ネコ   作:ミーちゃん

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遅くなってしまって申し訳ない……


50話 奏でるは災禍の調べ

 今朝からクロの拠点、その夏ゾーンでぬいぐるみ達と遊んでいたアスールは、空が異様な変化をし始めると、何かを察知したかのようにある方向に顔を向け、睨んでいた。

 

「スゥ……スッ!」

 

「「「「!? ……ッ!」」」」

 

「スーッ!」

 

 そして、風が強まり……嵐になると、アスールはぬいぐるみ達の制止の声をふりきって飛んでいき、拠点から出ていった…………嵐の発生地へと。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 クロと風の龍がぶつかり合い、その度に嵐が強まる。嵐が収まる気配は一向になかった。

 

「ギュオォォォォォォーン!!」

 

 クロは咆哮しながら強力な風の弾、雷、水の刃を放ち、マフーガを消滅させようとする。だが、その体を跡形もなく消し飛ばそうとも、マフーガは周囲の風を収束させて何度も復活した。マフーガの戦闘力自体はそう高くない。むしろ、スネ夫に憑依していた時の方が強かっただろう。なぜなら、クロのように風弾を放つでもなく、雷を落とすでもなく、ただ体当たりや噛みつきをするだけであったからだ。ただし、マフーガのもつ再生力だけはかなり厄介に感じていた。

 精神生命体にダメージを与えられるオーラの攻撃も、まるでどこからかエネルギーを供給しているかのように、ダメージを回復して再生するのだ。きりがない。

 

 むぅ……おそらく奴は、この嵐によって形成されている。だから、龍の形をとった奴を倒してもこの嵐をどうにかしない限り、奴は復活し続けるのだろう……厄介な。天候を変えるだけならそう難しくないと思っていたが、この嵐には奴の意思が込められている。ただの嵐でない故か、予想以上に大気の操作ができない。さてどうするか……。

 

 何度も再生するマフーガを見ながら考えるクロ。この戦いの最中に嵐を解除しようと複数回試みているが、その成果は芳しくない。意思持つ嵐故に、通常以上の出力を要するのだ。マフーガを処理しながら試みていては嵐を治められない。かといって、マフーガを放置すれば今以上の被害が風の村におよぶ可能性が高く、ドラえもん達も巻き込まれるかもしれない。

 誰かがマフーガを抑えてくれれば、その間に大気操作に専念できるのだが…………

 

「グオオオオオオオオオ!!! ……グアッ!?」

 

 そう考えている間にマフーガは再生を完了し、咆哮しながらクロへと体当たりしていく。クロはその体当たりを正面から受け止め、オーラを込めた衝撃波を放ち、マフーガの体を木端微塵にする。

 だが、やはりマフーガは周囲の風を収束させて再生していく。体が破壊されてから再生し、復活するまで大体3秒程度。そのわずかな時間で、クロは嵐を鎮めなくてはならない。

 

 再生したマフーガはさすがに学習したのか、体当たりをしてくることはなく、ジッとクロを睨んでいた。何もしてこないなら都合が良いと考えたクロは、蔵を開いて宙に巨大な黄金の波紋を出現させる。波紋からは高層ビルの上部分が露出しており、その先端は嵐の目を向いていた。狙いを定め、高層ビルを勢いよく発射する。

 

「グオッ!?」

 

 巨大質量が凄まじい速度で空を進み、嵐の目の部分へと向かっていく様を見たマフーガはクロの狙いを悟り、焦りで声を上げる。

 空を進む高層ビルはそんな声に反応するわけもなく、天を覆う分厚い雷雲の中心へ入り、音速を超えたことにより発生した衝撃波で雲を吹き飛ばした。

 

『!? …………これでもダメか』

 

 雲が円状に吹き飛んだことで見えた綺麗な青空。だがそれも、すぐに天を再び覆った雷雲によって見えなくなってしまった。一瞬止まった雨風もまた激しく降り始め、ふりだしに戻った。

 また体当たりしてきたマフーガを木端微塵にして天の様子を確認したクロは、単純に空を晴らせば良いというわけではないと知り、他の方法を考える。

 

 そんな時、遠くから何かが近づいているのをクロは感知した。魔法による感知領域を広範囲に広げていたおかげだ。

 

 近づいているのは飛行機などの大型ではない。それよりもさらに小さい。あるいは人間より小さいかもしれない。だが、鳥のような動きではなく、群れでもない。一体だけで近づいている。明らかにこの場所へ向かってきている存在は一体何なのか。

 

『なっ、アスール!? なぜお前がここにいるのだ!』

 

