―銀凰騎士団 工房―
銀凰騎士団にムサシを加えて最初の方針を団長のエルから提案された
「人馬騎士ツェンドルグですが
これまでの二人乗りから 一人乗りに改造しようと思います」
「なんでわざわざそんなことするんだ?
二人乗りの方がつええんじゃねえのかよ」
「だよなあ?」
三人乗りの方が力を発揮できるボスボロットやゲッターロボに関わった
ボスやムサシは疑問を持つが
「たしかにそうかもしれませんが
それは双子で息の合ったキッドとアディのコンビだからこそです
量産を考えれば常に息の合うコンビを必要とする二人乗りよりも
一人乗りの方が運用面やコスト面で優れています
それに何より キッドとアディにもそれぞれ乗る機体があった方がいいと思いまして」
「まあそうだろうな」
「けどよ そもそも馬型は一人じゃ扱えねえから二人で乗ってたんだろ
そんな簡単に一人乗りなんてできんのか?」
「キッドとアディのおかげで実際に動かしてきたことで貴重なデータがとれました
改善点も見つかり再設計を行うことで一人乗りとして最適化は可能だと思います
もちろんキッドとアディにはこれまで以上にがんばってもらいますが」
「まっかせてエル君!」
「ま エルのことだから あれで完成とはいわねえよな やっぱり」
「私もあれ乗ってみたかったから テストランナーがいるときは声かけてよね」
やる気を見せるアディたちにヘルヴィも加わる
ツェンドルグは既存のシルエットナイトとは構造、操縦、サイズなどが大きく異なる上に
最も高価なパーツであるエーテルリアクタが2基必要となる
超高額機体となることから量産には不向きであるが
パワーと機動性、それを活かした馬車として複数機を運搬できる
特殊な運用性と可能性を秘めた機体である
銀凰騎士団が注力していくことに決定したのだが・・・
「ボス 陛下に呼ばれてお城に行くことになりました」
「王様にかよ?
それはいいけど馬ロボはいいのか?」
「国王直轄の騎士団ですから王命は無視できません
それに折角ですからツェンドルグの長距離移動のデータをとってきますよ
僕も乗ってみたかったのでちょうどいいです
もう一人はキッドかアディに」
「はい!エル君 私!私がツェンちゃんの足をやる!
エル君は上ね!」
「それは助かりますが ボスはどうします?」
「あ~ おれさまは いかねえよ
二人っきりを邪魔して馬に蹴られたくねえし」
「文字通りの意味ですか
しかし陛下からの手紙とともにエムリス殿下からの手紙には
ボスとムサシさんにも会いたいそうです
殿下は最近まで他国に留学していたそうなので
会ってみるのも面白いかもしれませんよ」
「エムリス・・・だれだ?」
「我が国の第二王子 陛下の孫にあたりますね
御前試合でムサシさんの機体に同乗していた方です」
「あいつか 他の国の美女の話とか聞けねえかな?
ま 会ってみるのもいいだわさ」
「いえ ボスが帰るための手がかりとかですね・・・
まあ ボスも同行するということで
ムサシさんも誘ってボロットとカルダトア3 ツェンドルグの3機もあれば、
王都との往復の戦力は十分でしょう」
「じゃあ準備してくるねエル君」
―王城シュレベール城―
ツェンドルグによる馬車移動はその到着の早さから王都側を大いに驚かせた
都市から都市への移動は常に魔獣からの襲撃の危険があるこの国において重大事項である
国王アンブロシウスはそれを表には出さずに謁見の間とは違う別室へと通された
それは秘密を要することであるという意思表示でもあり
また外国からの客人であるボスへの配慮でもあった
そしてアンブロシウスの横には近しい雰囲気を帯びた
荒々しい若者エムリス王子が立っていた
「足労感謝する ボス殿
そして大儀であったエルネスティ、アデルトルート、デシムサシよ
此度は国家機密に関わることもある 心して聞いてほしい
まだ内々の話ではあるが近いうちにわしは王位を王太子のリオタムスに譲るつもりである
その後の隠居生活で乗るシルエットナイトをおぬしたちに作ってもらおうと思うてな
国王機レーデス・オル・ヴィーラは王位と共に譲ることになっておるからのぅ」
「そのついでに俺の分も作ってもらおうか!
