ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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重身

  ―ボスボロット 操縦席―

 

エルがキッド、アディ、バトソンを誘って

昼食を調理中のボスの元へやってきた

 

「ボス ここで昼食をとってもいいですか?

ボスの分のパンも買ってきてますよ」

 

「おお いいぜ!

鍋も食ってきな 結構イケるわよん」

 

「ありがとうございます」

 

「なあエル このへんだと魚はあんま食べねえのか?」

 

「そうですね・・・ この国は海に面していませんし

大きい川には水生魔獣がいますからあまり魚が流通していません

あ 通信設備のモニターで映像見てもいいですか?」

 

「そっちが目当てじゃねえか 好きにしとけ」

 

「では早速♪」

 

   カタカタカタカタ!

 

「おお よくわからんがすごいなエル

あ なんか映った なんだこれ?」

 

「そっか バト君はこれはじめて見るんだね」

 

「これはボスボロットの秘密のひとつですからね

親方や学園長(おじいさま)のことも信頼していますが

できるだけ知っている人が少ない方がいいんですよ」

 

「それをあえてオイラにも見せるってことは

厄介なことに巻き込もうとしてるな・・・」

 

「でもそれって ボスさんが決めることじゃないのか?

俺達はエルと違ってボスさんの子分ってわけじゃないのにさ」

 

「ボスは危機感がなさすぎて心配なくらいです

ここはカギもかかってませんし 特に女性にはノーガードですし

子分である僕がしっかりしないと

では こちらの映像をご覧ください」

 

エルが通信設備に記録されていた映像を編集したものを再生した

そこにはボスボロットの とある実験映像であった

 

「お!懐かしいもん見てるじゃねえかよ

まあ こっちで食べながら見な」

 

ちゃぶ台に鍋を置き 器によそっているボスが声をかけると

エルがモニターをちゃぶ台まで持ってきた

映像をみながらの昼食となったのだが・・・

 

「ボスさん これってひょっとして・・・」

 

「ボスボロットで空を飛ぼうとしてる?」

 

「うわ あんな高いとこから落ちた!?

あっぶなーい!?ボスさん生きてるかな?」

 

「ここにいるだわさ」

 

「いやいやっ」

 

「今のは流石にまずいだろ!」

 

「鳥人間コンテストの100倍危ないですよねこれ

あっ!今一瞬飛びましたよ!」

 

「元をただせば鉄の塊を自由自在に飛ばそうってんだ

そりゃ あぶねえだわさ」

 

本人の前で 映像の中 墜落を繰り返すボロットを心配するアディ達

楽しみながら高速でメモをとるエル 自慢気なボスだった

 

「エルより無茶な人っているんだな・・・」

 

「いっしょにいるこの人達はだれですか?」

 

「おれさまといっしょにいるのが子分のムチャとヌケ

こっちの三人がボロットを作った

せわし博士 のっそり博士 もりもり博士だわよん」

 

「それって名前なんですか?」

 

「本名は作者もおれも知らねえけどよ

みんなが力を貸してくれたんだわさ」

 

映像はボスボロット飛行実験の失敗が延々と続いていた

その衝撃映像連発でキッド達の食事の手は完全に止まっていた

 

「スープが冷めちまうだわさ

食いながら見ろようぜ」

 

「そうですよ 母様譲りのボスの料理

結構おいしいですよ」

 

「ああ・・・ いただきます

ブフッ!!! ゴホッゴホッ・・・」

 

ボスボロットがミサイルを手に持って飛ぼうとして失敗する姿を見て

キッドがはげしくむせた

 

「無茶苦茶だぜ これ・・・

まさかエルもシルエットナイトで飛ぶつもりなのか!?」

 

「ええ 勿論 御前試合に間に合うとは言えませんが

僕の機体にはその機能をつけたいな と思ってますよ」

 

「ダメだよエル君!」

 

「いくらなんでもこれは・・・

よくボスさんも いっしょにいる人達も生きてるよな

付き合うだけで命懸けだろこれ」

 

「オイラでもわかるくらい無理な実験に付き合うなんて」

 

「昭和の男たちに無理なんて言葉は通じませんから・・・」

 

「そういや 大戦中ロンドベルにいたときも

ブライトさんが『無理でもやるんだよ!』って言ってたもんよ

イッシッシ!なんだか懐かしいだわさ」

 

「なあ こっちの空飛んでるマジンガーZの翼を使えば

ボロットも飛べるんじゃないか?」

 

「それは実際やってみた あ ちょうど これだわさ

マジンガーZのスクランダーを勝手に借りて失敗した上に

壊しちまったわよん」

 

「うわ ひでえ」

 

「これだけ失敗して危ない目に散々あってるのに

よく懲りませんね」

 

「敵も味方もブンブン飛んでるんだぜ

ただ見てるわけにはいかねえだわさ」

 

「あ ここから成功例ですよ!

