ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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闘志

   ―エチェバルリア邸 台所―

 

朝食の時間が近づき エルが起き上がる頃

スープを味見するボス

 

「うめえ!

出来立ての味見ができるのは飯炊きの特権だわよん」

 

「うふふ ボスさんのおかげで朝食作りもはかどったわ

食べるのが大好きで手先も器用だから料理人も向いてそうね」

 

エチェバルリア邸の台所の主 セレスティナ(ティナ)の指導を受けながら

早朝から仕込み じっくりと作り上げたスープは

どうやら朝食に出せる出来のようだ

 

「おれさまダシは肉や骨からとるもんだと思ってたけどよ

野菜だけでこんなにうめえなんておどろきだわさ」

 

「そうね お肉もおいしいけれど

お野菜からとれるお出汁も 時間や温度 塩加減で色々な味がだせるわ

そろそろ朝食の時間ね お手伝いありがとう ボスさん」

 

「イッシッシ いいってことよティナさん

美人の奥さんに料理教えてもらって 味見もできるとなりゃ

おれさま 楽しいだけだわよん」

 

「これで朝食はできたから・・・

ボスさん エルを起こしてきてもらえるかしら」

 

「まだ寝てるようなら ひっぱってくるだわさ」

 

・・・

・・・・・・

 

ボスがエルをヘッドロックしながら朝食にやってきた

 

「いたいですよ ボス~」

 

「やっかましい

アディちゃんといっしょに部屋から出てくるとか

何やってんだ おまえら」

 

「アディの抱き枕の刑でしたね

散々心配かけた罰とか何とか・・・

イイッタァイ!アタマガァ・・・」

 

より強く頭を締められエルが悲鳴をあげる

 

「おめえ おれさまが早起きして飯作ってるときに!」

 

「ボスさん ストップ ストップ!

エル君の頭が割れちゃう!!」

 

「あらあら仲良しね」

 

「やっぱり当然のように同じ部屋で寝泊りするエル達は

問題あるよな・・・」

 

食卓で待つティナ達の前でようやくエルが解放され揃って朝食となった

ボスが手伝ったスープも好評でボスは上機嫌だった

 

 

    ―学園 工房―

 

昼前のエルや親方達は授業中の時間帯

ボスはひとりでボスボロットの操縦席で料理をしていた

ボスは本来高校生であり学園長の許可もあるので

高等部の授業を受けてもよいのだが

翻訳機で会話はできても文字が読めないため授業についていけなかった

好みの美人教師がいればそれでも授業に行ったのだろうが・・・

操縦席に電気コンロと鍋 冷蔵庫に食材があったので

今朝ティナの指導で作ったスープを復習がてら昼食用に再現していた

食材は王都で公爵からの厚意で渡されたもので朝のものとは

全く同じものがそろっているわけではなかったが

同じ国のものであるし 食材には違いないと 適当に切って鍋に放り込む

適当に煮込んだスープを味見すると

 

「おっ はじめて一人で作ったにしちゃ うめえじゃねえかよ!」

 

ご機嫌でコンロを止め 鍋を下ろして 購買にパンを買いに行く

 

自分の頭半分ほどのパンを小脇に抱え工房に帰ってくると

 

「ボスさん よろしいですか?」

 

「ありゃ?

ノーラちゃん お久しぶりだーわさ!」

 

一般の生徒は授業中であり無人のはずの工房内だったが

ボスにとって同世代のクールビューティーに声を掛けられて

些細なことは気にならなかったものの

 

   サッ

 

「申し訳ございません!」

 

「へ?」

 

急に謝罪し頭を下げたノーラに戸惑った

 

「改めまして私の名前はノーラ・フリュクバリ

私は諜報を専門とする藍鷹騎士団に所属する密偵であり

素性を隠しボスさんの護衛としてこの学園に派遣されていました

しかしあなたを狙っていた賊の一味と思われる不審者に気付き

すでに捕らえていたのですが 情報を得る前に賊に先手を打たれ

機体を奪われ 国の恩人である御身が傷つきました

全ては私の不手際 本当に申し訳ございません」

 

「いや そんなことを言われてもよお」

 

カザトシュ事変については

中隊長に団長や公爵 果ては王様にまで謝罪されたが

ボスにとって今回の件は・・・

美人の盗人に鼻の下を伸ばしていたら しばかれた上に

まんまとボロットと鎧を持ってかれた挙句

子分や仲間が魔獣に襲われ危険な目にあったという

ある意味よくある 自身のやらかしといった認識なので

やたらと各方面で謝罪されるのは非常に居心地が悪く

適当にノーラの謝罪を打ち切ろうと

 

「それより 昼飯いっしょにどうでい?」

 

「わかりました ご一緒します」

 

「ありゃあ!?」

 

駄目もとのナンパが成功してしまった

操縦席であるボロットの頭部は体から外し床に置いてあるので

普段は工房内のボスの秘密部屋のようになっている

はじめて入ったノーラは既存のシルエットナイトの操縦席どころか

国内では見たことがない異国情緒溢れる光景に驚いた

職業柄表情にほとんどでていないが わずかに動きが止まる

とりあえずボスにならい 靴を脱いで畳に上がる

 

「パンを半分こにして スープを注いで・・・

はい お待たせ!

