藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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11話からの続き
マーリン兄ちゃんの花の謎 その1


今日は特に何かやりたいとかやることがある訳じゃなくて何にもない。のんびりしてるんだ。朝は母さんと一緒にご飯食べてのんびりしてたけどそれからやることが無くて。本を読んでたんだけど何となく本を読むって気分じゃなくてこうして歩き回ってる。

 

食堂に行ったりして遊んで貰ったりしている。

ゴルゴンお姉ちゃんとメデューサお姉ちゃん、アナお姉ちゃんがエウリュアレお姉ちゃんとステンノお姉ちゃんにいじられていたりブーディカお姉ちゃん達、今日のご飯を作る担当の皆が下拵えとかをしていたり。

 

エウリュアレお姉ちゃん達の所には今日は近づかない。だって捕まるとどうなるか分からないんだもん。大好きなんだけどあのメンバーが揃っている時にあの中に飛び込むと絶対に碌な目に遭わないって今までで僕はちゃんと学んだんだ。エウリュアレお姉ちゃんとステンノお姉ちゃんだけだったらなんていうことはないし一緒にお菓子食べたりするぐらいなんだけど。この五姉妹が全員揃うと大変なことになる。

無茶振りの嵐に何とかしてそれをクリアしようとして四苦八苦している時にやっぱりあれがいいわ、って変更してあっちへこっちへ四人もしくは三人で東奔西走……

必ず誰か一人は暇だから相手しなさいって一発芸の強要だったり。僕の場合はお姉ちゃんの膝の上に座って大人しくしていれば良いだけ。撫でられたり着せ替え人形になったりするけど。ゴルゴンお姉ちゃん達の苦労に比べればなんて事は無いんだ。

 

 

 

 

見つからないように机の影をコソコソと進んでいく。

途中たまもお姉ちゃんに見つかっちゃったけどコソコソしている理由を察してくれたのか頭を何度か撫でて見逃してくれた。

……今度たまもお姉ちゃんのしっぽとお耳をもふもふしなきゃ。

 

 

食堂を抜け出すと廊下を歩いていく。

すると向こうからマーリン兄ちゃんが歩いてくる。

マーリンお兄ちゃんは白髪長髪のお兄ちゃん。雰囲気はフワフワぽわぽわ?してて結構軽そうな感じだけどとっても優しい。あははー!って笑っているような人なんだけど。

この前お話してたらアルトリアお姉ちゃん達に近づいちゃダメって言われたんだっけなぁ。なんでも、

 

「私が知る限り一番のクズ野郎です。あんなのと一緒に居たらハルにクズが移ってしまうかもしれない」

 

らしいけど少なくとも僕はそう感じないないんだけどな。

個人的には変人度で言えばトリスタンさんの方がずっと上だと思うんだけどな。だって特に何もないのにずっとポロンポロンやってるしなんかよく訳の分からない事ばっか言ってるしガウェイン兄ちゃんもとんでもなく、まぁその、なんていうか脳筋だから本当に何を言っているのか分からない事が多い。何よりも何故かジャガイモを見るとマッシュポテトにしようとする、ある意味で変態だと思う。

 

まぁそんな評価のマーリン兄ちゃんだけどずっと前から気になっていることがあるんだ。それは足元に咲いている薄い桜色の花の謎。何にもないのにいきなり咲いて消えちゃうんだよ?気にならない方がおかしいって。

 

なんでなのか全然分からない。

そうだ、今日はあのお花の謎を突き止めよう!綺麗だから捕まえられれば皆にプレゼント出来る。

 

「おや?ハルじゃないか。どうしたんだい?」

 

「まーりんにいちゃんじっとしてて」

 

「え?どういう事かな?」

 

しゃがんでマーリン兄ちゃんの足元に次々と生えてくる花を捕まえようとする。

掴むのは簡単なんだけどどうやってもすぐに消えちゃう。ちゃんと重さも感触もあるのに本当に最初からそこに元々無かったかのように無くなっちゃうんだ。

 

うあぁぁ!捕まらない!

なんで!?ちゃんとあるのにどうして消えちゃうの?

