藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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父の日 

さて、突然だけど一週間後は父の日だ。

母の日の時に母さんにプレゼントを贈った時に羨ましそうにしていたからあげるって言った手前、すっぽかすわけにも行かない。まぁその気は更々無かったんだけど正直な話、父親にプレゼントって何を贈れば良いんだろう?俺と同じ性別だから俺が貰って嬉しいものを思い浮かべてみよう。

 

……プラモデル、ゲーム、本、トレーニング器具一式とか?工作とかも好きだからそう言う道具一式も嬉しいな。

 

 

 

駄目だ……俺の欲しい物じゃ全く参考にならない。そもそも欲しいと言ってもこれ殆どが常設されてるし、ゲームも持ってる。プラモデルはジオラマにしちゃうからそこまで数が作れるわけじゃないから別にいい。それに今もまだ作りかけがあるからまだ要らない。

 

プラモデルは黒ひーとメディア姉さんに影響されて好きだし、ゲームは巴姉さん達だし、本は紫姉さん、ゴルゴン姉さん達だしトレーニング器具一式はスカサハ姉さんにレオニダスさんとか辺りだしなぁ……

 

うーん、無難な所だとネクタイとかなんだろうけど父さん、母さんから貰ったのが沢山あるしこれ以上増えても使う機会が無さそうだ。

 

あ、ネクタイピンなんてどうだろう?確かネクタイは沢山持っているけどネクタイピンは四、五個しか無かった筈だからバリエーションに乏しい。仕事で誰かと会う時に何時も同じような奴ばかりじゃあれだし。

 

うん、ネクタイピンにしよう。

 

 

 

そう思って色々と探してみたんだけどどうもこうイマイチ、ピンと来ない。確かに良いやつはあったんだけどね。

 

……あ、そうだ!俺が作っちゃえば良いじゃん!

 

これなら感謝の気持ちも伝えられるし、父さんに一番よく似合う色合いだったり形だったりを好きに出来る。

 

よしよし、それなら早速制作に取り掛かろう。メディア姉さんやダヴィンチちゃんに頼めば色々と手伝ってくれるだろうし。

あ、材料どうしよう?何処に取りに行けばいいのかな?

 

 

 

 

 

 

 

二日後、休みの日を利用して材料調達。

付き添いには安心と安全のスカサハ姉さん、メディア姉さん、それにマーリン兄さん、キルケー姉さんの四人。

 

この四人の選出についてはまぁ色々と詳しいから。

スカサハ姉さんとメディア姉さん、マーリン兄さんに関しては言うまでもないけど、キルケー姉さんはこんなちんちくりんみたいな感じだけどその実、凄い人。

 

メディア姉さんの師匠だからそういう方面の知識に関してはカルデアの中でトップクラス。

まぁ欠点と言えばちょっと残念美人みたいな所があるのと、やたらとキュケオーンを推して来る事かな。あ、キュケオーンって麦粥の事。

残念美人に関してはまぁ姉さん達に限って言えば結構当たり前の様に残念美人って感じの姉さんは多いから特に気にしないけど。

 

キュケオーンはまぁ、何と言うか、うん……

嫌いじゃないんだよ?嫌いじゃないんだけど……こう、ね。何とも言えない感じなんだよね。米に慣れている俺で、お粥といえば普通に米の粥だし、味付けの方もこっちが絶対的に好きなんだ。でもキルケー姉さんの作る麦粥は昔ながら、それも何千年も前の作り方と同じだから味付けとか色々と感性が違うんだよね。まぁそれでも偶に食べるけど。

テンションが高いって訳じゃないけど脅し文句が「豚(ピグレット)にしちゃうよ?」は流石に一人の女性として止めた方が良いと思う。

 

 

メディア姉さんはキルケー姉さんの弟子で、俺はメディア姉さんの弟子。

キルケー姉さんから見ると孫弟子になるのかな?まぁそんなわけでメディア姉さんからも色々と教えを受けている。

座学を中心に教えて貰っているけど、他にもジオラマの作り方だったりを教えて貰ったりしている。でも一番得意なのはフィギュアを作る事と洋服を作る事だ。俺の服の殆どはメディア姉さんに始まってヴラド爺ちゃん達が作ってくれているから殆ど買わない。

偶に鈴鹿姉さんやメイヴ姉さんに連れられて服を買いに行く事もあるけど一着ぐらいしか買わない。多くても二着かな。

 

それに比べて二人は一日中あっちの店こっちの店と移動し俺は着せ替え人形になるしかない。嫌じゃないけど訓練よりも疲れる。精神的にも肉体的にも。

 

メディア姉さんは優しい綺麗なお姉さん。あ、そう言えば学校でメディア姉さんの事を見た皆は「何処か若妻、人妻っぽい」って好評?だった。

……お前達には渡さないからな!?渡せないからな!?色々な意味で!

