ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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期待

   ―ライヒアラ学園 工房―

 

ずぶ濡れのボスと煤だらけのエルが揃って正座し

それを見下ろすように親方と学園長が並び立っていた

 

「するってえとなにか!

ボスはボロットに乗って一人で川に魚釣りに行って

水棲魔獣に襲われて命からがら逃げてきて

銀色坊主はやっと搬入されたばっかりの団長機のウォートで

飛行実験やった挙句失敗して大破させてきたってえのか!?

ハア・・・・・・」

 

工房で要修理状態の2機に目を移し ため息をもらす親方

 

「エルや 銀凰騎士団の務めはボス君の護衛であろう

それを忘れて危険な実験を強行して死にかけるとは言語道断

ボス君も一人で危険な川に行くなどもってのほかじゃ

二人とも謹慎処分として御前試合まで学園街から出るのは禁止とする」

 

「ええっ そんなあ~」

 

「息が詰まるぜ」

 

    ガン! ガン!

 

親方のゲンコツが正座している二人に振り下ろされた

 

「こんの馬っ鹿野郎どもが!!

ただでさえ御前試合まで日がねえってのに

まだロクにいじってもねえ団長機ぶっ壊してどうすんだ!!

下半身はグシャグシャ 顔面も潰れて頭ももげかけてるじゃねえか!

坊主にヒマをあたえるとロクなことにならねえ!」

 

「イタタ それでしたらいっそ 元通りにするのではなく改造しましょう!

幸いエーテルリアクタ周りは無事ですしウォート用の特別な仕様のものですから

綱型結晶筋肉(ストランドタイプ・クリスタルティシュー)の割合をかなり上げられます

設計は任せてください!」

 

「まあ どうせ坊主が乗る機体だ

図面ひいてる間は大人しくしてるだろうし

先に『馬公』を仕上げておくか

ボス!ボロットの修理が終わったら手を貸してくれ

双子もテストランナーで忙しくなるぜ」

 

「おう 任せとけって」

 

「わかった」

 

「エル君 乗るときは見に来てね!」

 

「それはもちろん!」

 

「・・・今回のことはわしから陛下にご報告せねばなるまい

どうせ隠すこともできん すぐに知られることになろう

まあエル達にこれ以上の処罰がないように

わしも学園長としてできる限りのことはするが・・・

陛下を納得させるには御前試合の内容も関わってくる

諸君らはまず人事を尽くしてほしい

わしからは以上だ」

 

 

 

   ―団長室(仮)―

 

  ガチャ

 

「おーい エル スープ飲まねえか?」

 

ボスが熱々のカップを手に入ってきた

 

「あ ボス いただきます」

 

   ズッ・・・

 

「あ この風味は例の魚?」

 

「おう さっき釣ってきた魚を焼いて食ってよお

骨でダシをとってみたんだわさ

やっぱ 魚があると違うわよん

ラーメンづくりに使いてえだわさ」

 

「魚一匹で水棲魔獣に襲われてたらコスパが悪過ぎますけど

ボロットは水中戦では分が悪いはずですがよく無事でしたね」

 

「おれさまカナヅチだから必死だったわよん

で 味はどうよ?」

 

「ふー おいしいですね 魚の風味がどこか懐かしい

ごちそうさまです」

 

「そいつはよかったぜ

今度はボロットにスクリューでもつけて釣りに行ってみるだわさ」

 

「そのときは僕もお供しますよ

ところでボス 僕が乗る予定の新型なんですが

この図面を見てもらえますか」

 

「おうよ どれどれ・・・

結構かっこいいんじゃねえか」

 

「うーん 僕が前世で作っていたプラモに比べると

どうも何か物足りない気がして・・・」

 

「そうか?

まあ これ設計図だからじゃねえの?」

 

「え!? あ! そうか!

プラモを買うときに見るのは箱の絵!

これはどちらかと言うと箱の中にある設計図!