見てください この頭のプロペラ!!」

 

「なんだこれ 羽? 今のボロットにはないよな」

 

「へっへっへ 

空も陸も海もオッケーなおれさまの自信作よ!」

 

「うわ!ほんとにボロットが飛んだ!!

どうなってんだこれ!?」

 

「よくあのタケコプター式で自分が回りませんね」

 

「しかもなんでボロットがパンツはいてるんだ?」

 

「あれは浮き輪になって海を泳げるようになるんだわよ」

 

「あっ 頭の羽とれちゃった!?」

 

「急降下に耐えられる強度はなかっただわさ

次はまた違う方法で飛んだわよん」

 

「まだやるの!?」

 

「エルがボスさんに憧れるわけだ・・・」

 

ボスボロットのワンマンショー、危機一髪百連発を見ながらの昼食は

ボスにとっては懐かしの エルにとっては熱狂の

キッド達には驚愕の 手に汗握るものとなった

 

 

 

    ―工房外―

 

授業終了後 エルのよびかけで キッド、アディ、バトソン、

ディー、ゲパード、エドガー、ヘルヴィ、親方が集まっていた

 

「ボスはいないのか?」

 

「ボスさんはティファ姉が手料理を振舞うと聞いてすっ飛んでいったぜ」

 

「エル君何持ってるの?」

 

「どうですか!この新作の銃杖(ガンライクロッド)

シルエットギアひいてはシルエットナイトで扱う前提の特注品です!!」

 

「うわ!なっげえ!?」

 

「物干し竿みたい エル君こんなの振り回すの?」

 

エルのシルエットギアは自身の3倍の長さの魔導兵装を担いでいた

 

「物干し竿・・・ いいですね

僕の琴線に触れるいい響きです

槍をイメージしたオクスタンランチャーのつもりでしたが

これは『物干し竿』と呼称しましょう」

 

   ブンブン  ガチャッ

 

物干し竿を構え 遠く離れた的を法術で狙撃する

 

 

雷轟嵐(サンダリングゲイル)

 

    ゴキゥューン

 

圧縮された上級魔法が的の中心部を打ち貫く

 

「すごっ!?」

 

「おいおい 我らが団長殿は狙撃もできるのかい」

 

「・・・長射程を求めると

マナの消費が思ったより大きいですね

シルエットナイト用に作るときはそのあたりも調整しないと

それともいっそ一発にかけるスタイルも浪漫がありますね」

 

「銀色坊主、そのあたりの調整は後で付き合ってやるが

わざわざボス抜きで俺らを集めたのはこれを見せるためだけか?」

 

「いえ 無関係ではありませんが・・・

今度の御前試合ですが 僕達の作る新型とラボ製の新型による

制式量産機の座を狙う競作(コンペティション)となるのですが

これにボスボロットが加わるチーム戦になることが正式に決まりました」

 

「それは乱戦になるということかい?」

 

「おそらくそうなるでしょう

そこでボスボロットとの連携を考えた機体構成をしようと思います」

 

「それならボスがいるときの方がいいのではないか?」

 

「・・・僕はこの御前試合がこれからのこの国でのボスの扱いを

左右するものと考えています」

 

「扱い?少々物騒だね

国王陛下御自身がボスの身元を国内で保証しているものと思っていたが」

 

「既に国内の一部では陸皇事変の『ブリキの騎士』の存在は

噂されているでしょう

試合でボロットが大暴れしすぎれば危険視され

与しやすしと見られればよからぬ考えを持つ貴族が

いないとは言い切れません 実際 盗賊に狙われたわけですし」

 

「・・・まあ嫌な貴族ってのもいるだろうからな」

 

