(期末レポート)
カハッ(吐血)
はい。現実って辛いですね。
禍々しい妖気の斬撃が床や柱、壁を破壊していく。
壊された床や柱や壁、またはその破片がそこら中に飛び散り、さらなる破壊をもたらす。もう部屋の中は、先程とはまるで違う姿に変わり果てていた。
「おのれッ…………ちょこまかとッ!!」
『くっ、加減を知らんのかっ…………!』
自身の攻撃を避け続け、あろうことか見えぬ力で自信に反撃してくるクロに対して怒りを隠せない牛魔王は、手に持つ七星剣に多くの妖気を集中させ、剣に収束させた妖気をビームのように放った。
その射線上にいたクロは、牛魔王の背後に転移することで攻撃を避ける。だが…………
「甘いわッ!」
『何っ!? これは…………まさか、幌金縄かっ!?』
牛魔王の腰に巻きついていた幌金縄が突如、後ろに回ったクロへと急速に伸びていき、油断したクロを縛る。
なぜか、牛魔王サイズからクロを縛るのに丁度いいサイズへと変わっているが。
幌金縄によってグルグル巻きにされたクロへと牛魔王が七星剣を振るう。クロは再び牛魔王の背後に転移することでそれを避けたが、クロ自身のみを転移させたはずがなぜか幌金縄に縛られたままの状態になっている。
『なんだこれは!? 吾輩から離れんっ!!』
「それが幌金縄だ」
『くっ……!』
幌金縄がだんだんと自身を縛る力が強くなっているのを感じたクロは、なんとか幌金縄を解く手段を探る。
この状態でも牛魔王の攻撃を避けるのは可能だが、縛る力が強くなってきている幌金縄は放っておけば自身を絞め殺す可能性もあるのだ。反撃よりもそちらに集中する。
ちなみに、クロは隙があれば何度か念動力の衝撃波で牛魔王を攻撃していたが、直接脳や内臓に攻撃を仕掛けてはいない。何度か試していたが、牛魔王が放つ圧倒的な妖気の壁が念動力の干渉を防ぎ、効果がないと分かったからだ。
「おのれ……その状態でもまだ動けるとは……!」
斬撃、妖気を纏った殴打、ビームなど様々な手段で攻撃を仕掛けてくる牛魔王。幌金縄で縛られた状態であるはずのクロに未だ攻撃をあてられず、怒りが頂点に達し、そして頭に冷水を浴びせられたかのように冷静になった。
「お前、確かクロと言ったな?」
『……なんだ』
冷静になった牛魔王は突如として攻撃を止め、空いた手を腰に当ててクロに話しかける。
先程まで荒々しく攻撃を仕掛けていた牛魔王が攻撃を止め、話しかけてきたことに違和感を持つも、返事をするクロ。そして、返事をしたクロを見て牛魔王はニヤリと笑った。
『っ!?!? しまった……!』
ニヤリと笑った牛魔王が腰から外した物を見て、クロは自分が失態を冒したことに気づいたが……遅かった。
クロは、牛魔王が手に持った琥珀浄瓶の中へと吸い込まれていった。
琥珀浄瓶と紫金紅葫蘆は、名を呼び、それに返事をした相手を吸い込み、中に閉じ込めることができる法宝なのだ。紫金紅葫蘆と違う点は、溶かされることは無いところだろう。
「クククッ……その中で三蔵法師が食べられる様をみているがいい」
琥珀浄瓶を崩れた部屋の隅に置き、牛魔王は外へと逃げた三蔵法師達の所へと向かうために、部屋を出る。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
琥珀浄瓶の中は、透明な液体が底に溜まっており、壁はガラス状でも曇りがかかったように中から外の様子を伺うことはできない。
『しくじったな……』
七星剣の斬撃や幌金縄の締め付けに気を取られ、琥珀浄瓶の存在を忘れていた。幸い、琥珀浄瓶は紫金紅葫蘆と違って中のものを溶かす機能はない。牛魔王による攻撃もないため、急ぐべきではあるが、先ほどに比べれば落ち着いて行動できる。もう、さっきのような失態は冒さない。
琥珀浄瓶に取り込まれた衝撃と吾輩自身の失態を悟ることで、ある程度冷静に考えることができるようになった。
まずは、今も我輩を締め付けている幌金縄を念動力で切断する。幌金縄の硬さは普通の縄とさほど変わりなく、苦労せずに切断することができた。切断した幌金縄を蔵にしまって、次は琥珀浄瓶から出る手段を考える。
