藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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アンケートのお話です。

年齢等の時系列はアンケートに限りバラバラです。


第1回アンケート投稿
ハグの日 


「ハル!ハグをしよう!」

 

「春、ちょーっとお姉ちゃんの事抱き締めてくれません?」

 

「ハル~!お姉ちゃんとハグシマショウ!」

 

「ハル、少し私の事抱き締めなさい」

 

「春~?お姉ちゃんの事好き?そっかー、ならお姉ちゃんとギューってしない?」

 

 

 

 

 

なんだか今日はお姉ちゃん達がものすっごくハグを要求してくる。

まぁでもお姉ちゃん達の事大好きだから全然寧ろ嬉しいんだけども、何だかこうも皆が皆にハグを要求されたらちょっと変だな、って思うのも仕方が無いと思うんだ。

 

でもお兄ちゃん達はそんな事無いんだよね。

寧ろそんな僕達を見て微笑ましそうにしているだけなんだよね。

あ、でもこういうのはギル兄さんとか高笑いしながら要求してくるんだっけ。

さっきも嵐の様にオジ兄さんがやって来てはハグをして僕の頭を撫で回して帰って行ったし。

 

「なんで今日はこんなにハグを要求されるんだろう……?」

 

「春?どうかしたのですか?」

 

「母さん、今日お姉ちゃん達からすっごくハグを要求されるんだ。なんでだか分かる?」

 

「ハグ?なんででしょうね?あ、記念日とか?」

 

「でも僕の誕生日じゃないんだけど」

 

「そっちの記念日じゃなくてその日その日の記念日の方です。確か今日はハグの日とかだった様な」

 

そんな記念日あるの?

初めて知ったんだけど、何で母さんがそれを知っているのかって言うのは不思議じゃない。だって母さん色々んな事を沢山知っているし。

母親に言う事じゃないとは思うけど歩く人間図書館みたいなところあるし。

あ、博識って言えばいいのか。

 

「だからか」

 

「そうだと思いますよ?」

 

「……よし、それじゃぁ僕からハグしに行こう!いっつもお世話になってるし!お姉ちゃん達大好きだし!」

 

「それも良いですね」

 

「それじゃ行って来る!」

 

「いってらっしゃい」

 

お姉ちゃん達にハグをする為に部屋から出て、皆を探す。

うーん、食堂に行けば大体の皆はいると思うんだけど……

アルトリアお姉ちゃん達は食べるの大好きだから間違い無くいる筈。

あとはブーディカお姉ちゃん達のキッチンメンバーとかかな?

でもブーディカお姉ちゃん今日はお休みだった筈だからお部屋にいるかも。

 

取り敢えず皆のお部屋に行こう。

食堂から遠回りする様にぐるっと訪ねて行けばすれ違ったりすることは少ないと思う。

最悪会う事が出来なくても夜ご飯の時に食堂に行けば皆が揃うからそこで待って居ればいいだけ。

 

それじゃぁ早速行ってみよう!

最初はスカサハお姉ちゃん。ドアの前で声を出して呼ぶ。

 

「スカサハお姉ちゃん!」

 

「ん?おぉハル。どうした?今日は特訓はお休みだぞ?」

 

「違うよ?用事は別にあるんだ」

 

「それでは何の用だ?まぁ用が無くとも好きな時に好きなだけ来てくれてもいいが」

 

「えっとね、今日はハグの日なんだって。だからハグしに来たの!」

 

僕がそう言うと少し固まってから動き出した。

 

「ッ!ッ!ッ!」

 

「?どうしたの?」

 

動き出したスカサハお姉ちゃんはなんかガッツポーズを何度もやっている。

そんなにハグするのが嬉しいのかな?いっつも僕とハグしているのに?

