ネコ   作:ミーちゃん

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た、戴冠戦とイベントが……手を抜けんッ!




74話 ヴィルトゥオーゾとファーレ

 

 ドラえもんの出した『運命の赤い糸』によって、のび太とジャイアン、スネ夫、しずかちゃんの運命の楽器が決まった。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!なんでリコーダーなのさ!しかもぼくのリコーダーだし!」

 

「そこまで強い運命で結ばれてるってことだよ! ……たぶん」

 

「もう一回!もう一回やり直そうよ!!」

 

 …………のだが、のび太は異議ありとドラえもんに訴えていた。皆は珍しい楽器で、自分だけ苦手意識のあるリコーダーだったので仕方ないのかもしれないが。

 

「もう!さっきからゴネてんの、のび太だけだぞ!」

 

「のび太にはリコーダーがお似合いってことなんだよ!」

 

「そもそも、ぼくのリコーダーがここにあるのがおかしいんだって!!」

 

「……ここにある楽器は、全てチャペックさんが集めてきたと言ってましたね」

 

「肝心のチャペックは眠ってるからなぁ……」

 

「なぜかしら……?」

 

 のび太のリコーダーを持ってきたであろうチャペックに、色々と問いただしたいのび太とドラえもん。

 なぜ他人のリコーダーがここにあるのか。

 他の楽器もそうなのか。

 

 しかし、当のチャペックは意識を彼方に飛ばしたまま戻ってきていない。ドラえもんがミッカに見えない位置で『お医者さんカバン』を使用したが、即座に起こすことはできなかったのだ。

 

 結局、のび太は諦めた。

 

「それにしても、運命の楽器って割には上手く吹けねぇぞ?」

 

「そうなの? ヴィルトゥオーゾなのに……?」

 

「あ〜……いわゆる相性占いみたいなものだから、急に上手くできるわけじゃないんだ」

 

「ふーん……そんなに万能ではないのね」

 

 チューバを吹こうとするも、音が出ずにただ息を吐いただけのジャイアンが、ドラえもんに疑問を投げかけた。側で聞いていたミッカは首を傾げる。伝説の音楽家のはずでは……と。

 その一方で、リルルは冷静にドラえもんの出す道具を記憶していた。不可思議な道具ではあるが……まぁ、道具を取り出すポケットに比べれば微妙ではある。

 

「こんな時は……『音楽家ライセンス』!」

 

「何それ?」

 

「これは持てば、楽器が自分のレベルに合わせてくれる道具でね……いっぱい練習を重ねれば自分と一緒にレベルアップしてくれるんだ! はいどうぞ」

 

「へぇぇ!」

 

「サンキュ!」

 

「わお!」

 

「ありがと」

 

 ドラえもんがいつものように説明しながらのび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんに音楽家ライセンスを渡していく。

 そして、各々が自分のカードに触れると、自分の顔写真と名前が表示され、カード右下に現在のレベルである「アマチュア」という文字が現れた。おそらく、最初のレベルはアマチュアからなのだろう。素人ではないのね……とリルルは心の中で呟いた。

 

「わっ!?」

 

「楽器が!?」

 

「ライセンスで結ばれた楽器は意思を持つんだ。言葉は話せないけど」

 

「スッゲェ!!」

 

「ピピっと響いた!」

 

「……さっきの毛糸玉と違って、とんでもない道具じゃない……」

 

 4人が自分のライセンスを嬉しそうに見つめていると、抱えていた楽器が勝手に動き出す。

 それぞれの楽器が挨拶するかのように音を鳴らし、ペコリとお辞儀を行ったのだ。

 

 物に意思を与えることのできるライセンスカードに驚きを隠せないリルル。後付けで、しかもカードを持つだけ。お手軽に意思を付与するとんでも技術かつ、直前に出されたひみつ道具が相性占い程度だったこともあり、驚くのも無理はない。

 

「ねぇねぇ、そろそろ外にいかない?」

 

「外って言うと……さっきの場所?」

 

「違うよ? みんなのファーレで新しく行ける場所が増えたの!」

 

「へぇ〜そうなんだ!」

 

 のび太の服を掴み、部屋の外にある扉を指さして催促するミッカ。一番最初に来た空間で奏でたのび太達の音楽……ファーレが、この殿堂の一部を目覚めさせることに成功したらしい。

 2人の会話を聞いていたドラえもんは温かい目で見守ってから、のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫の4人に声をかけた。

 

「よーし!それじゃ皆、ライセンスの角で楽器にタッチしてみて」

 

「ええ……わあっ!?

 

「楽器が……」

 

「小さくなっちゃった!」

 

「ストラップみたい」

 

「どんな重い楽器でもキーホルダーにして持ち運べるんだ!引っ張ればも元に戻るよ」

 

「それじゃ、いくよ!」

 

「「「「「うわああああ!?」」」」」

 

 ドラえもんの言う通りに、ライセンスの角を楽器に接触させた4人。一瞬の光と共に、楽器が紐付きストラップへと変化したことで驚いていた。リルルとミッカも驚愕で目を見開いている。

 

 その後、落ち着いてからミッカが外へと繋がる扉のボタンを押すと、外には空気がないのか勢いよく扉の奥へと吸い込まれていく。のび太達は抗おうとしたが、抵抗虚しく全員吸い込まれた。

 長く細い管のような内部を通っていき、ラッパのような形状の出口からポンッと吐き出される。

 

 外ではあったが、重力と空気が存在し、物凄い空気抵抗を受けながらな落ちていくドラえもん達。ミッカはそんな状況でも歌を奏で始めたのだった。

 

「ら〜ら〜ら〜♪」

 

「歌ったら透明な馬が!?」

 

「みんなもファーレを奏でて!」

 

「ええええ!?この状況で!?」

 

