですけどぉ♪」

「うっす書き上がりましたぁ。しっかし、見るからにひどいっすねぇ。コレ。マジでこれワンオンで仕上げるんすか?」

 

・世界中の美少女からモテたい。

・信仰されるくらいに、同。

・健康的で傷1つない玉の肌の女希望

・言葉遣いは綺麗な人が良い

・病気はNG←精神病も含む。

・痩せガリもNG

・対象は美女・美少女・美幼女問わない。

・屈強な女も、凶暴で凶悪な女も俺のモノ

・世界中のそれらを全部、その手で掴みたい。

・掴んだ全て美少女になる勢いの力が欲しい。

 

「しゃななし。それがお仕事です。」

「ああ、滅入るわぁ。」

「ほら野郎ども、コーヒー様のお通りよぉ♪」

「お、さんきゅ。」

「ああ、ありがとう。」

 

これこれ、粉多めで胃に悪いやつ。どうせ今日は長くなるんだ。カフェインとらんとやっとられんよぉ。なんのかんのいい子だよなぁガヴリエ。婚期逃してるけど。

 

「ミカもほら、おいとくぞぉ?」

「は、はひ、どもっ。」

「と、いうわけで、じゃあ各方面から条件を洗っていくかぁ。」

 

改めてみると無茶苦茶ですね。お願いしたのは小学生かなんかかな?

こんな欲望の権化初めてみるぜ。

 

「ええぇ、無理無茶じゃん……。そんな女まずいねぇし。コイツの頭ん中何ナノキッショ。完全無農薬お花畑じゃん。」

「ウチに無理なんて言葉存在しません。アイツがいる限りな。」

「アイツマジ死なねぇかなぁぁぁっ。あああああ、どうしますかねぇっ。」

「とりあえず大きな問題点は3つ。

 

・認識強制力の問題

・非実在少女問題

・上記をどうやって出会わせるか問題

 

これらが簡単に上げられる。他に何か気づいたものは?」

 

「あ、ではですね。この綺麗な言葉を使う女がいいってのと、凶暴で凶悪な女もホレさせたいっての、結構矛盾したりしません?」

 

「あと精神病なんかもそこらと食い違ってくるんじゃない?」

 

はいはい。そういえばそうね。……ああ、もぉっっ!!

 

「ああ確かに言われてみりゃあそうだ。ああ、なんだコレ。まずクライアントの注文内容からして矛盾だらけじゃねぇかっ!!

ああ、クッソっ。あのジジィ、全部叶えるなんざ安請け合いしやがってっ、クソっ。

 

「まぁあれスよ。そこらは最悪矛盾してましたってことで良くないスか?」

「ちっ、それで行くしかねぇなぁコリャ。他は?」

 

「世界中のそれらを全部、その手で掴みたいって事はこれって人数必要なんすよね? そこらへんって条件緩和できんのですか。もうこのまま叶えてやってそんなヤツいねぇよバカって、言ってやった方がよくないス?」

 

「資料の1ページ目、下段だ。あのクソがちゃんと女どもに囲まれるようにしてやってくれなんぞ抜かしやがった。そりゃ俺も考えたわ。」

 

その道はオレが既に通った。

 

「っっあぁ、あのボケだきゃぁ!!」

「ていうかぁこんな俗な事願うヤツってもう早く死んだ方がよくない。コイツもう絶対ろくでもないモン。むしろ今死ねよ。」

 

「そーだなー。でも愚痴じゃ仕事は終わんねぇぞぉい。じゃあ3つの問題点から、ワンオンでコレ全部叶えられる特典についてブレーンストーミング(ブレスト)っていくぞぉい。」

 

「はぁい。」

「うス。」

「はぃ。」

 

なおウチでいうブレストは実際のそれじゃない。弱小企業のダメなブレストってな。いちいち予算面だかなんだかで発言にツッコミ入りまくるのよ。意見出しの時に。

もちろんウチもそんな感じです。

 

