ネコ   作:ミーちゃん

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内定が……内定が……欲しい……


37話 怪魚族と海底人

 美しく多くの水を湛えた惑星……地球。その地球の大気圏外に留まる魚型の巨大な宇宙船にて、怪魚族と呼ばれる者達が怪魚族の王と話をしていた。

 

「トラギス、人魚族を見つけたというのは本当か?」

 

「ギョイ! この姿はまさしく人魚族でしょう。そして人魚族の姫も確認できています」

 

 トラギスと呼ばれた彼は、彼の部下が地球で手に入れた映像を写しながら、王へと返答する。

 怪魚族の王……ブイキンは映像を見てニヤリと笑い、それから目の前のトラギスへと問いかける。

 

「ならばトラギスよ、当然、その人魚族の姫も捕まえたのだろうな?」

 

「そ、それは……邪魔が入ってしまい……」

 

「逃したと?」

 

「は、はい……」

 

 トラギスは、王の機嫌を損ねてしまうであろう己の部下が起こした重大なミスを、恐怖心によって言葉を詰らせながらも報告した。そして、案の定ブイキンの機嫌は悪くなってしまった。

 

「せっかく見つけたというのに、みすみす逃がすとは……」

 

「も、申し訳ございません!!」

 

「海底人と名乗る者共や謎の無人船によって人魚族捜索が滞る中、今回は絶好の機会だったはず」

 

「ギョ、ギョイ……」

 

「フンッ。いいかトラギスよ……人魚族が持つ『人魚の剣』はこの世全ての水を操ることができる。そして、宇宙に存在する多くの生命は海で生まれ進化する。海の生活に適応する者としない者、いずれにしも……オレが手『人魚の剣』を手に入れれば、全宇宙を支配できるのだ! トラギス……貴様に今一度機会を与えよう。なんとしてでも人魚族から剣を奪うのだ!!」

 

「ギョイッー!」

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

 

 

一方、海底に存在するとある都市の地下廊下にて、ソフィアとハリ坊と呼ばれる人魚が言い争っていた。

 

「ハリ坊! ドラえもんさん達を解放なさい! 彼等は私を怪魚族から助けてくれたのよ!」

 

「姫様、それはできません! 奴等は地上人なのですよ!」

 

「地上人が何だというの! 彼等が私を助けてくれたことに変わりないわ!」

 

「海を汚す奴等を解放するわけにはいきません! それに、奴等地上人は閉じ込めておくようオンディーヌ様と協力関係にあるムー連邦首相から命令されています!」

 

「ムー連邦首相ですって……?」

 

 ソフィアはハリ坊どの言い争いで出てきたムー連邦首相という聞き慣れない言葉に困惑する。

 

「姫様が都を抜け出した後に、怪魚族に対抗するため彼等と協力関係を結んだのです」

 

「その方の言う通りですよ、姫様」

 

「あなたは?」

 

 ハリ坊がソフィアがいない間に協力関係となったことを伝えると、それを肯定しながら廊下の奥から黒い髪の女性がやって来た。

 

「僕はこのムー連邦の兵士であり、彼等地上人の面倒を見ることになりました。エルと申します」

 

「何ッ!? それはどういうことですか! 捕らえておけという命令のはず……」

 

「彼等はムー連邦にて住民権を与えて地上には返さないと、首相とオンディーヌ様との話し合いで決まりました。」

 

「そんな!?」

 

 ハリ坊は面倒を見ると言い出した女性兵士……エルの言葉に驚き、ソフィアはドラえもん達を地上に返さないと決めた自分の祖母に驚き、なぜ……と疑問を抱く。

 

「ッ! わかった、ありがとう。……どうやら彼等が目覚めたようですので、僕はもう行きます」

 

「待って、私も行かせてちょうだい」

 

「姫様!」

 

 ドラえもん達が目覚めたと連絡を受けたエルは、早速向かおうとするが、ソフィアについていかせてほしいと頼まれる。ハリ坊はそんなことを言うソフィアに注意をするが、ソフィアはそれを無視して何度もエルに頼み込んだ。

 

「わかりました。お一人で行かれるよりはマシでしょう」

 

「ッ! ありがとう……」

 

「ダメです姫様! 地上人の元へ行くなど危険です!」

 

「彼女が許可したのなら問題ないはずよ」

 

「それは…………」

 

 しつこく頼みこんでくるソフィアに根負けし、一人で勝手に向かわれるよりはマシだと判断したエルは、ソフィアがついて行くことを許可した。それに喜んだソフィアは早速とばかりに向かおうとするが、今度はハリ坊に止められる。

 だが、許可をもらっている以上なんら問題ないはずだとソフィアが告げると、ハリ坊は言葉を詰らせた。

 

「行きましょう……」

 

「わかりました」

 

 そう言ってエルと共に離れていくソフィアの背中をハリ坊は無念そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 ……帰らなくちゃ。

 

 ——帰るってどこへ?

