モンハン小説【オトモたちの日常】 作:taki20191019
ツキミ …まっくろ毛並みのオトモメラルー。ニヒルニャ。
だんなさん … 女ハンター。へっぽこ太刀使い。粗暴ニャ。
ハンマー使い … 通りすがりのイケてるハンター。ボクはホモだとにらんでるニャ。
ボクはダイフク。まっしろ毛並みのオトモアイルー。
でも旦那さんときたら、最近はちっとも狩りに出ようとしないんだニャ。
これというのも、先日、旦那さんが返り討ちにあった、にっくきアイツ、あの白いブヨブヨの気持ち悪いヤツ、フルフルのせいなんだニャ。
(目が無いとんでもないヤツニャ! 非常識きわまりない生物ニャ!)
ブヨブヨの体に旦那さんの太刀は歯が立たず、ボクたち(ボクと先輩オトモアイルーのツキミ)の奮戦むなしく、旦那さまは頭からパックリ食べられちゃったのニャ。
ザザミ防具のミニスカートと足だけが、フルフルの口からはみ出していたのは軽くホラーニャ。はっきり言って恐怖だったニャ。
アニャー! とひたすらうろたえるしか出来ないふがいないボクたち……。
でも、旦那さんがフルフルに消化されてウンチにされる前に、通りすがりの渋いベテランハンター様が、レベル3まで溜めに溜めたハンマーの猛烈な一撃をフルフルのどてっぱらに炸裂させてくれたのニャ。
フルフルのヤツは、「ブフォッ」と旦那さまを吐き出したのニャ。いい気味ニャ。でも旦那さんはだらしなく白目をむいてピクピクしてたのニャ。
ボクとツキミは、臨時のネコタクシーに変身して、その場からドロンしたのニャ!
クエストは失敗だったのニャ……。
それ以降、旦那さんは、拠点の村で、こんがり肉を食べてはブレスワインをガブガブ飲むだらしない日々……。
女ハンターに慎みはそれほど必要ニャいけど、それでもバキバキの腹筋がプヨンプヨンになっていくのは、見てられないニャ。どっちがフルフルか分からないニャ。
ひと狩り行くニャ! と誘っても、旦那さまは、ぽーっとしてため息をつくばかり。
こりゃ重症ニャ。
先輩のツキミと話しあったニャ。
「オレたちで、あのフルフルをやっつけるしかニャい」
ツキミは重々しく言うのニャ。
それはちょっと無謀なんじゃ……と反対したかったけど、旦那さんに元のキリッとしたハンター様に戻ってもらわない事には商売もあがったり。選択の余地なしニャね。
こうしてボクたちは、オトモ二匹で宿敵フルフルに敢然と立ち向かったのニャ。
もちろん、大失敗ニャ。
ネコの手にはあまる仕事だったニャ。ボクたちアイルーがニャンターとして大活躍するのは、もっとずっと後の時代ニャ。
そもそもの誤算は、フルフルのねぐらが、寒い洞窟という事ニャ。
ぶっちゃけ、ボクたちネコは寒いところが苦手ニャ。
寒い洞窟の中では、ボクたちの、あるんだか無いんだか分からないような戦闘能力も半減以下ニャ!
フルフルがビリビリの電撃を飛ばしてきて、ツキミが「ア゛ニ゛ャ゛ア゛ァ゛ァ゛」と痺れたニャ。
ボクはすんでのところでかわしたニャけど、まったくのマグレニャ。
次はかわせない……! 直感したニャ。
「ダイフク……おまえだけでも……逃げ……」
地面に伏せたツキミの、プルプル震える手がパタッと倒れたニャ。
絶体絶命とはこの事ニャ。ボクは洞窟の壁際に追いつめられたニャ。フルフルはイヤらしい顔(目の無い真っ白なミミズみたいな顔ニャけど…)でボクを見るニャ。
「ボ、ボクは、美味しくないニャよ……?」
涙声で訴えるけれど、ダイフクなんておいしそうな名前を付けられた白ネコのボクが言っても説得力は皆無ニャ。
ボクたちオトモだけで大型モンスを狩るなんて、無謀だったニャ。勇者様きどりだったニャ。フルフルベビーくらいにしとくべきだったのニャ……。
だ、旦那さん……タスケテ。
「テヤァッ!」
そのときニャ。誰かが叫んで、スゴイ勢いで突っ込んできたのニャ。
ガガガガと凄まじい音がして、フルフルが真横に倒れたニャ。
ニャニャニャ!?