ムサシには昔 一人前になったら俺の専用機を作ってもらう約束がある
この機会にそいつを果たしてもらおうと思ってな
頼めるか 銀の長!ムサシ!」
現国王から王座の譲位という国の一大事と共に 普段着の注文のような空気で
専用機開発を命じられた
エルもこれには驚いたが 既に国内ではエムリス王子の帰還も含め
譲位に向けて動き出しており国民への発表ももう間もなくという段階である
その空気を感じ取りながらエルもどうすれば面白くなるかつい考えつつ返答する
「承知いたしました 尽力させていただきます
つきましてはどのような機体をご所望でしょうか?」
その言葉にエムリスが先に動く
「あのカルダトア3以上の
そしてあの馬モドキ!御前試合で実感した力もさることながら
手紙を出してから今日までの日数から相当の
あれで遠駆けに出てみたい」
「なるほど力と速さですか」
「そうだな 出来れば馬よりは獅子を名乗れるような
すごく強そうなのを頼んだ!」
「わしからは よほど
「王様 それはもったいねえぜ
せっかくの専用機なんだからド派手に傾かねえとよ!
イッシッシ例えばよ・・・」
ボスが翻訳機を兼ねたタブレット端末をエルに預けた
これはこれまでエルを含めボロットに乗った子分やアディ達にしか
直接見せていないものだったが 今回はエルも止めずに操作をした
「こちらはいかがでしょうか
エース機とよばれる団長機のような機体ですが
その外見は他を圧倒します」
タブレットの画面には黄金の鎧を纏った騎士のような外見の機体
『百式』が映し出された
「おお!こいつはすげえな!!
ボス殿の国にはこんなシルエットナイトがあるのか?!
それにこの板!いきなり精巧な絵があらわれたぞ!」
エムリスが大騒ぎしながらタブレットの画像に反応し
アンブロシウスも食い入るように見つめている
次に強さと機動性を両立させた機体として
モビルホース『風雲再起』に騎乗した『マスターガンダム』を表示させ
獅子を象った機体として『黒獅子』 次に『獣魔(黒獅子)』を見せた
ちなみに全て静止画であり動画にならないようにエルが操作している
「あんまり可愛いのはないね
これなんかほとんど魔獣だし」
「もっとよく見せてくれ」
「殿下 こちらはもし壊れれば僕達だけでなくボスにも直すことができません
お気を付けください」
興奮のあまりタブレットに触れそうになるエムリスをエルが牽制する
「おっと すまんボス殿 つい興奮してしまった」
「馬鹿孫が失礼したボス殿
しかし これほど多種多様なシルエットナイトが貴国にはあるのか」
「味方だけどよお みんな日本製ってわけじゃねえよ
国籍とかなんとか超えてよお みんなで戦っただわさ」
ボスも正直なところよくわからない機体が多く
逆にボスボロットも仲間からなぜ動くのか不思議だと言われるほど
ロンドベルが混沌とした部隊だった
「残念ながら銀凰騎士団でこれらの機体を完全再現することはできませんが
これから作る機体の参考になればと思ったのですがいかがでしょうか?」
「おお!?そういうことか! じゃあ 俺のは最初の黄金の騎士と
この黒獅子を合わせた『金獅子』って強ええ感じのを」
「まてい!若造が『金獅子』などと うそぶくなどまだまだ未熟よ
こういった傾いた機体を乗りこなせるのは『獅子王』たるわしこそ相応しい」
「じいちゃん 隠居のガウンにゃ派手過ぎんだろ!