 

 ……家に決まってる。キャンプは二泊三日の予定だもの。あれ? でも、まだ一泊もしてない?

 

 ——ここが君の故郷なのに、なぜ帰る必要があるんだい?

 

 ……故郷!? この真っ暗な海底が故郷!? 冗談じゃないぞ!!

 

 ——冗談なんか言ってないよ。君だけじゃない。地球上のあらゆる生物にとって海は故郷なんだ。

 

 ——三十五億年も昔、世界で最初の生命が生まれた。それが海の中だったんだよ。

 

 ——生まれたばかりの生命を海は優しく育ててくれた。時が流れ、生命は増え、複雑に進化し、やがて藻や三葉虫などが現れた。植物と動物の誕生だ。

 

 ——生物が海を離れて陸上で生活するようになったのは、四億年ほど前のことだった。新しい暮らしに合わせ、生物はさらに進化を続けた。激しい生存競争が繰り返され、多くの種類の生物が生まれては滅びていった。しかし……

 

 ——再び母なる海へ帰っていった生物もいるんだよ。

 

 ……陸から海へ? へ〜っ、どんな生物なの?

 

 ——例えば鯨。その証拠にヒレの骨組みを見ると、昔はそれが前足だったことがわかる。他にイルカやアザラシ、そして海底人だ。

 

 

「海底人!?!?」

 

 のび太はそう大きな声で叫ぶと、目が覚めた。扉が一枚と無機質な壁に四方を囲まれた白い部屋の中にいて、側にはベッドが二つ並んでおり、その上にドラえもんとしずかちゃんがいた。二人も同じタイミングで目を覚ましたようで、のび太は今見た不思議な夢の内容を共有しようとする。

 

「不思議な夢を見てた」

 

「ボクも」

 

「私もよ」

 

のび太の言葉にドラえもんとしずかちゃんも同意する。なんと、不思議な夢を見ていたのはのび太だけではなくドラえもん達もだった。三人が同じ夢を見ることがあるのか……そうのび太達が疑問に思っていると、部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。

 

「僕らのことを知ってもらうために、教育ドリームを見せたんだ。僕はエル、さっきは君達に電撃を浴びせてしまってごめんよ」

 

 部屋に入ってそう言ってきたのは、地上では見ない服を着て剣を腰に帯びた黒い髪の女性だった。彼女……エルは、自分たちのことを知ってもらうために教育ドリームを見せたと言う。加えて、電撃を浴びせたとも。

 

「君がボク達を……!!」

 

「傷つけるつもりはなかった。パワーも最小に絞って撃ったんだ」

 

 ドラえもんが怒りをあらわにして言うが、エルは澄ました顔で傷つけるつもりはなかったと言い返した。最小に絞っても気絶するほどの威力は、悪影響を及ぼす可能性が十分にあると思うのだが、どうなのだろうか。

 

「わかってほしい。君達がどんな人物かわからなかったからね……それに、人魚族のお姫様……ソフィア様とも一緒にいたし」

 

「なんでそんなに人を疑うんだ!!」

 

「僕らは大昔から時々陸へ上がり、地上人の歴史を見てきたんだ。血みどろの歴史をね。何千年もの間、戦争の繰り返しじゃないか。警戒するのも当たり前だろう」

 

「そんな!」

 

 地上人の血みどろの歴史から今の人間を警戒していることを聞き、理不尽だと声を上げるのび太。すると、エルの後ろからその声を聞きつけたソフィアが、部屋に勢いよく入ってきた。

 

「みんな大丈夫!?」

 

「「「ソフィアさん!?」」」

 

 部屋に入ってきたソフィアに驚く3人。無事で良かった。なぜソフィアがここにいるのか。一緒に捕まってしまったのか。いろいろと考えてしまうが、ソフィアから事の経緯を聞いた3人はそんな考えが吹き飛ぶほど驚いた。

 

「「「地上に帰れない!?」」」

 

「ごめんなさい……」

 

 自分達が眠らされている間に勝手に永住を決められて、しかも地上への帰還は許されないとくれば、驚くのも仕方がないだろう。

 

「ソフィア様の言う通り……君達は地上に帰ることはできない。もし国境から一歩でも出た場合、君達は処刑されてしまう」

 

「そんな勝手な!」

 

「確かに勝手だが、これはもう決まったことなんだ。諦めてくれ」

 

 血みどろの歴史がある地上の人間だから、警戒して決定権を奪い、生きて帰さないことで秘匿性を保つ。秘匿性を保つという手段においては間違っているとは言えないだろう。だが、このような手段を用いることができる時点で、ムー連邦も歴史の彼方で少なくない血が流れている可能性が高い。

 

「とりあえず、用意されてる君達の部屋に案内しよう」

 

「……わかった」

 

「ちょっと待って! ジャイアンとスネ夫はどこ?」

 

「そういえば……」

 