 視界に入ってきたそれを認識して、クロは驚いた。なぜなら、拠点で留守番をさせていたはずのアスールだったからだ。

 

 アスールはアマツマガツチに変身したクロとマフーガを交互に見た後、覚悟を決めた顔をして嵐の中心へと突撃していく。その身に風を纏って…………

 

『何をする気だアスール……ッ』

 

 上昇していくアスールへと攻撃しようとしていたマフーガを雷と風のソーサーで破壊したクロは、アスールが何をしようとしているのかを考える。

 

 アスールは青白い煙のような風を纏いながら、嵐の渦……その中心に到達すると、嵐とは反対方向に回り始めた。おそらく、冷風で嵐から熱を奪い、消滅させようとしているのだろう。だが、それは既に吾輩が試した。ただの自然現象であれば消滅させられたのだろうが……意思をもった風には効果がなかったのだ。…………いや、待てよ? アスールは風に意思が宿った生命体……そして、それはマフーガも同じだ…………まさかッ!?

 

『止まるんだアスール! そのやり方では、お前も消えてしまうんだぞ!』

 

 アスールの狙いに気づいたクロは、今も回転を続け、嵐と同程度の規模の雷雲と風を生み出すアスールを止めようとする。

 

「スーッ!! スー、スッスーッッ!!」

 

『アスール……』

 

 しかし、アスールは止まらなかった。むしろ、制止しようとしたクロに自身の覚悟を伝えたことで、クロの動きを止めた。

 

 

 

 

 アスールとクロは出会ってからまだ一週間も経っていない。そんな短い期間でも、アスールはクロを好いていた。同時に、自らに相応しい主人であるとも思っていた。

 

 フー子と違い、アスールは自身がどのような存在なのか知っていたし、封印される前の記憶も残っていた。だからこそ、玉から出れた時に見た世界は、あまりにも自身の知っているものと違いすぎて衝撃的だった。

 場所によって涼しくも暖かくもなる穏やかな風があること、太陽の存在や陽射しの暑さ、様々な生命体の存在クロがもつ元主人以上の力など多くのことを知り、あっという間に世界を好きになっていた。そして、好きになった世界で一番好きなものは青空だった。なぜなら、マフーガとして生まれて世界に大洪水を起こした時の記憶では空は常に曇天で、それが普通なのだと思っていたからだ。だからこそ、本当の空が綺麗な青空だったことを知った時はしばらく見続けた程に衝撃的だった。

 この素晴らしい世界を……美しい青空が見れなくなるのは嫌だ。たとえ、自身が消滅したとしても必ず取り戻す。

 

 

 

 

『アスール……お前の気持ちは確かに伝わったぞ……その覚悟もな。冥に威勢よく啖呵を切ったというのに恥ずかしいが、吾輩だけではこの現状を打破することが難しい。だから、一緒にやろうアスール!』

 

「ッ! スゥスゥ!!」

 

『ああ……ありがとう。アスール、マフーガは吾輩が抑えるから気にするな。お前はそれを完成させるのに集中するといい』

 

「スー!」

 

 アスールと共闘することを選んだクロ。一人ではなく、誰かと一緒に戦うのは魔法世界以来故か、少し楽しげだ。アスールも自身の気持ちを尊重してくれたクロに感謝と嬉しさを感じている。

 

「グオオオオオオ!!」

 

 再生したマフーガが吠えながら上昇し、クロ達へと近づいていく。アスールの思い通りさせないために。

 

『さて…………やろうか、アスール』

 

「スゥ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ! まさかあのマフーガが手も足も出ないとは!」

 

 嵐の中、タイムマシンの中から外の様子を見ていたストームは荒れていた。変身したクロにマフーガが何度も倒されていたからだ。

 

「というか何なんだあの猫! ウランダーと同じように超能力を使ったと思えば、あんな餃子みたいな龍に姿を変える! E・S・P訓練ボックスじゃあんな芸当はできないぞ!? どうなってるんだ!?!?」

 

 マフーガを圧倒するクロに驚愕を隠せないストーム。それも仕方ないのかもしれない。なんせ、念動力に空間転移、魔法など多種多様な力を用いてくるのだ。どう考えても普通の猫ではない。ストームがひみつ道具について詳しく知っていれば架空動物製造機やウルトラミキサー、魔法事典などの可能性も思いついただろう。まぁ、魔法以外は元々クロがもっていた力だが。

 

「…………あの化け猫がマフーガを倒せるとは思えないが、万が一ということもある。邪魔できんように排除しておくか」

 