「アホ猫ども、無事!?」
それは銀色に光り輝くランスを装備した旦那さまだったニャ! しかも戦乙女のようなキリリとしたリオハート装備!?
ぶざまにひっくり返ったフルフルの頭をガスガスぶっ刺しながら、旦那さまは勇ましく、
「手間かけさせないでよね!」
か、カッコ良いニャ! 痺れるニャ! 憧れるニャ!
あ! 起き上がったフルフルが伸縮自在の首を振り回してきたニャ!
けど、旦那さまときたら、ヒョイヒョーイと華麗なステップでそれをかわし、動きの止まった一瞬を狙って、逆にランスでズバズバ突きまくりニャ。
それはまさに、歴戦の女ハンター! 熟練の達人! ランスの女神様ニャ!
でも、なんでランス?
「だ、旦那さん……それはいったい……」
当然ボクは聞いたニャ。
「んー」と旦那さまはフルフルの脚を無造作に突きまくってバタンっと転ばせると、「あたし、もともとランサーだったのよね」と言ったニャ。
ボクはツキミを見たニャ。
ツキミもボクを見て、知らない知らないみたいに首を振ったニャ。
ジャンボ村とかいうところ出身の旦那さんと一緒に狩りに行くようになったのは、ポッケ村に来てからなのニャ。わりと最近ニャ。女には秘密がいっぱいニャ。
「しばらく、太刀の練習してたんだけど、やっぱ慣れた武器はしっくりくるわ」
そう言って、あっさり、かんたんに、いともたやすく、あのにっくき白い奴を倒してしまったのニャ。
最後は、突進でガガガと華麗に決めると、フルフルのヤツは倒れて動かなくなったニャ。
ザマミロニャ! クエストは大成功ニャアアアァァァ!
村に帰る道すがら。勝手な行動で迷惑かけたボクたち二匹は、旦那さんから容赦ないオシオキのゲンコツを落とされて、ションボリしてたニャ……。
けど、旦那さまは上機嫌ニャ。5分針で倒せば、そりゃそうニャよね。
「……なんで、慣れない太刀なんか使ってたニャ?」
色々な武器を使いこなそうとするのは、ハンターとしては正しい姿勢ニャけど……。
「いやー、ランスって野暮ったいでしょ。デカイ盾で、あたしの美貌も隠れちゃうし。せっかく可愛いザザミ装備作った事だし、思い切って太刀に転向してみたんだけど、やっぱ向いてねーわ」
アハハと豪快に笑う旦那さま。
な、なにが美貌が隠れるニャ……。舐めプもたいがいにしろニャ……。ボクたちオトモの事もちっとは考えろって話ニャ……。
「ニャニャ? でも、どうしてあのクエ失敗の後、ポケーっとしてたのニャ?」
そうボクが聞くと、
「そ、そそ、それは……」旦那さまは真っ赤になって、しどろもどろになったのニャ。
「恋わずらいか……」とツキミが心得たようにボソリ。「あのハンマー使いニャね」
うわーうわー、と旦那さまは取り乱して、手をバタバタ。
ボクはしばらくその意味を考えたニャけど、やっと飲み込めたのニャ。
全身に怒りが満ちてきたニャ。
ボクは怒ったディアブロスみたいに黒い息を吐いたニャ。ニャーボフー。
「そんな発情期のネコみたいなイヤらしい理由だったニャか……!」
「は、発情!?」と旦那さまは目を白黒。「ダイフク、アンタねえ、言う事に欠いて……」
「この、エロハンター!」
ボクは、にゃんにゃん棒のキツイ一撃を、ポカリと旦那さまの頭にお見舞いしてやったのニャ。いい気味ニャ。
<おわり>
つづくニャ。おもしろかったらアクションおねがいしますニャ。