ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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足かせ

おれさまはロンド・ベル所属のボスってんだ

本名は作者もおれも知らねえけどよ

そんでこいつは天下無敵のスーパーロボット!

ボスボロットよ!!

 

ボスが名乗ったところで砦の隊長含む全機がやってきた

 

「ボス君と言ったね

私はこの砦の隊長のカーンだ

詳しい話を聞きたいところだが 今はそれどころではないようだ」

 

砦の外遠くから 木々を踏み分けながら近づいてくる獣がいた

その姿はまるで小山か巨大な岩石が動くがごとく

ごつごつとした剣山のような甲殻をまとった全長80メートル高さ50メートルに達する亀型魔獣であった

 

なんだありゃ?機械獣?それともメカザウルスか?

 

「種別確認!師団級魔獣陸皇亀べへモスです!!」

 

師団級魔獣 それは倒すためには一個師団シルエットナイト約300機が必要といわれている魔獣である

この砦の戦力一個中隊に隊長機を含めた10機ではあまりにも戦力不足であった

 

「ステファン!おまえはそのまま伝令だ

ヤントゥネンへ知らせてくれ!」

 

「で、でも」

 

「命令だ 急げ!

結晶筋肉が砕けるまで走り抜け なんとしても伝えるんだ」

 

「はい!」

 

ステファン機がフレメヴィーラ王国中央部最大の都市ヤントゥネンに向かって走り出した

 

「ボス君 君も動けるようならやつについて行けば

このあたりの最大都市に行ける

あそこにはうちの10倍以上の戦力がある

ここにいても貧乏(くじ)だ」

 

「一人息子を死なせて あいつのお袋を泣かせるわけにはいかんからな

おまえさんも家族がいるだろう」

 

冗談いうなってんだ あんなやつにビビってロンド・ベルでやってけるかよ

このボスボロットの雄姿を見せたるぜ!!

 

呆気にとられる隊長たちが止める間もなく

砦に迫るべへモスに一騎駆けにつっこんでいくボスボロット

 

ジャンジャジャーーン!いーくわよ ボロットパーーンチ だわさ!!

 

   ガシャ--ン!!

 

「止まった!?拳一つで あのベヘモスが!?」

 

全身強化魔法で強固な肉体を誇るべへモスの顔面にパンチがめりこんだ

 

「好機だ!ボス君さがってくれ!

一斉放火を仕掛ける!!」

 

あいよっとっと!!

 

ボスボロットが距離をとったところで

 

「全員抜杖!法撃開始!!」

 

バルゲリー砦所属のカルダトア9機による魔導兵装シルエットアームズの

炎の槍(カルバリン)』一斉法撃が盛大な火柱を上げベへモスに炸裂した!

 

おうやったか!? ってそんなわきゃねえか!

 

べへモスが再び動き出した その光る目はカルダトアをとらえ

大きく口を開けて息を吸い込んだ

 

おっといっけねえ!

 

べへモスの必殺攻撃 魔術による猛烈な竜巻の吐息(ブレス)がその口から放たれる瞬間

カルダトアとの射線上にボスボロットが割り込んできた!

 

あいたあ!やりやがったなこんちきしょう!

 

「ボス君無事か!?」

 

あったりめえよお!!

 

ブレスの直撃をうけたボスボロットは激しくきしんだ音をたてたが

しっかりと2本の足で立っていた

その後方にいたカルダトア隊へのダメージはなかった

 

「ボス君!この狭い場所であのブレスは避けられない!

砦を完全放棄して屋外遅滞戦闘に持ち込む

まずは君から砦を抜けて下がるんだ

ベンヤミン!アーロ!彼のシルエットナイトを抱えてでも下がらせろ!

そして順次砦を通過し野外戦闘を仕掛ける!

キュッヒル!俺とお前でしんがりをつとめる

俺たちの命の恩人を下がらせるまで あの亀野郎を通すな!」

 

「おうさ!」

 

ボスボロットたちの速やかな撤退を支えるために

ボロットパンチによりできた傷口や脚部をねらい

2体のカルダトアがベへモスへの接近戦闘を仕掛けていった

一撃離脱によりベへモスの注意をひき最後のクラエス機が砦を抜けたのを確認し

自分たちも砦を通過するべく ベへモスに背を向けた瞬間

再びべへモスが大きく口を開けて息を吸い込んだ

 

「隊長!!?」

 

「キュッヒルさん!!!」

 

いけねえ!!イチかバチかのスペシャルボロットパンチ!!!

 

    ギュオォン!!

 

「なにィ!?腕が!!」

 

ここで解説しておこう

ボスボロットはそもそもスクラップを材料につくられたロボットである

当初、車やマジンガーZによって倒された機械獣などのものであったが

長い大戦の間に生じた敵味方含めた無数の様々なスクラップによる修理・強化が行われていた

その両腕にはゲッターロボのゲッター合金も使われていたのだ

そのボスボロットの両腕が伸び 砦を挟んで逆位置にいる

隊長機とキュッヒル機 2体のカルダトアを掴んで引き寄せた

 

べへモスのブレスがバルゲリー砦を粉砕したが

しんがりを務めていた2機は間一髪その猛威から逃れることができた

 

よっしゃあ 助かったぜ!!

