コソコソ会話文 【ホッホホー!】
先「(吾輩の名前は先生。偉大故に先生なのである。私が担当している隊士はそれはそれは美しく、優しい。しかも柱!あの柱なのである!ホッホー!羨ましいだろう!美人で柱とか凄いであろう!?テンプレじゃと?テンプレの何が悪い!吾輩テンプレ大好き!だってボンキュッボン大好き!男なら一度は夢見るじゃろ!其の夢の体現者たる瑠璃子を吾輩は鎹梟として何時でも見守っているぞ!ホッホホー!)」
瑠「先生ー?ご飯ですよー」
先「ホッホホー!」
先生は中身ド助平フクロウだった。ホッホッホー!
すぅーと深く吸い込む。山特有の薄い空気に、瑠璃子は微笑んだ。彼女が今いるのは、懐かしの狭霧山。ご存知、鱗滝左近次の住む山である。
「はぁ…久しぶりねぇ。ただいま、狭霧山」
久しぶりの山に瑠璃子は微笑みを崩さず、『らんらんらーん♪たけのこっのこのこ~』と妙な鼻歌を歌いながら、山の中へと入る。
――― 麓に行けば、見知った顔に瑠璃子の足が速くなった。
「おじいちゃ―――ん!」
変わらず天狗の面を付けた鱗滝が、其の声に反応し、薪割りを止めた。
手を振って、走ってくる笑顔の孫娘に、斧を落とし、両手を広げて、その場で待つ。
そして、其の腕の中に愛しの孫娘は抱き付いた。
「ただいまぁ~」
「あぁ、お帰り」
前に会った時よりも少し伸びた瑠璃子の頭を、鱗滝は撫でる。
「義勇達から聞いたわ。新しい弟弟子の話!妹さんの事も聞いたけど、会っても良いかしら?」
「勿論だ。中で妹が寝ている」
「それじゃあ失礼しまーす」
瑠璃子は鱗滝から離れると、彼の住む家の中に入った。離れてかなり立つが、変わらない。其の姿に懐かしい記憶が蘇る。
此処で錆兎と義勇と鱗滝と暮らして、此処から出発して。離れてからの修行は厳しかったし、人が殺される所も見た。其れでも沢山の友人に恵まれた。
「(嗚呼、ただいま)」
込み上がってくる懐かしさに一度だけ目を伏せて、そして見つけた。
床に敷いた布団の上で、すやすやと眠る少女。竹で出来た口枷を付けた、鬼の少女。黒髪に白い肌。瞼を瞑っていても、可愛らしい顔立ちをしている。
「…この子が、禰豆子ちゃんね」
「そうだ。鬼になっても人を喰わなかった、異例中の異例だ。一年半、ずっと見ていたが、起きる気配すら無く、人を襲う気配すら無かった」
「おじいちゃんの鼻は利くから、此処に置いている時点で、人を食べて無いのは納得したけど、鬼って寝るの?もしかして、食べない代わりに寝て回復しているの?」
「だと思う」
「本当に異例中の異例ね」
瑠璃子は禰豆子に近づき、寝ている彼女の隣に正座で座った。そしてじっと見る。
「………頑張ったのねぇ」
ふわりと微笑み、瑠璃子は禰豆子の頭を撫でた。ゆっくりと、起こさない様に。
「貴女は辛い事に耐えたのね、えらいわ。とってもえらい。今は疲れて寝ちゃってるのよね。うんうん、良い子良い子」
――― 誰だろう あったかい
――― もっと撫でて欲しいなぁ
――― ふわふわで、甘い匂いがして
――― あ、そっか
――― お母さんと同じ手だ
ふわっと眠る禰豆子の目元が柔らかくなった気がした。
一頻り撫でた瑠璃子は、若干名残惜しそうに手を離し、立ち上がった。
「さてと、じゃあ新しい弟弟子ちゃんに会いに行かないと」
「炭治郎なら、今は岩の所にいる」
「はぁい。そうだ、今日は私がご飯作ってあげるね!楽しみにしてて!」
