ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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ド根性

   ―ダリエ村―

 

「全隊全速で村に入り込んだ魔獣を全て打ち倒し

村人を救出する!!

避難所である中央の砦に近づけるな!!!

魔獣共めがっ!村にこれほどの被害を!!

返礼をせねばならんなあっ!!!」

 

ボスボロットと朱兎騎士団一個中隊(団長機含め10機)が

村を襲う13匹の決闘級魔獣を含む多数の魔獣の群れと激突した!!

 

「中央の砦付近の魔獣から先に片付ける!

半数は中隊長が率い南側を防衛!

残りは北側だ 我がハイマウォートに続け!!!」

 

   \\了解!!!//

 

「ボス殿は遊撃を!ただしその騎士の法撃は強すぎる

村への被害を考慮してもらいたい

逃げ遅れた村人が民家に残っている可能性もある!」

 

「まっかせとけ!

どうせエル達がいなきゃ魔法は使えねえ

できるのは体をはるだけよん!!」

 

  ドドドドドドドドド! ガシイン!!!

 

砦の壁にとりついたトラ型魔獣、炎舞虎に組みつき

砦を背にするように立ち回り抑え込んだが

炎舞虎の猛り狂ったような咆哮が砦を震わせ中の住民を怯えさせ

抑えるボスボロットのボディをその吐き出した炎が焼く

 

「安心しな おれさまが守ってやるぜい!」

 

ボスの声が響くと同時に

 

「はッ!!」

 

   グサッ!!

 

中隊長機カルディアリアの操る槍が炎舞虎の急所を貫き仕留めた

 

「おっととと!クマさんこちら手のなる方へ!屁のなる方へ」

 

ボロットは炎舞虎の死体を手近なクマ型魔獣、鎧熊にぶつけ注意をひく

 

    ガブ!

 

目を爛々とした鎧熊に右腕をかじられたボスボロットだったが

砦の前から離れるわけにはいかなかった

 

「たっ たすけてくれ~い!?」

 

「ボス殿!」「ハッ!」

 

左右からカルダトア2機の剣が鎧熊の強固な皮膚を切り裂き倒した

 

「ふえ~ 助かったぜ ありがとよん」

 

全機体が砦を背にぐるりと囲むように布陣した

 

「大丈夫かボス殿!?」

 

「どっこい生きてるド根性!

まだまだいけるわよん!!」

 

右腕を振り回し無事をアピールするボロットに士気が上がる

 

「我らの後ろには民の命がある!!

一匹たりとも通してはならん!!

みな不退転の覚悟を決めよ!!!」

 

   \\了解!!!//

 

朱兎騎士団が陣形を整え更に気炎を上げるも

残った魔獣達は血の匂いに酔い さらに凶暴さを増し

暴虐な津波となって押し寄せた

 

    ―4分後―

 

最後に残った決闘級魔獣である鋭利な棘に身を包まれた鈍竜を

ハイマウォートが叩き潰したところで 手分けをして村の中に残る

中型以下の魔獣を探しボロットのレーダーも使い全て駆逐した

戦いを終えたときにはどの機体も傷だらけになりながらも全機健在だった

 

「ふぃ~ なんとかなっただわさ」

 

引き続きレーダーで村を調べ 砦以外の住民らの生命反応を探したが

結局住民全員の砦への避難は完了していたことと

迅速な魔獣掃討により人的被害はなかった

しかし魔獣の襲撃により多くの住居が踏み砕かれ 家畜の被害も大きかった

 

「どうにか片付いたか・・・

しかし 今回の魔獣は尋常な様子ではなかった」

 

「団長 ここは調査隊を編成し 狂暴化した魔獣の原因を探るべきかと」

 

「確かに ではボス殿

手数をかけるが機体のマナの回復を頼めるだろうか

消耗の大きい機体のみでよいのだが」

 

「おうよ!まっかせとけ!」

 

やや燃費に難がある団長機や中隊長機をはじめ

数体のカルダトアの補給を行った

 

「!?すごいものだな マナゲージが瞬く間に最大値に達した

ブリキの騎士のこの力、聞いてはいたが これほどとは

可能であれば朱兎騎士団に入ってもらいたいぐらいだ

いや それよりも中隊長!ボス殿とともにカザトシュ砦に帰還せよ

そして調査隊と村の防衛再建戦力として1個中隊を率い

現中隊と交代だ

それまでは残った我々で村の再建を行う」

 

「ハ!!」「わかったわよん」

 

戦後処理は朱兎騎士団に任せボスは帰り支度をはじめた

 

「ふい~ 暑くてかなわねえだわさ」

 

戦いを終え 汗だくとなったボスはシルエットギアを脱ぎ

操縦席に残したままになっていたエル達のギアと並べて置き

冷蔵庫から冷えたお茶をだし がぶ飲みした

 

「生き返るぜ~・・・」

 

「ボス殿 強行軍となって申し訳ないが

支度が整えばすぐにでも出発したい

既に昼過ぎ 原因不明の狂暴化した魔獣に

もし夜に遭遇しては 逃げることもままならない」

 