「お、ミカお帰りっと。ああそうっすね。じゃあコレ、もう世界前提書き換えてこの子を特異点にしてラブコメ時空とかに変更すればいんじゃないです?」

 

「はい、世界事変書き換えっと、ボツ。予算が足りないっ!!」

「ちぇー。」

 

なんで1人の願い叶える為に世界の方変えようとか思っちゃうかなぁ。まぁそれ位しかワンオンでこの願い実行すんの思いつかんけど。

 

「じゃあじゃあ、もういっそフェロモン系の超強力な能力にしてぇ、この世界中の女の子全部コイツにホレさせるとか、どうです?」

「ああ、それなぁ。前に隣の世界の神様が与えた事あるんだよ。」

「へぇっ、実績ありじゃんすか。よくね?」

 

と思うでしょ?

 

「それがなぁ。女ども全員ソイツに奪われた男どもから袋叩きにあってソイツ死亡。しかもソイツにホレてた女もソイツ追って死亡っ。中々他じゃ見れないやり直し(リセット)案件に発展した。」

「うげぇ。」

 

「お前、その後処理考えずにその能力。ソイツに渡す気ある?」

「ないですわぁ~。」

 

こういう極端な洗脳系能力って割とバランス調整難しいんだよなぁ。まぁだ戦闘力とかの方が安心安全だったりするのよ、これが。

 

「では運命力の改変で、とりあえず美少女をこの人の周りに生み出して、縁結びの運命で繋げてみてはどうでしょう。つまり縁結びの特典ですね。そうすればいずれ、この人の要望通りに女の子だらけの生活を送れるのではないでしょうか。」

「ああ、それもなぁ。」

 

そうだよなぁ。普通それが一番有効なんだけどなぁ。無差別縁結び作戦。

 

「なんでダメなのですかぁ。アレって強制力弱いけど、結構柔軟に本人達で上手くやるじゃない。赤い糸いいじゃないですかぁ。」

「強制力が弱いってのが問題だ。ホレ。そいつの写真。」

「ひっ、ちょ、危険物見せんの禁止っ!?」

「うぉっ、これかぁっ。」

「あっ、うわぁっっ、やだぁっっっ!!」

 

部下たちの反応は当然である。件の強面少年の顔は周りにそれだけの恐怖と自然と振りまく正気度チェック必須の代物なのだ。なんだよコイツ、絶対に人かおハーブヤってるだろコレ。夜中いきなりみたらちびるわ。

 

「な。ソイツそんな面してたから地球いる時も彼女はおろか友達いなかったらしいぞ。むしろ好きなヤツに気持ち伝えようと声かけたら、泣きながら謝られたあげく失禁。その後、登校拒否って事態にまで発展してる。」

 

「もう、なんでそんなクリーチャー転生させてんですかっっ!!」

「そんなでも善行値最大なんだよソイツぅっ!!」

「そんなん存在がもう犯罪だし帳消しじゃんっ、マイナスじゃんっ!!」

「んな事わかっとるわいっ、文句はあのハゲに言えやボケっ!!」

 

ホントどうすりゃいいんだろコレぇ。むしろ最低でも生まれ変わり案件だろこれぇ。面倒がってウチのバカは生まれ変わり否定するしよぉ。

 

「あうあうあうあう。」

「おう、ミカ。とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着け。な?」

 

ああ、少年の顔写真でもう話続けられる空気じゃねぇわ。

 

「はぁ。とりあえず一端休憩。空気変えるぞ。」

「ウスっ。ほれミカ。休憩だ。空気吸いに行くぞ?」

「あうあうあうあう。」

「・・・…もぉ帰りたぁい。」

 

「そりゃっ、俺も帰りたいわぁっ。今スグ娘の顔見たいわぁっっっ!!」

 

もぉ、なんでこんな事になってんのぉ。これじゃあ今日も泊まり込みコースじゃん。最近娘がオレの顔見て不思議な顔すんだよっ。ふざけんなよっ。

ふざけんなよっ、クソジジィっ!!

