ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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修行

  ―学園の会議室―

 

エルの呼びかけで集められたボスボロットの修理に関わる学園の

関係者たちに資料が配られていた

 

「それでは みなさんお集まりいただきありがとうございます

これより先の模擬試合で判明されたボスボロットの弱点を補うための強化改造と

シルエットギアの改良会議を行います」

 

「おお いいぞ いいぞ!」

 

会議の中心となったエルにボスが上機嫌で乗っかっている

 

「エルや・・・一応言っておくが

国王陛下からのご命令は先の陸皇事変で功績のあった

ボス君の保護とその機体の修理じゃ

強化改造まではやりすぎではないか?」

 

「いえ学園長 たしかに親方達ナイトスミスのおかげで

模擬試合では一応動けることは確認できましたが

ボスボロット本来の性能を取り戻したとは言い切れません

それに今回の修理を通じて学園に素晴らしい技術がもたらされました

これはひいては国益にもなるものです

さらに国家の恩人の機体の強化や操縦者を守る為のシルエットギアの改良は

陛下のお心にかなうことと確信しています!」

 

「・・・ハア まあ陛下であればそうであろうな」

 

ため息とともに諦めたように学園長が同意を示した

 

「ボスボロットの弱点か・・・

パワーがあっても距離をとって法撃をうたれると

防戦一方で攻撃手段がなかったな」

 

「そもそも素手じゃあ近接でもキツいわよ

魔獣相手ならともかく武器を持った相手なんだから」

 

魔導兵装(シルエットアームズ)を使わざるを得ませんね」

 

「でもエル君、

ボスさんは魔法使えないよね?」

 

「さっぱりつかえねえだわさ」

 

「そこで僕にいい考えがあります

ボスボロットには胴体部に武器を入れるためか余裕があります

ここに腕を仕込み 杖を持たせます」

 

    ザワ・・・

 

「ちょっと待て銀色坊主

百歩譲って胴体に腕を仕込んだとする

設計図には確かに杖と腕を仕込むだけのスペースはあるからな

だがボス本人が魔法を使えなければただの杖だ

それに三本目の腕なんてどうやって操作するんだ?」

 

「元々ボスボロットの操縦席は複数人が乗ることを想定されてます

ですから僕が乗って操作します!」

 

「それってエル君が乗りたいだけでしょ!」

 

「そこはあえて否定しませんが

ボスボロット修理用に国から支給されて結局使わなかった

エーテルリアクタをこの機会に使えば十分可能な範囲です

まあマギウスエンジンはシルエットギアに使ってしまいましたから

制御がフルコントロールなので補助操縦者がいないと使えない兵装ですね」

 

「ボスボロットは機体の維持にエーテルリアクタを必要としねえから

その分を丸々法撃に使えるとなりゃかなりの威力が期待できるな」

 

「エルなら上級魔法も自在に使えるし

ボスさんの攻撃に合わせてバンバン撃つこともできるってことか」

 

「そりゃ手強いなんてもんじゃないね

実際戦ってみたエドガーならどうする?」

 

「正直模擬試合ではボロットのパワーをいなすのが精一杯だった

あの状態でパンチと同時に法撃まで加わったら・・・

相打ち狙いでシールドバッシュか いや それでも・・・」

 

「相当厄介そうね でもそんなこと本当にできるの?」

 

「ではお手元の資料をご覧ください

仮にサブアームと呼称しましょう これを・・・」

 

エルが心から楽しそうにヒートアップしながら計画を発表していくたびに

ボスは調子に乗り 対照的にそれを実行するナイトスミス達

それを相手にする可能性があるナイトランナー達

それを許可し責任を持つ学園長が暗くなっていく

 

「よっしゃ こりゃじっとしてられねえ!

早速やろうぜ!!」

 

「お おう こうなりゃやるぜ!