 

 

 

 

マーリン兄さんはアルトリア姉さん達が声を揃えて言っていた事がある。曰く、

 

「少なくとも三本の指に入るぐらいのクズですね」

 

と満場一致で言うほどのクズらしい。少なくとも本人は、ちょっと能天気と言うか、フワフワしていてアッハハー!とか言って笑っていて優しい兄さんって感じで、そんなこと無さそうな感じなんだけど見た目では計れないって事だね。

あとは何故か足元に花がずっと咲いている。しかも移動するとその場所に新しく咲く。

しかも不思議なのがこの花、マーリン兄さんが立ち去ると消えるし、立ち去らなくても一定の時間で消えて新しい花が咲く。

 

どんな原理なのか、どうやって花が咲いているのかって色々と理由を突き止めたくて小さい頃に足元でずっと花を摘もうとして一週間ぐらい粘ったり。結局掴めるけど直ぐに消えちゃうって分かったんだけどそれでもどうしても必死になっている俺を見て笑っているマーリン兄さんや他の皆を驚かせたりギャフンと言わせたくて必至になって、汚いから止めろと言われても意地になって。

 

「絶対に捕まえてやる!摘んで、どうだ!って自慢してやるんだ!」

 

そう思っていたっけなぁ。

 

知らない内にあちこちに種を蒔いているのかな?とも思って顕微鏡片手に床を延々と丸々三日間ぐらい這いずり回っていた記憶もあるなぁ。そんな俺を見て、

 

「好奇心とその疑問に思った事を突き止めようとするのはとても良い事です」

 

って褒めてくれる人と、勘違いをして主にフロー姉さんが何処かに異常があるんじゃないかってしこたま追いかけ回されて結局捕まってフロー姉さんの気が済むまで身体検査を受けさせられたり。

 

途中から興味を持ったギル兄さんとオジ兄さんが加わってマーリン兄さんの足元に俺を入れて三人が一人の足元でずっと顕微鏡を覗いたり床を擦って何か摂れないかとか、花を必死になって捕まえようとして。傍から見たら完全におかしい人達だったね。

 

実際に姉さん達はマーリン兄さんが俺に何か変な事を吹き込んだんじゃないかって勘違いして特にアルトリア姉さんズが吊し上げようとしてそれを必死になって止めたり。

兄さん達は基本的に大爆笑しながら見ているかギル兄さんやオジ兄さんの様に一緒になって床を這いずり回ったり、マーリン兄さんに無茶振りしたりしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳で、そんな五人で父さんへ送る為のネクタイピンの材料採取に来ています。

と言ってもばねとかの部品以外はクリスタルで作ろうと思っているから台座となるクリスタルを探しに何処か分からない全くの無人の秘境にあるクリスタルが採掘出来る鉱脈に来ている。これを探したのも姉さん達なんだけど。本当にどうやっているんだろう?教えられている内容じゃ到底出来ない事ばかり平然とやってのけるからやっぱりその差を実感させられるなぁ……

 

そんな訳で小さめのクリスタルを幾つか頂戴する為に作業開始。

危険な事には変わりないししっかりとヘルメットを被ったりと諸々の安全対策をしたうえで作業を進める。

 

動きやすい恰好で来ているとは言っても汗は出て来るし喉も乾く。そしてお腹もすく。途中昼休憩や小休止を挟みながら作業を進める事十時間。

 

幾らかの丁度良いサイズのクリスタルが見つかった。

それを皆に見せながらこれは加工するのに向いている、良さそうだ、と言う物を選んでいく。

その辺の知識と経験は皆の方が絶対的に上だし見栄を張るよりは任せて良いのを選んでもらって最高の物を作りたい。

 

「うーん、これなんか良さそうだね」

 

「こっちのも良い感じね。色合いも良い感じだわ」

 

「これなんか良いんじゃないかい?」

 

