全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで   作:一二三 四五八

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まだ続きそうです。


58)300pt感謝回「アデルの森ビフォーアフターズ2」

行こう行こう、みんなに合いに森の中、みんな一緒になるために♪

ときにはケンカもするけれど。

 

 

「テメェラの話はわかった。だがオレらオーガは御免だ。もちろん子分の豚共もな。」

「……なんでですか?」

「理由を聞かせてもらえるか。」

 

「単純な話だ。オレらは力のあるモンが一番エライ。オレはコイツラの中で一番強い。そしてテメェラより強い。だから従わねぇ。俺が頭だってんなら考えてやる。」

 

「……私達で一番偉いのはカミサマ。だからそれはできません。」

「貴様は確かに強いが我等の長たる天狼には劣る。それはとても受けられぬ。」

 

「なら、話は終わりだ。その天狼とやらを連れてこい。もっとも、オレラはオマエラを生かして返す気はないがな!!」

 

「ああ、でたよ頭のバカ理論。まったく後先考えねぇんだから。」

「ホントに天狼きたらどうすんだよ。先のコト考えろよバカ。」

「ま、そんな奴に従ってるオレらも充分バカだけどな。」

「しゃあねぇなぁ。おうブタども。やるぞコラ!」

 

「「「「「オデ達戦いたくないど。」」」」」

「「「「「デモお頭の命令は絶対だど。」」」」」

「「「「「森の番人コワイどぉ……。」」」」」

「「「「「天狼きたらしんでしまうど……。」」」」」

 

「うっせえぞっテメエラ、後ゴチャゴチャ抜かしてねぇでっ、とっととしろやクソブタどもがっ!」

「言うこと効かねぇと頭から喰っちまうぞぉっ!」

「そら、やるんだよ!!」

 

「「「「「「ひぃっ、や、やるどぉっっ!!」」」」」」

「「「「「「オーガ怖いど、オダたちやるしかないど!!」」」」」」

 

「……!!」

 

「コイシ殿を護れ、我等よ!!」

「「「「「うぉぉぉぉっっっっん!!」」」」」

「「「「「「オーガ メ。 ブタ ゴトキ ガ」」」」」」 

『『『愚かなオークどもめ、森の怒りを受けよ!』』』

「「「シトサマ マモル」」」

「「「ストーンマン戦う、みんなの為に」」」

 

(すぐに我等が増援に駆けつける。それまでコイシ殿を死守せよ!)

(もちろんだ。蒼は彼女達をもう奪わせない!)

 

「……みんな出来る限り彼らを傷つけないで。」

「しかし、それでは!」

「私の方が強ければ従うって言った。だったらコイシ、頑張る。

……みんなごめん。」

「……わかりました。我等はコイシ殿のお言葉に従います。やるぞ、皆!」

 

「はっ、まさかオメェみてぇなチビがオレ様に勝つつもりってかぁ!

笑わせるなよ、小娘がぁっっ!!」

「……はっ!!」

「ぐぅっ!?

オレの一撃を喰らいながら、殴り返しやがった! はっ、面白ぇなぁ!!」

 

「各自相手の無力化を優先しろっ。皆仲間同士助け合い、支え合って、この場を切り抜けるのだ!!」

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

「「「「「「ワカッタ」」」」」」

 

「「「「ヒャッハァー」」」」

 

「「「「「「行くどぉっ!!」」」」」

「「「「「「怖ぇけど頑張るどぉ!!」」」」」

 

 

「我が女神に祈り給う、そのお力(シャイニング)で我らの(レイン)今を照らし給え。」

「き、綺麗な光だど。」

「た、戦いたくなくなるだ……。」

 

「ああん、馬鹿か。敵も味方も回復させてどうするってんだ。」

「私は争いたいわけじゃない。」

「はっ、綺麗事をっ!!」

 

「ブタども、何ぐずってやがる!!」

 