お姉ちゃん達の喜ぶツボがイマイチよく分からないんだよね。

皆って結構僕関連で喜んでいる事が多いから、あまり分からないからなぁ……

自分の事になると途端に分からなくなるって言うのは本当なんだね。

 

「ハル!来い!」

 

「うん!」

 

バッ!っと手を広げて僕を呼び込むスカサハお姉ちゃんの顔はとってもニコニコしてて、僕は飛び付く。

僕が抱き締めるともっと嬉しそうな顔をした。最初にぎゅーっとして来て、それからクンクンと僕の匂いを嗅いでくる。

なんだかロボとカヴァスみたい。

 

「ふはぁ……!」

 

思いっ切り吸い込むと少し息を止めて息を吐く。

僕もちょっとだけお姉ちゃんの匂いを嗅ぐ。すると、とっても良い匂いがする。

とっても強くてキリッとしていて、特訓の時とかはすっごく怖くて厳しいお姉ちゃんだけど、それ以上に普段は物凄く優しくしてくれる。そんなお姉ちゃんの匂いが嫌いなはずがない。

 

「んぅ……ハル、少しばかりくすぐったい」

 

「あ、ごめんねお姉ちゃん」

 

首の辺りに顔を埋めて匂いを嗅いでいるとくすぐったかったのかお姉ちゃんは首を窄めてクスクスと笑う。釣られて僕も笑うとお姉ちゃんはニッコリと笑って頬に軽くチュッとすると頭を撫でながら言った。

 

「ハルの髪はさらさらだからしょうがないというもの。もう少し好きにしていて良いぞ」

 

「はーい」

 

次はお姉ちゃんの頭にスリスリってすると、お姉ちゃんの綺麗な薄紫色?のサラサラで角度によってはきらきらとする髪の毛の柔らかい感じが伝わって来る。

 

もう少しこうして居たいけど今日はハグの日。皆とハグをしなきゃならないから一旦終わり。

 

「お姉ちゃん、僕他にも用事が在るからもう終わり」

 

「ぬ……!そうか、それならば仕方あるまい」

 

僕が言うとかなり残念そうな顔をしてから納得してくれた。

最後にちょっと強めに僕をぎゅっと抱き締めると放してくれた。

 

「それではな。また部屋に来い。その時までお預けだ」

 

「うん。それじゃぁまた後でね。お姉ちゃん」

 

「あぁ、またな」

 

そう言うと僕の前にしゃがんでくれたから残念そうにしているお姉ちゃんに最後にハグしてあげよう。

 

「ぎゅー!」

 

「ん”ん”……!」

 

「お姉ちゃん大好き!」

 

「くふぅぁ!」

 

最後に僕もお姉ちゃんを抱き締めるとお姉ちゃんは不意打ちを食らわされたみたいな顔をしてから恥ずかしい様な嬉しい様な顔をして手で覆うと蹲っちゃった。

耳まで赤くなっているけど経験則から考えるとこういう時は全然大丈夫。

寧ろそれ以前よりも物凄く元気になっている事が殆どだから心配無用。

 

「じゃーねー!スカサハお姉ちゃん!」

 

「あ、あぁ……!」

 

スカサハお姉ちゃんとお別れしてから次のお姉ちゃんの所に向かう。

うーんと、次はブーディカお姉ちゃんかな。

今日は確か食堂でのお仕事がお休みだった筈だからお部屋にいると思うんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブーディカお姉ちゃん!」

 

ドアの前で声を出すと開いた。

 

「あれ?ハルどうかしたのー?」

 

中から出て来たのは当たり前だけどブーディカお姉ちゃん。

ド真ん中に大きく、『食堂のドン』って書かれている何処で買ったのか分からないTシャツに短パンを着ている。

いや、本当に何処で買って来たんだろう?こんな独特のセンスしているのなんて……あ、ギル兄さんとか結構独特なセンスしてるな。イスカンダルさんも文字が書いてあるTシャツしょっちゅう着てるし。

 

お出かけの時に着る服は基本的に誰かに選んでもらった物が多いって言ってたし。

エルキドゥさん曰く、

 