うぇへへへ お口に合えばいいんだけどよ」

 

ボスがちゃぶ台の上に料理を置き 座布団を用意しノーラを招く

自分の分の料理も持ってきて ノーラの正面に座った

まずはスープに浮かぶ野菜を食べると・・・

 

「かれえ!!?

ヒー なんだこの辛さはよお!?

さっき汁を味見したときは何ともなかったのに!」

 

「ああ この野菜ですね

生食だと辛みはないのですが 加熱すると激辛になります

毒性はないのであえて辛くして食べることもある一般的な食材ですよ」

 

   ドキーーン♡

 

自分がヒーヒー言いながら食べるスープを

涼しい顔で食べるノーラにボスがときめいていると

 

「あ!?ボスもお昼ご飯ですか?

おや あなたは・・・」

 

パンを片手にエルが入ってきた

 

「エルネスティ団長」

 

「おう エル おめえも一杯食え」

 

ボスがニヤニヤしながら例のスープを一杯エルに渡した

 

「はい いただきます

・・・ブフォ!? からっ!! 」

 

むせるエルに ボスが大笑いしノーラもこっそり笑っていた

昼食をしながらノーラが藍鷹騎士団の一人として

ここだけの話と前提し二人に報告することがあった

 

「銀凰騎士団と学園に所属する全員について素性を洗い出すことになりました

既に捕らえた異分子も経歴に不審な点があり連絡経路の特定も急いでいます

我々は国内より敵対勢力を排除しつつ 同時に

今後送り込まれるであろう間者を防ぐべく諜報網(けっかい)を敷きましたので

今後同様の事態を起こす心配はありません

また国内にボスさんの仲間と思われる異国の騎士があらわれれば

すぐに報告いたします」

 

「そいつは助かるぜ ありがとうよ」

 

「ありがとうございます ボスの仲間のロボ、

いえ変わったシルエットナイトの情報があれば

すぐに詳しい特徴を教えてください こちらで確認しますので」

 

「承知いたしました

それと これは銀凰騎士団で共有して頂きたいのですが・・・」

 

 

 

 

   ―学園工房―

 

「野郎共 カチ込みでい!!」

 

「おお ついに賊のアジトがつかめたのか!

先陣は私に任せたまえボス!」

 

「ディー先輩 今のはボスの冗談ですよ

現在国機研(ラボ)では僕達が作ったシルエットギアを参考に

カルダトアの後継機となる新型機開発が行われています

それに対し 僕達がこれから作るシルエットナイトで御前試合を行い

次期制式量産機を検討する予定です」

 

「なるほど ラボとガチでやろうってのか

相手にとって不足はねえ!!」

 

ダーヴィド親方が闘志を漲らせる

ラボに所属するのはドワーフの中でもエリート集団である

学園の卒業生も多く所属する学生にとって憧れの就職先でもある

学生の身分で腕を競う機会に恵まれたことで

隣にいるバトソンがひくほどの笑顔を見せている

 

「それと こちらからボスも参加して

国内に大々的な お披露目を提案されまして

秘密にするよりも 国内で存在をしっかりアピールした方が

ボスの自由と保護の両立がしやすいという国からの申し出です」

 

「オッケーしたわよん」

 

「いいのか ボス?」

 

「別に秘密にしてほしいわけじゃねえしな」

 

「それでは このお祭りまでに作る新型についてですが

カザトシュ事変を踏まえてコンセプトをはっきりさせようと思います」

 

エルが3枚の図面を広げた

 

「まずは機動力と戦闘力を兼ね備えた機体

この国の機体はどれも移動力に大差ありません

逃げる賊の追撃や 救援のための急行など必要な場面は多いですから

まずはこれを作り上げます」

 

「たしかにそうだね あのときそういった機体があれば・・・」

 

「確かに理屈はわかるが この形は馬の下半身に

騎士の上半身に見えるのだが・・・」

 

「冗談みてえな話だが 設計図見る限り真面目に考えてやがる」

 

「ゴーゴン大公みてえだわさ」

 

ボスがかつての敵 下半身が虎の巨人の騎士を思い出した

 

「それよりもゴッドやマスターガンダムの騎乗の方がカッコイイのですが

これぐらいやれば陛下やラボの度肝を抜くことも出来ますよ

そしてこちらが中隊長機、

現行機カルディアリアに相当する機体ですね

銀凰騎士団は2個中隊が配属予定なので2機作る予定です」

 

エルが図面を一枚 エドガーとディーに向けた

 

「見たところ これは!」

 

「そうです ディー先輩のグゥエールと

エドガー先輩のアールカンバーがモデルです

先輩方の個性に合わせてギアの武装や技術を応用した

カルダトアのカスタム機ですね」

 

「おおっ 私のグゥエールがようやく復活か!