「カラメ トル」

「うぁぁ、オダ木に掴まっちまったどぉ。」

「う、動けないどぉ。」

「でも痛くねぇど?」

「傷が癒えて……。この光、オダたちも回復してくれてるど!!」

「オダたち掴まっちまったど。もう戦えねぇど。」

「そういうコトにするど。」

 

「テメェラ、いい加減にしねぇとその木ごとブッタ斬っちまうぞこらぁ!!」

「むしろ斬る!!」

 

「「「「「ヒィっ!!」」」」」

 

「させぬ。」

「ソラ オーガ ドモ 。 オレ タチ ワスレルナ。」

「そら、お前たちの相手はこの我々だ。」

 

「ちぃ、ストーンマンとコボルト風情がっ!!」

「さっきから妙にジャマな岩男と半端獣どもだぜっ!」

「獣頭め、岩男とリビングウッドの影に隠れてこそこそとっ。」

「狼どももだ。邪魔くさい戦い方をっ!!」

 

「うわぁっ。」

「やられたどぉ。」

「そういうコトにするどぉ。」

 

「テメェラっ!!」

 

「はっ、我等とオークばかりにかまけていて良いのか?」

 

「なにを!!」

 

『万物に宿る精霊よ、草木を操り転(プランツハンズ)びに誘え』

『万物に宿る精霊よ、木の葉を舞(イリュージョン)わせ惑い(リーフ)を見せよ』

『万物に宿る精霊よ、茨を操り敵(ソーンバインド)を捕らえよ』

 

「くっ、足が。うぉっ茨なんぞにっ!!」

「カラメ トル。」

「クソがぁっっ!!」

 

「ココダ オーガ。」

「こちらから行くぞ!!」

 

「ああ、めんどくせぇ。コボルトと狼どもが増えやがったっ。どれがホンモンだクソっ!!」

 

「さてどれだろうなっ!」

「ぐぅっ!!」

 

「ドライアドを潰せっ、魔術を食い止めろっ!!」

 

「ち、近寄れねぇど。」

「ストーンマンとコボルトと狼に守られて。」

「リビングツリーの枝にジャマされて。」

「枝から魔術が伸びてくるんだど!」

「うわぁっ。」

 

『万物に宿る精霊よ、草木を操り転(プランツハンズ)びに誘え』

『万物に宿る精霊よ、木の葉を舞(イリュージョン)わせ惑い(リーフ)を見せよ』

『万物に宿る精霊よ、茨を操り敵(ソーンバインド)を捕らえよ』

 

「「「「「「うわぁっ!!」」」」」」

 

「「クソっ、がぁっ!!」」

「ちっ、なんて面倒な奴らだ。……本来雑魚のコボルト風情が、こうもやっかいに感じるなんざどういうこったっ。」

 

「ワレラ ダケ ナイ カラナ。」

「マモリ ストーンマン。」

 

「護る。」

 

「ボウガイ リビングウッド。」

「カラメ トル。」

 

「ワレラ タスケル。」

「ワレラ ジャマ センネン スル。」

「ソウスレバ。」

 

「くそぉっ、狼どもぉっ!!」

 

「うわぁっ、木に絡め取られたどぉっ。」

「足がもつれてっ。」

「アレっ、コレまぼろしか?」

「うう、コボルトとリビングツリーが邪魔でとてもドライアドまで近寄れねぇど。」

「ソイツらを倒そうにも岩男に護られて。」

「そうこうしてたら……。」

 

「そらオークども、少しばかり遊んでやろう!」

 

「「「「「狼達がくるんだどぉっ!!」」」」」」

 

「はっ、雑魚らしい面倒な戦い方だ。」

 

「……みんな雑魚じゃない。」

 

「助け合うというのさ、単純頭っ!!」

「1人で出来ないのならみんなで。」

「足らない所を補うのだ!!」

 

「しゃらくせぇっ!!

戦いってのはそうじゃねぇっ。もっと単純で、純粋なんだ!!