「ギルガメッシュの服選びのセンスは冗談抜きでクソだからね。正直初めて見た時は自分が狂ったのか、それとも親友がイカれたのかと思ったくらいに酷かったよ。ウルクでの服装はシドゥリ達が選んでくれていたからまともな格好だったってだけなのは本当にどうかと思ったよ。自分の事を完璧だとか言ってるくせにファッションセンスは最低を通り越してもう別次元だから。ハル、もしギルガメッシュに訳分からない服貰っても着ちゃダメだよ?」

 

って言ってた。

うん、それは僕も全面的に同意かな。

どれぐらい酷いのか確かめたくてギル兄さんだけで服を選ばせたら本当に酷かった。

一人の人間としてあの服装で出歩くのはどうかと思う。

 

くろひーも文字が書いてあるTシャツとか良く着てるけどそのくろひーが本気の声で「あれはねぇわ」と真顔で言うぐらい酷い。

うん、毎回服を買ってきているエルキドゥさん達すっごい。

 

「ブーディカお姉ちゃん、そのTシャツどこで買ったの?」

 

「あぁこれ?なんかギルガメッシュがくれたんだよねー。なんかこの前の謝罪とかなんとか言ってたけど何なんだろうね?ハル知ってる?」

 

多分あの事じゃないかな?

二週間ぐらい前にギル兄さんとオジ兄さん他数名が食堂で大騒ぎしたんだよね。

お祭りの時とかは全然構わないんだけどそれ以外の時は多少なら良いんだけど行き過ぎると怒られる。

最初はエミヤ兄ちゃん達が注意してそれで収まらないとブーディカお姉ちゃんの登場。あの時ブーディカお姉ちゃんが怒っている所を始めて見たんだけど、こう、何て言うか、とっても怖かった。

 

強さで言えばギル兄さん達の方が絶対的に強いんだけどブーディカお姉ちゃんには何故か敵わない。母さんに聞いたんだけど、ブーディカお姉ちゃんは皆の胃袋をガッチリつかんでいるから力関係で言えば絶対的上位なんだって。

 

うん、確かにそうだ。

だってお姉ちゃんの作るご飯ってすっごく美味しいんだもん。

母さんやエミヤ兄ちゃん、清姉とか玉藻ちゃん達のご飯も美味しいんだけどブーディカお姉ちゃんのご飯は何故だかずば抜けて美味しい。

 

皆になんでなの?って聞いたら口を揃えて、

 

「「「「「「母親って言うのはこの世界で一番偉大だから。愛情という名のスパイスの量が桁違い」」」」」」

 

って言ってた。

母さんも僕の母さんなのに?って思って聞いたけどどうやっても敵わないらしい。

そんな事無いと思うんだけどなぁ。

母さんは僕の事いーっぱい大好きって言ってくれるし、皆も同じように言ってくれるのに。

 

 

 

Tシャツの話に戻るけど、これは言わない方が良いかな。

ブーディカお姉ちゃんって怒る時は訳が分からなくなるぐらい怒るんだけどそれが終わると大人気無いとか言って項垂れちゃうから。

 

「分かんないよ」

 

「それもそっか。それで今日は何の用かな?お菓子食べたいんだったらさっき作ったばかりのクッキーとマーマレードとかあるから食べていいよ」

 

「ほんと!?食べる!」

 

お姉ちゃんのクッキーだ!マーマレードだ!とっても美味しいんだよ!クッキーはサクサクでとっても美味しくて、マーマレードはとっても甘くて美味しいんだ!

 

「いただきまーす!」

 

「はい召し上がれ」

 

「美味しい!」

 

クッキーはチョコとバニラ、あとは甘めの抹茶味。他にも幾つか種類がある。

それもサクサクで出来たてだから温かくてとっても美味しい。

マーマレードはオレンジを使ったジャムみたいな感じのやつでパンとか、クッキーに塗って食べるとすっごく美味しいんだ。

これを味の無いクッキーに塗って食べると最高に美味しいんだよ!