歳考えろよ 『元』獅子王になるんだからよお!」
「ぬかせ
「おっ ケンカか」
「ちょっと嬉しそうですねボス
さすがに国王陛下と第二王子のケンカはまずいですよ」
パン!!
一触即発の状態を ムサシが両手を叩き 猫だましの要領で止めた
「なら オイラが預かろう」
「流石 柔道部鬼のキャプテン 一瞬で止めましたね」
―城 中庭―
場所を屋外に移し
向かい合うアンブロシウスとエムリスはシルエットギアに身を包んでいた
『金獅子(仮)』の権利を賭けて組手で決着をつけることになり
ムサシが審判をつとめることになった
エルはやり過ぎないようにとシルエットギアの機体制御の補助となる
マギウスエンジンを停止させることを提案し了承されて停止措置を行い
見届け人となったボスのもとへ戻った
「王様達の着ているのなんとかギアとムサシの着てるのは随分違うな」
「元々
モ―トリフトは自分でカスタマイズしますから個性が出るものです
・・・ムサシさんのヘルメットに鉄の前掛けスタイルも
鍛冶師と思えば それほど違和感がない、かもしれません
どう見てもゲッターチームのときの格好ですが」
「筋金入りなんだな あれ
お はじまった!」
一進一退の攻防にボスも盛り上がる
「すごいですね
エドガー先輩でもギアを着た最初のときは歩くのがやっとでしたが
両者ともすぐに使いこなしています」
「いきなりあそこまでできたのは
あたしやエル君 キッド ディー先輩くらいよね」
「武器は使わないって話だけどよお
どうやってケリをつけるんだこれ?」
「ムサシさんが決めるんでしょうね」
エムリスの勢いを利用してアンブロシウスが背負い投げをうった
かろうじて受け身が間に合い ムサシも止めなかった
「陛下の方が優勢でしょうか」
「いや 今ので逆に火がついたんじゃねえか」
ボスの言うように エムリスは底力を見せるが
逆にアンブロシウスからは僅かに息切れが見える
「おおりゃあ!!」
「ぐっ!?」
ドオン!!!
「それまで!!」
激しい攻防の果てにエムリスのバックドロップが決まりムサシが止めた
双方礼を交わし 組手を終えた二人に改めて新型機の要望を聞いたところ
共通したのはギアによる
エムリスは『金獅子』、アンブロシウスは『白虎』をモチーフとしたデザインとなった
そして十分なパワーを得るために
つまり4基用意してほしいとエルが提案すると
「ふむ たしかにその理屈はわかるが
流石にわしでもすぐに4基も用意するのは難題だな
あれは・・・ おおそうだな かつておぬしが希望しておった
エーテルリアクタの製造方法について
これまでのおぬし達騎士団の功績とボス殿の助力 そして今回の件も含めて検討しよう」
アンブロシウスの言葉にエルの目が輝いた
「輝いているエル君かわいい!」
「あれはわしが直接知識を持っているわけではないのでな手続きが必要なのだ
それが終わるまでにその知識を得る者を一人だけ選抜しておくがよい
秘伝を受けるには卓越した知恵と魔術への造詣が必要だと聞く
また国家の秘事であるゆえ ボス殿は立ち入れぬのはご容赦いただく」
「おれさまは気にしねえよ」
「では僕か、ムサシさんですね」
「そいつはオイラよりエルの方が向いてそうだな
オイラ魔法はさっぱりだしよ」
「ではエルネスティよ
然るべきときが来ればこちらから連絡をする
それまでは量産機のエーテルリアクタで試作してみるがよい
こちらも譲位で忙しいゆえに時間がかかろう」
「承知致しました 陛下」
「楽しみにしてるぜ銀の長!
とにかくパワーだ!
