鴉と黒ウサギが異世界から来るそうですよ!?   作:黒須 紅

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相性が悪いようですよ?

どうやら今日は十六夜の月らしい。いつもは見たりしない月を眺めるなどとは実は俺も結構子の状況を楽しんでいるようだな。そんなことを考えながら月光は屋敷の外へと向かう。しかしそこにはすでに先客が居た。

 

「ん?あぁ紅かよ。お前もアレに気づいてたのか?」

「あぁ俺はあの女どもと違って有能だからな。お前も俺の足元程度には優秀なようだ」

「ヤハハ誰が誰の足元だと?そんなステキな挑発を受けたのは産まれてこの方初めてだぞ、オイ!」

 

そう言って十六夜は足元の石を軽いホームで投擲した。キャッチボールでもするかのように投げられた石は、ホームからは考えられないほどの速度で月光の横を通り後ろの木陰に突き刺さる。

 ズガァン!と火薬庫に火がついたような轟音と共に体の一部に獣の特徴を持った者達が宙を舞う。

 

「何事ですか!」

「なに、そこの畜生以下の馬鹿が俺が有能過ぎるあまりに自分が無能であることに気づいてしまってな。癇癪を起こしてそこの木々にに八つ当たりしたところだ」

「誰が畜生以下の馬鹿なんだ?ここには俺と御チビと天才を自称する無能しか居ないわけなんだが」

「すまんなガキ、訂正だ。俺の有能さを理解できんほど無能だったらしい。しかしコレでは畜生とは呼べんな……よし、貴様はコレからゾウリムシ以下のクズだ。さっさと土下座して許しを請えよ」

 

互いの言葉にうっすらと笑みを浮かべる。十六夜は拳をあたく握り締め、月光は腰の凶剣(スペル・エラー)を抜く。

 

「どちらが上か教育してやる」

「ヤハハハハ!わざわざ自分から負けに来るたぁ、サービス精神旺盛だな」

 

両者足に力を溜める。そしてその力を解き放ち……

 

「「死ね」」

 

同時に駆け出した。十六夜は第三宇宙速度で月光へと迫る。速い、普通の人間では認識すらできずに死ぬであろう速度で繰り出される右拳。しかし……

 

「祓え凶剣(スペル・エラー)

 

あっさりと拳が放っていたであろう衝撃が凶剣(スペル・エラー)によって吸収される。十六夜はそれに舌打ちをして左の拳をがら空きの胴体へと放つ。剣を振りぬいた月光にその拳を避けるすべは無くその拳は月光を吹き飛ばす。

 

「ちょっとお前ら侵入者居るってこと忘れてない?」

 

前に大兎が十六夜の拳を止めた。

 

「……奴隷の分際で止めるのが遅いぞ」

「こいつうぜえええええ。って侵入者をどうするかって話だよ」

 

酷く不満そうな顔で月光が大兎に文句を言う。それを笑いながら流す大兎。そして冷や汗をたらしながら大兎を睨む十六夜。

 

「鉄、お前何時から居た?」

「ん?お前ら二人が喧嘩始めたのが見えたから別館からわざわざ走ってきた」

 

その言葉に顔を引きつらせる十六夜。それも当然のことで彼は大兎がいつこの場に来ていた事に気づかなかったのだから。

 

「ヤハハハハハ!おもしれぇ、おもしれぇぞ鉄!いつかテメェをぶっ飛ばしてやるぜ」

「はは、月光に勝てないんじゃ無理だっての。いいからさっと侵入者の対応しようぜ?さっきから見てるジンも唖然としてるしさぁ」

「おい待て蛆虫。キサマその言い方では俺のほうが弱いみたいだろうが!」

「え?事実だろ?てか誰が蛆虫だっての、ぶっ飛ばすぞ?」

「お前に決まっているだろ阿呆が。……しかし下等生物の分際で天才に楯突くとはいい度胸だ。身の程をわきまえろ、殺すぞ?」

「はは、やってみろよ、クソ俺様生徒会長君?」

「やってみろよ、じゃありません!これは一帯どうゆう状況なんですか!?」

 

 やっとアチラ側から帰ってきたジン。彼の様子に苦笑しつつ大兎は十六夜のほうを指差した。その意図を察したジンは十六夜と共に侵入者の下へと歩いていった。

 その後十六夜が人質の子供たちがすでに死んでいることを暴露したり、ジンを売り出して『ノーネーム』が『全ての魔王を撃退するコミュニティ』であると大見得を切ったり、十六夜が明日のゲームで負けるとコミュニティを脱退するなどという事が決まってこの場はお開きになった。

 

「負けたら、だと?この俺が負けるわけが無いだろう」

「むしろテメェが居るから負けそうなんだが?」

「ハッ!負け犬が何を言っても聞こえんな。いくら俺が天才で会っても犬語は習得していないんだ。それも負け犬語とあればなおさらな」

「誰が負け犬だコラァ!鉄が来なけりゃあのまま喰らってたくせによ」

「お前ら子供が寝てんだから静かにしろよ。仲が良いのは分かったからさぁ……」

「「あ゛ぁ゛!?何所が!」」

「そういうところが」

 

などと他愛の無い話をして館へと入っていった。

 

――――

 

 そして翌日。彼等はゲームのフィールドである『フォレス・ガロ』居住区まで来ていた。

 

「虎退治は二度目だな~。あん時の虎は美雷が乗り回してたし」

「うん?あぁリルーデか」

 

 彼等は生徒会の業務という事で学校のパンを毎晩1つ盗み食いしていた虎を退治したことがある。そのことを大兎が思い出したのだ。

 何故か騒がしいジンと黒ウサギを無視して月光はギアスロールを読む。読み終わった後彼は小さく微笑んだ。

 

「ほう、あの虎も中々考えるじゃないか」

 

『ギフトゲーム名 〝ハンティング〟

 

 ・プレイヤー一覧 久遠 飛鳥

          春日部 耀

          ジン=ラッセル

          紅 月光

          鉄 大兎

 

 ・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 ・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武器でのみ討伐可能。指定武具以外は〝ギアス〟によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能。

 ・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 ・指定武具 ゲームテリトリーにて配置

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ノーネーム〟はギフトゲームに参加します。

                                〝フォレス・ガロ〟印』

 

「さて、と。虎狩でもしますかね」




二人ともプライドが高いから絶対こうなると思うんですよ。多分飛鳥ともこうなるんじゃないかな?
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