 

「んはぁ!美味しいー!」

 

「良かった良かった。どんどん食べちゃっていいよー」

 

「ありがとう!」

 

椅子に座って食べてるとそんな僕を見て嬉しそうに笑うお姉ちゃん。

追加で檸檬と蜜柑のマーマレードを持って来てくれる。

 

「これも食べてみて。オレンジはよく作るんだけどこっちは初めてだからどんなもんか意見聞かせて欲しいなー、って」

 

「うん。…………えっとね、蜜柑は甘くてちょっとすっぱいけどとっても美味しい」

 

「ほうほう」

 

「むぐむぐ……檸檬は他と比べると酸っぱいかなー?」

 

「むむむむ……総評は?」

 

「蜜柑は最高!檸檬は酸っぱい!」

 

「ありがとハル!うーん、檸檬はやっぱりハル達からすると酸っぱいのかな。そしたら砂糖の量を増やした方が良いかな」

 

意見を言ったらお姉ちゃんは座ったまま考え始めちゃった。

まぁ僕はこのまま食べ進めるだけだけど。

 

レモンも美味しいんだけど多分、好き嫌いが分かれるかも?

酸っぱめのが好きな人は好きだろうし苦手な人は苦手かな。無難を選ぶんだったら蜜柑とオレンジが一番良さそう。

僕は全く気にならないからそのまま食べちゃうけど。

 

んー!美味しいなぁ!

 

一緒に出してくれたジュースも美味しい。

あ、因みにこのジュースは農園でクー兄達が育てた果物を使ってるから農薬なんて少しも使ってない有機栽培で育てられたやつだからもう美味しくてしょうがない。

 

クッキーの中に入っている干し葡萄も良い感じで美味しい。

なにか忘れてる気がする……

 

 

あ!そうだ!今日はハグしに来たんだ!

 

 

取り敢えず目の前にあるクッキー達を食べてから。

これも美味しいクッキーを作ってくれるお姉ちゃんが悪いんだ。もう僕の胃袋はガッチリつかまれちゃってて逃げられないようにしたのはお姉ちゃんなんだからね。

 

 

 

「ふぅ……美味しかったー。ご馳走様でした」

 

「お粗末様でしたー。お皿は流しの中に入れて置いてね」

 

お姉ちゃんがそう言ったように食べたものはちゃんと自分で片付ける。

でも身長が足りないから背伸びして入れる。

 

「お姉ちゃん、ハグしよう!」

 

「え?ハグ?いいよーおいでー」

 

「ぎゅー!」

 

「ぎゅー!」

 

片付けが終わってからお姉ちゃんとハグをする。

なんだか僕がハグしてるんじゃなくてされてる感じがするけどまぁいいや。

お姉ちゃんの匂いもとーっても良い匂い。さっきまでお菓子を作っていたからなのか甘い匂い。それとは別にお姉ちゃん特有のにおいがする。

 

「それでー?ハル君は今日は何が目的で来たのかなー?」

 

「今日はハグの日だからハグしに来たんだ。でもお菓子に負けちゃった」

 

「そっかー。今日はハグの日なんだ」

 

「うん、だからお姉ちゃんの事ぎゅーってしようって思って」

 

「お姉ちゃんはてっきり最初からクッキーとマーマレードが目的だったのかと思ったよ」

 

「そんな事無いよ!」

 

「でもハルは美味しい食べ物大好きでしょ?」

 

「大好き!」

 

「それじゃぁ仕方がないね」

 

笑い合いながらハグを続ける。

それからお姉ちゃんとハグを一杯して、お土産にクッキー貰って。

 

「お姉ちゃんじゃーねー!」

 

「じゃーねー」

 

お姉ちゃんの部屋を出た。

あー……とっても美味しかった。

 

まあ今度何か作って貰おう。羊羹とか?

