鬼殺の海柱   作:ちまきまき

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コソコソ会話文 【蝶々】

瑠「毎回思うのだけど、蝶屋敷って名前の通り蝶々がいっぱいねぇ」
し「いつの間にかいるんですよ。如何やら屋敷の花の蜜が気に入っているみたいです」
瑠「そうなのねぇ。あらあら、近寄ってきたわ」
し「瑠璃子さんは金木犀の香りがするから花と間違われてしまったんですかね?」
瑠「あらあらまぁまぁ、それはうっかりさんねぇ。あら?あらあら?なんだかいっぱい集まってきて…」

ふぁさぁ(蝶に群がられる瑠璃子)

瑠「あーれー」
し「る、瑠璃子さん!?姉さん!紫陽花さん!来てくださーい!」

  


第三話 柱三人娘のがーるずとーく

 

今代の柱には三人の女性がいる。

 

一人は『蟲柱(むしばしら)胡蝶(こちょう)しのぶ。可憐且つ華奢な女性で、其の小柄な体躯故に、柱の中で唯一鬼の頸を切れないと言う弱点を持つものの、薬学に精通し、鬼が嫌う藤の花から『鬼殺しの毒』を作り上げた唯一無二の才を持つ。

彼女の屋敷『蝶屋敷』は隊士達の診療所として機能し、何人もの隊士の命の管を繋いできた功績は見事で、鬼殺隊の長たる御館様も目を見張るものだ。

 

二人目は『恋柱(こいばしら)甘露寺(かんろじ)蜜璃(みつり)。元は今代の炎柱(えんばしら)煉獄(れんごく)杏寿郎(きょうじゅうろう)の継子であったが、其の独特過ぎる呼吸と戦闘スタイルから早々に独立。『炎の呼吸』の派生である『恋の呼吸』を極めた。

見た目も可愛らしく、社交的な性格で男性隊士からも大変人気である。然し彼女は『恋』を冠する柱。惚れっぽい性格故に常にあらゆる人物にときめいており、其のときめきが原動力とも言える。またとってもいっぱい食べる食いしん坊な女の子でもある。

 

そして最後、三人目は『海柱(うみばしら)鳴滝(なるたき)瑠璃子(るりこ)。義母は元『氷柱』で、取得する者が少ない、鳴滝家が作り上げた『海』の呼吸を使用する、名前と同じ瑠璃色の髪を持つ女性だ。

因みに今代の女性柱の中で唯一の成人済み。穏やかで面倒見の良い性格で、個性の強い柱の中でも常識人であり、柱の纏め役としても、姉役としても重宝されている。

元柱である鱗滝左近次の甥孫である為、彼の弟子であり、今代の水柱(みずばしら)二人組、冨岡(とみおか)義勇(ぎゆう)鱗滝(うろこだき)錆兎(さびと)と行動する事が多い。

 

男所帯の鬼殺隊において、数少ない、然も最高幹部である柱。其れ等もあってか、女性柱達は仲が良く、集まる事も多々ある。

 

今回の会場はしのぶの蝶屋敷。

おやつは瑠璃子の継子が持たせてくれた羊羹、お茶は蜜璃が持ってきた抹茶。お茶とお菓子を準備して、机に置き、三人が座ってから会は始まる。

 

柱三人娘だけの特別な女子会の始まり始まり。最初に口を開いたのは瑠璃子だった。

 

「こうして集まるのも久しぶりねぇ。祝言以来かしら?二人とも元気そうで何よりだわ」

「そうですね。此処最近は忙しくて、顔を合わせる事も少なかったですし」

「しのぶちゃんも瑠璃子さんも元気そうで本当に良かった!」

 

乙女三人の笑顔の花が咲く。

因みに此の会は男子禁制の花園。故に瑠璃子の継子は男子なので、厳選したお土産だけ渡してお留守番をしている。とっても気の利く継子なのだ。

 

「其れにしても、しのぶちゃんのお姉さんと瑠璃子さんのお兄さんの祝言、とても素敵だったわね!二人とも凄く綺麗で私感動しちゃったわ!」

 

頬を紅潮させ、嬉しそうに語る蜜璃にしのぶと瑠璃子は礼を言う。

 

 

―――つい二ヵ月程前にしのぶの姉・胡蝶カナエと瑠璃子の義兄・鳴滝(なるたき)紫陽花(あじさい)祝言(しゅうげん)を挙げた。

 

 

カナエは元花柱であり、紫陽花は甲の隊士だったが、四年前の『上弦接触事件』の際に血鬼術の影響で肺を損傷し、隊士としての生命が絶たれた。然も紫陽花は後遺症により、刀を持つ効き手の左手を麻痺してしまった。