千里眼で外の様子を覗くことができればよかったのだが、空間が歪んでいるのか外の様子を見ることはできなかった。
よって、転移で外に脱出するという手段は取れない。他の手段は、できるかはわからないが念動力でこの琥珀浄瓶を破壊するくらいだろうか。
『こうしている間にも、牛魔王がのび太達の所へ向かっているのだ。やってみるしかないな…………』
吾輩を中心にして全方位に念動力の衝撃を放つ。それも、全力でだ。
『はあああぁぁーっ!!』
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
柱や床、天井、壁などの瓦礫が転がっている部屋。
その隅に置かれていた琥珀浄瓶に突如ヒビが入った。
ヒビが入った琥珀浄瓶はその次の瞬間、木っ端微塵に砕け散り、凄まじい衝撃波が放たれた。
衝撃波は部屋の瓦礫を吹き飛ばし、まだ形を保っていた一部の壁や柱は完全に崩壊する。
「ッ!? グアアアアアアアア!!?」
三蔵法師を食べるために外へと向かっていた牛魔王は、突然後ろから襲ってきた強力な衝撃波に吹き飛ばされ、その勢いで壁を突き破っていき、城の外へと吹き飛んだ。
「なんだい!? きゃあっ!!」
「「「「「「うわあああああっ!?」」」」」」
城の外で羅刹女と戦っていたドラえもんたちにも衝撃波が襲い、宙を浮いていた羅刹女は突然の衝撃に抵抗することもできずに吹き飛び、火焔山の内部の壁にぶつかった。
同じように衝撃波に襲われたドラえもん達は、火焔山の入り口と城の入り口をつなぐ橋の上まで地面を転んでいった。
「グウゥ……一体何が……?」
衝撃波によって外まで吹き飛ばされた牛魔王がそう呟く。身につけていた鎧が所々欠けてヒビが入っており、身体中の節々にダメージを負っているようだ。そんな牛魔王の前に、念動力を全解放することで琥珀浄瓶から脱出することに成功したクロが現れた。
『よくもやってくれたな。おかげで全力で念動力を使うことになった』
「お前はッ……!? どうやって琥珀浄瓶から出た!? 」
『フンッ、これ以上教えてやる義理はない』
「チッ、まあいい。ここでお前を屠って三蔵を食うだけだ」
牛魔王はそう言うと、手に持っている七星剣を掲げ、クロに向かって振り下ろし七星剣の刃がクロを捉えそうになる。
だが、刃はクロに届くことはなく、その少し手前で停止していた。いや、停止しているのは七星剣だけではない。七星剣を握っている牛魔王も体を動かせないでいる。
空中にいくつも開放された蔵から無限の鎖が牛魔王と七星剣を縛っているのだ。
「グッ! なんだこれはッ……!」
牛魔王が鎖を解こうともがくがびくともせず、妖気を用いて破壊しようとしても鎖には傷一つはいらない。
この隙に七星剣を奪おうとしたクロは、七星剣に対して空間転移が効かずに困惑していた。……七星剣に纏わりついている牛魔王の妖気が邪魔をしているのだ。
『直接奪うしかないか……』
「させると思うか……? …………はあッ!!」
『むっ!?』
牛魔王は鎖に縛られながらも七星剣からは手を離さず、剣を奪おうとするクロへと向けて口から妖気でできた焔が放つ。
念動力で自身に向かってくる焔を当たらないように逸し、その間に地面に陣を描くクロ。
全開放した念動力の衝撃波を受けても、牛魔王が七星剣ほどではないが体にも纏わせている妖気のせいでさほどダメージを受けていないことを認識し、電撃や炎もおそらく同様に効果が薄くなるだろうと判断し、姿を変えて直接戦うことにしたのだ。
『我が望みを叶えよ』
一定の行動と呪文を唱えたことで姿が変わっていくクロ。
体の大きさはおおよそ9メートル台になり、強靭な剛腕、漆黒の体毛、頭から真横に伸びる一対の巨大な角を持つ生物へと姿を変えていく。
「なっ!? お前は何だ、奴はどこへ消えた!?」
牛魔王が焔の放出を止め、止めたことによって現れたクロの姿に驚き、混乱する。
この猿のような生物はなんなのか、一体どこから現れたのか、焔を受けたはずのクロはどこに行ったのか