あ、でも和菓子はエミヤ兄ちゃんの方が得意なのかな

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side スカサハ ----

 

 

 

 

今日は特にやる事も無く自室で横になっていた。

普段ならばハルを鍛えたりしているが毎日やるわけには行かない。

ハルはまだ小さいし、下手にやり過ぎると身体を壊してしまうからだ。

 

セタンタとはそもそもが違うので同じやり方をすれば間違い無く壊れてしまう。

何より私の所に弟子入りしてきた時はそれなりに身体が出来ていたがハルの場合はゼロから筋力や持久力と言った物の下地を作り始める段階から。

 

無理のない範囲で、しかし確実に成長するレベルで鍛える。

流石に最初の一、二週間は辛かったようだがそれを過ぎるとこちらも驚くぐらいの適応力を見せ、特訓にも付いてこれるようになっていた。

 

少しずつ特訓の強度を上げていっている。

特訓についてこられるようになっているとは言っても私からすればまだまだ最低限の身体すら出来ていない。

私の中での最低基準をクリアしなければ冗談抜きで死ぬ危険性がある。だからこそ徹底的に鍛え上げなければならない。例えそれに十年二十年掛かろうともだ。

あくまでも持論だが、身体さえ鍛えておけば何とかなる。魔猪が相手だろうが空飛ぶトカゲ共が相手だろうが何とかなる。

技術が無くても武器を最低限振り回せればまぁ、死にはしないだろう。

 

武器ならば一歳の誕生日の時に私やセタンタに与えた物と同じ槍を与えてある。

あれを十全に使いこなせれば時代が違えばセタンタ以上になれたかもしれぬな。魔術回路も多く、身体も鍛えれば鍛える程強くなり、磨けば磨く程輝く。

ハルはそんなものだから鍛えがいがある。

 

自衛手段を自身で持って居ることも重要だしな。

狙っている輩は多いし、何時も守ってやれるとは限らん。最悪私達が到着するまで持ち堪えられればいい。

呪いを掛けられようがなんだろうが私達に治せない物など無い。

そも、私達を敵に回した瞬間に塵芥すら残さず殲滅してくれるわ。

 

 

 

それで、今日は自室でのんびりとしていた訳だが、扉の向こう側から元気なハルの声が聞こえてくる。

 

『スカサハお姉ちゃん!』

 

出迎えると相変わらず可愛いハルがそこに居た。

特訓が無いので何用かと尋ねた。というか寧ろ何も無くても毎日来て欲しい。

来なくても私が毎日訪ねたい。流石に出来んからやらんが。

 

ハルに尋ねたら、今日はハグの日だからハグしに来たという。

 

 

 

何だこれは。夢でも見ているのか?それとも私はついに死んだか?

 

 

 

瞬間にそんな考えが頭をよぎる。

いやいや、ハルを残して死ねるわけがない。

思わず身体が脳で制御するよりも先にガッツポーズを取っていた。

 

正気を取り戻すと面前には不思議そうな顔をしているハルが居た。

それを見た瞬間、バッ!と手を広げるとハルが飛び込んできた。

 

あぁ……!もう最高……!

 

身体が勝手にハルの匂いを嗅いでしまう。

相変わらず良い匂いだ。

私が匂いを嗅いでいるとハルも私の匂いを嗅いでくる。

 

ハルは人の匂いを嗅ぐ癖がある。

理由は分からんが何故かこうやってくっつくと必ずと言っていいほど匂いを嗅ぐ。

嬉しいからもっと嗅いでくれて構わんぞ。

 

だがハルの髪の毛が私の肌に擦れてくすぐったい。

少しばかり笑いながら首を窄めてしまった。するとハルはそんな私を見て釣られたように笑う。

 

ん”っ”……!可愛い……!

 

内心では少々取り乱してしまったが面には出していない筈。

しかし軽く頬にキスをして、頭を撫でた。

 

すると次はハルが私の頭に頬を寄せて来た。

そしてそのままスリスリと頬擦りする。

 

あぁ……!本当に今この瞬間は死んでしまっているのではなかろうか……!

 

そんな事を考える程に至福の時間だった。

しかしそんな時にも終わりが訪れる。

ハルは用事が在るからともう終わりだと言った。

 

何故だぁぁ!?そんな用事など放ってこのままお姉ちゃんと一日中こうして居ようぞ!?

