ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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気迫

 

―演習場―

 

「ボス!

じいちゃんのためにもここは勝たせてもらうぜ!!」

 

「ムサシ!

おれさまも新しい子分たちにいいとこ見せてえんだ!

ボロットパーンチ!!」

 

力比べの体勢からボスボロットの右腕が

カルダトア3の顔面を狙う!

 

「もらったぜ!!」

 

その腕をつかみ 勢いを利用し一本背負いを仕掛けた

 

「おわー--!!?」

 

ボスボロットの背中が地面に叩きつけられるその瞬間

 

「任せて!!!」

 

     ブアア!!!

 

      ズシン・・・・・・

 

ヘルヴィが起動させたボロットの背部バーニアが

受け身となり 衝撃が大きくやわらいだ

ボスボロットがかつての大戦でロンドベルに出向する際に

宇宙での運用のためにボディに取り付けられた姿勢制御用のバーニアが

サブパイロットにより地上でも効果的に使えるようになったことが活きた

 

「ゲッパ!腕がつかまれたまんまはまじい!!

うて!!!」

 

「任せろ!」

 

  ガチャ!  ドン!!

 

ゲパードの操作によりボスボロットの腹からでた

サブアームによる法撃でたまらずカルダトア3の手が離れた

 

「逃がさねえぞ! ゲッターミサイル!!」

 

   ドン!!!

 

ムサシの声に応えるように カルダトア3の頭部

右耳に当たる部分から法撃が放たれボスボロットを襲った

 

「ぎえええ~~~!?」

 

直撃を受けたボスボロットが転がりながら離れていった

 

 

   ―観覧席―

 

「ご覧ください!

魔法に不慣れな我が孫のために開発した新技術の数々を!

接近戦においては従来機に倍する膂力と精密な動き

法撃のための術制御を特製マギウスエンジンで簡略化し

眼球水晶のすぐ横に魔導兵装をとりつけたことで自然に狙うことができ

さらには特定の言葉で法撃を放つ音声入力!

その有用性が今まさに発揮されております!!」

 

カルダトア3の活躍に 興奮するガイスカ工房長が

それを可能とした機能について熱く解説していた

 

「ラボがこれほど伸びていたとは・・・

荒療治が過ぎたか いや これほどの技術、

ボス殿があらわれる前からか

しかも孫のためと堂々言い放ちおった」

 

国王アンブロシウスもラボが見せる成果に驚いていた

 

 

   ―演習場―

 

両者の法撃により互いにダメージを負い 距離ができたところに

 

    ズドォン!!

 

エルウォートによる長距離法撃が撃ち込まれ大きく土煙が舞った

 

「いったん仕切り直しです!

キッドとアディはボスボロットを回収!!

先輩方はしんがりを!!」

 

「「「「了解!!!」」」」

 

人馬騎士ツェンドルグがカルダトア2の攻撃を振り切り

大きく旋回しながらボスボロットに向かって駆け出し

その後部から荷台を牽くために使っていた『牽引索(トーイングアンカー)』を射出し

すれ近いざまに倒れていたボスボロットの足をつかんで

そのまま引きずってエルウォートの元に向かった

 

「どえええ~~~!!」

 

引きずられていくボスボロットを追撃しようとするカルダトア2の前に

グゥエール改とアールカンバー改が立ちはだかる

数の上ではカルダトア2の方が有利だったが

既にボスボロットには逃げられていることに加え

紅白の両騎士と団長機による長距離援護射撃を警戒し

アルヴァンズのリーダー アーニィスは追撃を中止し

ダメージを負ったカルダトア3と足を撃たれたイドラ機を守る判断を下した

 

 

     ―銀凰騎士団側―

 

引きずられてきたボスボロットがエルウォートの前で解放された

 

「ボス!大丈夫ですか!?」

 

「おうよ!どってことねえわよん!」

 

「敵に投げられたときより

味方に引きずりまわされた方がきつかったわ・・・」

 

「まったくだ・・・・・・」

 

エルからの呼びかけに

ボスボロットの操縦席ではケロッとしたボスと

目を回していたヘルヴィとゲパードが答える

 