この事件の際に、瑠璃子は全治二ヵ月以上の重傷を負ってしまい、義妹を生死の境に落としてしまったのは自分の責任だ、と落ち込む紫陽花の左手になるとカナエは誓い、そんな心優しいカナエに惹かれていた紫陽花は彼女と結ばれた。

 

雲一つ無い、素晴らしい晴天の下、白無垢に包まれて愛する人と幸せそうに微笑む姉。鬼に両親を殺され、まだ壊されていない誰かの幸せを守る為に頑張っていた優しい姉が、愛する人と共に歩んでいる。其の姿を何度想像しただろう。そして、其れが現実となった。その嬉しさにしのぶの目には涙が浮かんだ。瑠璃子は微笑んで彼女を抱きしめた。

因みにこの式の招待客として現・柱達とお館様御一行をご招待し、しのぶよりも蜜璃の方が泣いてしまったのは良い思い出だ。

 

互いの兄姉が結婚して事により、しのぶと瑠璃子は法律的に義姉妹になっているのだが、其の関係は今までと変わらず、親友同士である。

 

「まさか兄様とカナエさんが結ばれるなんて……何と言うか不思議な気分。兄が世話になります」

「此方こそ姉がお世話になります。と、言うか瑠璃子さんは知らなかったんですか?姉さんが紫陽花さんの事、好きだったの」

 

瑠璃子は頭を左右に振る。

 

「いいえ。そう言う素振りを見せない人だから」

「まぁ、気づかないのもしょうがないです。だって姉の方が惚れたんですし」

「あらあらまぁまぁ」

「きゃっ!そうなの?」

「ええ、柱になる前に一度助けてもらったそうで。以来頭から離れなかったと」

「きゃ―――!素敵!キュンキュンしちゃう!」

「あらあらうふふ、『鬼殺隊の女神』と崇められるあのカナエさんの恋愛事情なんて貴重ねぇ」

 

貴重な話に笑みが増す瑠璃子。素敵な恋愛事情にときめきが止まらない蜜璃。

 

カナエは其の麗しい容姿に心優しい性格から『鬼殺隊の女神』『天使』と男性隊士から今も崇められているが、『紫陽花と結婚した』と話が広がった際には、多くの隊士が涙の海に沈んだ。

其れを見て旦那の方は鼻で笑った。はっ!ざまあみろ!カナエは俺の嫁になったからな!手を出したら承知しないぞ!と言う意味である。鬼畜である。

 

すると、しのぶは瑠璃子の方を見て、意味深そうに微笑んだ。

 

「其れよりも、私は瑠璃子さんの方が気になりますねえ」

 

突然の話題の方向転換に瑠璃子は「はぁい?」と首を傾げる。

 

「聞きましたよ、鱗滝さんと逢引したと」

「ええ!?錆兎さんと!?ど、如何言う事なの瑠璃子ちゃん!」

 

詰め寄る二人に、瑠璃子は一切れの羊羹を一口食べて飲みこむと、「えー?」とまた首を傾げた。

 

「其の日ねぇ、私も錆兎も丁度非番だったし、錆兎が『此の頃、任務で忙しかったから気分転換に出掛けませんか?』って言われて行っただけよぉ?一緒にご飯食べたわ。美味しかったわぁ、お魚定食~」

 

と、のほほんと言った瑠璃子は、またもや羊羹を食べる。もきゅもきゅ。「このお羊羹美味しいわねぇ」と呑気な海柱に、蟲柱と恋柱は身を寄せあってコソコソと話し合う。

 

「錆兎さん、休み絶対合わせているわよね?絶対そうよね?」

「間違いないでしょう。其れにしても誘っておいてご飯食べるだけって…どれだけヘタレなんですか?」

「駄目よ、しのぶちゃん!錆兎さんだって頑張っているのよ!ちょっと、其の…奥手なだけで!」

「片思い歴十年近くですよ?鬼殺隊にいる以上、必ずしも一緒とは限りませんが……長くありません?普段あんなに「男らしくあれ」と言っている鱗滝さんがですよ?」

 

蜜璃は「あうぅ」と言葉に詰まった。

 

鱗滝(うろこだき)錆兎(さびと)。今代の水柱・冨岡(とみおか)義勇(ぎゆう)の親友にしてもう一人の水柱、そして同期同門の青年の名だ。

妹弟子である真菰(まこも)とは同姓ではあるが、血縁関係は無い。でも家族ではある。

宍色の髪に、右側の口元に大きな傷があるが端正な顔立ちをしており、実力も人気もあり、性格も真っ直ぐな錆兎は、二歳年上の瑠璃子に一途な片思いをしている。何と十年近くも。

 

 

詳しくは一話参照だ。えっ?メタい?うるせいやい!

