ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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気合 2回目

「って わけで

ラボからの出向のデシムサシ・ヨーハンソンだ

ムサシって呼んでくれ

そんでボス ラボから返すものがある」

 

「おりょ なんか貸してたか?」

 

「いや 修理のためにボスボロットの腕を借りてただろ

返す前に そっちでもうとっくに直ってたけどよ

オイラたちラボも本気できっちり仕上げてきたぜ

見てくれ!」

 

     バサッ

 

ムサシが巨大な布を取り払うと

そこにはボスボロットの両腕が並んでいた

 

「ありゃ!?預けてたのって片腕じゃなかったか?」

 

「片腕が作れたらもう片腕も作れるに決まってんだろ

それにただ作り直しただけじゃねえ

前より強くなってるぜ!」

 

「そいつはすげえ そんじゃ早速着けてみるわよん」

 

そう言ってボスはボロットに乗り込み 自らの腕を付け替えた

 

  ガチャン! ガチャン! ギュイン  グルグルグルグル!

 

「うわ 腕があんな簡単にくっついて動くとか

ボスボロットって どうなってやがんだ?」

 

ムサシがボスボロットの非常識っぷりに呆れていると

 

「ボスもゲッターチームに言われるとは思ってないでしょうね」

 

エルがムサシ以外には聞こえないようにこたえた

 

「やっぱゲッターって言ったよな?」

 

「ええ それについて詳しい話はボスを交えて三人だけで話しましょう」

 

ムサシの疑問にエルがシーっと 内緒話だと示すと

エルの素性に確信を持った

 

「わかった そんじゃまた後でな

カルダトア3の腕がちぎれたままだから

ちょいと予備と替えとかねえとな」

 

「わかりました 僕たちも手伝いますよ!

早速銀凰騎士団とラボの共同作業といきましょう」

 

「おう 助かるぜ」

 

「親方!ボス!いきましょう!」

 

「おおよ!

早速ラボの新型機をいじれるとは思ってなかったぜ銀色坊主!」

 

「いくわよ~ん!」

 

カルダトア3の修理を通じてあっという間に銀凰騎士団に馴染んだムサシだった

 

 

  ーライヒアラ学園街近くの川ー

 

銀凰騎士団にムサシを加え本拠であるライヒアラ学園に無事帰ってきた翌日

ボスボロットにボス エル ムサシの3人が乗り込みボスボロットだけで

街の外にある川に来ていた

 

国外からの賓客であり未知の塊ボスボロットの持ち主であるボス

次々と新技術を生み出す銀凰騎士団団長エル

国内最高峰の技術者集団であるラボで工房長の孫であり補佐として

幼い頃からその技術だけでなく多くの失敗や成功に触れてきたムサシ

まずはこの3人だけで銀凰騎士団内で共有できる

それぞれの知識や技術をすり合わせる秘密会談を行う、

ということで騎士団を説得し こうして周りに人がおらず

隠れる場所がない見晴らしのいい川のほとりで座り込むボスボロットの

口にあたる部分から釣り竿が3本でていた

 

「やっぱりエルは日本人だったんだな

オイラたちといっしょか」

 

「はい!前世では倉田翼という名前でした

一方的にですがムサシさんやボスのことも知ってましたし

もちろんゲッターロボやボスボロットのことも知ってました

僕が生まれ育ったのは少し先の時代ですけど」

 

「先?よくわかんねえけど

ボスみたいにロボットに乗って直接こっちに来たわけじゃないのか」

 

「そうですね 僕は幼いときから前世の記憶がありましたけどムサシさんは?」

 

「オイラは最近まで日本人だったときのことは忘れてたけどな

シルエットナイトを見たときは ロボットだ、って思ったけどよ」

 

「あ~!わかります!わかります!!

僕も幼い頃にシルエットナイトをはじめて見たときロボットだと思いました!

あのトキメキが僕のこの世界での原点とも言えますね!!」

 

「そういえばこっちだとロボットって言わねえよな

ボスボロットもゲッターロボもロボットから名前とってるのによお」

 

「そうなんですよね~

ここではロボットて言葉が通じないんですよ

まあそれはさておき ムサシさんが前世の記憶をとりもどしたきっかけはやはり?」

 

「ああ ラボに持ち込まれたボスボロットの腕を触った時だな

あの感触 ただの鉄の塊じゃねえ 何か・・・

懐かしい兄弟に呼ばれたような感覚というか

それと一緒にオイラが日本人だった巴武蔵の記憶がいくらか戻ったのよ

ゲッターチームや早乙女研究所のみんな ゲッターロボ・・・

ボスやボスボロットといっしょにあの宇宙怪獣と戦ったこともな」

 

「あのときゃ ゲッターが助けてくれるのが遅けりゃ

おれたちゃ おだぶつだったわよん

あらためて ありがとうよ!」

 

「あんなにつええ怪獣相手にボスボロットだけで囮をやってくれたんだ

こっちこそ ありがとうと言いたかったんだ!」

 

ボスとムサシの間でガチッっと 交わされる握手にエルが目を輝かせる

 

「記録映像ではない リアルでの 伝説の一戦の後日談!