そう言って、瑠璃子は家を出て行った。(瑠璃子の飯か…)と鱗滝は内心わくわくしつつ、薪割りを再開し始めた。
*
懐かしい狭霧山の空気を全身に浴びながら、瑠璃子は炭治郎を見つけた。
ボロボロになりながら、岩を斬ろうとする、瑠璃子よりも小さな少年。赤みがかった髪と目。左側にある火傷の様な痕。間違い無い、彼が炭治郎だ。
然し、瑠璃子は彼を見て、『あらあらまぁまぁ』と右頬に手を当てて、首を傾げた。
(あらまぁ、呼吸が上手く機能してないのね。…ううん、若干出来てるわねぇ)
元々狭霧山が静かな事もあって、瑠璃子の耳に炭治郎の呼吸が聞こえてくる。未熟な、全集中の音。一回一回が弱く、これでは岩を斬る事が出来ないなと感じた。
(全集中の呼吸は一回でも感覚掴まないと難しいわよねぇ、私も苦労した思い出があるわぁ。……あれ?だったら常中が出来てる柱や真菰ちゃん達って相当凄いんじゃ…)
今更である。
(あっ、転んだ。…立ち上がった。斬りかかって、また転んで。…これを朝から夜中まで続けるなんて、とっても頑張り屋さんなのねぇ…錆兎や真菰ちゃんが気に入る訳だわぁ)
二人が好みそうな性格に瑠璃子は口元を緩ませると、炭治郎に近付いていった。
そして、また岩に斬りかかろうとする彼に声を掛けた。
「もっと体勢を保った方がいいわよぉ」
「わぁっ!?」
音も無く近づいてきた瑠璃子に、炭治郎が驚いて尻餅を付く。さっきまで気を張っていたのに、年相応になった其の姿に瑠璃子はくすくすと笑った。
「体勢がちょっと悪いわねぇ。そんなんじゃ錆兎以前に真菰ちゃんにも、鬼にすら勝てないわよぉ?」
さぁ…と瑠璃子の周りの霧が晴れて、其の姿が炭治郎の赤みがかった目に映る。
(凄い美人だ…瑠璃色の髪が綺麗だ…)
瑠璃色の髪に白い肌。水色の着物に紺の袴を着た女性。にこりと微笑むと、炭治郎の頬に紅が差す。禰豆子も美人だが、此の人はまた違った美人だ。
見た事の無い女性は炭治郎に近づくと、また微笑んだ。
「こんにちは、新しい弟弟子さん。私は瑠璃子。鳴滝瑠璃子。錆兎と真菰ちゃんの同僚で同門、謂わば君の姉弟子よ」
と、瑠璃子が言えば炭治郎は(姉弟子…)と言葉を噛み締めて、直ぐに立ち上がった。
「こんにちは!俺は竈門炭治郎です!よろしくお願いします瑠璃子さん!」
「うふふ、ちゃーんとお名前が言えてえらいわねー炭治郎ちゃん」
「た、炭治郎ちゃん…?」
何故ちゃん付けなのだろうかと疑問に思いながらも、ふわふわと柔らかな微笑と口調に何だか言えなくなってしまって、炭治郎は言葉を噤んだ。
「岩斬り大変でしょう?しかも一番大きな岩だなんて、おじいちゃんも無茶させるわねぇ」
「おじいちゃん?」
「鱗滝さんは私のおじいちゃんでーす!私、孫娘ぇ~」
「え、ええっ!?そうなんですか!?」
炭治郎が驚くのも無理はない。まさか、師匠に孫娘がいるとは思わなかっただろう。そもそも鱗滝は素顔が見えないので、老人であるのは判るが、何歳かは知らない。年齢不詳。其れが育手・鱗滝である。
すると、炭治郎の鼻がひくひくと動き、「あっ」と何かに気づいた。
「でも…」
「?」
「瑠璃子さんからは鱗滝さんと同じ匂いが、優しい匂いがします!」
「!」
そう言われて、瑠璃子は目を見開いた。そして徐々に頬が紅潮していき、輝かんばかりの満点の笑顔になった。
「あらまぁ…!あらあらまぁまぁ!何て嬉しい言葉なのかしら!私、今年で聞いた中で一番嬉しい言葉だわ!炭治郎ちゃんありがとう!」
ぎゅっ!
