藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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ちょっと、唐突に思い付いたネタなんで忘れる前に書いて投稿してやろうという事です。
続きはもう少しだけお待ち下さい。

三人称視点です。









閑話 春君の悩み

 

 

唐突だが、我らが春君には今現在かなり深刻な悩みがあった。

その悩みと言うのはやっぱりと言うか、当然と言うべきか、やっぱり姉達に関する事だった。

 

 

 

 

 

 

 

「姉さん達が自重してくれなくて辛い……」

 

珍しく愛が重すぎる、ぶっとんだ愛情を注いでくれる姉達では無く畑仕事終わりのクー・フーリンや昼食用の仕込みが終わったエミヤと共に食堂のテーブルを囲んだ春がゲンドウポーズをしながら唐突に言った。

 

雰囲気は深刻そのもの、超絶重大な発表をしますよ、と言う感じなのに悩みの種が相も変わらず姉達とはこれ如何に。

 

流石のクー・フーリンもエミヤも、可愛い弟が何を言っているのか分からず顔を見合わせてしまった。

 

「なんだ、藪から棒に訳の分からん事を言いやがって」

 

「そんなこと言わないで聞いてよクー兄ちゃん……!」

 

思わずテーブル越しにクー・フーリンの襟元をガシッと掴んで逃がして堪るかと言う勢いだ。

クー・フーリンは逃げようと思えば春を放り投げてスタコラサッサと逃げられるだけの力量差はあるのだが、元々逃げようとは欠片も思っていないから、襟首を掴んで椅子に座らせる。

これでも兄弟子なのだから負けてられない、と言う訳だ。

 

話がズレるが、恐ろしい事に春は師匠軍団からの地獄の特訓で鍛え上げられた事により少なくとも教えられているものに関しては幼少期からの教えにより、師匠達を驚かせる程の成長を遂げていた。

春は、砂漠の砂が水を吸い込むが如く、教えられたことを吸収するのに苦労するようなタイプでは無かったのだ。

 

「1を教えられれば10を理解する」と言う訳では無いが「1を教えられればその1を確実に理解し自分の物にすることが出来る」。それが数多の英霊達の弟にして弟子である春だった。

 

 

それでもまだまだ実力では足元に及ばず、毎日毎日師匠軍団や兄弟子、姉弟子達に吹っ飛ばされ投げ飛ばされ、放り投げられて踏み付けられて蹴り飛ばされ、殴られ小突かれる毎日だが戦闘特化では無いサーヴァント達相手ならばどうにか勝てるぐらいにまでの変貌を遂げていた。

 

そりゃ歴史や神話の超が付く程に有名なビッグネームの英霊達である。そんな英霊達に弟として可愛がられているだけでなく、時計塔に限らず魔術師ならばどれほどの大金を積んででも知りたいこと、聞きたいこと、欲しい物をその体に技術として、知識として教えを受けているのだから、幾ら教え方が下手糞な師匠が居ようとも、春の才能も相まって大きく成長するのは、必然とも言えた。

 

 

単純に有名どころの名前を上げるだけでも卒倒しかねないビッグばかり。

兄弟子に当たるのはクー・フーリン、アキレウスの二人だけでも過剰。

師匠がスカサハにケイローンと来た。

 

この四人だけでもやりすぎなのに、そこに沖田総司や柳生宗矩、土方歳三、牛若丸、源頼光、坂田金時と言った剣豪に加えてロビンフッド、俵藤太、ビリー・ザ・キッド、ウィリアム・テルと言った名前だけなら一度くらいは聞いたことがある面々ばかり。

中にはそこまで名前は有名ではないが、やったことがぶっ飛んでいるなんて言うのは当たり前。たったこれだけの武術関連だけでも驚くなんてレベルでは無いのにそれ以外にも名前を挙げたらキリがない。

 

 

そこに文学や語学などの先生であるギルガメッシュや源氏物語の著者で有名な紫式部だったりマリー・アントワネット、諸葛孔明。

見た目はともかく中身はかなり変人ではあるがやはり天才の名に恥じないレオナルド・ダ・ヴィンチ、クレオパトラ、メディア、キルケー、シバなどなど。

 

本当にもう、際限が無い。

生まれたときからの英才教育なんて生易しい言葉では表せることが出来ない教えを、時に厳しく、時に楽しく教えられて、授けられてきたのだ。

 

それによって部屋に侵入したりする事が出来なくなった清姫が物凄く悔しがったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

ともかく、春の悩みを聞くためにエミヤがお茶を持って来た。

 

中身は昆布茶である。

割と爺臭いが、春は宗爺達の影響で昆布茶などの爺臭い食べ物が好物なのだった。

好き嫌いは基本無く、好きか大好きの二択だけなのだが。

 

「まぁ、仕込みも終わっている事だから構わないが、どうしたというんだね?」

 