 

   ブラン・・・

 

「ボス君 機体の腕が!?」

 

ボスボロットの本来の機能を大きく超えて伸びた両腕は

元の長さまで戻ったところで動かなくなった

 

    ガチャガチャ!

 

ありゃりゃ 動かねえ

 

「ボス君今度こそ逃げるんだ!

例えそのシルエットナイトを捨てて逃げても

俺たちが絶対に あの亀野郎の攻撃を止めて見せる!!」

 

へっ!冗談はよし子さんってな 根性がありゃどうとでもならあな!

それより亀野郎を止めんだろ やってやろうじゃねえのさ!やってやろうじゃねえのさ!

 

「ボス君・・・

野郎ども!こっから誰一人欠けることは許さねえ!

クロケの森を最終防衛ラインとして広く使って戦え!!

ヤントゥネン騎士団到着まで持たせるんだ!!」

 

   \\\\おう!!!////

 

バルゲリー砦跡地からの戦いは激しくまた長時間に及んだ

べへモスの進撃は明らかに鈍っていった

カルダトア9機の連携は時に法撃を 時には接近戦で

べへモスの脚部を 頭部を 傷口を的確にとらえ続けた

だがべへモスの足 胸の衝角 鋭く硬い尻尾 全身どれもが一撃必殺の威力を秘めた攻撃である

その巨体による攻撃を必死によけ続けながら

誰も欠けることがなく 夜を徹し日をまたいで戦い続けた

それを支えていたのがボスボロットだった

両腕が使えずその馬力を振るうことができなくなったものの

ボロットにはまだできることがあった

シルエットナイトの持つ魔力転換炉(エーテルリアクタ)による魔力(マナ)の自動回復だけでは

戦闘中に魔力貯蓄量(マナ・プール)切れにより動きを鈍らせた者からやられていただろうが

ボロットの補給装置がマナを回復し投擲して失った剣すら回復していたのだ

長期戦の中ベへモスにも変化があった あのブレスを使わなくなったのだ

その巨体を支え装甲を増しているのは自身の使う強化魔法である

敵を前にブレスの乱用によるマナの消耗を本能的に嫌ったのだろう

べへモスの足止めを行うもの 後方で休息し補給を受けるものが絶えず入れ替わり

互いに決め手を欠いたまま戦線は硬直しつつも少しずつ

クロケの森へ近づいていた

その森から先にはフレメヴィーラ王国中央部最大の都市のヤントゥネンがある

そこにべへモスをたどり着かせるわけにはいかない

 

「ハア・・・ ハア。・・・」

 

騎士団ってえのは いつ来るんでえ・・・?

 

「ヤントゥネン騎士団はシルエットナイト一個旅団(約100機)の大騎士団だが

伝令のステファンがヤントゥネンに着いたとしても・・・

師団級魔獣を倒せるだけの戦力を整えてここまでかけつけるには

どうしても時間がかかる、 今からでも逃げるかいボス君?」

 

水くせえぜ 仲間じゃねえか

 

「!・・・ありがとう!

さあ野郎ども!鈍重な亀野郎がさらにもたついてきたぞ!

あっちが魔力切れになれば もう動けるわけねえんだ!!

この森を使え! 頭を使え!! 気合をいれろ!!!」

 

   \\\\おおおおおおおおおお!!!////

 

ボスボロットを含めた10機はこの戦いですでにお互いに

信頼しあい激励しあえる友情が芽生えていた

まだ戦える この巨大な魔獣を前に誰一人心が折れることはなかった

 

 

 

 

・・・師団級魔獣べへモスの脅威は人間だけではない

他の魔獣にとっても恐怖の対象である

その脅威から少しでも離れようとクロケの森に押し寄せた魔獣の群れは

その逃走先にたまたまいた人間たちに襲い掛かり・・・

全て返り討ちにあっていた

それを成していた人間の中でもひと際戦果を挙げていた銀髪の少年の耳に

少し離れた戦場からあの声が届いていた・・・

 

ジャンジャジャーン!さあさあよってらっしゃい!みてらっしゃい!

オレさまこそ日本一のいい男ボス!

このボスボロットにビビらねえなら かかってこい!だーわさ!!

 

「!?まさかこの世界に!?」

 

少年は飛んだ 声の聞こえた方角へ大気圧縮推進(エアロスト)の魔法により

銀色の弾丸となって-------




仕事でクレーン運転中に
脳内で「ボロットパーンチ!」とか叫んだりしてます
2本のレバーにペダル ボタン操作と
ロボットのコックピットみたいでちょっとワクワクします

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