ネコ   作:ミーちゃん

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遅くなってしまいました。
新年、あけましておめでとうございます。


ブリキの迷宮編
24話 ネコとブリキンホテル


「……録画でも観ますか」

 

 

 夜中、クロによって作られた万能メイドロボットの冥はテレビをつけていた。

 夜中でも自動で道具を作っており、クロは寝ていて特に命令も受けていないため、暇な状態なのだ。暇ならばなぜ寝ないのか……それはクロが冥を作る際に睡眠をする必要がないように設定したからだ。一応、この設定はクロの許可があれば変更することは可能なのだが、暇な夜中にテレビで録画や映画、番組を見るのは、クロに作られてから日課になってきている。趣味とも言えるだろう。

 

 

「おや? これは一体……?」

 

 

 本来であれば番組やCMなどが流れない時間帯のため、いつも通り映画か録画を見ようとした冥はテレビの異変に気づいた。

 

 

 

――ザー……ザザッ……ザー……――

 

―――ザー……ザ・ザ・ザア……遥かに続く白い砂浜、目に染みるような青い蒼い海―――

 

―――太陽は明るく……、一年以上海水浴をお楽しみいただけます――

 

――さらに素晴らしいことに、三方を囲む山々は絶好のハイキングコース、色とりどりの草木にかざられ、万年雪の山ではいつでもスキーができます――

 

――是非一度おでかけください。ブリキンホテルはいつでも皆様のおこしをお待ちしております――

 

――ザッザザッ……ザー……――

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「……というCMを、昨日の夜に見たのです」

 

『鏡の世界でテレビはどれも映らないはずだが……どこで見たのだ?』

 

「タイムテレビを作成しまして、それでですね」

 

『いつの間に作ったんだ……』

 

「眠くなることがないというのはかなり暇なもので、その暇をつぶすためにこっそり作りました」

 

 

 朝、吾輩はいつもの散歩コースを冥と一緒に歩きながら話をしていた。どうやら、昨日の夜にタイムテレビで番組を視聴していると、ブリキンホテルなるホテルを紹介するCMがやっていたそうだ。普通なら昼か夕方のどちらかにCMがよくやっているように思うが、夜にやることもあるのだな。

 

 朝の散歩道を、ミニドラの様子についてや今も製作中のひみつ道具について、その他にも先ほどのCMの話や他愛もない話をしながら歩く。吾輩は塀の上を歩き、冥は普通に道を歩いている。冥を作ってからは、毎朝一緒に歩くようにしているのだ。

 

 

「「やーい、嘘つきのび太ー! 見栄っ張りのび太ー!」」

 

「嘘つきとはなんだ!! ぼくはほんとに行くんだぞ!!」

 

 

 冥と歩いていると、先の方の曲がり角あたりからのび太たちが言い争っている声が聞こえてきた。少し気になった吾輩たちは散歩コースから外れ、道を進み、角を曲がって学校へ登校中ののび太たちと出会った。

 

 

『お前たち、何を言い争っているのだ?』

 

「かなり大きな声でしたので、少し気になってしまいました」

 

「クロちゃんに冥さん!」

 

 

 吾輩と冥が声をかけると、真っ先に反応したのはしずかちゃんだった。そして、しずかちゃんの声を聞いて吾輩と冥の存在に気づいたのか、のび太とジャイアンとスネ夫がこちらを向く。

 

 

「それで……大きな声で何を言い争っていたのですか?」

 

「え、えっと…………」

 

「のび太の奴が、この時期にスキーと海水浴がいっぺんにできて……」

 

「ガラガラに空いててのんびりできるホテルがあるなんていうんだ!」

 

「今時そんなところがあるわけないのにね!」

 

「ふむ……」

 

『今の時期にスキーと海水浴がいっぺんにできる……?』

 

 

 スキーと海水浴が一度にできるなんて、あまりこの時代のホテルに詳しいわけではないが、それでもそんなホテルは聞いたことがな…………いや、どこかで聞いた覚えがあるな。確か、冥が夜中に見たCMの宣伝だったか……?

 

 

「く、詳しいことは秘密なんだ! 世界中の人がおしかけるから」

 

 

 そう言ってのび太は早足で学校へと向かって行く。おそらく、ホテルについて詳しく追及されるのが困るのだろう。

 実際、スキーと海水浴が一度にできるホテルなど普通ならあり得ないからな。しかも、そのホテルの広告が流れたのはほとんどの人が眠っているであろう夜中。夜中に広告を流すということは、広告費がないほど貧乏かホテルができたばかりという可能性がある。

 まぁどちらにせよ、あまり期待できるものではなさそうだというのは確かだろうな。

 

 

 

 その後、吾輩と冥は学校に登校していくジャイアンたちを見送ってから、散歩コースを巡り、鏡の世界に戻ってから道具の制作と拠点作成の計画を立てた。朝は散歩、昼から夕方までは修行か道具制作、拠点作成の計画を立案するなどして夜は日記を書いて就寝するのがここ最近のルーチンとなっている。このルーチンを二日、三日繰り返した後に事件は起きた。

 

 

 あれは、吾輩が今まで作り上げた道具の整理をしている時だった。

 

 

『無限の鎖は戦闘用、次元爆弾も戦闘用、タンマウォッチは補助用で…………』

 

「万能首輪は補助用、フリーサイズぬいぐるみカメラは日常用、思い描いたものを形にする道具と物体を完全コピーする道具は工作用で……この二つは名称を変えませんか? 名前が長くて道具の整理が滞りますよ」

 

『確かに長いな。新たな名称か…………具象化機と完コピ機でどうだ?』

 

「先程の名前に比べたら短くて良いかと。ところで……完コピ機はフエルコピーライトと性能が被っていませんか?」

 

