藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。 作:ジャーマンポテトin納豆
久しぶりの投稿です。
今回で花の謎編は終了です。
次回はどんな内容を書いていこうか……
ーーーー side ギルガメッシュ ----
ハルと初めて出会った時に時一番最初に感じたのは「なんとも赤子らしくない」、だった。
ハルが生まれて、目が開き幾らか落ち着いた頃に始めて目を合わせた時、赤子らしからぬ赤子、と真っ先に思った。
赤子が普通持っている目では無かったからだ。
明らかに物事を考え、我らをしっかりと一個人として捉え見ている。何故生まれてそう日が経っていない赤子が?と疑問に感じたが、医務室の連中にそれとなく伝え精密検査をさせたがどこにも異常は見当たらない。
それどころか寧ろ健康過ぎるぐらい健康だ、との事だった。
ならば魔術的な要因か、と思ってその筋を探ってみたがこちらにも何も無かった。
確かに魔術回路の数は多く、現代で通常天才などと称される魔術師連中よりもずっと多い。だがそれは母親であるマシュや、父親である立夏の血を受け継いでいる事を考えれば妥当だろう。
それに女神共が事あるごとに呪いを掛け捲っていたからその影響もあるだろう。
だが我が感じたのはそういった物ではないのだ。
結局生まれてから直ぐにこの謎が解けることは無かった。
そんな疑問はあれど、今では成長し3歳を迎えた。
毎日毎日、我の知る子供よりもずっと活発に動き回り、学び、笑い、食べる。
周囲にいる者の影響も大きいだろう。
スカサハを始めとした戦闘狂連中にはそれとなく戦闘技術を学びながら遊ぶ。
ハルは体を動かす事が好きだ。毎日の様にロボやカヴァスと遊んで農園に行けば泥だらけになって自分で収穫した野菜や果実を入れた籠を小さな両手を一杯にして満面の笑みと共に我らに見せてくる。その時の愛くるしさと言ったら……
女共はそれを見て事あるごとに死にかける。
我ら男連中よりも女連中の方がハルに熱心だ。それはもう我が引くほど熱心だ。
そんなハルだがそれ以上に知識欲が貪欲などでは表せない程に熱心だ。
赤子の時、それこそ立って歩けない時から我らが自分たちの言葉を教えようと読み聞かせたりしていたからか、今でも父親である立夏の母国語である日本語以外は書くことは出来ないながら読み、聞き取り、多少ならば話すことが出来る。
毎日一時間、勉強の時間を設けて教えられたことをどんどん吸収していくその様は、我でも驚くものだ。
体を動かす以上に本を読むことが好きで好きで堪らないらしく、暇さえあれば本を読み、自分で読めない本は誰かに読んでもらう。
代表としては図書館の司書であったり、何時ぞやの因縁のあるゴルゴーンなどなど。
アンデルセンの所にも行くが執筆が忙しいと偶にしか読んでもらえないとぶつくさ文句を言っていた時もあるな。
そしてどうしてだか我の所には殆ど来ない。何故だ。
更に読んでもらうだけでなく、疑問に思う事が多い。
そしてそれを聞いてくる回数も多い。読んでもらった奴が分からない事であれば分かりそうな奴らの所に行き、これは何?あれは何?これはどうして動く?どうやって動かしている?とまぁ疑問が尽きない。
答えれば答えたことに対しての疑問を更にぶつけてきて、結局物事の原理を一から説明する羽目になるのは何時もの事だ。
そしてその知識欲はただ本だけで見たり聞いたりするだけには留まらない。
実際に見てみたい、触りたい、動かしたい、乗りたい。
もうこうなっては我の財の出番よな!
色々な博物館に連れて行き、大自然にも連れて行く。
まぁ不満なのは何故我とでは無く他の奴らとなのか、と言う所だが。
知識欲は留まるところを知らない。ありとあらゆる方面に興味を示してはそれを知ろうとする。そのために教えるこちらも全力だ。
仲が一番良いのはロボとカヴァスか?
悔しいがこの二匹は基本傍にいる事が多い。あのモフモフの毛皮に包まれてくーすか呑気に寝ていることが多いな。あれは我もちょっと羨ましい。
今日は、少しばかり外に出て串焼きを買ってきて食堂に向かうと、珍しくマーリンが椅子に座り茶を啜っているではないか。
マーリンが?食堂で椅子に座り茶を啜るようなタイプではないだろう。何が起こっているのだ。
近寄ってみると、何やら足元で動く物体が。何となく見覚えのある背中と体躯。
んん?ハルか?