「これとこれが良い」

 

四人はそれぞれ良さげなクリスタルを見繕って選んでいく。

全部で十三個。それを持って帰る。掘った場所はしっかりと元通りに戻しておく。

帰ったら今日はもう夜だから製作は明日から。

 

風呂に入って晩ご飯を皆と食べて。そして今の内にどんな形にするのか図面に起こす。

そして全部で四種類の図面を書き終えて今日は終わり。

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日。今日はダヴィンチちゃんの所に来ている。

 

「いらっしゃーい!」

 

「ダヴィンチちゃん、今日はよろしく」

 

「うんうんまっかせてよ!可愛い可愛いハルの為だからね!」

 

ダヴィンチちゃんの仕事場である、通称ダヴィンチ工房を訪ねると満面の笑みと思いッきりのハグで出迎えてくれた。

 

流石に専門の工具なんかを俺は持って居ないからダヴィンチちゃんに借りて、助言を貰いながら作ろうって事で今日は此処を訪ねた。

 

ダヴィンチちゃん、例に漏れず凄い美人。スタイルも抜群だし数学から始まってありとあらゆる分野の学問に精通していてその道一本でやってきた専門家とも肩を並べるどころかそれ以上に詳しかったりする。

 

本当は絵を描くことだったり数学、発明が一番得意。

絵に関しては自分で自慢するだけあって超絶上手い。風景画を書かせたらそっくりそのまま切り取ってきたんじゃないかと思うぐらい。肖像画も得意だから父さんの仕事部屋に飾ってある父さんと母さん、それに小さい頃の俺が三人一緒に描かれている絵もダヴィンチちゃんが書いてくれたものだし、俺、母さん父さんのそれぞれの肖像画も描いてくれた。父さんと母さんは嬉しいけど少し恥ずかしいって言っていたけど俺なんか毎年毎年、肖像画と身体の筋肉の付き方を記録したいとか言ってパンイチのやつを描かれてるんだからそのぐらいで恥ずかしがらないで欲しい。

 

別にダヴィンチちゃんにみせるのがはずかしくないって訳じゃないんだよ?確かに恥ずかしいしパンイチとは言えなんかダヴィンチちゃんの目線が怪しいのもすっごい気になる。だけどそれ以上に他の姉さん達がドアをこじ開けてでも見てやるって執念を扉の向こうから感じるのが……うん、ダヴィンチちゃんが全力で作った最強の扉で本当に良かった。

 

 

 

「それじゃぁ作って行こうか。図面とかはあるかい?」

 

「うん。一応昨日の夜の内に四種類書いてきたんだけど」

 

「ほうほう!ちょーっと見せてくれるかな?」

 

「勿論」

 

図面を手渡してダヴィンチちゃんはそれをジーッと見る。

一応強度とかも考えて書いたはずだから大丈夫だとは思うんだけど……

 

「うん、よく書けてるね。強度面から見てもしっかりと考えられているしデザインも良い」

 

「本当に?やった」

 

「ただこれとこれのこの部分とこの部分、ちょっと強度が足りないかな?もしかすると折れちゃったり欠けちゃったりするかも」

 

「そうなの?どうすればいいのかな?」

 

「そうだね、まずクリスタル自体を金属で補強しちゃえば良いんじゃないかな?こうやって……金属の板の上にクリスタルをくっ付けちゃう感じに」

 

指摘されたところの解決方法を聞くとそこら辺に置いてあったメモ帳と鉛筆を取ってサラサラっと図を描いて見せてくれる。

まぁ要は金属を土台にしようって話なんだよね。確かにこれなら多少細かい形にしても壊れる事は無さそうだ。うん、これで行こう。本当のことを言うとクリスタル単体で作りたかったんだけど、それよりも父さんに長く使って貰いたいから。

 

「ありがとうダヴィンチちゃん。それで作るよ」

 

「りょーかい。どうする?土台部分とばねの部分ぐらいなら直ぐに用意出来るけど。それともこっちも自分で作っちゃう?」

 

「いや、今回は止めておくよ。土台はお願いしてもいいかな?