 エルがドラえもん達に用意された部屋へ案内しようとした時、ドラえもんがジャイアンとスネ夫がこの場にいないことに気づいた。

 

「ああ……彼等は精神鑑定の結果、凶暴性と嘘つき性が出たので地下牢に閉じ込めているよ」

 

「「「ええっ!?」」」

 

「それは誤解だよ!」

 

「本当はいい奴らなんだ!」

 

「「お願い、出してあげて!」」

 

「うーん…………なら、一度彼等の様子を見てから決めよう」

 

「ホント!?」

 

 この場にいなかったジャイアンとスネ夫は精神鑑定の結果が悪く、地下牢に閉じ込められていることが判明した。のび太は精神鑑定の結果を誤解だと言って二人を擁護するが、ちょっと無理があるかもしれない。しかし、三人とソフィアの必死なお願いが、一度様子を見るという譲歩を引き出した。

 そして、ドラえもん達とソフィアはエルの案内に従って、地下牢へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鬼岩城?」

 

 ドラえもん達は、ジャイアンとスネ夫が閉じ込められている地下牢へ向かいながら、エルからムー連邦のことや金塊を積んだ沈没船のこと、鬼岩城という場所の話を聞いていた。

 

「そう。何者もよせつけない魔の海域に存在するんだ。君達はバミューダ三角海域と呼んでいるみたいだね」

 

「バミューダ三角海域!」

 

「でも、それと沈没船となんの関係が……?」

 

「鬼岩城には恐ろしい兵器が存在していて、無理にあの海域に立ち入ろうとすると、世界が破滅してしまうかもしれないんだ。だから、金塊の引き上げなんかのために、あそこをウロウロしてほしくなかったんだ。最近は怪魚族とかいう奴等が出てきてるしね」

 

「世界が破滅って怖いな…………」

 

「のび太さん……」

 

「ねえ、ソフィアさん。怪魚族って何か知ってる?」

 

「私を襲っていた者達よ」

 

「えーッ!?」

 

「怪魚族は危ない人達なの?」

 

「僕らはあまり詳しくないからわからない。でも、彼等は地上人並みに海を汚すし、魔の海域にも近寄るから良い印象はないかな」

 

「私も詳しくわけじゃないから……でも、私を人魚族の姫だと認識した上で襲ってきたから、危険だと思うわ」

 

「そうなんだ」

 

 地上でバミューダ三角海域と呼ばれている場所に、世界を破滅させるかもしれない恐ろしい兵器を保有する鬼岩城が存在していると知り、少し怖くなるのび太。その一方で、ドラえもんは怪魚族というワードが気になったようだ。

 ドラえもんの呟いた疑問に、ソフィアとエルが答えた。二人共怪魚族について詳しいことは知らないが、危険であることや良くない印象を抱いているそうだ。

 

「……着いたよ。ここに君達の仲間二人がいる」

 

「ここに……」

 

「ジャイアンとスネ夫が……」

 

 話しながら歩いていると、いつの間にか鉄製の扉がいくつもある所に着いていた。どうやらここの一つに、ジャイアンとスネ夫が閉じ込められているらしい。

 ドラえもん達とソフィアは示された扉の方に向かうが、中から聞こえてきた声と音に思わず足を止めてしまった。

 

「出せぇーッ!!!」

 

「出してよーッ!!」

 

「出さねぇと火をつけてぶっ壊して、ギタギタのボコボコにしてやるぞォ!!」

 

 ドンドン、ガンガンと扉を内側から蹴り、叩きながら叫ぶジャイアンとスネ夫。

 

「うーん…………彼等、ホントに誤解?」

 

 そう言うエルの言葉を、足を止めた四人は否定できなかった。

 

 




【トラギス】
 漫画版では登場しない映画だけの人物。割と間抜けらしい。声はケ○ドー・コバヤシをイメージしてね。

【ブイキン】
 怪魚族の王を務めており、漫画版と映画でデザインが大きく変わる人物。人魚の剣を追い求め、遥々地球までやってきた。

【エル】
 海底人の国であるムー連邦の少年兵士……だったのだが、作者の都合で女性になった。漫画版では黒髪だが、映画版では金髪となっている。作者はボクっ娘大好き。

【ムー連邦】
 エルが所属する海底人の国。人魚族と違い、元々地球の海底に住んでいる地球人達。地上の人間が海底にやってくるし、別の地上人が沈没船の引き上げのために魔の三角海域周辺をウロウロするし、怪魚族とかいう奴らが海を汚しながら魔の三角海域とか人魚族とかいろんなところにちょっかいを出すから、人魚族と手を組んだ。

映画編の日常と戦闘描写についてなのだ

  • 戦闘シーンは省略するのだ
  • そのままでよいのだ
  • 戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
  • 早く新しい挿絵を追加するのだ
  • モンハンと人間以外にも変身するのだ
  • 冥との絡みを増やすべきなのだ
  • クロはもっと無双RTAしてよいのだ
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