そう思いながら近づいてみるとまさかのハルだった。
寄って行くと何やら足元に寝転がりもぞもぞ何かやっている。足をパタつかせて考え込んでいるようにも見える。
しゃがんで声を掛けてみると、我に顔を向けて理由を説明し始めた。
何でも、マーリンの足元に咲く花を捕まえたい、との事だった。
いや、もうこの時点で少しばかり笑いそうになったが堪える。
摘むではなく捕まえると表現したのだぞ?しかも周りにはそのために使ったのか魚釣り用の攩網やビニール袋、ボウルなど少なくとも花を摘む為には使わないものばかりが並んでいる。
と言うかどこから持って来た……?
あぁ、攩網はクー・フーリンの所に行ったのだな。ビニール袋などは基本食堂で調達出来るしな。
しかし、これまた面白い事を考えるものだ。
更に聞いてみるともう笑いそうになってニヤつきが止まらない。
「きのうはむしあみと、びにーるぶくろと、とんぐでつかまえようとしたけどぜんぶだめだった」
更に説明を聞いていると、その言葉が出た瞬間に我慢出来なかった。
それはそうだ。何をどう考えれば網やらビニール袋やらで花を捕まえると言う考えに至るのか。
「クッ……フッ……フハハハハ!それはそうであろう!花はそんなものでどうこうするものではないぞ!」
「むー!?」
笑われた事に抗議するように頬を膨らませて服をグイグイ引っ張って文句を言ってくる。だがその姿も愛らしいからか全く申し訳ないと言う感情が湧いてこない。適当に謝ってみるが当然許してもらえない。
マーリンが仲裁に入り、我はハルの頭を少し乱暴に撫でる。
ついでに串焼きでご機嫌を取るとしよう。
「そうだ、詫びと言っては何だがこれを食うか?」
「……たべる」
これぐらいでは許さないぞ、と言っていた顔だったが2本食べ終える頃にはすっかりとその怒りは収まっていたことをここに記しておこう。
串焼きを食べ終え、すっかり忘れていた怒りをあっ、と言う感じで思い出したハルは若干拗ねながらも我らと話をする。
次いでにご機嫌取りのためにジュースも奢ってやったわ。
「しかし本当に面白い奴よ。何故そんなもので……しかも花を捕まえると言った時点で少しばかり噴き出すところであったぞ」
「うー……」
そして何故床に寝転がり、見つめていたのかを聞いてみると、どうやら花の種を探していたらしい。
確かに花に限らず植物、動物は基本的に種がある。例えば動物であれば卵子や精子。植物であれば雄蕊と雌蕊の様に。
そう考えるならば確かに種があると考えるのは普通であり妥当だ。
さて、そう思ったハルは種を探すのに床に寝転がり擦ったり突いたり摘まんだりと色々な方法で種の採取を試みたそうだがどれもこれも失敗に終わり、結局今の今まで何の成果を上げる事も出来ないでいる、と言う事らしい。
確かにそう言われると、このマーリンの花が何なのか気になってくるものだ。ウルクの時などはそれどころでは無かったからな。
ふぅむ……
よし、我も一緒に探してやろうではないか!!
「……面白そうだな。よし、我も一緒に探すぞ」
「え?」
そう言ってやるとハルは呆けた顔でこちらを見上げてくる。
なんだ、不満なのか。
「確かにその花の事は我もよく知らん。普段は適当に流して見ているだけだったが……考えてみれば中々興味深いではないか。我も混ぜろ。いや、参加する。決まりだ」
「えぇぇ!?ぎるにいちゃんいいの!?」
「うむ、面白そうだからな」
「やった!」
おぉ、喜んでおるわ。
満面の笑みで小躍りしているハルを見ながらさて、どうやって種を探し出してやろうかと少しばかり考える。
虫眼鏡で見ても見えないとなればもっと小さい物を見るための物を持ってくればよいではないか。確かダヴィンチがそのような物を持っていたな。
顕微鏡とやらだったか。
それを借りてくるよう、ハルに伝えると早速ハルはダヴィンチの下へ駆けて行った。
ハルが戻ってくるまでの間にオジマンディアスが乱入してきて何時ものハイテンションで参加すると言い始めた。まぁ別に構わないがハルに聞いてから、と言うと異様に癪に障るどや顔で、
「フハハハハ!ハルがこの余を拒否することなどあり得ぬ!このファラオ・オジマンディアスぞ!?」
言い放った。
もう我の独断で退場させてやろうかと思った。
だがそんなことをしてハルに知られでもしたら暫くの間は口を利いて貰えなくなるからな、我慢だ。
と言うか、ここ最近と言うかカルデアに来てからエルキドゥ達からの我の扱い雑じゃないかと思うのだが。
ハルがダヴィンチと手を繋いで戻ってきた。
……えぇい、あの時何故我は付いて行かなかったのか!?あの時の己を殴り倒したい!