どうすれば捕まえられるんだろう?虫網とか?……お玉とかボウルでも捕まえられそう。

 

「ハルー、お兄さんに何をしているのか出来れば説明してほしいんだけどなぁ」

 

「このおはなをつかまえたいの。だからまーりんにいちゃんじっとしてて」

 

「うぅん、これまた随分と唐突だね。花が欲しいならあげるよ?」

 

「じぶんでつかまえる!」

 

「そっか。なら廊下じゃなくてどこか別の所でやらないかい?食堂とかなら幾らでも出来るんじゃないかい?」

 

「……しょくどうは、えうりゅあれおねえちゃんとすてんのおねえちゃんがいるの」

 

「あー、あの二人か。まぁハルが何かに夢中になっている時は流石にちょっかい出してこないんじゃないかい?」

 

「わかった。しょくどうにいこう!」

 

マーリン兄ちゃんに言われて食堂に行って花を捕まえる続きをすることにした。

抱き上げられて食堂に向かうとそこにはさっきの皆とギル兄さんにオジ兄さん、イスカンダルさん達も加わっていた。

 

まぁいいや。皆それぞれ好きな事やって過ごしているし、流石にこの時間からお酒を飲んだりしている人は居ないけど荊軻お姉ちゃんは何でもないのに赤い顔でハイテンションの出来上がってたりする事があるけど今日はそうでもないらしい。

 

「それじゃぁ僕は座っているから気の済むまでやるといい」

 

「うん!」

 

「しかしこの花に興味を持つか……流石はマスターの息子だねぇ」

 

「とうさんはこのおはなつかまえたの?」

 

「いいや、お父さんは興味があってこれは何?って聞いてきただけさ。ハルの様に捕まえようとしたりはしていないよ」

 

「だれかつかまえたことあるの?」

 

「うーん……無いんじゃないかな?興味はあるけど別にいいや、って感じが殆どの反応だからね。暫くすればそういうものなんだ、と受け入れて興味すら無くなる人が殆どさ」

 

「じゃぁつかまえられればぼくがはじめてつかまえたことになるんだ!」

 

「そういう事だね」

 

「がんばる!」

 

父さんも捕まえたことが無くて、お姉ちゃん達も、だれも捕まえたことが無いなんて凄い!だったら僕が絶対に捕まえてやる!

 

「えーっと、どうやったらつかまえられるのかな……」

 

手で掴んでも消えちゃうし。

手で掴まなかったら消えないのかな?

 

「まーりんにいちゃんここでじっとしててね」

 

「うん?勿論だとも」

 

マーリン兄ちゃんにどこかに行かないように言っておいて農園に行く。

手で捕まえられないなら虫網を使えば良いんだ!触られたくないのかもしれないから虫網なら大丈夫だと思う。

 

 

 

 

 

「くーにいちゃん!むしあみかして!」

 

「なんだぁ?おぉ、春じゃねぇか。虫網なんて何に使うんだ?」

 

「おはなつかまえるの!」

 

「虫網?そんなもんあったっけか?……あぁ、タモ網の事か。花をタモ網で採んのか?」

 

「はーやーくー!」

 

「わーったわーった。ちょっと待ってろ、今持って来っから」

 

「うん!」

 

クー兄ちゃんにおっきい虫網を持って来て貰う。

釣りに行くときに持って行くおっきな虫網。いつも魚を採るのに使ってるけど虫も捕まえられると思うから多分大丈夫。

 

「おら、持って来たぞ」

 

「ありがとー!」

 

「一人で持って行けるか?」

 

「だいじょーぶ!」

 

「そっか。なら気を付けて持ってけよ。周りの物とか人にぶつけない様にな」

 

「うん!」

 

そう言ってクー兄ちゃんから虫網を貰う。

でも大きすぎて持ち上げられなかったからズルズルと引き摺って行くしかない。

 

「なんでタモ網引き摺ってんだ……?」

 

「さぁ……釣りにでも行くのかしら?」

 

途中でムニエル兄ちゃんにエリカお姉ちゃんと擦れ違ったけどちゃんと虫網をぶつけない様に気を付けた。不思議そうに僕を見ていたけど。虫網をぶつけてほしかったのかな?流石に違うか。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「お帰り、ハル……それはなんだい?」

 

「むしあみ!」

 

「ハル、それは虫網じゃなくてタモ網って言って魚を採るための網だ。虫を捕まえるための物じゃないよ」

 

「そーなの?」

 

「うん。それじゃ虫は捕まえられないんじゃないかな?」

 

だから虫取りに行くときはもっと小さくて軽い虫網だったのかー。

 

「でもあみだからだいじょうぶ」

 

「うーん、まぁいっか」

 