 

と思ったが私はお姉ちゃんだ、こういう時は潔く引き下がろう。

最後に強めに抱き締めてから離す。

 

くぅ……この、ここに居た春が居なくなる感覚がなんとも言えぬ寂しさだ。

 

影の国に居た時はそんなことを感じた事も無かったというのにカルデアに来てから感じるようになり、ハルが生まれてからは更に、より、激増して感じる事が多くなった。だからか自然と人の多い場所に行く事やハルを訪ねる事が多い。

 

これも藤丸親子の影響だな。うむ、それならば責任を取って貰わねばなるまい。

 

ハルを離してかなりの寂しさを覚えながらも一言二言交わし、ハルの前にしゃがんでいた。するとハルは去り際に私を思いっ切り抱き締めてくれたのだ!

あまりにも唐突で言葉を発せずに居ると耳元でハルが、

 

「ぎゅー!」

 

と言った。

あぁもう本当に……!

嬉しさと幸せさ、他にも色々な感情が滅茶苦茶に混ざった思いが盛大に渦巻き、情けない声を出した。

 

それだけでは収まらずハルは最後の最後になっても私の心臓にクリティカルヒットを叩き込んで来たのだ。

 

不意打ちを食らい、悶えているところに更に追い打ちで、

 

「お姉ちゃん大好き!」

 

と言われたのだからもう堪らない。

両手で赤くなっているだろう顔を覆って蹲る。

 

もうこんな事言われたら嬉しくてしょうがないだろうが!?

私にどうしろと言うのだ!?

可愛い可愛い可愛い可愛い、自分で言うのもあれだが溺愛している存在からそんな事を言われたら誰だってこうなるに決まっている!

 

そんな事を考えながらも、また情けない声を上げた私はあまりの嬉しさに蹲ったまま、だらしが無くなっているであろう顔を両手で覆い隠す。

 

そんな私を尻目にハルは部屋から出て行った。

呑気にも鼻歌を歌いながらだ。

 

正直あそこで襲い掛からなかった私を褒めて欲しい。

 

 

 

 

 

ーーーー side スカサハ ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side ブーディカ ----

 

 

 

 

今日は食堂でのご飯を作るお仕事はお休み。

今の私みたいに交代でお休みを取っているんだけど、今日と明日は私と玉藻がお休み。

なんでこんなにお休みが貰えるのかって言うと魔術協会や国連とのいざこざが収まってからカルデアの態勢も整ってきた頃にマスターが、

 

「人理修復も終わったんだしカルデアはホワイト企業を目指そう。今までが信じられないぐらいのブラック具合だったからね。取り敢えずカルデアキッチンの皆と職員の人達は週休二日ね。あ、有休も月二回。場合によっては三回もアリで。え?それ以外はどうなんだって?だって皆俺の護衛の時以外は殆ど遊んでるじゃん。毎日休日みたいなもんでしょ?あげたって仕方ないじゃん」

 

って。

まぁ人理修復の時は非常事態って事で休みなんて殆ど無かった。

特に食事を供給する私達は毎日三食作っていた。最初の頃は一人でも何とでもなったんだけど仲間たちがどんどん増えて来るとそうはいかなかった。

 

スタッフの皆も人数が少なくて、休みなんて無い。一つの特異点が修復が終わっても次の特異点探しに見つかったらレイシフトするための準備などに追われて数日の徹夜なんて当たり前。

そんな状態だったのだからこうやって何も無い時は普通に休みを取ろうという事だ。

 

 

そんなわけで与えられた休日を満喫している。

今日は朝起きて、ご飯を食べてそれからちびっ子達にあげるためにクッキーでも焼こう。ついでにマーマレードも作る。

 

その為にはまずカルデア農園から材料を貰ってこなくちゃ。

流石に小麦粉を挽くところからなんて出来ないけど何故か農園で育てた小麦が挽かれて小麦粉として置かれているからそれを貰う。

 

それ以外にも大麦だったりハト麦だったり色んな種類の穀物が育てられていて本当に驚きだ。

趣味で始めたのに何時の間にか専門店で売られている高級品よりも品質が良いのだからもうそれを仕事にしちゃえば?と思うんだけど本人たちは戦う事が本職だからと言って聞かない。