 

「あ、ごめんなさぁい♥」

「ああ、なんでこんな世界に務めちまったかなぁ。ホントになんであのハゲ今スグ死なねぇなぁ。戦神の喧嘩とかに巻き込まれねぇかな、アレ。」

「ああ、ルイさんまぁたダウン系入っちゃたわぁ。

(小声で)……こりゃ今日帰れるかなぁウチラ。」

 

「ああ、今スグ娘に会いたぁい。癒やされたぁい。仕事やめたぁい。」

「あははぁ、化粧室行ってきまぁす。」

 

 

はい、停滞ぃ。もう終業なんざとっくの昔。話せども話せども予算とリソースが提案の邪魔をする。もう全員完全にグロッキーですよ。

 

「ああ、もうだめだぁ。土台が無理なんだもんよぉ。」

「無理って言葉はこの会社にゃねぇらしいぞぉ。ソースは、ハゲぇ。」

「もぉ、死んでいいですよぉアイツぅ。アッシ、アイツの髪今度全部むしるわぁ。」

「あ、あははははははぁ。手伝いますぅ。」

 

もうダメだぁ。お父さんもう会社やめようかなぁメタトぉっ。

 

「あっ。」

「あん、どしたミカ?」

「いや、でも。流石にダメですね、うん。」

「いやいや、とりあえずいってみ。ダメかどうかは俺が判断する。」

 

自己完結は悪だ。煮詰まった会議においては特にな。

 

「いや、でもぉ。」

「いいからいいなよミカちん。ダイジョブだって、ダメでも現状維持ぃ。」

「あの、ですね。コロンブスの卵的なアレなんですけど。これ、この子のこの言葉の部分。掴んだ全て美少女になる勢いの力が欲しい。って所をですね。ホントに掴んだ全てを美少女にしちゃう能力与えちゃったらどうかなぁって。ダメですよね。」

 

「んぅ?」

「んー?」

「おぉ?」

 

ほっほぉ、そういう?

ああ、勢い本気にとっちゃう的なヤツ。そりゃオマエ。

 

「「「いやいやいやいや、もうありじゃね、天才かよ?」」」

 

「えっ、いやでも、ミダス案件ですよこれ。使用者殺しの。」

「あのバカと違って触ってできるの美少女なんでしょ。しかも好感度アゲアゲの。なら大丈夫大丈夫ぅ。食わせて貰えるってきっとぉ」

 

「ああ、すっと。この病気やらなんらはBS解除って所かぁ。ああ良いわそれ。ミカお前天才だぜぇ。」

「ほんとよぉ、ミカちんエラいっ、お姉さんが後で一杯奢ったげるわぁ♪」

「いやぁよかったよかった。これで家路が見えてきたぞぉ。」

 

じ、地獄の歯車が回り始めやがったっ!

このチャンス絶対に逃さんっ。

 

「え、いや。そのぉ。」

(((黙れ、もう決まったんだという目)))

「あ、はい。」

「あははぁ、じゃあこの言葉遣いと見た目変更用に付加スキル作っちゃえばよくない。美少女化とかさぁ。」

「よっしゃ、そこに好感度変更ものせよう。これで解決だ。」

 

「ああ、でもこれ流石にそこらで触れたモン美少女にして全部すっぽんぽんとか、外部世界の上位神から検閲くらいそうだよなぁ。ああ、じゃあ器物だったらあれだ。服とか装備、専用のやつ最初から持たせよう。精霊達の概念装備の応用でなんとかなるだろ。それだけ変更不能属性つけて。」

 

アイツラほんと妙な事気にするよなぁ。垣根を超えた世界の秩序とか謳って。権力あるから逆らったら世界ごと潰されるし。配慮配慮っと。

 

「あの、でもぉ。そういう身体の急激な変化ってかなりの痛みとか伴いますけどぉ、そこらへんはどうします?」

 

「じゃあアレだ。変化中に他の感覚パラメータ流せばよくね。たとえば、こう痛みとか感じなくなるとか?」

「ああ、なるほどぉ、冴えてるじゃぁん♪」

「ああ、無痛化はやめとけよ。それ変化中の痛みが消えてるわけじゃないからなぁ。たまに無自覚にショック死するヤツいるんだ、アレ。」

「「「こわっ!!」」」

 

