ナイツ&マジック&B   作:ウジョー

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分析

「よし 頭はちゃんとくっついたな

エル そこのボタンを押してくれ」

 

「えーと ボス いくつもボタンがありますが

どれを押しましょう?」

 

「どれでもいいんだけどよ おっとその前に・・・

おーいちょいと動かしてみっからよく見てくれい!」

 

「わかったー!!」

 

「親方の返事が聞こえた

エル やってくれい!」

 

「ではこのボタンを」

 

     ポチ!

 

    ブオォン

 

  ガチャ ガチャ 

 

「ええーー!今度はなに!?

エル君何したの!?」

 

  グイーーーン グイ!  ギチ! グイ!

 

「おいおい なんだこりゃ!

これが組み立てたばかりのシルエットナイトの動きだってのか!?」

 

「なんだこの柔軟性!

鎧を着た騎士どころかまるで服を着た人間のようだ」

 

「あんな動きができるなら剣技や魔法戦だけでなく

関節技や投げ技もできるのではないか?」

 

「あれがブリキの騎士の動き シルエットナイトとは全然違うのね

ところで あれって体操? それともダンス?」

 

本来の姿を取り戻したボスボロットがいきなり踊りだした

愛嬌のある動きに合わせ表情まで変わる様子に

自分たちの目を疑うナイトランナーやナイトスミス達

 

「師団級魔獣と渡り合ったって話だから只者じゃねえとは

思ってたが ここまでとんでもねえとは思ってなかったぜ」

 

「常識はずれもいいところだな・・・」

 

「だが このブリキの騎士の常識外れの動きのおかげで

我々は命を救われたんだ」

 

「たしかに あのべへモスのブレスから一瞬で割り込んて

オレ達をかばってくれたから今生きてるんだよな」

 

「私達はあの戦い ほとんど有効打を与えることすらできなかったけど

砦の騎士達とともにべへモスと最前線で日をまたぐほど戦い続けるタフさ

ボスって人 本当に私達と同じくらいの年齢なのかしら?」

 

ボスボロットを見る人それぞれが様々な感情をもってその姿を見ていた

 

「おおっととのオットセイ!

おいエル 他のボタンも押してみてちょ」

 

「はい!じゃあそのとなりのこれを!」

 

     ポチ!

 

  グイーーーーン  ガシャンガシャン!

 

「うわ! これってラジオ体操!? 懐かしい!」

 

「エル君!?なんか楽しそうだけどすっごい揺れてるよ!?」

 

      ギュ!!

 

「エル アディちゃん あんまイチャイチャしねえでくれよ

うらやましいじゃねえか!」

 

「エル君はわたしませんよボスさん!」

 

「そっちじゃねえよ!」

 

目の前のボスボロットの不思議な踊りと操縦席からの楽し気な会話に

ボスボロットを見る畏怖に近い感情がやわらいでいく

 

「うーん、と 関節から変な音がするっぺえな

親方!ちょいと手を貸してくれ!」

 

ボスボロットが自分の手で頭を外して床に下ろし

ボスが工具箱を片手に出てくる

 

「お、おう!任せとけ!左肩と股関節だな!」

 

「僕も、って アディ 放してください

動けないですよ 僕もボスボロットの修理に・・・」

 

「んふふ~ エル君~」

 

アディにしがみつかれエルは操縦席に取り残された

憧れのロボットに乗って興奮していたエルだったが

ボスボロットの修理が順調に進んでいくことで気づいたことがあった

 

「まずいですね こんなに早く修理が進むなんて正直予想外でした

ロンドベルの迎えが来て帰ってしまうのはしょうがないですが

適当な油であれだけ動けるなら自分の足で旅立つ可能性があります

・・・ここにとどまっていただくか

最悪僕も旅に同行できるようにここは僕の有用性をアピールする必要がありますね」

 

「!?駄目だよエル君!

エル君はどこにもいかせないんだから!!」

 

    ギュウ!!!

 

「アディ!?流石にちょっと苦しい・・・

ん あれは・・・」

 

操縦席の一角に他の設備とは明らかに違う仕様の設備があった

 

「たしかあれは・・・ボスの話では

ロンドベルに配属されたときに新規でとりつけられた通信設備でしたね

アディ どこにもいかないので少し手をゆるめてください

あの設備を見るだけですから」

 

「・・・むぅ」

 

アディがしぶしぶ手をゆるめると

エルはスルリと抜け出し通信設備を確認した

大きさはパソコン程でモニターもある

自分が知る手のひらサイズのスマホですら通話だけでなく様々な機能があった

ボス自身 この設備を全て把握しているわけではないとも聞いている

エルの前世はプログラマーである

軍のしかも最前線の特殊部隊であるロンドベルで使われている設備は

エルにとってもオーバーテクノロジーであるが

この分野においてはボス以上にこなせる自信があった

 

