ネコ   作:ミーちゃん

57 / 82
難産でした……。キャラが多すぎるのと、映画と漫画で言動も動きも場所すら変わるので迷いました。このワンニャン時空伝編の明日はどっちだ!?

新しいドラえもん映画は……どことなくクレヨンしんちゃん味を感じたのは作者だけでしょうか?




56話 犬族の少年少女

 

「はあっ……はあっ……あいつら、いつまで追いかけてくるんだ……」

 

 ダクと呼ばれた犬族の少年は、時々後ろを見て追手を確認しながらも狭い小路を走り続ける。息切れ……あるいは別の理由からか、彼の顔色は青白くなっている。

 

「待てェ!! 絶ッ対に逃さない……地獄の果てまで追って必ず捕まえる!!」

 

 物凄い形相で追いかけくる青い裸の猫族。その後ろには青い猫族の仲間であろう四人が走ってきている。捕まるわけにはいかない。あの青い猫族に捕まったら、何をされるのか考えるだけで震えが止まらない。

 

「なっ……! く、くそぉぅ!」

 

「鈴を返せェェェ!!」

 

 しかし、彼の走った先は行き止まり。右も左も自分より高い塀に囲まれた……袋小路。ダクはついに追い詰められた。

 ドラえもんは今にも頸を斬ってしまいそうな勢いで、鈴を返せと要求する。後ろを走っていた四人も既にこの場に辿り着いていた。

 

 逃げ場はない。万事休すか……ダクが考えたその時!

 

「ダク! こっちに!!」

 

「っ!! 助かったぜ、チーコ!!」

 

 右方の壁、その上から白い犬族の女の子がダクに声をかけた。先のブルタロー同様にダクの仲間なのだろう。彼は声を認識した瞬間、即座に懐に入れていた鈴を彼女に投げ渡していた。

 鈴をキャッチしたチーコはそのまま塀の上を走り、ドラえもん達から逃げようとする。

 

「逃さない……『念力目薬』!! うぅ……しみるぅ」

 

「ドラえもんさん……?」

 

 冥がチーコを捕まえようと足に力を入れたタイミングで、ドラえもんがポケットから特殊な形状の目薬を取り出し、中の液体を両目に垂らした。液体が目にしみるようで何度か瞬きをしている。

 やがて、液体を垂らしたドラえもんの目にはピンク色の波紋が瞳を中心に走っていた。その姿を見たのび太達は少し引いている。

 

「わあっ!? な、ナニコレ!?!?」

 

「さぁ……こっちへいらっしゃ〜い!」

 

「これは、念動力ですか……」

 

「クロと一緒ね」

 

 逃げるチーコの背を睨むように見つめるドラえもん。ドラえもんが腕を前に出し、グルグルと回し始めたかと思えば……突如としてチーコの体がフワリと浮かび上がった。冥としずかちゃんは、その光景とさっきの道具の名前からクロのように念動力を使っているのだと推測した。

 

「キャアアアアア!?」

 

「ブヘッ!?」

 

「ドラえもん!?」

 

「えぇ…………」

 

 念動力を使ってチーコを引き寄せたドラえもん。だが、使い慣れていなかったのか……引き寄せすぎて、顔面で勢いのついたチーコの尻を受け止めることになった。堀の上にいたことで、引き寄せるために発生した運動エネルギーだけでなく位置エネルギーも含まれた衝撃。人間が同じ箇所に同じだけの衝撃を受ければ、首がポッキリと折れてもおかしくない。それほどの衝撃を顔で受け止めたドラえもんは、二頭身の体のおかげか気を失うだけで済んだ。

 チーコの方も、ドラえもんと同じだけの衝撃を尻で受け止めている。痛みに慣れていない女の子が耐えられるようなダメージではないので、当然、気絶した。

 のび太はダメージで失神したドラえもんへ心配して駆け寄り、怒り狂って道具を使った結果がこれか……とスネ夫は呆れた声を出した。しずかちゃんと冥は尻にダメージを受けて気絶したチーコを看ている。女の子のお尻は大事なのだ。