「はわわわ…!」
突然抱き付いてきた瑠璃子に、女性との関わりが少なかった炭治郎は真っ赤になって狼狽える。何故なら、丁度顔に瑠璃子のたわわな胸が当たるから。
ふわふわとした柔らかい胸に包まれて、炭治郎は如何したら良いか判らず、両手を宙に浮かせたまま抱きしめられていた。不躾に女性に触れてはならないと言う母の教えが、炭治郎の両手を惑わせた。えらいぞ、炭治郎!君は紳士的だ!隙あらばやってくる妖怪・ヨメニコイコイ レンゴクファミリアとは大違いだぞ!
こうして、姉弟子と弟弟子は出会ったのであった。
其れから半年の間、瑠璃子は時間を見つけては炭治郎の元に通う様になった。
柱である以上、多忙であるが、何とか時間を作り、嬉しそうにちょくちょく出掛ける瑠璃子の様子に、一時期鬼殺隊では「遂に海柱様に恋人が!?」「あの炎柱、遂にやりやがったか!?」「母ちゃんに恋人なんて俺は認めねぇ!」「誰だ!相手は誰なんだ!」とか色々噂が立ったが、瑠璃子は知らない。後、炎柱とか風柱とかがちょっと荒れたとかなんとか。事情を知っている錆兎はちょっとだけ優越感に浸っていた。
そして、今日も瑠璃子は炭治郎の元にいた。
「炭治郎ちゃーん、おにぎり以外で食べたいものはある?お姉さん、作ってあげる」
満面の笑みでそう聞いてくる瑠璃子に炭治郎はちょっぴり照れながら、
「その、作ってくれるだけでありがたいです。瑠璃子さんはお料理上手だし…」
「あらまぁ!お上手!お姉さん、撫でちゃうわぁ」
なでなで
「え、えへへ…」
半年の間に、瑠璃子のなでなでとぎゅっぎゅに若干慣れ始めた炭治郎だが、まだまだちょっと恥ずかしい。
でも、気持ちいいので、もっとして欲しいのも本当だった。
「うふふ、おにぎり冷めちゃうから早く食べましょう」
「はい!」
もきゅもきゅとおにぎりを食べる炭治郎。瑠璃子はリスの様に頬張る弟弟子の姿に(可愛い可愛い可愛い)とエンドレスで内心叫ぶ。
おにぎりを全て食べ終わり、お茶を飲んだ所で、炭治郎は家族の事を話し始めた。弟が三人、妹が禰豆子を含めて二人。
次男の竹雄と次女の花子はしっかりしてて、三男の茂と四男の六太はまだちょっと甘えん坊。母の葵枝は実は石頭だった、とか楽しそうに話す炭治郎に瑠璃子は笑いながらうんうんと相槌を打っていた。
―――少し前に聞いたが、炭治郎の家族は、妹である禰豆子を除いて全員殺されてしまったそうだ。
父親・炭十郎は其の前に病で亡くなっていて、母と炭治郎・禰豆子を含めて六人の兄妹、計七名で山で炭売りをしながら生計を立てていたそう。
だが、小さいながらも幸せな生活は、奴の、鬼舞辻無惨の出現により壊れる。
家族は殺され、禰豆子は無惨の血を浴びて鬼化。任務で来ていた義勇が禰豆子を斬ろうとしたが、炭治郎と禰豆子に何かを感じ取り、刀を下ろした。そして義勇の紹介で鱗滝の元に来た、と。
(―――― 鬼舞辻無惨…)
瑠璃子も鬼殺隊も長年追い求めている正体不明の鬼の頭領。瑠璃子の、両親の仇。
「それで、禰豆子は今寝てるんですけど、町で評判の美人だったんです」
「うんうん」
「きっと起きたら瑠璃子さんとも仲良くなれます。禰豆子は妹だけど、長女だったから、瑠璃子さんみたいなお姉さんが欲しかったと思うんです」
「うん、うん…」
「だから、だからです、ね…」
「炭治郎」
瑠璃子は名前を呼んで、炭治郎を抱きしめた。そっと頭に手を乗せて、胸に顔を押し付ける。