『あっ……いや、少し違う。完コピ機はフエルコピーライトに比べて大型で、増やす対象を完コピ機に直接取り込ませないといけないのだ。それに対して、フエルコピーライトは小型で持ち運びがしやすく、増やす対象にライトを当てるだけで増やすことができる代物だ』

 

「それって、フエルコピーライトは完コピ機の上位互換と言っても差し支えないのでは? あと、虫の知らせアラームはどちらに分けますか?」

 

『虫の知らせアラームは補助用に分けておこう。……そういえば、ドラえもん達を登録したのはいいが肝心の虫の知らせアラームの電源を入れていなかったな。丁度良い、今電源を入れておこう』

 

 

 そうして、吾輩が虫の知らせアラームの電源を入れた時、虫の知らせアラームがいきなり鳴り始めたのだ。ハチの形を模した虫が羽をばたつかせて目の光を点滅させ、けたたましい音を鳴らす。

 

 

『なッ!? 急に鳴り出したぞ!』

 

「虫の知らせアラームが鳴り出したということは、誰かが危機的状況にあるということですね」

 

『このアラームに登録してあるのはドラえもん、のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫の五人だ。つまり、この中の誰かが危険な状況にあるということか……急いで片付けて現実世界に戻るぞ!』

 

「承知しました」

 

 

 五人の誰かが危険な状況にあると知った吾輩は、整理のために出していた道具類を急いで蔵にしまい、ミニドラは冥のメイド服のポケットに入ってもらってから現実世界に戻った。

 そして、現実世界に戻った吾輩は千里眼で五人の状況を順番に確認しようとした。だが、五人のうちドラえもんを除いた四人はなぜか河川敷の高架橋の下に集まっていたため、順番に確認する必要はなくなった。

 四人の様子を見る限り、危険な状況にあるようには見えない。ならば、そこにいないドラえもんが危険な状況にあると予想し、のび太の家や町内を見渡してみたが見つけることができなかった。

 

 

『ドラえもんが見つからない……』

 

「ここではない何処かにいるのでしょう。未来か……あるいは別の地域か……のび太さんに聞いてみた方が良いかもしれません」

 

『うむ。確かに、いつもドラえもんと一緒にいるのび太ならドラえもんの行方がわかるかもしれないな』

 

 

 のび太ならドラえもんの行方について何か知っていると考えた吾輩と冥は、高架橋の下に集まっている四人の元へ転移した。

 

 

「わっ! びっくりした…………クロに冥さんか」

 

「何かあったの?」

 

『ああ。実はな――』

 

「おい、のび太! ブリキンホテルに連れてってくれるんだろ? 早くしろよ!」

 

「そうだぞ、早くしろよ!」

 

「む、今連れて行くよ。でも、見るだけだからね。チラッと見てすぐ帰るんだよ」

 

 

 ジャイアンとスネ夫が吾輩の話を遮り、のび太にブリキンホテルに連れてってくれと急かす。そう急かされたのび太は、持っていた鞄を地面に置き、ジャイアンとスネ夫に注意してから鞄を開けた。

 

 

「ス、スゲェ! どこでもドアみたいだ!」

 

「でもこれ、門だよ」

 

「じゃあ、どこでも門だな」

 

 

 吾輩を含めて全員が、のび太の開いた鞄から出てきたものを見て驚いた。

 なぜなら、鞄から質量保存の法則を無視して大きい門が現れたからだ。ドラえもんの道具かと思ったが、鞄から現れたような形の道具はカタログには載っていなかった。

 それに、門の先が超空間に繋がっていて先を見通すことができない。移動用の道具だとは思うが、未来の道具なら移動先の景色が見える。未来の道具という可能性は低いだろう。

 

 

「それじゃ、ついてきて」

 

「「おう!」」

 

「わかったわ」

 

『あッ、待てッ…………』

 

 

 吾輩が門に驚いて呆けている間に、のび太たちが門をくぐっていってしまった。声をかけようとしたが、間に合わなかったらしい。

 

 

「行ってしまいましたね。いかがいたしますか?」

 

『決まっているだろう、吾輩たちも行く。のび太にドラえもんの行方を聞かなければならぬし、この門の持ち主かもしれないブリキンホテルも気になるしな。のび太は一度ブリキンホテルにこの門を使って行ったことがあるようだし、もしかしたら……な』

 

「なるほど、委細承知しました。では、参りましょう」

 

『ああ』

 

 

 虫の知らせアラームが鳴るも、のび太やしずかちゃん、ジャイアンとスネ夫は無事でドラえもんだけがいない。十中八九、ドラえもんが危険な状況にあるということはわかる。

 ドラえもんが危険な状況にあるということは道具が使えない状況ということ……未来か過去かどこかの時間軸でポケットが壊れて遭難したか、はたまた何者かに拐われてしまったのか。人が寝ているような時間帯に広告を流すのに、現代の地球の科学力を超えているであろう門を持っている謎のホテル。加えて、なぜかのび太はジャイアンたちをすぐに帰そうとしている。

 

 怪しいのび太の行動とホテルの技術力が、ドラえもんの行方に繋がっているかもしれない。門をくぐったら、のび太に問い詰めよう。そう思いながら、吾輩は冥に抱かれて門の向こう側へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 




最近、いろいろ書き方を変えてみてるのですが、中々難しいですね。

映画編の日常と戦闘描写についてなのだ

  • 戦闘シーンは省略するのだ
  • そのままでよいのだ
  • 戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
  • 早く新しい挿絵を追加するのだ
  • モンハンと人間以外にも変身するのだ
  • 冥との絡みを増やすべきなのだ
  • クロはもっと無双RTAしてよいのだ
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