「や、やるしかねぇ……! ありゃ?」

 

「あら……あら?」

 

「助けてええ!」

 

「てりゃあ!」

 

「はっ!」

 

 ミッカの歌声が不思議なエネルギーへと変化し、水でできたような透明性のある天馬を作り出した。そして、その天馬に跨りながら、落ちていく皆にアドバイスを行った。

 

 のび太、ジャイアン、しずかちゃん、スネ夫は、ミッカの言うことに従って楽器を鳴らすために、キーホルダー(楽器)を引っ張って元に戻して演奏しようとする。だがしかし、高所から宇宙へと落ちていくという滅多に体験しない状況では、まともに音楽を奏でることは難しかった。

 チョロチョロとエネルギーは出るものの、飛ぶためのものを作り出すことはできなかった。このままでは宇宙に放り出されるか、床などに衝突して赤いシミになるだろう。

 

 ドラえもんと冥が、何もできず絶叫しながら落ちていくのび太達にタケコプターを付けたことで、最悪の未来は免れた。

 チャペックと同じく気絶しているジュドは、浮遊するリルルに抱きかかえられている。

 

「た、助かった……」

 

「ありがとうドラえもん」

 

「冥さんも、ありがとう」

 

「間に合って良かったです……」

 

「でもどこに行けば……?」

 

「あ、ミッカはあっちに向かってるよ」

 

「あれは……家?」

 

 タケコプターで宇宙(そら)を飛び、安堵するのび太達。

 一安心したところで、ミッカの行方を捜すのだが、ミッカは小さな家のある施設へと向かっているのがわかった。

 

 ピアノを模したかのような不思議な家。その周辺には、空の水路と小さめの橋、先に玉のついた謎のオブジェクトがある。加えて、橋の方には人型ロボットと頭部に音叉が刺さったロボットが釣り竿を垂らして座っていた。

 

「釣れませんねぇ……先生」

 

「…………」

 

「まぁ、釣れなくて当たり前なんですけどね。なんせ、水がないのですから…………私達、どれくらい寝てたのでしょう」

 

「わぁ! チャペック以外にもロボットがいるんだぁ!」

 

「うん……? 貴方方は……」

 

 ロボット2体のいる施設へと降り立ったミッカ達。チャペック以外のロボットがいることに驚き喜ぶミッカに対し、ロボットの方は困惑していた。

 だが、ロボットはミッカを数秒見つめ続けると、パチクリと瞬きし、にこやかな表情を変えた。

 

「ごきげんようミッカ様。私はモーツェル、こちらはバッチ先生です」

 

「♫」

 

「わたしのこと、知ってるの?」

 

「もちろん!皆知っていますよ」

 

「皆ってことは……他にもいるんだ」

 

「う、うぅ……ここは? 一体何が…………あっ、モーツェルさんだ!」

 

「チャペック、やっと起きたのね」

 

 2体のロボットとミッカが話していると、ずっと意識を飛ばしていたチャペックが復活した。何が起きたのかさっぱり……という顔をしているが、思い出さないほうが良いだろう。

 ざっくりとミッカが経緯を説明する。

 

「モーツェルさん、この方達はヴィルトゥオーゾなんです!」

 

「何か、困ったことはない?」

 

「ヴィルトゥオーゾ……?ああ、そうだ!では、この川に水を流してもらえないでしょうか」

 

「川? 川なんてないけど……」

 

「あの柱にファーレエネルギーを注いでいただければ、水は流れます」

 

「へぇ〜!」

 

「よっし、俺に任せろ!」

 

 ミッカと復活したチャペックがのび太達の紹介を行い、その紹介を受けたモーツェルは不思議なオブジェクト……柱を指さして、水を流すよう頼む。

 水は生命にとって欠かせない大事な資源。本来であれば、一番最初に復活させるべき施設なのだが、殿堂の構造上できなかった。順番飛ばして復活ができないのは、普通に問題だと思うが。

 

「あの玉はファーレ鉱石。ファーレに反応すると、大きなエネルギーを生み出します。ムシーカはその力で文明を築きました……ファーレが全てを動かすエネルギー源なのです」

 

「音楽が電気の代わりってこと?」

 

「そうみたい」

 

「素敵な星ね」

 

「ええ……本当に、素敵な星でした…………」

 

「…………」

 

 立候補したジャイアンを先頭にのび太達を連れて、柱の近くまで移動するモーツェルとバッチ先生。柱の先についている水色の玉……ファーレ鉱石について説明を行うモーツェルだが、ミッカの故郷である惑星ムシーカを思い、目を細めた。

 チャペックとモーツェルの話からおそらく、惑星ムシーカは滅んだのだろうが……あれほど愛着のある星がどのようにして滅んだのか、リルルは気になっていた。人間とロボットは、やはり共存できないのか……と。

 

 

 




【お医者さんカバン】
 聴診器に似た端子を当てるだけで怪我や病気を診断し、カバンに収められている飲み薬などで治すことができる。ロボットにも有効らしい。

【音楽家ライセンス】
 持ち主の技量を判断し、楽器に意思を与えて共に成長させることができるトンデモ道具。さらに、楽器に角を当てれば小型化させて運ぶこともできる多機能ライセンス。

【チャペック】
 チャペックさんがログインしました。
 無事、気絶から復活。ロボット故に回復が早かった。ジュド? あれはもうヒヨコだから……。

映画編の日常と戦闘描写についてなのだ

  • 戦闘シーンは省略するのだ
  • そのままでよいのだ
  • 戦闘シーンはいくらあっても困らないのだ
  • 早く新しい挿絵を追加するのだ
  • モンハンと人間以外にも変身するのだ
  • 冥との絡みを増やすべきなのだ
  • クロはもっと無双RTAしてよいのだ
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