「ヘルヴィちゃんとアディちゃんのおかげで助かったぜ

あんがとよ」

 

「ボス 俺も活躍したんだぜ」

 

「お手柄だぜゲッパ 頼りにしてるぜ」

 

「ゲッパか いいなそれ 気に入った!」

 

ボスがとっさにつけたあだ名にゲパードが喜んでいる間に

ボスボロットがマナを消耗している機体の補給をすませていく

 

 

     ―アルヴァンズ側―

 

カルダトア3がこの場でのイドラ機の応急修理は不可能と判断し

破損した両足を外し補給用のエーテルリアクタを隣のフィリア機に接続した

 

「隊長さん 他に補給が必要なのはあるかい?」

 

「いや十分だ ムサシ君

それよりすまなかった 我々が不甲斐ないばかりに

ブリキの騎士の接近を許してしまった」

 

「気にしないでくださいよ

弾のとんでこない戦場なんてありませんから

それにこいつがあれくらい動けることがわかったんで

じいちゃんも喜んでますよ」

 

「まったく・・・ 今日は『徒人(ただびと)』に驚かされてばかりだな

む あちらも補給がすんだようだ

今度はこちらから仕掛ける まずはあの団長機を抑える

ムサシ君も可能な限りついてきてくれ

孤立すれば狙われるからな」

 

「わかったぜ隊長さん

カルダトア3いくぜ!!」

 

キューン キューン ガガガ!!!

 

駆け出していくカルダトア2を追いかけ

カルダトア3のキャタピラがうなりをあげる

 

 

 

    ―演習場 中央―

 

銀凰騎士団とアルヴァンズ第一小隊がぶつかり合い乱戦となった

 

「速い!これがラボの新型のスピードか!?」

 

「しかも くっ!?

ツェンドルグの死角からの攻撃が よけらんねえ!?」

 

「キッド アディ!距離をとって足を使い

ランスとアンカーを活かせる距離を保って!」

 

「了解!」

 

ツェンドルグが乱戦から離脱すると離れたところで待機していた

上半身だけとなったイドラ機とそれを前後から支えている第二小隊と目が合った

 

「あんなところに、壊れたやつを下げんのか?」

 

「キッド!こっちに杖を向けてる!」

 

「いや これだけ離れてたら法撃あたんねえだろって!

なんだこのマナの高まりは!?」

 

      ドォォン!!!!

 

「うそだろ!?」

 

「ヒヒーーン!?」

 

 

第二小隊から放たれた特大のエア・バレットがツェンドルグの巨体を

演習場の壁まで吹き飛ばし その衝撃で動かなくなった

 

「キッド!アディ!!」

 

「人馬騎士は第二小隊が仕留めた!

あとは我々第一小隊が大将首をいただいていく!!」

 

アーニィスの乗る隊長機がカルダトア2の速度を活かし

狙撃体制をとっているエルウォートに切りかかった

 

    ガキィン!!!

 

とっさに物干し竿で防御し持ちこたえた

 

「なんだ!?あの無理な体勢で耐えただと!

いや ちがう しゃがんでいたのではない!

この機体は!?」

 

激突の衝撃でエルウォートの姿を隠すマントとなっていた幌が外れ

その全容が明かされた

上半身に対し足が非常に短く逆に足先は非常に大きく

全体の大きさは三~四頭身ほどのものだった

 

「狙撃のために常にかがんでいると思っていたが

単に背が低いだけだったか

その体ならさぞ安定しているのだろうが

短い足でこのカルダトア2の動きについてこれまい!」

 

鍔迫り合いの状態からアーニィス機がバックステップで距離をとると

エルウォートにも動きがあった

 

「SD体型にはこういう技もあるんですよ!!

ウォートキー-----ック!!!」

 

   ギュオォン!!   ズシャアアン!!!!!

 

背部推進器が起動し、その勢いのままに

ビッグブーツがアーニィス機に炸裂した!

 

「なんだとぉ!!!???」

 

エルが開発を始めていた魔導噴流推進器(マギウスジェットスラスタ)は御前試合までに

想定していたレベルでの実用化までは間に合わなかったが

ボスボロットの制御バーニアを参考に短距離を飛ぶ(跳ぶ?)機能を実現した

この世界初の空飛ぶシルエットナイト誕生に向けての最初の第一歩を

まともに叩き込まれアルヴァンズの隊長機はふっとばされた

 

「!?」

 

     ガシィ!!