 

「お任せあれ。しっかりきっちり作ってみせますとも。どうする?形は図面通りもうこのまま?今なら設計変更出来るよ」

 

「うーん……このままでいいかな」

 

「はーい。それじゃぁこの図面のクリスタルの形に合わせて作っちゃうからちょーっと待ってて」

 

「うん。あ、お願いなんだけど何種類か綺麗な石かなんかを用意できないかな?装飾として付けたいんだけど」

 

「おーけーおーけー。そっちも任せといて」

 

そう言ってダヴィンチちゃんは四種類の台座を作ってくれた。それぞれ2個ずつの計十個。あとの三個は失敗した時の予備って事で。

 

それから数時間、ダヴィンチちゃんの指導と監督の元、父さんへのネクタイピン製作に励んだ。

 

しっかりと形を作ったらそれからダヴィンチちゃんに用意して貰った綺麗な石を付けるための台座を作る。これに関しては俺でも何とか作れた。多少不格好になってしまったけどダヴィンチちゃんには父さんなら喜んでくれると言ってくれた。

 

用意してくれた石はサファイアやルビー、エメラルドなどの小さなものでしっかりと形も加工してくれていた。うーん、こんな宝石じゃなくても良かったんだけど有難く貰っておこう。その宝石を一つ一つ取り付けた台座に丁寧に嵌め込んでいく。最後に綺麗に磨いたら完成だ。

きっちり三回失敗して加工中にクリスタルが折れちゃったけれど想定の範囲内だし何よりもどのくらいの加減でやればいいのか大体分かったからあまり気にしなかった。

 

一つ一つが別の宝石を嵌め込んであるからか、並べてみるとキラキラと光っていてとても綺麗だ。クリスタル自体もしっかりと磨かれていて輝きを放っている。

 

うん、これなら父さんも絶対に喜んでくれる。

 

そう思って完成した事と渡した時の父さんの顔を思い浮かべながら笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダヴィンチちゃん、今日はありがとう」

 

「いいよー。気にしないで」

 

「今度お礼をするから」

 

「うん。じゃーねー」

 

「じゃーねー」

 

ダヴィンチちゃんにお礼を言って別れた。

 

 

 

 

 

 

因みに使用した宝石は十種類。それぞれにしっかりと意味がある。

 

 

ダイヤモンド

「魔を寄せ付けない」

 

ルビー

「戦いに勝つ」

 

サファイア

「精神的な強さを得る」「未来を発展させる」

 

エメラルド

「ポジティブになる」「エネルギーの活性化」

 

ヘリオドール

「魔除けのお守り」「運気の流れを好転させる」

 

パライバトルマリン

「明るい未来を創造する」「分析力アップ」「活力を与える」

 

ブルートパーズ

「創造力を高める」「集中力を高める」

 

インペリアルトパーズ

「夢を叶える」「心の迷いを断つ」「弱点を補う」

 

カラーチェンジガーネット

「魔除けのお守り」「人生をいい方向に導く」

 

アレキサンドライト

「器量を上げる」「ピンチを乗り切る」「逆境を乗り越える」「危険を回避する」

 

 

 

 

それぞれ仕事関係だったり健康と言うか運と言うかそう言う関係のを選んだ。

父さん、いつも仕事頑張ってくれているし、色々と悩みの種もあったりするかもしれないからね。それに「魔を寄せ付けない」とか「魔除けのお守り」ってのが幾つかあったりするけどまぁそこら辺は沢山バフを重ね掛けする分には問題無いでしょ。

 

そいういう訳でその十個をしっかりと丁寧に梱包して、置いておく。

 

 

 

 

五日後、父の日当日。

朝渡しそこなったから学校から帰って来て手洗いうがいの後にすぐに向かう。

 

「父さん、入っていい?」

 

ノックしてから入っていいか聞く。

 

『どーぞー』

 

扉の向こうからは間延びした、だけどちょっと興奮を抑えられないと言った感じの声が聞こえる。

そして入ると相変わらず母さんと一緒に仕事中。手短に用件を伝えて済ませよう。仕事の邪魔になるのは嫌だからね。

 

「父さん、今日父の日でしょ?」

 

「うん!」

 

そんな元気に食い気味に答えられても……

滅茶苦茶満面の笑みじゃん。何?そんなに待ち遠しかったの?

 

「この前の母の日の時に約束したからさ。まぁ元々何かをプレゼントする気ではあったんだけどね。そう言う訳で、はいこれ」

 

「ふぉぉ!!!」

 

受け取った瞬間にとんでもないテンションで喜んで踊り狂っている。

うん、嬉しいのは分かったからさ、少し落ち着こうよ。

母さんも父さんを落ち着かせるの手伝って?