「……小さい頃って俺、姉さん達と風呂入ったり一緒に寝たりしてたじゃん?」

 

「そうだな」

 

「で、今も一緒に、って言うか姉さん達が殴り込んで来て結局一緒に風呂に入ったり寝たりしてるじゃん」

 

「おう」

 

「ちょっと考えて欲しい。俺ってもう高校生だよね?」

 

「そうだな、十六歳の誕生日も迎えた事だしもう見た目だけならば大人の仲間入りだ」

 

「それで何が言いてぇんだよ」

 

「姉さん達が、未だに風呂に突撃してきたりダヴィンチちゃん達に協力して鉄壁の防犯体制を敷いてるのに当たり前の様に部屋に忍び込んで来て隣で寝るのを止めて欲しいってことだよ!」

 

彼の心からの叫びである。

と言うか、もう本当に色々と限界なのだ。

 

そりゃ当然である。

なにせ小学校からの付き合いがある3人の親友にこの事を学校でさも当たり前のように話した。

 

一人は学年一の馬鹿、一人は驚くほどのオタク、一人は普通の少年。

 

ハッキリ言って三人共、物凄くキャラが濃いのだが春自身もかなりアレなので類は友を呼ぶ、という事だろうか。

 

ともかく、そんな親友達に話したら

 

「え、お前それ普通じゃねぇよ?」

 

と返答が返って来たのだから。

高校生になるまでは、毎日の事だったから多少の恥ずかしさはあれど、『これが世間一般の当たり前』として認識していたからその事実を知った時の、親友にそんなことを聞かせてしまった事の恥ずかしさときたらもう尋常では無かった。

 

しかも親友だけでは無く、周りには教室だから当然他のクラスメイト達も居る訳だがそれら全員に聞かれてしまったのだから、普通なら暫く学校を休んでもおかしくはない。なんなら不登校すらあり得る。

 

だがしかし、春君は両親や、何よりも自分の事を溺愛しすぎている姉達に加えて宗爺達に心配を掛けてたまるか、と頑張って学校に行った。滅茶苦茶偉い。

元々師匠達からの扱きで精神的にも常人とは掛け離れた強度を持っていたからこそなのだが。

 

因みに学校での春は、割と世間知らずと言うか常識がズレている所はあれど、母親譲りの整った日本人とは思えない外見に髪色や目の色、身長も180cmを超えている細身ながらしっかりと盛り上がった筋肉ムキムキの身体、優しく紳士的な性格、学力、体力全てにおいて最優秀。(本人は姉さんたちのお陰だ、などと言ってはいるが)それら全てが相まって人気である。

 

 

 

男子達はあんな綺麗なねーちゃん達に溺愛されて囲まれて暮らしているだけに飽き足らず、そんなことしてるとかうらやまけしからん!と嫉妬の目で見られるのだった。仕方が無い。

 

 

これで赤ん坊の時に主にスカサハや頼光が筆頭として姉達が魔術で霊基を弄って母乳が出るようにしてコッソリ吸わせたことがあると知ったら、それこそ血涙を流す事だろう。

 

そんなことはさておき、親友達によって世間の常識と言うか、一般的な姉弟の在り方と言うか、有様を教えられた春は内心、しっちゃかめっちゃかの大騒ぎだった。

 

 

 

 

 

 

「と言うか、兄さん達は姉さん達を止めるの手伝ってよ。いっつも知らん顔じゃん」

 

「つってもな、兄ちゃん達は姉ちゃん達に頭上がんないの知ってんだろ?幾らハルの為だつってもそんなことしたらお前と一緒に、いやハル以上にボコボコのボコにされちまう。それだけは御免だ」

 

「はくじょうものー!!」

 

アッサリと切って捨てられた春はガバッ!っと顔を伏せた。

意外と余裕があるらしい。

 

元々兄達は姉達に基本逆らえない。

なにせ師匠だったり、妻であったり母であったり上司であったりするのだから。

 

スカサハとクー・フーリンの師弟関係然り。

アルテミスとオリオンの夫婦?関係然り。

頼光と金時の親子関係然り。

アルトリア‘sと円卓の騎士の上司部下の関係然り。

 

そして春自身の両親もまた、夫婦仲は良好だがやはり人類最後のマスターと言えども奥さんの尻に敷かれていた。

夫の三歩後ろを歩く、なんていう今時絶滅危惧種な奥さんであるマシュでも、実際は首輪にリードを付けているのだった。

 

古今東西、やっぱり頭が上がらないのだ。

マシュは女性サーヴァント達に夫婦仲を良好に保つためには夫の手綱をしっかりと握ってコントロールする事と教えられ。

キアラは夜の主導権を握ってしまえば完璧、とか何とか言い始めた辺りで退室処分を食らった。

 

立夏は男性サーヴァント達に、基本は奥さんの言う事に従ってた方が良い夫婦仲を築ける、と女関係でかなり痛い目を見た先達から有難い助言をそれぞれ貰っていたのだった。

 