カルダトア2より速ければ なおいいがな!」
「わかりました 時間がかかりそうなので
とりあえず一人乗りのツェンドルグが完成したらお届けしますね」
「そいつはいいな!頼んだぜ!」
現役の国王と王子がシルエットギアを使った派手な組手が行われたことを聞きつけた
王太子のリオタムスによる二人への説教があったのは別の話である
―銀凰騎士団 工房―
「形だけは出来てきましたね 親方」
「ああ 錬金術学科には随分無理を言ったがな
国王陛下とエムリス殿下からの依頼となれば
全面協力でこの出来栄えよ」
『金獅子』と呼ぶにふさわしい金色に輝く獅子を模した
シルエットナイトの外装の試作ができた
実際に金が使われているわけではなく既存の外装を
錬金術でそう見えるように加工しているのもので
王族が乗るに相応しい姿を求め錬金術学科が総力を挙げた成果である
「あれいいよなあ
強そうでカッコよくてよお」
ロンドベルには百式以外にもゴッドガンダムのハイパーモードのように
光り輝くとさらに強くなる機体もあり ボスにとっても憧れるものがあった
「ボス ボロットを金色にするだけならむしろ簡単ですよ
あの3Dプリンターに色を変える機能がありますから」
「え!?そうなのかよ!?」
ボスは気づいていなかったが エルが操作パッドを操ると
確かに色変更機能があり カラーバリエーションに金色もあった
「この数値を変更すると大きさも変えられます
操縦席の頭部は作れないので あまり大きくするとバランスが崩れますね
とりあえず20メートルにすると 1.67倍ですから・・・
折角なのでやってみましょう!
親方!!このスクラップ使いますね!」
エルがスクラップから次々とボロットの各パーツを造りだし
それをボスボロットとカルダトア3が組み上げていく
金色のボスボロットの体にそのまま頭を乗せてみると・・・
「・・・なんか思ってたのと 違うな」
「頭がそのまんまってのもあるけどよ」
「なぜか 折り紙の金色の紙を貼り付けたような安っぽさがありますね・・・
まあ どっちも本物の金を使ってないのは同じですが」
12メートルから20メートルの大きさになった金色のボスボロットを見上げ
ボスたちから 何とも微妙な感想がもれた
「やっぱただ金色の体に いつもの頭が乗ってるだけだから変なんじゃねえか」
「ならペンキで腹にでっかく『金』って書いとくか?」
「金太郎って呼びますよそれ」
「じゃあグレートのときみてえに股間に『
「ぶっははあ それ意味が違うだろ」
「背中には書かないんですか?
金の一文字カッコイイかもしれませんよ」
「金の裏は無地なもんだろうよ」
「ああ 将棋の金将ですか
そう言われてみるとたしかにその方がよさそうですね
百式のように肩に一文字入れてみますか?」
「『金』、『猛』、『闘』もイイな!」
「ボロットには似合うか?」
日本出身の三人の会話は理解できなかったが
ダーヴィド親方が結局これをどうするのか聞いてきた
「肝心のボスがあまり気分が乗らないようなら
とりあえず実戦に出すのは見送りましょうか」
「きんきらきんの上にデカくなったしよお カッチョイイとこで使いてえし
どうせなら男らしいとっときの秘密兵器でも仕込んでから使いてえな!」
「なるほど たしかにそれは面白そうですね!
今回はこういったこともできると確認できたわけですし
とりあえず改造が済むまではまた分解してしまっておきましょう」
「先に王様や若旦那の機体を完成させとこうぜ
あのお馬さんもまだまだ手がかかりそうだしな」
一か月後、現国王アンブロシウスの退位と新国王リオタムスの即位のための
国を挙げての盛大な式典が行われ その祝いの一環とし
新型機『
新長田町にリアルサイズの鉄人28号見に行きました
全長15.277メートルの大迫力!!
ボスボロットとシルエットや大きさが近いので色々参考になりました
こんなのが暴れたら馬鹿にできない
もう11月ですが夏日が連続する今日この頃
朝夕は逆に涼しく余計に・・・
お疲れのでませんように