「る、瑠璃子さっ」
「頑張ってる、頑張ってるね」
空いている片手で、炭治郎の背中をぽんぽんと叩く。
「良い子、炭治郎は良い子。ねぇ、炭治郎」
――――――― 怖かったね
其の一言で、炭治郎の赤みがかった目からぽろり、と涙が零れた。
そう、怖かった。
家族も殺されて、禰豆子も鬼になって殺されかけて、安心する事が出来なくて、鬼殺隊に入る為に厳しい修行にも耐えて。
―――――― 本当は、泣き叫びたかった。
「 泣きなさい 」
「 泣いて良いの 」
「 これから理不尽な目にいっぱい遭うわ 」
「 でもね 泣く事は決して悪くないの 」
「 泣いて泣いて泣いたら 笑いなさい 」
「 そしたらきっと明日は強くなれるわ 」
「 悲しみも怒りも喜びも糧とし 明日を生きなさい 」
「 死ぬ為に強くならいで 明日を生きる為に強くなりなさい」
「 願いを叶える為に 強くなりなさい 」
「 私が応援してあげる 励ましてあげる 手を握ってあげる 」
「 今日はいっぱい泣いて 良いよ 」
―――――― 其の日、赫灼の子は瑠璃色の人の腕の中で、泣いた。
*
―――――― 目を閉じれば、何時でも思い出す。あの愛しき日々。
美しい人だった。
どんな女よりも美しい、正に輝夜姫の化身たる、其の人は『瑠璃色』の瞳をしていた。
白魚の手で触れられるのが好きだった。
桜色の唇から紡がれる言葉が好きだった。
あの、柔らかな笑みが愛しくて愛しくて。
『無惨』
嗚呼、名前を。もっと名前を呼んでほしい。
『無惨、こっちへいらっしゃい』
はい、今其方へと向かいます。
『無惨、無惨。私の可愛い無惨。愛しているわ』
えぇ、私も愛していますとも。誰よりも貴女を愛しています。
『ねぇ、無惨。何時か私を見つけてね』
必ず、見つけます。
そして、今度こそ貴女と永遠を――――――――
「―――――― もう二度と、あの手を離すものか」
嗚呼 アレが憎い!!!!!!!!!!!!!
アレさえいなければ!!!あの人は私の手を離す事などしなかったのに!!!!
憎い憎い憎い!!!!!
嗚呼!恨めしや!!!!
――――――― ワ●●●!!!!!
・鳴滝瑠璃子
あ~~~~~弟弟子が可愛いんじゃ~~~~な海柱。お料理上手。得意料理はおうどんだったりする。
瑠璃子のたわわおっぱいは顔を埋めると宇宙が見えるとか見えないとか。
・炭治郎
マジで良い子。どうやったらこんな可愛いくて素直な少年になるのか聞きたい、真面目に。
瑠璃子が綺麗なので、照れちゃった。あと胸の中で泣いちゃった長男。甘えるのが下手。仕方ないもんね、長男だもんね。
本当にね?この子が何したん?竈門家が何したん?幸せに暮らしてただけやん?弟妹とお母ちゃんと暮らしてただけやん?なにも悪くないやん?
結論:無惨が悪い、有罪。
・鱗滝おじいちゃん
久々の甥孫にぽわぽわしてる。瑠璃子が事前に手紙を送っていたので、瑠璃子の好きな山菜とかいっぱい取ってきた、めっちゃルンルンで待ってた。いっぱいお食べ。
・禰豆子
お母さんの匂いがする…すやぁ…(´ω`)
・無限城の主
憎くて憎くて仕方ない。嗚呼、許さないぞワ●●●!!
『コメント』
インフルエンザの注射を受けました…ねむねむ…注射を打たれると眠くなっちゃう…ねむねむ…感想、評価などいつもありがとうございますぅ…ねむねむ…(´ω`)