 

 

「なんだって急にそんなことを言い始めたのだ?それこそ直接言えば良いでは無いか」

 

「いやだって考えてみてよ。姉さん達だよ?俺が言ったって止まる訳ないじゃん」

 

「……確かにその通りだ。スカサハ辺りがその程度で止まるんだったら苦労しねぇな」

 

「でしょ?しかもブーディカ姉さんとかスカサハ姉さん達以上にしれっといるんだもん。そう言う訳でどうすればいいと思う?」

 

「そんなんお前の好きなようにすりゃいいじゃねぇか」

 

「えー……でもそれで姉さん達を傷付けたくないし……」

 

「あー?なんだそんなこと気にしてたのか」

 

「そりゃ気にするでしょ」

 

「春、一つ言わせて貰おう。そのくらいでお前の姉達が傷付くとでも?」

 

「……有り得ない」

 

「だろう?それならば直接言った方が良い」

 

「それもそうだけどさー……」

 

春が何故渋っているのか。

理由は単純、早い話が春君は根っからのシスコンだからである。

 

生まれた時から自分の傍にいて、今の今までずっと一緒に過ごしてきた姉達だ。

しかも隠す事も無く可愛い可愛いと頭を撫でられ抱き締められ。額や頬にキスをされて挙句は寝るのも風呂に入るのも一緒と来た。

 

沢山の事を教えて貰って、一番に大切にしてもらっているのだから、到底嫌いになれる筈もなく。寧ろ春自身も姉達に限らず兄達の事も、おじさん達の事も、爺ちゃん達の事も大好きなのだ。

 

これで嫌いだなんだと言っていたらそれはただのツンデレと言うだけで、恥ずかしがって止めろよ!とか言おうものならお姉ちゃん達は寧ろ喜ぶかもしれない。

カルデアのメンバーはもうどいつもこいつも手遅れなのだが誰一人気にしたことは無いし手遅れで構わん!と胸を張って言い放ってしまうレベルなのであった。

 

当然、春もその中の一人で手遅れでも良いと言う訳では無いが根っからシスコンだからこそ、あまりお姉ちゃん達に酷い事とか傷付きそうな事を言いたくない、と言う訳である。

 

お姉ちゃん達は狙ってやった。後悔も反省もしていない。寧ろ万々歳である。

あのブラコン姉にしてこのシスコン弟あり、という事である。

 

これにはお姉ちゃん達もニッコリ笑ってキスの雨を降らせる事間違い無し。

と言うかスキンシップを止めてくれとかこの程度で彼女達の心が傷付く訳も無く、そしてその行動が止まる訳も無く。

 

それで止まるんだった誰も苦労しないしこんな相談を春はしていない。

 

 

 

 

「そう言うのひっくるめて受け止めるのも男の甲斐性ってやつだ。諦めるのも必要なこったな」

 

「そんなー……」

 

「なに、また悩みが出来たら相談にでも乗るからいつでも来ると良い。男同士であればこそ話し易い事も多いだろう?」

 

「結局解決策とか一切出なかった訳なんだけど、まぁいいや。取り敢えず自分で何とかしてみるよ。ありがとうクー兄ちゃん、エミヤ兄ちゃん」

 

そう言って立ち上がると春は自室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

その後ろ姿を見ながら、二人の兄は優しい顔で笑っていた。

 

「全く、時間の流れと言うものは早すぎるな」

 

「生まれたばかりでつい最近漸く歩けるようになったと思ったらもう俺らと並ぶぐらいにデカくなりやがって。ちょこちょこ俺の後ろを付いて歩いてた頃が懐かしいぜ」

 

「ふん、クランの猛犬ともあろう英雄がそんな顔するとはな」

 

「お前だって同じだろ」

 

「そうだな」

 

昆布茶を飲みながら二人は弟の話をする。

なんだかんだ言って彼らもまた、ブラコンなのだ。

 

もし、世界が春を害そうとするのならば神話でしか語られていない大技の連発で人類文明が滅びるかもしれない。

 

「まだまだ子供だと思って抱き上げて食事を作っていたら、あんなに大きく成長してもう一人の男の顔だ」

 

「まだまだ弱っちいけどな」

 

「英霊では無いのに、貴様に弱いと言わせられるだけ凄まじい事だとは思うがね」

 

「カッ、違いねぇ」

 

そう二人は笑いあいながら、小さい頃の春の話に花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 








作者の思い付きに付き合って下さり有難うございました。
アンケートで集めたクリプターとの話は今しばらくお待ちを。







今更ですが、春君の容姿について少々。

髪の毛、肌の色、顔立ちはマシュ似で全体的に母親譲りの見た目です。

瞳の色は立夏譲りで綺麗な澄んだスカイブルー、と言った感じです。







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