力ってのはそういうモンだろうがぁっ!!」

 

「くっ!」

「ぐぁっっ!!」

「……流石はオーガジェネラル。棍棒の一振りで我等を押し返すとは。」

 

「ウルさん達!」

 

「これが力ってモンだぁっ!!」

「……させない!」

 

「ぐっ、またカウンターをっ。

……そうだ、テメェはちっと分かってる。そういうこった、チビ。」

 

(そうだ。力ってのはぶつかり合いだ。余計なモンはいらねぇ。自分と自分をぶつけ合う。そういうもんだ。このチビはわかってる。俺の攻撃を真正面から受けて殴りかえしてくるなんざ、並の根性じゃねぇ。)

 

「くあっ。……チビじゃない。」

 

「あん。」

「コイシ。それが私の名前。」

 

「はっ、知るかよ。そう呼ばれたきゃ、俺に勝ってみせろやチビスケがぁっ!!」

「……頑張る。」

 

(面倒で厄介な奴らの中で、このチビだけはずっと真っ直ぐだ。真っ直ぐ自分をぶつけてきやがる。テメェとの戦いは悪くねぇ。悪くねぇぞチビスケっ!!)

 

「そこまでだ。」

「あん、なにをっ!?

なっ、天狼っ!!」

 

「……ウルさん。」

 

「「「「「「ひぃっ天狼だどっ。ホントに来たんだどぉっ!!」」」」」」

「ちっ、さすがに分が悪いぜ、頭ぁ。」

「ああ。オレラが束になっても勝てない相手だ。」

「……それ以前に俺ら今動けんけどな。」

「……言うなよ。」

 

「コイシ殿、皆、無事でよかった。後のコトは私にまかせろ。」

 

「スターウルフ。ナントイウ カガヤキ。」

「蒼天を往く者。なんと頼もしい。」

「カラメ トル。」

『あんたそれ気に入ったの?』

 

(ちっ、なんでぇ。せっかくちっと楽しくなってたってのによ。終いってか。流石に天狼相手じゃどうにもならん。が、ケツまく気なんざ端からねぇし、気に入らねぇモンに下げる頭なんざ持っちゃいねぇ。なら、とことんヤルっきゃねぇだろうよ。)

 

「……けっ、こんなすっきりしねぇ戦いは始めてだ。ああ、だがこれも戦の習いってか。こいよ天狼。俺ぁ死ぬまで止まらんぜ?」

「戦鬼め。ならば言葉通り、我が力を見せつけよう。」

 

「……待ってウルさん。」

「コイシ殿?」

 

「まだコイシとオーガさんの会話が、終わってないから。」

「会話?」

 

「オーガさんずっと戦いながら言ってた。俺はこういうもんだって。不器用だけど真っ直ぐで、……自分の力の在り方に嘘がつけない人。きっと悪い人じゃないよ。」

 

「オメェ……。」

 

「……だからコイシ、もう少しオーガさんと会話してみる。そしたらきっと、オーガさんとも分かり会えるから。私にやらせて。」

 

「……危うくなれば止めに入ります。それだけはご容赦を。」

「うん。」

 

「勇敢な女の子だどぉ。」

「頭を正面から受け止める気だど。」

「す、凄い女の子だど。」

 

「はっ、バカがいるぜ。ウチの頭並の大バカだ。」

「後は大将同士でって奴か。この状況で。」

「まさか人間にそんなバカがいるなんてな。」

「だがまぁ」

 

「「「「悪くねぇなぁっ!!」」」」

 

(はっ。バカがいる。俺並の、俺以上の大バカだ。ああ。悪くねぇ。本当に悪くねぇよオメェ。ああ、なんだっけコイツの名前。)

 

「おう、テメェコイシっていったか?」

「? そうだけど。」

「テメェにゃ似合わねぇ名前だな。」

「私は気に入ってるけど。」

「テメェみてぇな小石がいてたまるかよ。小石にしちゃあちっとデカすぎんだろ。」

 

カラン。

 

「棍棒いらないの?」

「おう。テメェも素手だ。俺だけエモノ使うってのも違うだろうが。」

「……ホント、不器用な人だね。」

「へっ、言ってろい。おう。なんだ。……ありがとよ。」

「ううん。私がやりたかっただけ。」

 