今更だけどもう戦う事なんて早々ないと思うからそっちの方が副業な気がするんだけどそれを言うのは野暮なのかな。

 

小麦粉以外にもクッキーの中に混ぜるチョコレートと、抹茶、バニラエッセンス。

マーマレードに使うオレンジと、あとは初めてだけど蜜柑と檸檬も作ってみたいからその二つも。

 

 

 

部屋に戻ってからまずはマーマレードを作り始めよう。

 

オレンジを綺麗に洗って、皮を剥く。中身は冷蔵庫に入れて置いて、皮の部分を鍋に入れる。そしたら鍋の中に水をひたひたになるぐらいの水を入れて火に掛ける。

沸騰する寸前になったらザルに開けて皮を水で冷ます。

 

冷まし終わったら1~2ミリくらいの太さにひたすら刻む。

刻み終わったら皮を再び鍋に。

 

たっぷりと水を入れて一晩放置。と行きたいところなんだけど此処でメディアの魔術の出番。ちょーっと魔術を掛けて貰って完成。

 

うん、ちょっと苦めで美味しい。

これぐらいの方が美味しく感じるんだよねー。

 

そしたらさっき取り出しておいた中身を蔕を斬り落として薄皮ごと小房に切り分ける。

種ごと鍋に入れて弱火で煮る。種ごと煮るととろみが増すから入れたままの方が良いと思う。

 

暫くするとジュワッと少し汁が出て来るから中火か強火でどんどん煮る。

トローってして来たら一旦火を止めて種を拾う。

 

それが終わったら水を切っておいた皮を入れてグラニュー糖を二、三回に分けて入れる。目安は蜜柑の60%か70%。

 

そしたら後は煮詰めるだけ。

砂糖を入れて味を調節して、と。

 

 

 

うん、こんなもんかな。固さも丁度良いしこれぐらいの苦さと甘さならハル達ちびっ子も食べれるだろうしね。

 

そしたら熱いうちに瓶中に詰めちゃおう。いっぱいまで入れて逆さまにして冷ます。

こうすると空気がちゃんと抜けていくからカビが生えにくくなるんだ。

 

空気が抜き終わったら完成。

 

これを檸檬と蜜柑でやって三種類のマーマレードの完成。

檸檬はちょっと酸っぱめだけど私的にはこれぐらいでいいかな。

 

これでマーマレードは終わり。

明日の朝ご飯で出してみようかな。それかおやつでも良いかも。

 

次はクッキーを作ろう。

 

鼻歌を軽く歌いながらクッキーを作っていく。

チョコにバニラ、抹茶、味の無いやつと他に何種類か。

味見で一つ食べるとうん美味しい。

 

さて、ちょっと休憩、と言う所で扉の向こうからハルの元気な声が聞こえてくる。

 

扉を開けて招き入れると私の着ているTシャツが気になったのか聞いてきた。

これ、ギルガメッシュに貰ったんだよね。結構お気に入りなんだよね。

でもなんでくれたのか分からないからハルに聞いてみたらちょっと考え込むと分からないって言った。

 

まぁ確かに春が知っている筈が無いか。

取り敢えず春にクッキーとマーマレードをハルにご馳走する。

 

美味しそうに食べてくれて私も嬉しいよー!

料理を作る側としてはこうやって美味しそうに食べてくれている時の顔が一番の報酬になるんだよ。

特にハルは美味しそうにしている。アルトリア達も美味しそうに食べてくれるから気持ちが良くてついついあげ過ぎちゃうんだよね……

エミヤにはあんまり甘やかすなって言われるんだけどこう、同じブリテン出身であそこまで嬉しそうに食べてくれるとついついね。

 

 

 

 

そう言う訳でハルは紅茶と一緒にドンドン食べ進めていく。

 

食べ終わってからマーマレードの感想を聞いてみる。

 

「蜜柑は最高!檸檬は酸っぱい!」

 