「フハハハハ!!愚問!愚問であるぞハル!!」
「……?」
「……何、少しばかり説明を聞いたら、随分と愉快そうなことをしているではないか!余も参加するぞ!」
などとやり取りをして、目出度くオジマンディアスも加わったのだった。
ハルと共に早速、床を擦ったり摘まんだりして、プレパラートやらなんやらの準備をして顕微鏡を覗く。
だがそこにあるのは埃やらの塵ばかり。ハルや我が探し求めている花の種とは到底、似ても似つかない様な物ばかり。
「たねどこー?」
「おい、魔術師、何とかしろ」
「えぇ?それ私に言っちゃうかい?」
「生みの親は貴様みたいなものだろう。何とかならんのか」
「……ハルの気が済むまでやらせてあげようよ」
「そんな事は分かっておるわ。花をハルの力だけで捕まえられなかった場合に最後の最後にどうにかならないのか、と聞いているのだ」
「まぁ、出来るけどさ」
「ならば、そうしてやれ。人生に挫折は付き物だがまだ経験させずともよい。少しぐらいは良いだろう」
「……分かったよ、ギルガメッシュ」
マーリンに少しばかり話を付け、再び三人で寝転がり探し続ける。
それから5時間程経っただろうか。その間、延々と捕まえようと花に飛び掛かったりするも誰一人として捕まえる事は叶わない。
種も見つからず仕舞い。
どうやっても、この花はハルだけの力では捕まえられないようで、若干涙目になりながらハルは花を捕まえようと、種を見つけようとしている。
オジマンディアスもついさっき、マーリンにどうにかならんのかと八つ当たりをしていたしな。確かに目の前にある物が掴めるのに消えていく様は何とも形容しがたい程に腹が立つ。
それをまぁハルはよく続けるものだ。
そろそろ良いだろうか。
ハルは涙目になりながらも諦めそうにない。そろそろ夕餉時だと言うのに未だに続けている。その横顔は、確かに、諦めの悪い父親そっくりだ。勿論、良い意味でだがな。
「マーリン」
「ん、了解」
予めマーリンに頼んでいたように、少しばかり花に細工をする。
するとどうだ、今の今まで捕まる事の無かった花があっさりと捕まえられるようになったではないか。
「みてみてみて!つかまえた!」
「おぉ、良くやったではないか。どれ、もう少しよく見せてみろ」
「うん!」
ハルは花を捕まえた事に大喜びし、両手に花をもって飛び跳ねて喜ぶ。
嬉しそうに我に花を見せて、我は頭をなでてやるともっと嬉しそうに笑い飛び回る。
そしてどういう訳かハル以上にオジマンディアスが喜んでいる。
「フハハハハハハハハハ!余にやはり不可能など無い!フハハハハ!!」
……こいつには黙っておくか。
結局、ハルは花を両手一杯に捕まえてそれを皆に配って回った。
どいつもこいつも一様に嬉しそうな顔をして、ありがとうと言いながら受け取っていた。
因みに我には手伝ってくれたお礼、と言って後日マシュとダヴィンチの二人と共に作った花飾りと栞を貰った。観賞用のケースに入れて厳重に保管した。
ハルはその後、マーリンから花の種を貰い、農園の一角に皆で植えた。
ーーーー side out ----
春君が、マーリンに貰った種はカルデア農園の一角に専用の花畑を貰ってそこで大切に育てる事に。花は毎日、綺麗に咲いている。
ギルガメッシュが春君に車や船をプレゼントしようとするのは、春君自らの手で沢山の物を見て、聞いて、掴み取って欲しいから。
Aチームで登場させるとしたら誰が良い?
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ぺぺさん
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カドック
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オフェリア