 

 

…こほん、話を戻そう。

 

 

嘗て錆兎が受けた最終選別試験で、鱗滝一門の敵である手鬼との戦闘で刀を折ってしまい、あわや喰われかけたが、瑠璃子が泣く姿を思い出して何とか逃げ、生き延びた。其れ位、錆兎にとって彼女は特別、と言う事だ。

後に鱗滝一門に弟子入りし、鬼殺隊員となった妹弟子・真菰に錆兎は言われた。『錆兎って案外ちょろいよね。一途だけど』と可愛らしい笑顔で言われて、錆兎は飲んでいたお茶を噴き出したとか。

そんなこんなで頑張って瑠璃子に振り向いてもらおうとしている錆兎である。

頑張れ錆兎!フレフレ!鱗滝一門は貴方を応援します!ただし敵は多いぞ!狭霧山にいる過去の兄・姉弟子は応援を常に送っている。

 

「でも瑠璃子ちゃん、冨岡さんとも仲が良いわよね」

 

蜜璃の何気ない言葉に、しのぶの頬がぴくりと僅かに動いた。

 

「駄目です。冨岡さんは瑠璃子さんに甘えているだけです。義理とは言え、あんな天然ドジっ子に姉を渡せません」

 

(しのぶが姉と呼んでくれたわ!)と瑠璃子が嬉しそうにしている傍らで、しのぶの義勇への愚痴は止まらない。

 

「大体、真面に返事も会話も出来ないしない、そんな殿方に瑠璃子さんは渡せません。せめて瑠璃子さんと同じ強さで、お金があって、浮気しなくて、苦労させない人ならまだしも、冨岡さんは論外です論外。あの人は瑠璃子さんがきちんと言葉を理解してくれて、世話を焼いてくれるから甘えているだけですよ。えぇ、そうです、きっとそう。むしろ私が瑠璃子さんを娶ります。必ず幸せにしますよ」

「し、しのぶちゃん大胆!瑠璃子さんに告白なんて…!禁断の恋ね!素敵っ!」

「怪我した時に飲むお薬、減らしてくれたら考えるわぁ」

「無理です」

「そうよねぇ」

 

こうして、女子会は時間と共に進んでいった。

 

因みに瑠璃子はしのぶに言っていなかったが、今日の夕食は義勇と食べる予定であった。え?何で言わなかったのって?

 

 

…察してくれ。

 

 

 




・鳴滝瑠璃子
のんびりお姉さん。どんな事にも動じない、女性柱唯一の成人済み。
しのぶちゃんと義理の姉妹だよ。百合になりそうだよ。でも危機感ないよ。その内ぺろりと食われそう。

・胡蝶しのぶ
カナエお姉さんは救出されたけど、代わりに親友兼義姉が死に掛けボロボロで帰ってきたから発狂しかけたよ。
でも息吹き返したので、「取り敢えず縛っておきましょうねー」スタイル。縄常備な胡蝶家のメインウェポンだよ。
百合に足突っ込んでる。錆兎はまだしも冨岡(幼女)にはとても厳しい。こぶしシュッシュ。
取り敢えず姉と親友傷つけた童磨死ね勢。

・甘露寺蜜璃
鬼殺隊のアイドルだよ。とっても可愛いよ!可愛くて可愛くて書き手は大好きだよ!瑠璃子お姉さんも大好き甘露寺ちゃんだ!!

・胡蝶カナエ
瑠璃子に救われた人その1だよ。でも肺がやられて特殊な呼吸が使えなくなっちゃった。でもでも普通の呼吸は出来るし、何より好きな相手と結ばれてハッピーお姉ちゃん。しのぶは彼女の白無垢見てあまりの美しさと嬉しさに嬉し泣きしちゃった。幸せになってね!

・鳴滝紫陽花
瑠璃子の義理のお兄ちゃん。オリキャラだよ。童磨の野郎からカナエちゃん助けようとしたけど、自分も危なくなった。でも瑠璃子が来て助かった。義妹がボロボロで帰ってきて発狂しかけた人その2(その1はしのぶ)。
生きてるけど、童磨の野郎の所為で肺にも左手にも後遺症が残っちゃった。でもカナエが左手になってくれると言ってくれたからキュンッ。告白されちゃったからもっとキュン。あれ?胡蝶ってこんな可愛かったっけ?結論:嫁になった。
取り敢えずうちの嫁とうちの妹傷つけた童磨死ね勢。

・鱗滝錆兎
瑠璃子に片思い歴十年近くの一途さんだよ。義勇と二人で水柱。ぷいきゅあかな?
片思い歴長くて、しかも童貞だから手を繋ぐ以上の事が出来ない。純粋かな?
あと、義勇が瑠璃子の後ろをちょこちょことついていくのが可愛い。モンペかな?

・義勇&真菰
幼女確定の水柱と兄弟子チョろいなーと思った妹弟子。
義勇は兎に角、錆兎応援派だが、いつフラグが立つか分からない。何故って?フラグは急にやってくるものだからだよ。

 

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