まずは 乗りたい作りたくなるカッコよさでいくとすると・・・」

 

エルが机にかじりつき一心不乱に筆を走らせると

ボスはカップを回収し部屋を出た

 

完成したデザイン画はダーヴィド親方やバトソンら鍛冶師達を戦慄させたが

御前試合に向けて銀凰騎士団総出で完成を目指し取り掛かった

 

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

  ―王都カンカンネ 近衛騎士団演習場―

 

王都の郊外にある演習場を囲む観覧席には国王をはじめ

各地を治め騎士団を抱える貴族達が集まっていた

その面々の期待の眼差しを受けながら

銀凰騎士団の前身である学生達が作ったシルエットギアと

ボスボロットの技術を応用し ラボが作り上げた新型シルエットナイト

次期制式量産機【カルダトア2】が猛ダッシュで入場してきた

 

「速い!!しかもどの機体も一糸乱れぬ動き

これはナイトランナーの高い技量と

新型の操作性の確かさが窺えますな!」

 

「これが新型機の動き!?

あの速度を維持できれば魔獣へ迅速に対処でき

それだけ被害が抑えられる上に戦闘も優位に行える

これほどの機体を量産可能とは・・・」

 

カルダトア2の入場だけで貴族達は度肝を抜かれ

その新型機の性能とその可能性に胸が高鳴った

演習場の門が閉められ新型機6機が整列すると

その機体を造り上げたラボの代表として第一開発工房長である

ガイスカ・ヨーハンソンが機体の解説を行った

 

「如何でしょうか!

これが我らラボの総力をもって作り上げた

【カルダトア2】に御座います!

学生達によって開発されたシルエットギアを操縦機構に直結させたことで

ナイトランナーの優れた技量をそのまま活かすことができ

各関節及び重要な箇所 特に下半身を重視し綱型結晶筋肉を

配置したことで機体の柔軟性、耐久性を遥かに増大させ

機動力においては従来機の3倍近い速度を可能といたしました」

 

    \\ザワザワ//

 

「何と3倍!!

単純に考えれば移動時間が三分の一となるということか!?」

 

「特筆すべきはギアによりナイトランナーの生存率が飛躍的に高まっております

シルエットナイトによる戦闘中はもちろんのこと

仮にシルエットナイトが損傷し脱出することになったとしても

魔獣に対し対応できるほどの最低限の武力を維持し

帰還が可能となったことによるものであり

これを開発した学生諸君も賞賛されるべきものでしょう!」

 

ガイスカの言葉には学生達の技術への敬意も含まれながら

さらに熱が増していく

 

「そしてシルエットナイト自体の生存性を高める新技術こそが

カルダトア2の最大の特徴であるこちらでございます!」

 

ガイスカ工房長からの合図で

カルダトア2が前後に並び両者の背中と胸を接触させる

 

    ガシャーーーン!

 

「あのとおり機体を連結させることでエーテルリアクタ同士を接続し

マナを融通することが可能となりマナ切れに対応することができます

これはかのブリキの騎士のもつ技術を参考に

全てのカルダトア2に標準装備された機能となっております

カルダトア2は従来機カルダトアからあらゆる点で秀でており

我らシルエットナイトラボラトリの一同、

最上の結果を出すことができたと自負しております」

 

「うむ!流石は我が国が誇るナイトスミスの最高峰よ

見事である」

 

「ははあ!!」

 

国王アンブロシウスは満足気に笑みを浮かべ労を労った

 

「して 此度の催しにはその力を見せるにふさわしき相手を呼んである」

 

国王の言葉にガイスカがぴくりぴくりと反応しその瞳に危険な光が宿った

 

「門を開けよ!

すぐに『彼ら』がやってこよう!

シルエットギアを作り 我が命により新たに騎士団と成した者達と

我が国の危機を救った客人 新たな友 ブリキの騎士よ!」

 

  ダカッ ダカカ!!  ガララ!!

 

近衛騎士団のカルディアリアが演習場の門を開くと

異様な重量感のある馬蹄の音と車輪の音を響かせ

人馬騎士が幌付きの巨大な荷馬車をひきながら入場してきた

 

「なんだあれは!?」

 

「人と馬を合わせたシルエットナイトだと!!??」

 

疾走する人馬騎士に演習場の全ての目が集まった

そして人馬騎士はカルダトア2に劣らない速さで演習場内を一周し

中心部 国王が座る貴賓席の前で荷馬車キャリッジを切り離し停止した

そして荷馬車の幌が取り払われるとその荷台には

ボスボロットを中心に紅騎士と白騎士が左右を固め

幌をマントのように纏った団長機が先頭で国王に対し(ひざまず)いていた

 

そしてシルエットナイト全機の胸部装甲が開かれ

操縦席からナイトランナー達があらわれ 国王に向かい騎士の礼をとった

代表して団長であるエルが名乗りを上げる

 