勿論ナイトランナーは私なのだろうな!」

 

「はい

ディー先輩とエドガー先輩にはそのまま中隊長を務めてもらいます」

 

「了解だ 団長閣下」

 

「謹んで拝命しよう」

 

「おめでとさん 大出世じゃねえか」

 

「ありがとう これもボスのお陰さ」

 

「ゲパード先輩はディー先輩の隊長補佐、

ヘルヴィ先輩がエドガー先輩の隊長補佐、

キッドとアディが僕の団長補佐でやっていこうと思います

ナイトスミスの人事については親方に一任しますね」

 

「おっし 任せときな銀色坊主」

 

「エル君エル君!私もシルエットナイトに乗りたい!」

 

団長補佐に任命されたアディがやる気満々で手を挙げた

 

「いいですよアディ 大歓迎です!

それでは この人馬騎士をアディとキッドに担当してもらいましょう」

 

「えっ 俺も?」

 

「はい 上半身と下半身をそれぞれ操縦してもらいます

これは二人の息が相当合う必要があるので・・・

双子の二人が適任です」

 

「おおナイスアイデアじゃねえか 」

 

エルがアディの立候補を受け ガンタンクなどを参考に

咄嗟に二人乗りを思いついた

量産を見込むなら一人乗りが理想だがそのためには二人に協力を求め

作り動かしながら修正していく方がよさそうとの判断である

 

「おいエル この最後の一枚は おめえの?」

 

「はい これは団長機 つまり僕用のカスタム機ですね

ウォート機がまだ来てないので着手するのは最後になりますが

アイデアはこの通りたっぷりあります!」

 

分厚いメモ帳を片手に目が爛々としているエル

 

「これの実現に是非ともボスに協力してほしいことがあるのですが」

 

「いいわよん」

 

「即答!?ボスさん!エル君独り占めしちゃ駄目ですよ!」

 

「いやそんな気はねえし

アディちゃんが捕まえとけばいいじゃねえかよ」

 

「もちろん捕まえて離さないけど!」

 

「いや離してくださいよ」

 

「そんじゃ やるぜみんな!

おれたちのかっこいいところを見せてやろうじゃねえか!!」

 

    \\\\オー!!////

 

 

 

 

   ―ラボ第一工房―

 

「ガイスカ工房長、

御前試合にかのブリキの騎士の参加が了承されたよ

ナイトランナーと直接会うこともできるそうだ」

 

「おお それは何よりの朗報ですな!

ボスボロット!まさに未知の技術の結晶!

それを操るナイトランナー!

何と胸が躍ることか!何と楽しみなことか!!」

 

「ガイスカ君 また徹夜続きだそうだね

御前試合の前に倒れてしまうよ」

 

「ご心配なくオルヴァー所長 まだ後二日は鎚が振るえますぞ!

まあ 頭を整理するためにもこの後一度寝るつもりですがね」

 

「それは何より ・・・ところで

あきらかに異質な造形のシルエットナイトがあるようだが

あれについての解説はいただけるのかな?」

 

「あれは我が孫用の機体ですな

あくまで工房作業用に組み上げたものですが

詳しいことは完成してからにしてもらいたい」

 

「作業用?シルエットギアには見えない大きさだったけど?」

 

「シルエットギアとボスボロットの腕を参考に

ナイトスミスにも扱える操縦性

シルエットナイトも持ち上げる出力

鍛冶作業を行えるほどの精密性を目指した機体ですな

あれが完成すれば鍛冶作業は飛躍的に進化いたしますぞ!!

新型機開発も一気に進むことは間違いありません!」

 

「あれも立派な新型だと思うのだけど・・・

随分と資材もつぎ込んでいるようだが、これは荒療治が効きすぎたかな?

それでは失礼するが くれぐれも焦らずしっかり休んでもらいたい」

 

オルヴァーが離れるのを確認するとガイスカは

錬金術工房からの報告書に改めて目を通す

 

「ボスボロットの腕に使われている金属は八割はただの鉄 

残り二割はまったく未知の多種の金属が混ざり合ったもの

これが鉄に作用している可能性がある、か

いったいどんな秘密が隠されているのか!

かのナイトランナーに聞き出すことができれば!

ふはは 私の中の熱が上がる!やはり寝てられん!!

もう一仕事・・・」

 

  ふらっ・・・

 

「おっと!あぶねえ!!」

 

立ちくらみをおこしたガイスカを近くにいた孫がとっさに抱き支えた

 

「おお すまんな・・・」

 

若く丸太のような腕がしっかりと抱えガイスカを仮眠室へ運んでいく

普段は愛嬌のある孫の顔は祖父を心配しているものになっていた




ボスの声優さん大竹宏氏の訃報が・・・
弓さやか・ミート君(キン肉マン)の松島みのり氏の訃報があったばかりなのに
兜甲児の石丸博也氏は最近もワンピースのおでん役でよく聞きますが
昭和マジンガーを支えた名優の方々は鬼籍に入った方も多いのは残念でなりません
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