僕はリアタイ世代ではないですが 感動です!」

 

「なんか 照れるな まあオイラにはずいぶん昔のような気がするけど」

 

「エルはいつもこんな調子よ

それよりムサシ ラーメンっておぼえてるか」

 

「ラーメン?

そりゃおぼえてるが そういやこっちでは食ったことねえな」

 

「こっちでもラーメン食いたくてよ 作りてえんだが

おれさま食うばっかで一から作ったことはねえのよ

作り方しらねえか?」

 

「ああ そういうことか

うーーーん・・・ たしか柔道部の合宿とかで作ったことがあるな

スープは粉を買ってたけど 麺は自分らで打ってたぜ」

 

「なるほど 柔道部とか いかにもいっぱい食べそうですから

手作りでコストカットですね!

 

これは完成にかなり近づきそうですね!」

 

「おうよ あ~ 食いたくなってきた

これで魚が釣れりゃ いい出汁がとれるかもしれねえぜ」

 

ボスが釣り竿をいじるが 今のところあたりはない

 

「ムサシさん 麵の材料はおぼえてますか?」

 

「えーーーー、と・・・

たしか・・・ 小麦粉 塩 水 重曹、だったような?」

 

ムサシが指折りながら記憶をひねり出す

 

「材料は揃いそうですね

重曹はないかもしれませんが」

 

「うどんやほうとうなら重曹はいらねえはずだ

そっちもやった、気がする

適当に混ぜて練ってりゃ それっぽくなったと思う

なんだか懐かしいぜ」

 

「・・・ムサシさんは 日本に帰りたいですか?

僕はもうそれほど未練はありませんが

ボスが帰る手段は必ずみつけるつもりですけど・・・」

 

「・・・・・・オイラは・・・・

難しいな 日本か・・・ なんともいえねえな

まあまた会えるなら いや・・・」

 

答えが出にくいことを考え込んだムサシ

エルも質問を誤ったかと考え話をかえた

 

「そういえば 新しいボロットの腕!

以前より強くなったと聞きましたがどんな秘密が?」

 

「あれか あの腕はゲッター3に近い構造だったし

実際ゲッター合金も混じってたからな オイラには相性がよかった

それにじいちゃんが研究中だった 高濃度のマナを当てて鉄を変質させたやつを

混ぜこむとすげえ馴染んでな

そいつを綱型筋肉結晶(ストランドクリスタルティシュー)で仕上げてあるから

カルダトア3の腕と比べても遥かに丈夫に出来上がったってわけよ

これでもう あの宇宙怪獣と戦ったときみたいな 殴った腕の方が壊れる、

なんてこともないはずだ」

 

「おおおー!! 素晴らしい!!!」

 

「ほーん」

 

ボロットの新しい両腕にラボの最新技術とボスボロット、

さらにはゲッターロボの技術まで秘めていることに興奮するエルと

大戦中に多くの研究所や軍や企業、果ては異星人の超技術まで集まってくる

ロンド・ベルの渦中にいてすっかり麻痺していたボスとで 反応は真逆となったがムサシは上機嫌だ

 

「よっと」

 

ボスが軽く操作すると

ボロットが腕慣らしをするように腕を回してみせる

 

「へえ~ 結構操縦が簡単そうだな」

 

「おっ ムサシもやってみるか?」

 

ボスが操縦席を譲るとムサシが座ってみる

 

「お いいのか どりゃどりゃ」

 

適当にハンドルを回し ペダルを踏みこむとボスボロットが動き出す

ボスボロットの動きを見ながら 感触を確かめるようにペダルを踏む

 

「なんだか懐かしいぜ

車の運転はしたことなかったが こう、

ボロットのいたるところに日本を感じるところがよっと!」

 

    ドスン

 

ボスボロットで後ろ受け身をやってみた

 

「おわっと!?

いきなり後ろ向きにひっくり返るなよ!!」

 

「いたた もう乗りこなせてませんか これ?」

 

「おお わりいわりい

お 釣り竿がひいてる」

 

   グイ!グイ!

 

「すっかり忘れてましたね」

 

操縦席の窓から 外の川へ垂れ下がっていた釣り糸が引っ張られている

一番近くにいたボスが釣り竿を引っ張ると

 

    バシャ!バシャ!!

 

「おおっとっとっと!? つええ! なんだこいつ!?」

 

逆にボスが川に引き込まれそうになるほどひっぱられる

 

「ボス!?」

 

「待てエル!!

ここはボロットで!」

 

ボスを助けようと駆け寄るエルを止めたムサシが

ボロットを操り釣り糸の先に手を伸ばすと、

 

  ガブリ!!!