「国王陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう

陛下の命により ブリキの騎士ボスボロットの護衛として

最新鋭試作機 人馬騎士『ツェンドルグ』及び

紅の騎士グゥエール改 白騎士アールカンバー改

そして団長機エルウォート

銀凰騎士団ここに参上いたしました!」

 

「うむ ご苦労であった 壮観であるな

して エルネスティよ

そのボスボロット 操縦部の頭がないように見える

ここで皆に紹介するつもりであったが」

 

観客席の貴族達が国王の言葉でざわついた

 

「おお あれが かのブリキの騎士か」

 

「我が国のシルエットナイトとはまるで違う」

 

「ボス殿・・・」

 

荷台の中心で頭がないまま胡坐をかいているボスボロットに

観客席から注目が集まる中 どこからか声が響き渡る

 

「ジャンジャジャー―――ン!!

空にそびえる色男!

スーパーロボット ボスボロット登場だわよん!!」

 

「なんだあの丸いのは!?」

 

「風船か!?魔獣か!?」

 

「あれはボス殿の声、ということは」

 

地上に注目が集まる中 気づかれずに演習場の上空に

浮遊していたボスボロットの頭部が真下に急降下した

 

「パイルダ―― オ―――――ン!!!」

 

   ガキィ――――ン

 

体と合体し ボスボロットが立ち上がった

 

「おお なんと力強い!」

 

    ポロッ    

 

「ありゃあ!?いっけねえ!!」

 

   ドザン!!

 

接合が甘かったのか立ち上がった勢いで頭がとれて落ちた

 

「いってえ・・・」

 

演習場が何とも言えない空気になる中

地面に落ちた頭からボスが這い出てきた

 

「・・・・・・大丈夫か ボス殿」

 

「うぎゃあ おしりが2つに割れちゃったわよーん・・・」

 

「また死ぬかと思った・・・」

 

「もう ボス!陛下の御前で変な冗談言わないでよ!」

 

サブパイロットとして同乗していたゲパードとヘルヴィも出てきた

 

「お ヘルヴィのおむねも2つに割れてるわよん」

 

   ボカン!!

 

ヘルヴィのゲンコツがボスに炸裂した

 

「・・・・・・どうやら大丈夫のようだな

さて皆の衆よ、こちらがかの陸皇事変において我が国の騎士と共闘し

べへモス討伐に多大な武功を上げ マスターワームをも倒した豪傑であり

ブリキの騎士の設計者であり シルエットギア開発の協力者である

我が国にとっての賓客であり友人のボス殿である」

 

気を取り直して国王がボスの紹介をした

既に顔を合わせたことがあるディスクゴード公爵や

セラーティ侯爵ら以外の貴族達は 存在が噂されていた謎のブリキの騎士と

その操者に興味と驚愕の眼差しを向けていた

そして食い入るようにボスボロットだけを見ていたのが

先程までカルダトア2の解説を熱弁していたガイスカ工房長である

不気味な程沈黙してじっと見つめていたが

国王アンブロシウスが ボスボロット率いる銀凰騎士団と

精鋭アルヴァンズが駆るカルダトア2による模擬試合を行うことを発表すると

ラボの所長オルヴァ―とともに国王の元へ向かった

 

「陛下 この模擬戦にはラボからもう一機の新型を

参加させていただきたく お願いに上がりました」

 

「何と もう一機とな?」

 

「はっ まだ量産の段階には入っておらずこの一機のみですが

カルダトア2とはまったく異なる機体でございます」

 

「ほう そのような隠し玉を用意しておったとは

よかろう わしも実に興味がある 呼ぶがよい」

 

「はっ!直ちに合図を出します!

カルダトア3 出撃せよ!!」

 

   ゴ ゴ ゴ ゴゴ ゴゴ!!

  

  キューン キューン ガガガ!!!

 

カルディアリアが2機がかりで開けた門を1機で軽々と開けて

独特な音をたてながら新型機【カルダトア3】が入場してきた

 




水木一郎氏が・・・・・・
梁田清之氏やアントニオ猪木氏の訃報続きで空いた心の穴に
巨大ドリルをぶち込まれた気分です
ずっとメドレーで聞いてますが 穴が埋まるどころか悲しい風が吹くばかりで
でも聞かずにはいられない状態です
今年はこういうニュースが特に多い気が・・・

寒い日が続いています お体ご自愛下さいませ
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