銀色坊主の悪魔みてえな発想もボロットならいける!」

 

「親方・・・ まあわかる気がする

エルの無茶ぶりもボロットならやってくれそうな感じだよな」

 

「ボロットがナイトスミス達から謎の信頼を受けてるね」

 

「非常識のかたまりみたいな存在だからな

常識を投げ捨てるエルネスティとは相性がいいのだろう」

 

「ああ・・・

エル君がまた丸くてボロボロした物に夢中になってる」

 

 

 

    ―工房―

 

「ストランドクリスタルティシューでサブアームを作るとして

まずは・・・ボスこの胸部って開きますか?」

 

「おう ちょっと開けてくるぜ」

 

「僕もいきます!」

 

ボスに続いてエルもボスボロットの頭部 操縦席に乗り込んでいく

現在ボスボロットの頭部の中に入ったことがあるのは

ボス本人と子分特権を主張したエルとボス自身が許可したアディのみである

もっともそれはエルが機密保持の名目で中に入られないように手をまわした結果であり

ボス本人はあまりこだわっておらず出入口に鍵などもない

だが親方を含めナイトスミス達は好奇心を抑え中に入ることはない

またボスやエルが不在の時は学園から警備員がつき侵入者を阻んでいた

そんな一種の異世界となったボロット操縦席での作業がひと段落したところで

 

「ふ~ こんなところか

なんか小腹がすいただわさ」

 

「そうですね まだ夕食まで時間があります おやつをもってきましょうか」

 

「んにゃ あれでも食べるだわさ

これに水を入れてくれ」

 

ボスはエルにやかんを渡し電気コンロを用意した

 

「それは・・・  すぐに行ってきます」

 

エルが用意した水を沸かし

ボスがとりだした2つのカップラーメンにエルが

 

「ボス 僕にもひとつもらえますか?」

 

「おお いいぜ ちょうどこの2つで最後だからよ

食っちまおうぜ」

 

お湯を注いで3分待つ・・・

 

「おめえもカップ麺好きか?」

 

「どうでしょう? 前世では結構食べてましたけど」

 

「日本人だったんだろ

やっぱりラーメンが懐かしいんだわさ

おれさまも子分のムチャやヌケとバイクで

色んなラーメン屋に行ったもんよ」

 

       グ~・・・

 

ボスの腹時計が時間を告げた

 

「おっしゃ食おうじゃねえか」

 

「はい いただきます」

 

   ズズ――・・・

 

「んぐんぐ・・・ どうしたエル?」

 

エルは一口二口食べてボーッとしていた

 

「いえ 前世で仕事中に徹夜が続いていたとき

給湯室でこれを食べているときだけは息が抜けた

そんなことをふと思い出してました」

 

かつての社会人の闇に触れ

 

「そういや光子力研究所やロンドベルの

格納庫でもあんな顔した人が結構いたっけ」

 

ボスは苦楽を共にした大人達を思い出した

 

・・・ボスがエルから聞いた前世の話では

どうやらエルがいたのは自分たちがいた時代よりも未来の日本

それも戦争が終わった平和な時代に交通事故で不意な別れだったらしい

そんなエルがラーメンを食べた表情を見て違和感に気づいた

エル、エルネスティ・エチェバルリアは前世倉田翼への未練がない

自分や親友の兜甲児、剣鉄也 愛すべきロンドベルの仲間達が

必死で戦い続けた長い戦争の先に目指したはずの平和な世界に非常に淡泊で

自分たちやその相棒『ロボット』へ激しい執着を見せる

そこに何か納得がいかないものを感じた

そんなエルに 新しくできた可愛い子分に気づいてほしいことができた

そのためには・・・

 

「もうラーメンはねえな

やっぱりおれさまが作るか、

でもラーメンを一から作ったことはねえだわさ」

 

「あ 足りませんか

でも僕もラーメンは一から作ったことはないですし

作り方も知りませんね」

 

エルが通信設備の検索機能でラーメンの作り方を探してみるも・・・

 

   カタカタカタカタ

 

「残念ですが ラーメンの作り方はやっぱり載ってないですね」

 

「おう まあそうだろうな

ん?カップの方に原材料ってのが書いてあらあな

これはいけるんじゃねえか

・・・デキストリンってなんだ?」

 

「あ デキストリンの情報ならありますね

デンプンを加水分解した多糖類の総称です

工夫次第で材料はどうにかなるかもしれません

ただどう作ればいいのかはなんとも・・・」

 

「イッシッシ

上等じゃねえかよ 面白くなってきた」

 

ボスがやろうとしていることはひどく残酷なことかもしれない

奇妙な縁で出会った遠い地にいた自分を慕う同胞に対し

故郷の味で故郷への情を芽生えさせようとするようなものだ

だが それでも・・・

 

「まあラーメンの方はおれさまにまっかせとけ

そっちはあのシルエットギアの方もあんだろ」

 

「そうですね 改善点はいくつもあるのですが

それよりもフルコントロールの訓練用の白型ギア

マギウスエンジンを積んでいない方を高等部の

ナイトランナーのみなさんがあまり使ってくれないんですよ

白型の方が量産しやすく訓練向きなのですが

どうにかなりませんかね?」

 

「あれ着てディーやキッド達が鬼ごっこしてたじゃねえか

あんな風に遊びながらできる自主練をやろうぜ」

 

「なるほど 自主練なら一人でできるものがいいですよね

的当てとか?」

 

「お ボウリングとかどうだ?」

 

「いいですね ピンとボールは適当に用意できそうですし

ちょっと提案してみますね」

 

   ―工房外訓練所―

 

 ガシュン

  ブン!