 そう呟いて座っていた椅子から立ち上がり、運転席へと向かった。自動操縦にしてた運転を手動に切り替え、アスールの下へ行かせないようにマフーガと戦っているクロへと標準を合わせる。そして、ミサイル発射のボタンを押そうとした瞬間、轟音と激しい揺れがストームを襲った。

 

「な、なんだぁ!?」

 

 揺れに耐えきれず転んでしまったストームは、何事かと動揺し、モニター室へと走っていった。

 

「一体何がぁッ!?」

 

 部屋の中へ入り、モニターで外の様子を確認しようとすると、また大きな揺れと轟音が起きてモニターに勢いよくキスする羽目になったストーム。

 

「さっきから何なんだまったく! なっ! なぜ奴が動いて……ッ!?」

 

 痛ぁぁ!!と顔を手で覆いゴロゴロとのた打ち回り、2分くらいしてやっと痛みが引いてきた。そして、改めてモニターを確認したストームは驚きで声を荒げるのだった。

 なぜなら、モニターには光る剣を構えた冥が映っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 安全膜を破壊され、気を失ったのび太達をドラえもんと一緒に安全な所まで運んだ冥は、ひどく落ち込んでいた。

 

「申し訳ありません……ドラえもんさん。あなた方を守ることも、クロ様の命を守ることもできずに……私は……」

 

「冥さん。ボクは無事だし、のび太君達もみんな生きてる……それに大きな怪我もないのは、冥さんのおかげなんだよ?」

 

「しかし、気を失うほどのダメージは避けられませんでした…………これでは、怪我したも同然です……」

 

「冥さん…………」

 

「ですが……今落ち込んでいる状況ではないことも理解しています。なので、大丈夫ですよドラえもんさん。心配してくださって、ありがとうございます」

 

 そう言って切り替えた冥は、クロとアスール、マフーガの戦いを浮遊しながら観察しているタイムマシン……の中にいるストーム……を睨み、片手を上げた。

 

「私の持つ武装の大半はひみつ道具による物ですが、そうでない物もあります」

 

 冥はそう言う。掲げていた手にはいつの間にか、神秘を感じさせる西洋風の剣が握られていた。翡翠色の刀身に黄金の鍔、純銀の柄で構成されたそれは、以前、クロが魔法世界で発見したナルニアデスの剣を改造したものであった。

 

「魔法システム起動。『斬光(ゼルリッチ)』」

 

 冥の言葉に反応して刀身から翡翠色の光が強まり、魔法名が唱えられると洪水のように溢れ出した。冥がそのままタイムマシンに向かって剣を振り下ろすと、眩い光の斬撃がビームのように放たれた。

 

「冥さん……それって……」

 

「これは、クロ様から戴いた『ナルニアデスの剣改』です。特定のキーワードで誰でも魔法を発動できる魔道具で…………斬光(ゼルリッチ)……っと、このように連続使用も可能です」

 

 冥は、ドラえもんの質問に答えながら次々と光の斬撃を飛ばし、ストームが乗るタイムマシンにダメージを与える。一発当たるだけで深い一本線の傷が刻まれるため、タイムマシンが墜落するまでそう時間はかからないだろう。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 時は戻ってタイムマシンの中。

 

「おのれぇ……まだ動けたとは」

 

 ストームはモニターに映る冥を見て、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。時空ミサイルによって少なくないダメージを負ったはずの人物が攻撃していたのだ……ストームにとって想定外のことであったため、そうなるのも仕方なかった。

 

「ぎゃあッ!? クソッ! なんて威力だ……うわあっ!?」

 

 ドオン!! という轟音も振動がタイムマシンを襲う。そして、遂に限界を迎えたストームのタイムマシンは浮遊すらできなくなり、コントロールを失って墜落するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




終わらせられなかったよ……

【アスール】
 原作フー子のようなことをしている風の子。短い期間で懐き、自身を犠牲とするほどの理由は作者の勝手な独自解釈によるもの。じゃないと、のび太が相当な人外たらしか……フー子が聖人すぎることになる。

【ナルニアデスの剣改】
 クロが魔法世界で手に入れたナルニアデスの剣を改造したもの。宝石剣のように光の斬撃……ビームを放つことができる。ただし、反動が強いため、人間が使うと骨が折れる。

映画編の日常と戦闘描写についてなのだ

  • 戦闘シーンは省略するのだ
  • そのままでよいのだ
  • 戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
  • 早く新しい挿絵を追加するのだ
  • モンハンと人間以外にも変身するのだ
  • 冥との絡みを増やすべきなのだ
  • クロはもっと無双RTAしてよいのだ
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