 

川から飛び出した水棲魔獣川大蛇(リバーサーペント)にボロットの手がかじられ川に引き込まれた

 

「ぎええーーーーー!!?」

 

釣り竿を手放したボスだったが危うく外に落ちそうになり

慌てて窓ガラスを閉めようとしたが

 

    ガチ!!

 

「ありゃ!?いっけねえ」

 

釣り竿を挟みこみ 窓が十分に閉まりきらなかった

 

   バシャン!!

 

隙間から川の水が入り込んでくる

 

「まずいですよこれは!

溺れる前に なんとか窓を閉めないと!」

 

操縦席内にみるみる水が入り込んでくる

 

「オイラにまかせろ!!」

 

    グワシャン!!

 

ボロットのパンチがリバーサーペントの顔をとらえ

 

「よっと!」

 

   ボン!!

 

ボロットの動きが止まった刹那 エルが窓に挟みこまれた釣り竿を

法撃で破壊した

 

「今ですボス!!」

 

「おうよ!!」

 

   バン!!

 

ボスがなんとか窓を締め切り流水が膝下程度で止まった

 

「よーーし とどめだあ気合いれるぜ!!」

 

暴れるリバーサーペントをボスボロットがしっかりと掴み

抑えるのではなくその力を利用するかのように振り回す

その流れは川に渦を そして 水竜巻をつくり上げていく

 

  ゴォオオオオ―――――!!!

 

だ・い・せ・つ・ざ・ん・おろーーーーーし!!

 

ブオオーーーーーーン   グシャア!!!

    

川から高々と投げ飛ばされたリバーサペントが頭から地面に叩きつけられ動かなくなった

 

川からでてきたボスボロットからどうにか降りてきた3人が

河原に座り込み一息ついた

 

「ふいー・・・ひでえめにあったが なんとかなっただわさ」

 

「大雪山おろしを操縦席で体験できたのは感激ですが

流石に目が回りました・・・」

 

「流石!!丈夫な腕だったな 両腕ともなんともないぜ!」

 

   ぺしぺし

 

「ケガはなかったがずぶ濡れになっちまったわねん」

 

「まあボスボロットで川に行くとなれば

これくらいは想定内でしたけど

流石にこのまま帰ればみんなに心配をかけてしまいますね」

 

「とりあえず 服を絞って乾かしておくか」

 

   ぬぎぬぎ・・・

 

「いや~~ん みないで~~」

 

「ボス・・・ 男しかいないだろうがよ」

 

「さすがに濡れたままだと風邪をひくかもしれませんし

脱いでもらえれば僕が魔法ですぐに乾かしますよ」

 

「まあもう全部脱いだけどよ

・・・・・・エル おまえ本当に男だったんだな」

 

「あ ほんとだ」

 

「どこ見て言ってるんですか!」

 

「ところで このでけえ蛇は食えるのか?」

 

「リバーサーペントは猛毒がありますから

3ヶ月くらい土に埋めて毒を抜かないと死にますよ」

 

「じゃあ埋めとくか」

 

「魔石はとっておきましょう」

 

「なんまいだぶ なんまいだぶ」

 

・・・

 

「エルネスティ団長から密談をするため

近くに隠れるところがない川に行くとは聞いていましたが・・・」

 

ボスの護衛任務を帯びた藍鷹騎士団のノーラは手勢を連れて

どうにか視認できる場所からボスボロットに乗っていた3人を見つめていた

ボス達の声は聞こえず 他に人が近づかないように周囲も警戒していたが

ボスボロットが水棲魔獣に襲われ その後水竜巻が発生し

わけがわからないまま魔獣の方が動かなくなった上に

機体からでてきたボス達3人が裸になって何か話こみはじめている

という目まぐるしい現状に

 

「・・・・・・これを私がディスクゴード公爵に報告するのですか?」

 

無表情ながらも どうしたものか どうしてこうなったと

呆れるような諦めるような感情を抱えながら報告書を書き始めた

 

ちなみに学園に帰った後ボスたちは 機体の整備をした親方達に

水中戦をしたことがあっさりバレて3人はそろって拳骨を受けた挙句

銀凰騎士団全員と学園長からこってりお説教され

しばらくは学園街内でおとなしくラーメン作りに専念することになった

 

 

 

 

ムサシがサブパイロットに登録されました

 

サブパイロット情報

 

ムサシ

 

底力+2

水適応S

精神コマンド 気合 ド根性 努力 友情 激励 ???

ムサシがボスボロットにメイン・サブ搭乗時のみ大雪山おろし使用可能

大雪山おろし ℗射程1 空B陸A海S宇B バリア貫通 気力110必要

信頼補正  ・ライバル補正クリィテカル率30%アップ

 

強化素材を入手した

 

川大蛇(リバーサーペント)の魔石』




暑中お見舞い申し上げます
日本中すっかり暑くなってまいりました
梅雨は梅雨で蒸し暑さでどうにも息苦しさがありましたが
この暑さはシンプルにきつい・・・ 体が重くてしょうがないです
みなさんも無理せずお疲れのでませんように

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