「そうかい。じゃあよ、やろうぜ?」

「……うん。」

 

日が沈みきり、辺り落ちきった暗がりの中、夕日を背負ったような光を放つ小柄な少女と、武骨なオーガの決闘はこうして始まった。

 

「オラ、頭ぁ負けんじゃねぇぞっ!!」

「チビスケも頑張れやぁ!!」

「……コイシ殿の戦い方は心臓に悪いな。」

「ばっか、アレがいいんじゃねぇか?」

「そうかね?」

 

「コイシサマ ガンバレ!!」

「どっちも頑張る。」

「女の子、頑張るだぁ!!」

「頭、空気よむだぁっ!」

「オマエラはコチラ側なのだな……。」

「ブタどもぉっ!!」

 

『ああ、なんという事だ。なにもあんな野蛮なオーガに対して使徒様みたいな女の子が張り合う事はないでしょうに。』

『男どもってこういうの好きだよね……。』

「コイシ殿は女の子なのだがなぁ」

『イケメン系女子だわ。』

「カラメ トル。」

『とるな!!』

「それ、気に入ったのだな?」

「♪」

 

 

戦いが始まってしばらくすれば、そこにはもう戦場の張り詰めた空気など欠片も残っていなかった。誰もが小柄な少女とオーガの戦いを見守り、その結末を思いながら声を張り上げる。その光景はとても今まで戦っていた者達のものとは思えない。

 

もはやその結末を細かく気にしている者などそこにはいなかった。どっちが勝とうとも、どうなろうとも、もはやいがみ合うような場面は終わっている。

小柄な少女がオーガとの戦いを望んだ時点で、終わっているのだ。

 

だがそれとは別に、決着は必要だった。

 

先に倒れたのはコイシの方だ。もとより地力が違うモノとの一騎打ち。こうなる結果は見えていた。しかしそれを不満に思っているモノがいる。

 

「おう、どうした。足に来たかよ?」

「……少しだけ。」

「そっかよ。ああ、俺もちっと疲れちまったわ。一端休憩だ。」

「そう。……ありがと。」

「ばっか、俺が疲れただけだ。」

 

(テメェの根性は認める。テメェの真っ直ぐな拳は嫌いじゃねぇ。けどどうしたってそれだけじゃ俺には届かねぇ。ああ、どうすっかなぁ。手抜くわけにゃいかんしなぁ。おかしいなぁ。なんで俺こんな事考えてんだろうな?)

 

誰かろうオーガその人である。その小さな身体で、身の丈2m半を超える暴力の塊たる自分の力を真っ直ぐ受け止め続け、戦うオーガの為を思ってずっと拳をふるい続ける少女の事を、そいつはもうすっかり気に入っていたのだ。

 

この少女は本来自分のように何かと戦う事が好きではない。だがそれでも自分以外の為ならば。仲間と、これから仲間になる誰かの為ならば、決して諦める事なく挑み続ける奴だ。絶対曲がらねぇ奴だ。そんな事が。

やり合いながら分かったいたから。

 

そんな奴が力に屈する姿を、オーガはなんとなく見たくなかった。面白くなかった。できるならどこまでも突き抜ける、ソイツの行く先こそが見たかった。

だが同時に、力には嘘をつけない。

 

そのオーガはどこまでも不器用で。

だからこそ悩んでいた。

 

「なぁ、アンタの頭ってどんな奴だ。」

「カミサマの事?」

「……おう。」

 

それは悩んだ末の時間稼ぎ。少しでも勝利を長引かせる為の、そういう思いからの一言だった。

 

「すごく優しい人。特別でもなんでも無い、唯の路傍の石だった私を、私の友達を家族だって言って本気で抱きしめてくれる人。」

「はっ、そりゃあ大した奴だな。」

 

(コイツはそういう奴だったんだろう。本来多くに埋もれる唯の石っころのような奴。そんな奴がここまで磨き抜かれちまうほどに、ソイツは手をかけてやったんだろう。そりゃあ並大抵でできる事じゃねぇ。)

 