痛みって生物にとって結構重要な機能だからね。無くなるといつのまにか壊れてるなんて事は割と起こるんだよ。

 

「じゃ、あれだ。痛みの反対だな。気持ちよくしちゃおう。」

「ああ、こういう子だから喜びそうだわぁ。きもっ。」

「不潔です!」

 

「はいはい、快楽投与と。おおぉっ、見えてきた見えてきた。」

 

いいねぇいいねぇ。サクサク決まっていくぜ。後はコレまとめて技術部に企画書を放り込めばお役御免だな。見たトコひどく難しい処理はないし。存在変化扱うから出力的にはギリギリだけどなぁ。こりゃ魔脈から直接魔素引っ張ってこないとどうにもならんな。となると、と。

 

「あ、当然オンオフ入りますよね?」

「ああ、まぁ、でもなぁ。この能力って結構魔素バカ食いするから、経路閉じちゃうと再使用分の力貯まるまで難儀しそうなんだよなぁ。」

「ああ、そこらの高速化図ると色々術式のバグも怖いですしねぇ。」

「めんどぅだしねぇ。」

「え、あの?」

 

オンオフ付けちゃうと、これがまずいんだよなぁ。ソレこそ試作やらなんやらで朝までコース確定しちまう。

しょうがないから、茶番でも演じますかぁ。目で合図をっと。

 

「なぁ、ヴィリエル。」

「あんすか?」

「オマエさぁ、こんな力性欲を持て余した男子に不便なく与えたらよぉ。どうなると思う。」

「そりゃあ、好き放題っしょ?

もうなんでもカンでも手当たり次第美少女にしてきゃっきゃうふふですよきっと。」

「そんなの全力でやられたらソレ、下手したらリセット案件じゃない?」

「そうよねぇ。こわいわぁ、性欲を持て余した男子高校生ぇ、きもっ。」

「ふ、不潔ですぅ。」

 

はい釣れたっ。ミカくんは本当純真で扱いやすい子だなぁ。どうかそのままの君でいてくれよ? 俺がやりやすいから。

 

「でだ。これ敢えてオンオフ、付けなかったらどうなると思う?」

「そりゃあ……。ああ、悪い人っスねぇ?」

「あはは、そりゃいい気味っしょぉ。」

「え、ど、どういう事ですかぁ?」

 

どうもこうもねぇって。

 

「ああ人間ふとした時に必ず自分の身体を掴んじまうからなぁ。そりゃもうコイツスグに女になっちまうだろうなぁ?」

「ふっひひひ、それウケるぅ!」

「ああ、せっかくの能力が台無しだもんなぁ?」

「それはぁ。」

 

こんだけ俺らを苦しめてくれた奴が一生美少女に囲まれて幸せに暮らしましたってのはちょっとこう、許せんもんがあるだろぉ?

そんな悪党に塩送るような真似、誰が素直にしてやるかい。

 

世界にとってもそっちの方がいいんだよ。

 

「そうすりゃ、アホみてぇに女の数増やそうとか絶対思わんだろ。必要なくなるし。」

「よしんば増やされてもそんなクズの遺伝子ばら撒かれる事はない、と。いいッスねぇ、俺らによし、世界によし、ドクズに喝だ♪」

「あっしさんせーい。こんなヤツ痛い目見るべきよぉ。」

「でもコレ神様の注文に反しませんかそれ?」

 

知らんっ。じゃなくて。

 

「アイツはコイツの周りに美少女達がわんさか囲まれるようにしてくれとしか言ってない。なぁんも問題ないぞぉ、むしろ自分も美少女だぁ。」

「じゃあ決まりッスねぇ。よしよし楽しくなってきましたよっとぉ。」

「エロ男に鉄槌をぉっ♪」

「い、いいのかなぁ?」

「いいに決まってんだろぉ。この俺は電算機よぉ、勝利へのプラン固まったっ!!」

 

流れって重要だよなぁ?