 

 

 

 

暫くして落ち着いた父さんは包装を開けて中を見る。

 

「これは……ネクタイピン?」

 

「うん。父さんネクタイは沢山持ってるけどネクタイピンはそんなに持って無かったと思って。ダヴィンチちゃんとかマーリン兄さん達に協力して貰って自分で作ってみたんだ」

 

「へぇ!!凄いじゃないか!」

 

父さんはとても喜んでくれた。

大成功って事だね。まぁ母さんの私も手作りの物が欲しいですって目を必死になって無視し続けたけど。

 

……今度何か作って贈ってあげよう。

 

そう思いながら暫く話して分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side 立夏 ----

 

 

 

 

今日は楽しみにしていた父の日。

もう滅茶苦茶楽しみで楽しみでしょうがなかった。

 

だってマシュに母の日のプレゼントを贈ってその時に春に父に日まで待っていて、といわれてその日から今日までずっと楽しみに待っていたのだ、朝からウッキウキのワックワクでそりゃもう昨日の夜に至っては遠足が楽しみで寝られない子供の様に寝られなかった。そして隣で寝ているマシュに怒られた。

 

『先輩、楽しみなのは分かります。ですがもう夜中の三時ですよ?いい加減寝てください』

 

たったこれだけの言葉にそりゃもうあらん限りの重みが乗っかっていて恐怖故に眠ってしまった。うーん、やっぱり俺って尻に敷かれていない様で敷かれているんだな、と確認出来た出来事だった。

 

朝起きてからも楽しみ過ぎてなんかよく分からない精神状態になっていてマシュに聞いた話じゃ緩んだ顔に鼻歌、挙句何だか小躍りまでしている始末だったと呆れられた。

周りの皆全員に呆れられた。いやもうもうちょっと気を引き締めなさいよ、と活を入れられるぐらいにはしゃいでいた。

 

ハルは平日だからという事で何時も通り学校に行っているし帰って来てから渡されるっぽい?

 

まぁその間はソワソワしながらも仕事を進めて行く。

マシュは隣の机に座り重要書類や優先度の高い書類とそうでない書類を分けて俺に渡してくれる。

俺はその書類に目を通して本当に重要か、優先度が高いかを改めて読んで見る。必要な書類には判を押したりする。

 

あとは皆が設置して欲しい施設や設備の申請書だったりそれをOKしたら必要資材の見積依頼をそう言う事に詳しいサーヴァントに出したり以前上がってきた見積で必要だと言われた資材の発注書類を書いて判を押していく。

 

そんな感じで仕事をドンドン進めて行く。

ただ、そう言った要望とかの書類は少なく書類は魔術協会や国連絡みのアサシンズが調べて来た報告書類だったり面倒極まりない依頼の書類とかが殆どだ。

 

まぁこちらに利益が無い物は容赦無くシュレッダー行きだけど。

ぶっちゃけ見る価値すらない。そもそもどうやったらアレほど横暴に滅茶苦茶を突きつけて来て挙句の果てにやって貰う事が当たり前だと書いて報酬も無しでやらせようとして来るのか。

 

立場分かってんのかな?言っちゃあれだけどその気になれば世界中で一斉に国家元首を暗殺出来るんだよ?それを魔術協会か国連、敵対組織だけに向けられたらそりゃ凄惨な事になる。まぁそんな事やらないけど。

 

人理修復直後は皆が暴走して世紀末のモヒカン連中みたいに血祭りに挙げちゃったけど。あれはまぁ仕方が無いよね。と言うか暴走した皆を止めるとか無理。

 

普段は温厚なブーディカやエミヤと言ったメンバーですら青筋立てて武器を取り出して斬りかかって行ったぐらいだからどんなものなのか簡単に想像出来ると思う。

結局その後、諸々の後始末にダヴィンチちゃんやアサシンズ達と必死に奔走した。

 

 

 

そんな事があって今現在も魔術協会と国連、それらの関連組織に対する信頼はマイナス。絶対零度。

 

未だに懲りずに色々と画策したりして悉くを阻止されているのに何故諦めないんだろう?そもそもそんな俺達に色々と命令しようとして来る辺り神経が図太いというか何と言うか。

 