「うん。それで私の友達が死んだ時、本気で泣いてくれた人。なんでもない私たちを思って、世界の在り方全部を変えようと、動き出してくれた人。本気で世界を変えようと、みんなの幸せを願ってくれた、私の家族。」

「……そうかよ。」

 

(聞けば聞くほどにすげぇ奴だった。俺なんざ比べ物にならん位の最高のバカ野郎。どうやら神様の世界にも漢って奴はいるらしい。確かにそんな奴の下でなら、こういうバカが育つってのは納得だ。)

 

「……だから私たちは決めたの。土も石も草も木も。そんなモノの幸せさえ本気で願ってくれるカミサマの目指す世界を創ろうって。世界みんなが笑って暮らせる居場所を創ろうって。その為ならコイシはなんだって出来る。絶対に諦めない。」

 

「ああ、そうだろうな。

……オメェならやるだろうよ。」

 

(ああそっか。コイツは負けようが諦めねぇ。なんも悩む事じゃあねぇわ。そうだ。いいじゃねぇか、ここで俺が勝っちまっても。コイツなら、諦めねぇ。次がありゃあ、きっと勝つまで向かってくる。それでいいじゃねぇか。)

 

「おうオメェ。もし俺がここで勝っちまっても、俺ぁきっと天狼にゃ負けるだろう。だが俺が本当にオメェラの仲間になんのは、納得すんのはそこじゃねぇ。

 

……またいつかオメェが強くなったらよ、またやろうぜ。いつでもいい。何度だっていいんだ。そんでオメェが俺に勝ったら、オメェが俺の天辺だ。バカどもの大将だ。

そういうこって、どうよ?」

「……うん。凄くアナタらしいと思う。」

「はは、そっかよ。……ガラガだ。」

 

「ガラガ、約束。」

「おう。さってそろそろケリ、つけるかねコイシよぉ。」

 

「うん、でも。」

「あん?」

 

「……ここでコイシはガラガに勝つよ?」

「はっ、そりゃそうだ。負けると思って戦うバカはいねぇわな!!」

 

大声を出して笑うオーガ。

だが一方で少女の微笑みの意味は違う。

 

「私に今、カミサマから力が流れてきたんだ。きっとカミサマも、何かと戦ってた。すごくすごい何かと。でもカミサマはまたそれを幸せに変えちゃったんだ。そういうモノが伝わってきた。だから、もう。コイシは負けない。」

「おう、やってみろや。そのカミサマへの思い、見せてみろ。全部ぶつけてこいよ。オマエの全部。力は何時だって嘘をつかねぇっ!!」

 

「……うん。」

 

 

(コイツ、強くなりやがったっ!?)

 

立ち会ってすぐ、ガラガには分かった。コイシがこの短い間に恐ろしい程に強くなっている事に。力を隠していたでもなく、何かの魔術に頼ったわけでもない、掛け値なしの存在強化。肌で感じ取れる程の力の塊に。自然と、笑みが溢れる。

 

(こりゃ下手すると天狼並かそれ以上……。

はっ、そうかよ。オメェの想いは、決意ってのはそこまでか。これが目指すモンのあるヤツの力って奴か。ああ、魅せやがった。魅せつけやがった。

バカが真っ直ぐ突き抜けやがったっ!!)

 

何故か笑いが止まらなかった。なぜなら少女のソレが自分の目指したモノであったから。意思を持って、意地を持って自分を超える。その理想の姿が目の前にあった。

 

「いくよ?」

「おう、こいやぁっっ!!」

 

先程までとは真逆、コイシの拳を止めるようにガラガが力強く少女を殴りつける。しかし少女は欠片も揺らがず。ただ真っ直ぐに突き進む。

真っ直ぐに、真っ直ぐに。

 

最短距離でガラガを射抜く。

 

「しっ!!」

「がぁぁぁっっっっっ!!」

 

意思の拳は、揺らがない。

 

 