身内に根性悪な貴族がいるキッドが嫌そうな顔を浮かべる

 

「ボスがこの国に居心地の悪さを感じれば

最悪一人で出ていく可能性もあります

そこで!御前試合を銀凰騎士団の本分を示す場とするのです!」

 

「ボスの護衛と新型機開発だね」

 

「そうです ボスと銀凰騎士団の結束の強さと

騎士団の実力をラボを相手に堂々と示すことができれば

国内での余計な干渉を牽制できるはずです」

 

エルの力説に全員が同意を示した それについては異論はなかったが

 

「でもエル君 ボスさんには内緒なの?」

 

「はい 本人には内緒の方向で

ボスに知られるとそれはそれで居心地の悪さを感じるかもしれません」

 

「まあ 彼の性格からすれば気を使われ過ぎるのはね

その件は了解した それで具体的にどうするんだい?」

 

エルが地面に絵図を描きながら説明する

 

「キッド・アディが乗る騎兵が遊撃として走り回り

ボロットが前衛兼補給 その左右をアールカンバーとグゥエールが固め

僕の団長機が後衛から狙撃しつつ必要に応じて前に出る形を

基本フォーメーションにしようと思います

実戦練習は機体ができてからボスと共に行う予定です」

 

「なるほど そのための物干し竿か

ならばグゥエールの新装備は近接攻撃を重視しようか」

 

「ではアールカンバーは防御重視の盾役だな

責任重大だが・・・」

 

「そこはエドガー(あんた)の腕次第ね

ところで私とゲパードは御前試合どうすんの?

カルダトアででる?」

 

「いえ 流石にこれ以上手が回りませんし

無改造の既製品(カルダトア)を出すわけにはいかないので

お二人にはボロットに乗って法撃などの操縦補助をお願いします

ボスには許可をとってますから」

 

「わかったわ」

 

「任せろ!」

 

「ボスの為 そして陛下の命を果たすが為・・・

御前試合関係者全員の度肝を撃ち貫きに行きましょう」

 

      \\了解!//

 

 

 

 

     ―国機研(ラボ) 試験場―

 

    グォン!グォン!グォン!

     ガシャ! ガシャン!!

 

試験場では新型機の機動試験が行われていた

新型のテストランナーとして国内でも精鋭で知られる

守護騎士団(アルヴァンズ)』の騎士が乗っていた

 

「これは凄いな・・・

限界を知りたいから潰すつもりで扱ってくれとは言われたが

これが新型機の性能か!?」

 

「このシルエットギアを通じてまるで自分の体のように

動かせるだけでも革新的だと思うが、

シルエットナイトがその動きにここまでついてこれるとは驚愕だな

ツーヴァ!そっちはどうだ!!」

 

「こっちも問題ないイドラ!

これだけ走れば結晶筋肉(クリスタルティシュー)がもたないはずだが

柔軟性、強度、出力 カルダトアやカルディアリアとはまるで別物のようだ!!」

 

「ただマナの消費がカルディアリアよりも大きいのが難点だな

出力が上がれば消費も上がる 当然の結果ではあるが」

 

「それについてもラボには対策があるらしい

まったく『徒人(ただびと)』も侮れないものだな

『衛使』殿が機体の調整段階から我らを呼ぶわけだ

いずれ これに乗った隊長が驚くのが楽しみだ」

 

「俺はあっちの新型も気になるのだがな さすがラボだ

ナイトスミス用シルエットナイトなんてものがあるのだからな

しかし 人間どころか魔獣でもあんな姿は見たことないぞ」

 

「まったくだ どうやって動かしているのか聞いてみたいものだ」

 

    キューン キュン  ガガガー!!

 

独特な音を出しながら それ以上に独特な外見を持ったラボ特製

作業用シルエットナイトは歴戦の騎士達から注目されながら

力強く自らの仕事をしていた

 




グレンダイザーの新作が発表されました

最近のスパロボではご無沙汰ですがFCの第2次から参戦している最古参組であり
ボスボロットとの絡みも期待?できるので続報が楽しみです

それに合わせて電子書籍で永井豪先生の「グレンダイザー」を購入し初めて読みましたが
敵のやり口が想像以上にエグイ・・・ 流石にこれを映像化しないと思いたいですが・・・

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