寧ろここまで色々と迷惑を掛けられ脅かされて言う事を聞いて貰える、要求を飲ませられると思っているのだろうか?そんな素直に頷く訳無いし、交渉するにしても普通だったら報酬なり交渉材料なりを用意してくるものなのだがそれすらも無い。

 

やって貰って当たり前、という考えは改めた方が良いと思う。

元は魔術協会、国連に所属していたとは言っても今は完全に独立しているし手助けや支援が無くとも全然問題無いし寧ろ居たら邪魔。

 

元々国王だったりで交渉が出来る皆に言わせてもあれは少なくとも交渉をする態度ではない。俺達がそもそも交渉の椅子に座る事自体拒否しても何ら文句は言われないって言っていたこともあるぐらいに酷い。

 

国連はまだしも魔術協会なんて人理修復して色々とあった後にしっかりと対策をしたり事前に取り締まりをするという約束や協定を結んだのに一切そう言う行動なんかをしていないのが筒抜けでこっちに情報が届いているのに知ってか知らずか馬鹿の一つ覚え状態。

 

まぁそれでも中にはマトモな人間は居るのかそう言った人間が担当した場合に限って対等に話し合える。まぁ本当の所を言えば今までの所業を考えれば俺達に圧倒的に有利で向こうに絶対的に不利な条件で飲ませられなくもないんだけど俺達はそう言う事が目的じゃないからね。しっかりとちゃんとした条件での話し合いとその結果。

 

不平等条約、ダメ、ゼッタイ。

 

 

 

 

 

そんなこんなで午前中の仕事は終わり。

今日は時間があるから食堂で皆で昼ご飯を食べる。

さて、今日はドラゴン肉ステーキにしよう。肉厚ジューシーな牛肉よりもずっと美味しいあのドラゴン肉ステーキだ。因みに言うとカルデアでのステーキは一般的にドラゴン肉ステーキを指すんだ。

 

「エミヤ!巨大ステーキ定食ご飯特盛!」

 

「あぁ分かった。焼き加減はどうするかね?」

 

「ミディアムレアで!」

 

「分かった。今から焼くから少しばかり待ちたまえ」

 

エミヤに注文をして、さぁ食うぞと意気込む。

隣ではマシュがサンドイッチとクラブハウスサンドをブーディカに頼んでる。

他にも金時、茨木童子、酒呑童子と言った日本陣営の面々は玉藻や清姫、頼光に和食中心のご飯を頼んでいるし中華料理を食べたいと言っているメルトリリスは回鍋肉定食だったりラーメン狂のアナスタシアは……今日は味噌ラーメンと豚骨ラーメンの二つを頼んでいる。

 

武蔵ちゃんは相変わらずうどんだし何故かマッシュポテト山盛りをパンに挟んで嬉しそうに頬張っているガウェインにハンバーガーを大量に頼んでいるジャンヌ・オルタとセイバーオルタ。あの二人はなんだかんだで仲良いからなぁ。

 

それぞれが食べたい料理を頼んで幸せそうに食事をする。

人理修復の旅の時もなんだかんだ言ってこんな感じだったけどあの時は俺やマシュ、スタッフを始めとしてサーヴァントの皆も常に追われていたから精神的な余裕は正直無かった。それでもイベントは楽しんだし特異点での出来事に時には泣いて、時には笑っていた。

 

それが今じゃこんなに平和になった。

偶に極小の特異点が発生したりもするけど人類の未来が掛かっているわけでも無い。

でも被害は出るから気は抜けないけど切羽詰まった状況で時間に追われるなんて事も無い。

そんな風に思いながら眺めていたら横にスッ……と立った婦長に驚かされる。

 

「マスター、健康の為に野菜も摂ってください」

 

「婦長!?いやぁ、今日はガッツリ昼ご飯食べたいなぁって……」

 

「先輩、私もお野菜は食べないといけないと思います」

 

「マシュまで!?」

 

マシュまで野菜を食べろという。

いや確かに最近は余り野菜を摂れていなかったけど今日ぐらいは肉オンリーでも良いんじゃ……

 

「ハハハ、さてどうする?マスター」

 

「……小鉢で」

 

笑うエミヤ。

しょうがないから小鉢ぐらいの野菜は食べようかなと注文する。

しかしやっぱり許されず婦長に阻止されてしまった。

 

「いいえ、ボウルでお願いします」

 