「おお、やりやがったっ。遂にチビスケが頭っぶっ飛ばしやがったぞぉっっ!!」

「……なんという事だ。コイシ殿……。」

「すごいだぁっっ、あの頭が空に舞っちまったどぉっ!!」

「コイシサマ カッタ。ナントイウ イチゲキ。」

「おいおい、なんの冗談だこりゃ?」

『やりましたね、使徒様~。』

「アレハ カラメ トレナイ。」

「オメェの基準ってそこかどぉ?」

「ははっ、どうやら我等の使徒殿は随分とお強くなられたらしい。」

「頑張った。両方、よく頑張った。感動した。」

「たまげたなぁ。はは、新しい頭だ。」

 

こうして彼らの語り合いは終わりを遂げる。

敵であったモノも、味方も。等しく抱き合って歓声をあげる。

 

「……大丈夫?」

「……おう。オーガの再生力なめんな?

けどちっとこりゃ、時間がかかりそうだがなぁ。」

「そう。なら、

我が女神に祈り給う(アンチ)、そのお力で我らの(エイジング)今を護り給え。」

 

「こりゃあ、傷の治りが早くなってんのか?」

「カミサマのくれた力。新しいの使えるようになったから。私はプリーストじゃないから回復魔術は使えないの。ごめんね?」

「いや、充分だろ。これとオメェの光、んで俺の再生力。あっという間に傷なんざ塞がるわ。てかオメェ自身にかけろよコレ。傷浅くねぇだろ。」

「うん。そうする。」

「はっ、普通そっちが先だろが。……俺の大将は心配性でいけねぇや。」

「じゃあ?」

「おう、俺とアイツラ、こっからは大将の下でやらせて貰う。俺ら見てえなならずモンの相手は任せろ。全部大将の下につくようにしてやるぜ!」

「下じゃない。」

「ん?」

「上も下もないの。みんな一緒。役割だけ違うの。だから、下じゃないよガラガ。」

「へっ、そうかよ。

まったくとことん名前の似合わねぇ女だ。」

「?」

「オメェみてぇに全てを受け止める小石がいてたまるかよ。ちっちゃい身体でこの地面かなんかみてぇに揺らがねぇ、大将にゃその名はどうもちっさ過ぎるぜ。」

 

「そう?

でも私はこれがいいの。だって私はカミサマの家族の、特別なコイシなんだもん。」

 

「……はは、そっけないアンタもそんな顔で笑うんだな。おう、やろうぜ。みんな一緒。大将とカミサマの夢、今日から俺もそれを目指すぜ!!」

 

「おう、俺らもなっ、新しい頭っ!!」

「コイシ殿、やりましたねっ。」

「かか、やるねぇ嬢ちゃん。最後の一撃惚れ惚れしたぜ。」

「スゴイ カッタ。 コイシサマ ツヨイ ウレシイ!」

 

「今度の頭は優しそうだどっ、オダうれしいど!!」

「おだもっ!」

「おだ頭にブタって呼んで貰いたいど……。」

「ヘンタイは出荷だっ!!」

「そんなーだどぉっ!!」

「ふむ。なにやら楽しい連中だな?」

 

『使徒様、お疲れさまでした。どうぞお水を。』

「クダモノ タベル?」

「頑張ったオーガも、飲め。」

「おう、ありがとよでけぇの。

……ああ生き返るぜ。ほら大将も飲めよ?」

 

「……ふふ。ありがと。」

 

 

それでも最後は仲直り!

行こう行こう、みんなに合いに森の中、みんな一緒になるために♪

みんな一緒に頑張ろう!

 




閲覧ありがとうございます。
皆さん感謝回を書いていたらそれが長編になってしまった経験はありますか。私はあります(白目)
……後2回ほど続くと思います。

こ、これがアデル大迷宮の力かっ!!
森から抜け出せねぇっ。
感謝が溢れているという事でここは1つご容赦を。

アンケートファイナル:作者の作風について

  • 真面目な話もっと書こうぜ
  • もっとテンポ早めようぜ
  • もっと勘違い全面に出すべき
  • コメディとかギャグ増やそうぜ
  • テンション押さえてもっと読みやすくしれ

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