マーリン兄ちゃんは一人でうんうんと頷いているけど。

 

「ん?ハル、その網をどうするんだい?」

 

「おはなをこれでつかまえるの!」

 

「アハハ……これは、僕が見てきた中で一番の無謀なんじゃないかなぁ……」

 

「?」

 

「ま、好きにやってみると良い。それで何か新しい発見があるかもしれないしね」

 

「うん!」

 

網を持って花を捕まえようとする。けれど花は網の中には簡単に入るのにやっぱりすぐ消えちゃう。

 

「きえちゃう!つかまんない!」

 

「そりゃぁそうだろうなぁ……」

 

網を必死に振り回して捕まえようとするけど全然捕まらない。普通に消えちゃう。どうやっても捕まらない。網の上から抑えても消えちゃうし。

 

なんでなんだろう?網じゃダメなのかな?

……網は隙間があるからダメなんだ!

 

「あみじゃつかまえられない!」

 

「なんだかなぁ……ハルってこんなに阿保っぽかったかな?」

 

「びにーるぶくろだ!」

 

「多分それも無理なんじゃないかな……」

 

ビニール袋なら透明だけど隙間はどこにもないから逃げられないし消えられないはず!でもビニール袋ってどこにあるんだろ?……あった。

隣でマーリン兄ちゃんが小さい声で何か言ってるけどそれどころじゃない。もしかすると捕まえられるかもしれないんだから早くビニール袋を貰わないと!

 

「たまもおねえちゃん!」

 

「はいはーい……おんや?春君じゃないですか。どうかしましたかー?」

 

「びにーるぶくろちょうだい!」

 

「ビニール袋?ゴミ袋になっちゃいますけどそれでも良いなら」

 

「それちょうだい!」

 

「ちょーっと待っててねー」

 

食堂ならゴミ袋に使うようなビニール袋が沢山あるからお花も沢山、簡単に捕まえられるはず。

 

「はい、どーぞー」

 

「ありがとー!」

 

「でもビニール袋なんて何に使うんです?」

 

「おはなをつかまえるの」

 

「花を、捕まえる……?」

 

たまもお姉ちゃんは不思議そうな顔をして首を傾げていたけど今はそれどころじゃないんだ。早くあの花を捕まえないと。

 

「ハル、何をしているのかしら?」

 

「!?す、すてんのおねえちゃん……」

 

「あら、あらあら?私に会いたくなかったって顔してるじゃない。どういう事かしら?」

 

「そんなことないよ?」

 

「うふふ、嘘を付く悪いお口はこれかしら?さぁじっくりとお話しましょう」

 

連れて行かれちゃう!これじゃステンノお姉ちゃんとエウリュアレお姉ちゃんの気が済むまでずっと捕まったままになっちゃうよ!僕はお花を捕まえたいのに僕が捕まってたらダメじゃん!

何とかして誤魔化して逃げないと。取り敢えず笑っておこう。

 

「えへへ」

 

「笑ってもダメよ。誤魔化されないわ」

 

ダメだった。スカサハお姉ちゃん辺りはこれで誤魔化せるんだけどなぁ。

こうなったら色々と繰り出すしかない!

 

「ぎゅー」

 

「……抱き付いてもダメ」

 

「だいすきー」

 

「…………今回だけよ」

 

「ありがとうおねえちゃん!だいすき!」

 

「ッ!!え、えぇ……」

 

やった!誤魔化すのにちょっと色々と言ったりやったりしたけど全部本心だから嘘じゃない。まぁでもお姉ちゃんもチョロいと言うか何と言うか。抱き着いた時に僕の事抱きしめ返してきてたし。

 

 

 

よし、それじゃビニール袋でお花を捕まえるぞ。

隙間はどこにも無いから絶対に捕まえられると思うんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side 玉藻の前 ----

 

 

 

 

今日は食堂でご飯を作る当番。

他の方々もいらっしゃいますがまぁ何時も通りの光景ですね。

 

すると食堂に春が一人で来た。

その時は遊んで、暫くするとどこかに行ってしまった。

まぁ歩けるようになってからはあっちへこっちへ活発に動き回っていますから珍しいことでもありません。

 

それからも私はお昼ご飯の準備を進めていく。

すると再び春が食堂にやってきた。今回はマーリンさんに抱き上げられながら。

 

あぁ羨ましいッ!私も抱っこしたい!