 ゴロゴロゴロ・・・ パッコーーン

 

「おお あたった 流石エル

ピンが結構倒れたな」

 

「転がして当てるんだね

私もやってみていいエル君?」

 

「勿論 ボールの穴にギアの指をはめて投げてください

結晶筋肉の動きを意識して繊細なコントロールを磨く練習ですから」

 

「うん わかった! てい!!」

 

  ガション!

   ビュッ

 ゴロゴロゴロ・・・ カーン

 

「あ 一本当たった

ところでエル 練習はいいけどピンを倒す意味は何かあるのか?」

 

「よくぞ聞いてくれました!

あれはですねべへモス戦でのボスの活躍の再現なのですよ

ボロットがとっさに仲間の前に割り込んでべへモスの攻撃からかばった

あのシーンを自分の手で!」

 

「おれさまの活躍がついにゲームになったわよん」

 

「成程あのピンはあのときの我々で

ボールはボロットてことか」

 

「それを聞いちゃ黙ってられねえな

次は俺に投げさせてくれ」

 

「ディートリヒ先輩 ゲパード先輩

ちゃんと白型ギアでやってくださいね」

 

「おう!

やっぱり身体強化が結構難しいな よっと」

 

  がしょん

   ぶん

 ゴロゴロゴロ・・・

 

「あ 外れた」

 

「ガーターだなこりゃ」

 

「おし もう一回!」

 

「私もやるぞゲパード!」

 

「あれは・・・一体何をやってるんだ?」

 

「ん?何か新しいゲームかしら?」

 

「先輩方が盛り上がったおかげで他の先輩達も集まってきましたね

これは予想以上にウケるかもしれませんよボス」

 

「ウケるに決まってるだわさ

おーい! おれさまもまぜてくれー!」

 

ボウリングはこれ以降白型ギア専用競技として学園内で流行し

白型ギアも多数量産されることになり

シルエットギア開発とフルコントロール訓練が一気に進むことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ―?????―

 

「ようやくスパロボ30に俺様がでたー!!」

 

「・・・ですが残念ながら声がついてないようです

どうやら今作での参戦は・・・」

 

「ありゃ~ 折角あっちの俺様歳をとって

ますますハンサムになったてのに戦わねえのかよ!

甲児や鉄也はバリバリやってるのによう!

エルが羨ましいぜ エルロボット メチャクチャつええしよ!」

 

「たしかに今作は僕の相棒は強力で序盤から使えましたが

僕からすればこれまでほとんどの作品に参戦しているボスの方がうらやましいですよ

作品によってはマジンガーにも乗れますし」

 

「DLCってやつで でれねえのかよ」

 

「あ 会話イベントにボスが・・・」

 

「結局作らねえのかよボスボロット!

折角ムチャやヌケが提案したのにあっちの俺は何言ってんだ!?

シローが戦ってるなら尚更おれさまも戦いてえよ!」

 

「でもボスのサポーター能力すごい優秀ですよ

1ターン全味方ユニットに鉄壁はこれから重要です

特にシルエットナイトは小型で耐久力に難がありますから恩恵は大きいです

それに今回は前作と違いずっと同行するみたいですし

ある意味前線維持のみ参戦の陛下よりも優遇されているとも・・・」

 

「・・・しょうがねえ

こうなりゃおめえたちを守るためにアストナージさん側で頑張るか

『ぼすらーめん』も食ってけよ」

 

「これは僕のロボット『魂』が連発できそうですね

ボス合流に備えてとっておいたPPと資金がありますし

ああ おかげでますます最強に近づいていきます僕の相棒・・・!」

 

「おめえ本当に楽しそうだな・・・」

 




スパロボ30ボスボロット参戦ならず・・・
劇場版マジンガーZ / INFINITYでボスボロット活躍したのにTに続いて未参戦とは残念
機体余るしパイロット参戦だけでもしてくれたら

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