「ゴアアアアアアアアッ!!」
牛魔王の質問に対して、わざわざ教える義理もないと判断したクロは、モンスターハンターにおいて、古龍にも劣らない超攻撃的生物と呼ばれる大型牙獣種のラージャンの姿となって咆哮し、鎖によって縛られている牛魔王へと飛びかかって牛魔王の顔を殴りつけた。
「ガッ!? くっ、おのれぇ……!」
クロに殴られた牛魔王は、口の中を噛んだのか口から血を流すも、大きいダメージは与えられていない。
ノーマルな状態では、念動力などに比べればダメージは与えられる方でも、大きなダメージを与えることはできないと悟ったクロ。次にクロがとった行動は、自己の強化だった。
『我に力を与えよ フィジカルドウブリング。 …………ハアァーーー!!』
「くっ、今度は何だ!?」
その場で一回転し、呪文を唱えて自身の身体能力を2倍に引き上げ、さらに肉体の枷を開放することで黄金の状態へと移行する。
黄金の獅子へと変貌したクロは、先ほどと同じように牛魔王へと飛びかかり、黄金と漆黒の体毛が入り混じった剛腕で殴りつけ、その瞬間に牛魔王を縛っていた鎖を解く。
再びクロに殴られた牛魔王は、体を縛る鎖が突如解けたために体を支えることができず、後ろに吹っ飛んで倒れた。
「ゴフッ!! ……ハァ……ハァ……おのれ……調子に乗るなぁ!!!!」
身を守っていた鎧が破損し、内臓が傷付いたのか大量に口から血を流す牛魔王。その痛みと二度も殴られた怒りで、クロを滅さんと薄く身に纏っていた妖気も全て七星剣へと集中させて薙ぎ払い、今まで以上の範囲と威力のビームを放つ。
その攻撃を高く跳躍することで避けたクロは、超能力で電撃を纏わせた両碗を、ビームを放った直後で隙ができている牛魔王へと勢いよく振り下ろした。
クロの渾身の一撃が振り下ろされた直後、まるで、雷が落ちたかのような音と共に地鳴りが起き、両腕を叩きつけられた牛魔王を中心にして大地が砕ける。
周囲には電気が迸り、大地が砕けたせいで多くの土煙が上がっている。
その土煙が幾分か晴れた後、牛魔王の姿が顕になった。
頭に被っていた兜は割れ、身を守っていた鎧は両腕を叩きつけられた箇所を中心にして砕けている。
牛魔王は身体中の至る所から血を流し、攻撃を受けた胴には空洞ができており、そこから大量の血を流していた。
もはや、牛魔王の顔に生気は宿っていない。数多の妖怪たちを滑る頭領、牛魔王はクロの渾身の一撃によって倒されたのだった。
原作において、牛魔王は35メートル、体重2万トンもの大きさへと姿を変えたそうですが、牛魔王よりも身長が高い自由の女神が重さ225トンらしいので、もしかしなくても、牛魔王はちょっと転んだだけで死んでいた可能性が高いのでは? ボブは訝しんだ
映画編の日常と戦闘描写についてなのだ
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戦闘シーンは省略するのだ
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そのままでよいのだ
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戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
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早く新しい挿絵を追加するのだ
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モンハンと人間以外にも変身するのだ
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冥との絡みを増やすべきなのだ
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クロはもっと無双RTAしてよいのだ