「ボス!ちょっとこの通信設備さわってみてもいいですか?」

 

外で作業中のボスに許可を求め 二つ返事で了承された

 

   カタカタカタ・・・

 

すぐに使えるような仕様なのかロックもかかってなかったため

これ幸いとキーボード操作に懐かしさを感じながらエルは

機能の確認をしていく

 

「すごいエル君・・・

何が何やらさっぱりわからないけど」

 

アディは作業の邪魔にならないように腕をつかんだりはしていないが

それでもエルの隣りにピッタリとくっついてモニターを覗き込む

高速で流れ次々と切り替わっていく文字や映像にまったく理解が追いつかないでいた

エルもこれぐらいならとアディの好きにさせ操作に集中していく

まずは各種通信機能が生きていることを確認

現在どこにも繋がってはいないが発信と着信の機能自体は問題ない

対異星人用の同時翻訳も機能している 最新のレーダーも完備

これだけでも自身の知る通信機よりも高性能だが

勿論これで終わりではない

 

ロンドベルの共通データベースの閲覧が可能なことにすぐに気づき読み進めていく

大戦時の敵味方含めたロボットやパイロットのデータは

それだけでエルが一生楽しめそうな程の莫大な量が眠っていた

正直じっくり眺めたいほどの垂涎のデータの山だったが

この設備の機能の把握が本題なので泣く泣く画面を切替えていく

ロンドベルが経験した戦場は地球上に限らずコロニーや月

時には異世界のバイストンウェルや異次元宇宙にも及びその地形データもある

こちらの世界のデータはまだ入力されていなかったが

これらのデータと比較することができれば・・・

エルは好奇心を抑え深入りをできるだけ避け検索範囲を広げていく

その中で戦闘用シミュレータを発見した

しかもボスボロットに限らず

マジンガーチームやゲッターチーム MSパイロット用のものまである

機能はある程度限定されていたが

プログラムを少しいじればゲーム感覚で遊べるような可能性を感じ・・・

 

「そう、ここをこうして・・・」

 

  カタカタカタカタ!タン!

 

「お~い エル!」

 

    ガシ!

 

「わ!?」

 

ボスに肩をつかまれ 我にかえったエル

気づけばかなりの時間がたっていた

つかまれたのと逆の肩ではアディが寄りかかって眠っている

 

「外は少し暗くなってますね

ついついのめり込んでしまいました

ボス とりあえずこれまでわかったことを報告します」

 

エルの説明を聞いて感心したボスから改めて

通信機の扱いに関して一任されたエルネスティが再び張り付こうとしたが

目を覚ましたアディによって無理やり引きはがされ帰路についた

ボスもこの学園にいる間はエルの実家預かりとなり

寝食の世話になることになった

 

「ボロットの中には布団もトイレもあっから寝泊まりもできるけど

せっかくだから世話になるだわさ よろしく頼むぜエル」

 

「はいボス!

ボスは国の客人で僕の命の恩人ですからみんな大歓迎ですよ」

 

「そりゃ楽しみだ おれさまはらぺこよ」

 

「ところでボス!

明日はあの3Dプリンターのような機械も触らせてもらえますか!?」

 

「あれか 試作品で壊れてもおれさまには直せねえんだ

それでもよけりゃあいじってもいいぜ

ただあれもよくわからねえことが多いんだ

何か新しいことがわかったら教えてくれ」

 

通信機の分析でかなりの信用を得たのか

手放しの信頼ともいえる扱いにエルは舞い上がり

今にもボスボロットのもとに駆けつけんばかりだったが

母親のセレスティナ・エチェバルリアにやんわりと止められた

ボスはハード面に比べソフト面を苦手と感じたエルは自分のプレゼン資料をまとめつつ

明日への期待にワクワクが止まらず 遠足前の子供状態でベッドに入っていた

ボスはご馳走を腹いっぱい食べてボスボロットの修理がほぼ終わり安心したのか

ベッドに乗った瞬間に爆睡した

 

・・・ところかわって

王様からの勅命であった未知の機体の修理のプレッシャーから解放されながらも

自身の経験や常識をふっとばされた挙句 未知のテクノロジーの塊にふれた

ダーヴィド親方をはじめとした整備員達は泥のように眠っていた

明日からはじまる さらなる狂乱の鉄火場も知らずに---




スパロボ30の発売日が近づき ナイツ&マジック原作の更新も続き書きたいネタはたまる一方ですが書くペースがなかなか上がらない・・・
発売日までにもう少しキリのいいところまで書きたいところです

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