 

「チーコから離れろォ!」

 

「きゃっ!?」

 

「しずかちゃん!」

 

「どこから……えっ」

 

 突然、どこからともなく走りながら現れた犬族の少年が、離れろと怒号を浴びせながら気絶したチーコの介抱していたしずかちゃん、冥へと襲いかかってきた。

 声に驚くしずかちゃん。手持ち無沙汰になっていたが故にいち早く気づいたスネ夫が、二人を守るかのように前に出た。素早く走って近づいてくる犬族の少年へを捕まえようと手を広げ、肩幅まで脚を広げる。そして、十分に距離が近づいた少年を捕まえようとしたその時、少年が凄まじい速度で繰り出した拳がスネ夫の鳩尾を打ち抜いた。

 ゴッ!! という音ともに白目を向いて崩れ落ちるスネ夫。その姿を見向きもしないでチーコへと駆け寄っていく犬族の少年。のび太は、少年の姿を見てからある理由で呆けていたが、スネ夫が倒れた音で正気に戻った。スネ夫を容赦なく殴り、怒号を発している奴だ、しずかちゃんや冥に何をするかわからない…………何とかしなくちゃ! そう思い、立ち上がるのび太。しかし、のび太の出番はなかった。

 

「仕方ありませんね……バンッ!」

 

「うわあっ!?」

 

「動かないでください……」

 

「ちっ……」

 

 冥が走り寄ってくる少年に向けてスッと人差し指をさし、空気の弾丸を放ったからだ。冥の指先には常に空気ピストルの薬が出るようになっている。そのため、いつでも空気の弾丸を放つことが可能なのだ。ただし、この弾丸は人を軽く吹っ飛ばす威力があるので、クロから自身の命令か防衛のため以外では使用しないように言われていた。以前使用した際はブリキン島を守るためだった。今回は、少年がスネ夫を躊躇いなく殴ったことから、しずかちゃんやのび太、ドラえもんにも何かしらの被害をもたらす可能性があると判断したのだ。

 犬族の少年は突然発生した不可視の衝撃に5Mも吹っ飛ばされ、痛みと驚きで声を上げる。だが、動けなくなるほどじゃない。すぐにでも立ち上がり、また走り出そうとする。

 そんな少年の眉間に、冥は瞬時に近づいて人差し指を突きつけた。まるで銃口を額に押し付けるように。

 

 『ロッドソード』のように電気を帯びてるわけでもない、ただの指に何ができるというのか。少年はそう思いながらも、舌打ちして動きを止めた。このメイドはあの距離を瞬きの間に移動できる身体能力に、さっきの謎の攻撃を放った可能性もある。この突きつけられた指に何かあると……そう思わせる凄みが……このメイドにある。

 

「ねぇ……イチ、イチだよね?」

 

「あぁ?」

 

「やっぱりだ! すぐわかったよ!」

 

 動き止めた少年に、イチではないかと問いかけるのび太。確かに、少年の姿はイチと似ている。成長した姿と言われてもおかしくないほどに。

 

「誰と間違えてるかは知らねぇが、おいらの名前はハチだ!」

 

「そんな!」

 

「のび太さん……あれから1000年も経ってるのよ? イチなはずないわ」

 

「なんだぁ……」

 

 少年は腕を組み、不機嫌そうに自らの名をハチだと明かした。そして、イチだと思った人物がイチじゃなかったことにガックリと肩を落とすのび太。普通に考えれば、イチが1000年も生きているはずがない。神に造られたクロとは違うのだ。

 

「……はッ! 鈴は!?」

 

「あ、ドラえもん起きた」

 

「鈴はそちらですよ」

 

「ありがとう! よーし……シャミーちゅわぁぁん!!」

 

「まぁ待てよドラえもん」

 

「ぐへっ!?」

 