 

団長同士の激突に決着がつき 勝負あったかとだれもが思ったその瞬間

エルウォートの胴体を掴む手があった

 

「カルダトア3!!」

 

「いいぞムサシ!獲物を仕留めた瞬間こそ最大の好機!

狩りの鉄則だ!!さあ気合をいれろー-!!!!」

 

「任せろ 若旦那!!」

 

「そうはさせねえよ スペシャルボロットパンチ!!!」

 

    グワラグワシャアアン!!!

 

エルウォートに手を伸ばしたカルダトア3の横顔に

ボスボロットの鉄拳が決まった

 

「きまったあ・・・ おれさまかっちょいい!!」

 

これがガンダムファイトであれば即失格になるほどの頭部破壊であり

ボスボロットやマジンガーのような頭部に操縦席があれば

パイロットが失神し操縦系統が不能になるほどの衝撃だったが

カルダトア3にとっての頭部は重要な部品ではあるが

眼球水晶と魔導兵装がつぶれた程度でまだ十分に動けたのだ

 

   ブオン   ガシン!!

 

カルダトア3の両手がボスボロットを完全に掴んだ

 

「くらえっ!!」

 

パンチの勢いを利用しボロットの体が浮き上がり

直線の動きが円運動に変わり回転していく!

 

「だ・い・せ・つ」

 

  ミスミスミスミス!!!

 

その勢いは竜巻を生み出し 助けに入ろうとした

グゥエール改もアールカンバー改も近づけなかった

 

「ざ・ん」

 

   ビシ! ビシ! ビシ!

 

だがその威力にカルダトア3の腕も耐えられなかった

 

「おろーー  し! しまったあ!!?」

 

完全に千切れたカルダトア3の両腕から

すっぽ抜けたボロットが宙を舞った

 

「ぎいええええー--・・・」

 

「うわああー--・・・」

 

「だめ・・・目が回ってバーニアが・・・」

 

     ズガアアン・・・・!!

 

エルウォートの横に投げ出されたボスボロットは

名前以上にボロボロの姿だった

 

「いってえ・・・ あんにゃろめ・・・

エル! その物干し竿でうて!!」

 

「そんな!?ムチャです!

この物干し竿はそんな意味で名付けたわけでは!」

 

「あん?ムチャでもヌケでもいいからやるんだよ!!

ムサシに勝つにはそれしかねえんだわさ!」

 

「・・・・・・わかりました

この一撃にかけます!」

 

うつぶせに倒れていたボスボロットが頭を起こした横で

エルウォートが右バッターボックスで入ったような構えをとり

どこかピンときていないボスが乗った頭に物干し竿を・・・

 

「ボロット! ホーーーム・・・・・・」

 

「そこまで!!双方剣を納めよ!!!!」

 

これまで戦いに見入っていたアンブロシウスが

御前試合終了を宣言した

それにより素早く連続して銅鑼が打ち鳴らされ

終了の合図が戦場に木霊こだまし 全ての期待が動きを止めていく

 

「両者ともいずれ劣らぬ素晴らしき機体である!

その凄まじき戦い存分に見せてもらった!!

中でも聞きしに勝るブリキの騎士の武勇

前例なきナイトスミスの操るカルダトア3の奮闘

共に惜しみない賛辞を送ろう!!」

 

     \\\\パチパチパチパチ!!!!////

 

戦場に立つ騎士たちへ 観客席から盛大な拍手が送られる

それを浴びながら演習場の真ん中で仰向けに倒れ

大の字になって寝っ転がったボスボロットを見て

全ての騎士たちが終戦を感じ 戦場の空気から覚めたのだった




御前試合はこれにて終了 グゥエール改やアールカンバー改の見せ場がどうにも
バトル描写はやはり難しい ムサシについてはまた次回に詳しく

寒波厳しく日本だけでなく世界中で大変な被害があった模様
ようやく節分が過ぎて 春が待ち遠しいものです
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