おぉ、上々の出来だって事だね。

でもやっぱり檸檬の方は酸っぱかったかー。

 

「ありがとハル!うーん、檸檬はやっぱりハル達からすると酸っぱいのかな。そしたら砂糖の量を増やした方が良いかな……」

 

ちょっと考え込む。

うん、次はやっぱり砂糖多めにしよう。それならちびっ子達も美味しく食べられるかな。

 

 

 

「ふぅ……美味しかったー。ご馳走様でした」

 

「お粗末様でしたー。お皿は流しの中に入れて置いてね」

 

ハルは食べ終わるとちゃんと挨拶をする。

私が言った通りに流しにお皿を運んでいく。

だけど身長がまだ小さいからか背伸びをして入れている所がまた可愛い。

助けるのも良いけどこのまま見ているのも良いね!

 

という事でそれが終わってからハルは私の方に来て言った。

 

「お姉ちゃん、ハグしよう!」

 

「え?ハグ?いいよーおいでー」

 

「ぎゅー!」

 

「ぎゅー!」

 

何でハグをするのか分からないけど取り敢えず可愛いからいっか!

スリスリとして来るハルは最高に可愛い。

ほっぺぷにぷにで柔らかくて良い匂いもする。あぁこのまま一日中抱き締めておきたいなぁ。

お布団でそのまま一緒にお昼寝したいなぁ。

 

「それでー?ハル君は今日は何が目的で来たのかなー?」

 

「今日はハグの日だからハグしに来たんだー。でもお菓子に負けちゃった」

 

「そっかー。今日はハグの日なんだ」

 

「うん、だからお姉ちゃんの事ぎゅーってしようって思って」

 

ハグの日だからハグしに来てくれたハルはとーってもいい子だなぁもう!

でも最初はお菓子の匂いを嗅ぎつけて釣られてきたのかと本気で思ってた。

 

「お姉ちゃんはてっきり最初からクッキーとマーマレードが目的だったのかと思ったよ」

 

「そんな事無いよ!」

 

「でもハルは美味しい食べ物大好きでしょ?」

 

「大好き!」

 

「それじゃぁ仕方がないね」

 

ハグを続けながら笑い合う。こんな日常なんてもう二度と手に入らないものかと思っていたからなんだか余計に心地良い。

あの時、ローマに復讐するために戦って、死んだときから諦めていたのに、なんでこんなに幸せになれたのかな。

 

それからハグを一杯して、お土産にクッキーを渡して。

 

「お姉ちゃんじゃーねー!」

 

「じゃーねー」

 

ハルは部屋を出て行った。

 

あぁ、なんだか本当にこういう日々が大切に感じるな。

 

って事でしっかりと留めておくためにも小型カメラで撮影してた写真をゲオルギウスの所に持って行って現像して貰わなきゃ。

アルバムに早速張らなきゃ。

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 

 




サーヴァントの皆さんの感じは作者が勝手に作りました。
かっこいい服のギルガメッシュも良いけどダサTのギルガメッシュとか良くない?
はっちゃける皆とか良くない?
食堂で大騒ぎして怒られる王様達とかなんだか新鮮で良くない?


途中、ブーディカママのお料理教室みたいになっちゃったけどまぁいいか。
クッキーの作り方は独断と偏見で書きませんでした。



今更だけど春君って小さい頃からスカサハを始めとした皆から英才教育受けてるから現代では普通に生物最強になれるという。
神代でも同じように鍛えられてたらどうなっていたのだろうか。考えるだけでも恐ろしい……
新しい英雄が誕生してしまうのだろうか。




追記
今更だけどちょいちょい知らない間にランキングに入っている時が多くてビックリ。
今さっき見て来たら作者の投稿作品が二つ同時にランクインしててそんな事あっていいのか?と思いました。


読者の皆様のおかげです。
今後もこの作品と作者の他作品をどうぞ宜しくお願いします。

Aチームで登場させるとしたら誰が良い?

  • ぺぺさん
  • カドック
  • オフェリア
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