 のび太がガックリしていると、気絶していたドラえもんが意識を取り戻し、すぐに鈴を探し始めた。冥がハチの動きを封じながら鈴の場所を教えると、ドラえもんはお礼を言ってすぐに立ち上がり、山猫軒に戻ろうとする。だが、店側からブルタローと一緒にやって来たボロボロのジャイアンにガシッと首輪を捕まれ、うめき声をあげた。その横ではしずかちゃんとのび太が……あのジャイアンがボロッボロになってる!?!?……と驚いていた。

 

「こいつらの話、聞いたか?」

 

「話……?」

 

「おいブルタロー!」

 

「アハハ……悪ィなハチ、つい」

 

「っくそ!」

 

 悪態をつくハチ。苦笑いをしながら悪いと謝るブルタロー。このやりとりで、ドラえもん達は彼ら四人が何か複雑な理由があってこんなことをしているのだと認識した。

 

「ねぇジャイアン、話って?」

 

「それは……」

 

「ここじゃ話せねぇ。おれ達のアジトで話してやるよ」

 

「アジトがあるの?」

 

「ああ。それで、案内するためにもその指、どかしてくれないか?」

 

「…………いいでしょう。しかし、あなた方が怪しい動きを見せた場合、即座に捕らえますので」

 

「あんたの強さはさっきのでわかったからな、もう何もしねぇよ」

 

 少年達のアジトに向かうことになり、冥が気絶したチーコを背負いながら、ハチとブルタロー、ダクの後を全員がついて行った。大通りを避け、人の目がつきにくい路地を何度か通る。そうして到着した場所は、大通りをよく走っていた車のような乗り物、その解体工場であった。

 工場内は広く、しばらく使われていないのか機械や作業台などに埃が積もっている。いくつか解体途中の乗り物がそのままにされていて、外の広場には数十台の乗り物が放置されていた。

 

「そこに座りなよ。今、特製ドリンクを入れるからさ」

 

「ありがとう」

 

 広場で横に置かれていた土管を指差して言うダク。そして、ダクとブルタロー、冥から代わってチーコを背負ったハチが工場内に消えていくと、ドラえもん達五人は土管へと腰掛けた。

 

 

 

 




【ロッドソード】
 伸縮可能な帯電棒。よく腰のベルトに差し込まれている。漫画の方で名称が判明した。スタンガンと警棒を合わせた性能をしており、鍔迫り合いの際の絵面はカッコいい。

【ブルタロー】
 漫画と映画で話し方が違う人。本作では映画に合わせている。ちなみに、ジャイアンとバトルした会場も漫画と異なる。ジャイアンより人の心を持ってそうな人。

【ダク】
 ブルタローと同様に漫画と話し方が異なる。というか、漫画だとブルタローと口調が一緒なため、小説形態では映画に合わせざるをえなかった。
 なお、鈴をチーコに渡した後は隅っこで息を殺して隠れていた。

【スネ夫】
 劇場版補正で正義感が増し、盾になったものの見事な一撃をもらいノックアウトした。現在は冥に膝枕された状態で眠っている。え、誰が運んだのかって?…………ジャイアンあたりじゃないですかね?

【ハチ】
 意外にも漫画版だと暴力的な手段を取りがちな人。のび太が飼っていたイチそっくりな姿をしている。言動とか行動が映画とでそこそこ違うので、一番描写に迷った。

【クロ】
 神造生物。神から様々な力を与えられており、未だ主人公が自覚していない力もある。寿命で死ぬことはまずない。

❤❦❂❁❤「タハッ!知識と記憶を消しといて良かったー。事前知識があると楽しめないもんね? さぁ、もっと頑張れ頑張れ」

映画編の日常と戦闘描写についてなのだ

  • 戦闘シーンは省略するのだ
  • そのままでよいのだ
  • 戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
  • 早く新しい挿絵を追加するのだ
  • モンハンと人間以外にも変身するのだ
  • 冥との絡みを増やすべきなのだ
  • クロはもっと無双RTAしてよいのだ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。