 

そうではなくて。

何をするのかマーリンさんが椅子に座ったら春はその足元に座って何かをやっている様子。他の食堂にいる方々も気になっているのかチラチラと覗き見ています。他の椅子や机があってよく見えないのですが必死になってやっているようで。

 

それから暫くそんな風にやっていて、立ち上がって何処かに行ってしまった。

 

そして何処からか帰ってくると何故か魚釣りの時に使う大きなたも網を引き摺って帰ってきた。

 

えぇ……!?本当に何をしてるんです!?

流石に食堂にそんなもの持ち込んだらブーディカさんに怒られちゃいますよ!?

 

と思っていたのにブーディカさんはニコニコと見ながら手を動かしてお昼ご飯を作り続ける。良いんですか?他の方々なら直ぐに飛んで行くのに……

 

「アレ、良いんですか?」

 

「あぁ、ハルの事?まぁいいんじゃないかな。ご飯時でもないし誰かが何かを食べてるって訳じゃないし。誰かが食べ始めたら止めればいいと思うよ」

 

そういうわけですか。確かに飛んで行く時は決まって誰かが一人でも食事をしている時だけ。

 

「それにさ、あぁやって何かに熱中してるハルを見てるとなんだか幸せな気持ちになってきちゃうんだよね。こう、見守ってあげたくなるって言うかさ」

 

そう言ってブーディカさんはお昼ご飯の準備を進めていく。

 

なんともまぁ、本当に激甘ですねぇ……私も人の事は言えませんけど。

 

うーん、本当に何をしているんでしょ?とっても気になるっちゃなるんですけどお仕事を放りだすわけにもいかないですし。

かと言って春を見ながら料理出来るか、と聞かれると頷ける訳でもない。

 

はぁ、しょうがないですね、怒られるのも嫌ですし。

 

 

 

 

 

「たまもおねえちゃん!」

 

暫くすると何処からか私の名前を呼ぶ可愛らしい、元気な声が聞こえてくる。まぁ私の事をたまもおねえちゃん、なんて呼んでくれるのはカルデアの中でただ一人。

 

「はいはーい……おんや?春君じゃないですか。どうかしましたかー?」

 

我らが天使、春君!

カウンター越しにキラキラと輝く目をこちらに向けて楽しそう?嬉しそう?に笑っている。

 

「びにーるぶくろちょうだい!」

 

「ビニール袋?ゴミ袋になっちゃいますけどそれでも良いなら」

 

「それちょうだい!」

 

「ちょーっと待っててねー」

 

用件を聞くとビニール袋を御所望らしい。

食堂と言う性質上ビニール袋と言うか、ゴミ袋は沢山ありますけど。

食堂で出た残飯は基本的にゴミとして出すのではなく農園の皆さんに渡して肥料にして貰います。どちらかと言えば一時的に突っ込んでおく袋と言う意味合いが強いですね。農園にあるコンポストには沢山のミミズが生息していますし野菜などを育てる土壌にも沢山。

農薬を一切使っていない完璧な有機栽培。肥料ですら化学肥料を殆ど使っていませんし。

 

話が逸れた……

 

ゴミ袋を持って来て春に手渡す。

でも何に使うんでしょうね?

 

「はい、どーぞー」

 

「ありがとー!」

 

「でもビニール袋なんて何に使うんです?」

 

「おはなをつかまえるの」

 

「花を、捕まえる……?」

 

用途を聞けばなんともまぁ、不可思議極まり無い返答が返って来る。

 

いやいやいや、花をゴミ袋で?しかも摘むのではなく捕まえる?幾ら私でも訳が分からない。普通なら花は捕まえるのではなく摘むものでしょうに。花が手足を生やしてあっちへこっちへ逃げ回るとでも?そんなまさか。幾ら人外魔境とは言ってもそんな物が存在する訳……が無いとは言えませんねぇ……

まぁ後々になれば自ずと分かる筈。なんなら春が自慢しに来るかも?

 

 

 

 

それまでは私は頑張ってお仕事をしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ーーーー

 

 

 




今回は何回かに分けて投稿します。




追記

なんか話の順番が何度も前後して本当に申し訳ありません……
一応新しい章と言う感じで11話の、

「ロボは頭が良い」

の続きである最新話を入れました。
本当に何度も何度も前後してしまい申し訳ありませんでした。




Aチームで登場させるとしたら誰が良い?

  • ぺぺさん
  • カドック
  • オフェリア
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