「わかったぜ隊長さん 早速帰ろうぜ

そんじゃ みなさんお先に~」

 

ボスボロットが大きく手を振り村を出た

それに対し朱兎騎士団のシルエットナイト達は敬礼で返し

見送りに出た村人たちは手を振り返した

 

 

 

 

   ―カザトシュ砦 工房―

 

ダリエ村救援へ向かったボスを見送ったエル達はただ待っているわけではなかった

 

「それではお手元の資料をご覧ください

シルエットギアはシルエットナイト戦において

ナイトランナーの保護を目的として作られたものですが

単独での戦闘力は・・・」

 

エルはディクスゴード公爵と砦の騎士達へシルエットギアのプレゼンを行っていた

不測の事態に備え待機中の騎士を巻き込んだのだ

 

「キッド!白のギアでこっちへ!」

 

「了解!」

 

  ガシャン ガシャン

 

「このとおり上級魔法(ハイスペル)『身体強化』が使えれば

誰でも自在に扱えます

人間用の剣や槍を扱うことは勿論可能ですが内蔵武器の使用により

中型から決戦級の魔獣にも対応可能です」

 

デモンストレーションを行う白いシルエットギアの動きに

砦の騎士達の感嘆の声が上がる

 

「さらに こちらをご覧ください バトソン!」

 

「あいよ!」

 

   ガシャン ガシャン

 

「この黒いギアはマギウスエンジンを搭載することにより

魔法が不得手なドワーフの学生でも扱えます

その分製造コストが上がるのが難点ですが

これによりナイトスミスの作業能力が大幅に向上します」

 

黒いシルエットギアが両手に大型コンテナを軽々と抱え歩く姿に

公爵が関心を寄せるのを察したエルが畳みかける

 

「ギアの特筆すべきところはその生産の簡便性にあります

組立は中等部の学生によって行われ整備や改造も

シルエットナイトに比べ遥かに容易といえます」

 

ダーヴィド親方が操る2本のサブアーム装備の黒いギアも加わり

シルエットナイト用の剣をあっという間に研いで見せた

公爵や騎士だけでなく工房のナイトスミス達も興味を惹かれ

いつしかエルのプレゼンの規模は大きなものとなっていった

 

 

 

 

   ―アキュアールの森―

 

カザトシュ砦周辺に広がるアキュアールの森に唯一開けた道を

中隊長機とボロットの2機が歩く

両機共に先の戦闘でのダメージが残っており

この状態で魔獣と遭遇すれば危険であるため

周囲を警戒し慎重に歩いていた そんなとき・・・

道の脇で傷つき倒れている女性を発見した

 

「待ってくれ隊長さん!

ケガ人がいるぜ!」

 

「!?こんな所で!?」

 

ここはダリエ村からカザトシュ砦までの道のちょうど真ん中にあたる

近くには村などはなくこの国では例え街道でも魔獣に襲われる危険があり

人間が一人で歩くことはできない

中隊長がそんな疑問を持ち警戒していると

ボスボロットが女性の前で止まり腰を下ろした

そして丸腰のボスが外に出ようとしていた

 

「待つんだボス殿!」

 

制止しようと声をかけたがそれに構わずボスは地上に降りて直接話かけていた

中隊長にとっては砦への伝令だけではなくボスの護衛も任務の内である

危険は覚悟で武装し自らも機体から降り合流した

 

・・・

・・・・・・

 

女性から聞き出した情報を整理すると

彼女の名前は〔ケルヒルト・ヒエタカンナス〕

フレメヴィーラ王国の出身ではなく他国の貴族だったが

内戦で没落し一時は山賊まがいにまで身をやつし

派手に暴れたことで国内にいることができなくなった

出国後は貴族の頃より磨いてきた自分の腕を生かせるだろうと

魔獣相手に戦い続けるフレメヴィーラで武功を積むことで

ヒエタカンナス家の再興を夢見ていたが魔獣相手に負傷し

命からがら逃げ出したところでボスに発見されたとのことだ

元貴族の証として貴族印も見せられた

中隊長やボスには見覚えはなかったがその作りは精巧で精緻であり

その女性の挙措も貴族の教養を感じさせるものであった

 

中隊長はなおも疑いを消さなかったがボスは彼女の保護を願い出た

彼女が自分の仲間に似ていると言うのだ

ボスの仲間ロンドベルには理不尽な侵略により国や星を追われた人が多かった

みんな祖国や母星を愛し 取り戻すために命がけだった

そんな逆境と戦い続ける仲間達と雰囲気が似ているとボスは感じたのだ

 

女性は実際にケガをしており もしここで放っておけば

血に誘われた魔獣に襲われ命を落とすことだろう

ここはひとまず居住性のあるボスボロットに彼女を乗せ

カザドシュ砦で治療を行うことにした

 

・・・これがボスとボスボロットにとって更なる危機を呼び込む

そのキッカケとなることを本人はまだ気づいていなかった




ヤングガンガン連載のナイツ&マジック コミック版も終わってしまいました
小説だけではわかりにくかったりアニメではカットされていた部分を丁寧かつ
迫力あるタッチで描かれるため非常に拙作の参考になっていただけに残念・・・
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