 

「しゃあ、なんとか日付変わるまでに帰れそうだぁっ。」

「ああ、お家が恋しいわぁ♪」

「待ってろメタトぉっ、娘に顔を忘れられてたまるかぁっっ!!」

(((オマエモノレやという強烈な圧力)))

 

「わああ、じゃあ僕もがんばりますぅっ。」

 

 

こうして俺らは団結して1つの地獄の局面を乗り切った。

 

どうせアイツ企画書のチェックなんざせずにハンコ押しちまうクズだから、たとえなんかあってももう全部手遅れだわ。そうなりゃこりゃ、最終的にチェックした筈のアイツのミスになるしな。しかも企画立案はミカくん主体。これでなんかあっても俺が被害を被ることはまずないねぇ。小言は聞き流せばいいしな。

 

計画通りっ(くわっ)

 

そんなことより家族の事だわぁ。

ああ、結局会社出るのが日付変わっちまいやんの。バカかよ。待遇も給料も低いし、正直どっかに転界してぇなぁ。ローンさえなけりゃあよぉ。

 

結局俺は寝静まった我が家の中、愛する娘と一言も言葉を交える事なく眠り、家族達が目覚めるよりも早く天界へと出界する。

今日もまた、クソジジィの無茶振りが俺を待っているのだろう。

 

家族との触れ合いの時間を夢見て、俺は今日も職務を適当に捌き続ける。

なぜなら俺はブラック世界(ヴィンディーナ)中間管理職(天使長)なのだから。

 




閲覧ありがとうございました。

このような話を書く事が出来たのは一重に皆様のお陰です。
改めて感謝申し上げます。 

300pt感謝回エ◯部門アンケートはご協力ありがとうございました。
一位に輝いたのは娼婦さんと遊ぼう、の15票。圧倒的です。
時点の剣と鎧を5票引き離しての決着でした。こういう露骨に夢を追う人たちの姿勢。嫌いではありませんよw

これから300ptノーマル感謝回用にアンケート切り替えますんで
出来ましたらそちらの方もご参加下さい。



さて、ちょっと長くなってしまって申し訳ないのですが、
実はこの作品近いウチにそのリメイクを考えております。

というのもですね。実はこの時点でこの作品、結構直したい所が色々と溜まっておりまして。今後書きたい物語の長さを考慮した所、もう早期に取り掛かった方がよいと判断しました。

詳しいことはまた活動報告に掲載させて頂きますが、リメイク内容が多岐に渡る為このタイトルとは別タイトルで、お話作り直させて頂けたらと思っております。ここまで書いたお話はお話で足跡として残しておきたいものでして。

直さない駄作より足掻いて作る良作を目指して、手を加えて参ります。

ただ一点リメイク後はエ◯話はもう番外タイトルにまとめて、本筋ではあまり扱っていかないようにしようと思っております。読者様によっては不快感を感じてしまう展開ですのでどうかそれだけはご理解下さい。番外編ではいつも通りです。

もう少しばかりこちらの作品は続きますが、リメイク後のタイトルにもよければ遊びに来ていただけたらと思っております。
本筋は変わりませんのでご安心を。



別枠で感謝の言葉を。
いつも大ぽかをやる作者の誤字の指摘や、捜索で拙作を紹介して下さった
黒のアリス様。

拙作に感想を下さった皆様方
特に幽姫兎様と嘘吐天邪鬼様。

そして何より、くっつく餡玉様。

正直この作品の半分位は貴方の感想から貰ったお力で出来ているんじゃないかなと思っております。

他にもご評価・お気に入り登録を下さった皆様方。
この場を借りて皆様に改めてお礼申し上げます。
ありがとうございましたっm(_ _)m

リメイク後も変わらずバカな、いえ、更にバカになった主人公を書いて参りますので出来ればお付き合い下さると嬉しく思います。
まぁ、まだ感謝回やら本編の追加やらでもう少しだけ続くわけですが。

それではまた次の更新でお会いしましょう。

一二三 四五八

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