「ふちょー!?」

 

「なんですか?」

 

「ボウルは多すぎじゃないかなって思うんだけど」

 

ボウルってどんだけ……

いやいや、流石に食べられないって。口の中野菜になっちゃうよ。

 

何とか交渉して減らしてもらおうとすると婦長は何処からどうやって取り出したのか分からないけど何枚かの書類を取り出した。そしてそれを見ながら言い始めた。

 

「………………マスター、ここ最近仕事にかまけ運動もしなくなり体脂肪率やコレステロールなどが軒並み上がってきていますね。さてどうしましょうか?師匠軍団のマッスルトレーニングですか?それとも私が切除して差し上げましょうか?」

 

「エミヤ!サラダボウルでお願い!」

 

「了解した」

 

野菜美味しいよね!野菜大好き!ボウルでも行けちゃう!

 

(春はどんなプレゼントをくれるのかなぁ……)

 

そんな事を考えながら食べ進めた。

 

 

 

 

 

ボウル一杯の野菜と巨大ステーキ定食ご飯特盛をしっかりとガッツリ食べた後、少しの休憩の後に再び仕事を始める。

 

数時間後、部屋の扉が叩かれる。

 

『父さん、入っていい?』

 

入室の許可を求める声の主は我が息子の春だった。

 

「どーぞー」

 

入っていいというと春が片手に包装された箱を持って入って来た。

椅子に座ると春は切り出した。

 

「父さん、今日父の日でしょ?」

 

「うん!」

 

思わずかなり食い気味に答えてしまった。

いやいやだってずっと楽しみだったこのイベント!

誰だってこうなってしまうに決まっているじゃないか!?

 

「この前の母の日の時に約束したからさ。まぁ元々何かをプレゼントする気ではあったんだけどね。そう言う訳で、はいこれ」

 

「ふぉぉ!!!」

 

受け取った瞬間に立ち上がり小躍りを繰り出す。

いやぁ!嬉しいなぁ!だけど中身は何だろう!?

 

「父さん少し落ち着いてって。嬉しいのは分かったし喜んでくれて幸いだけどさ」

 

そんな俺を見て春は落ち着く様に促して来る。

暫くして落ち着いてから包装を開けて中を見る。

 

「これは……ネクタイピン?」

 

中に入っていたのはクリスタルの本体に十種類の宝石が装飾されたネクタイピンだった。

 

「うん。父さんネクタイは沢山持ってるけどネクタイピンはそんなに持って無かったと思って。ダヴィンチちゃんとかマーリン兄さん達に協力して貰って自分で作ってみたんだ」

 

「へぇ!!凄いじゃないか!」

 

手作り!手作り!?これを春が作ったの!?

いやっふぅーーーー!!!!こんな物送られて喜ばない父親がいる訳が無い!

 

 

少々取り乱した。だけどしょうがないと思うんだ。息子から手作りのネクタイピンを贈られたらそりゃもう嬉しくてしょうがないに決まっている。

 

マシュはそんなネクタイピンを見ながらズルい!私も手作りの物が欲しいです!って顔をしている。

春は今度何か作って贈ろうって顔しているな。

 

……うへへへ、羨ましいだろぉ?

 

 

 

 

 

春が帰った後マシュと二人で、

 

「ズルいです!」

 

「いーやズルくない!」

 

「羨ましいです!私にも触らせてください!」

 

何てやり取りがあったのもご愛嬌って事で。

いやー、本当に嬉しいなぁ!今度の仕事で付けて行こう。

 

 

 

その日から暫くの間、浮かれっぱなしの俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 




春君は自身の肖像画や写真があちらこちらで売買されているのを知らない……
特にパンイチバージョンの肖像画と写真は年に一回しか出回らないとあって超絶プレミア状態。

春君本人には絶対に知られてはいけない。男性陣もうっかり口を滑らしてそれを教えてしまったら最後だと分かっているので暗黙の了解になってしまった。

因みに藤丸夫婦は成長記録アルバムにしっかりと挟み込んでいる。
年々筋肉が増していく様を見て本当に何を目指しているんだろうか?と考えているあたりこの夫婦も完全にサーヴァント達に毒されている。と言うかどっぷり浸かっちゃっている。



Aチームで登場させるとしたら誰が良い?

  • ぺぺさん
  • カドック
  • オフェリア
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