藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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クルージングと海水浴とどんちゃん騒ぎ その3

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side キアラ ----

 

 

 

 

 

ギルガメッシュさんのご招待で、彼の所有する島に来ている訳ですがまぁなんとも皆さん楽しそうにお過ごしの様です。

 

私も楽しいと言えば楽しいですよ?えぇ。

でも春が他の方々と遊んでばかりいるのでちょっとヤキモチ、でしょうか。

 

昔ならば、まぁ堕落させてしまいたいとか考えて実行しちゃう所なんですけどそんなことしません。

そもそもあんな小さい子どうやっても私のやり方じゃ堕落させられなさそうですし何よりそんなことしたら他の皆さんに私殺されちゃいます。

特に危険なのはティアマトさんでしょうか。

 

他の方々、ギルガメッシュさん達もティアマトさんに絡め手ありとはいえ勝っているのですから十分に危険ですが、今はその絡め手も使えない状況なので一番危険なのはティアマトさんなんですよね。

 

しかも彼女、英霊じゃなくて春が連れてきた正真正銘の神様ですし。

古今東西、神殺しを成した人の辿った運命は碌な物じゃないと思うんですよ。

幾ら現界するにあたって格落ちしているとはいえ、神は神。しかも創世の女神ともなれば格落ちしていても各神話の主神以上。

しかも人類史上初の文明の神話で創世の女神と語られているんですから、そこらの創世神と比べても明らかに格上。

 

同じ元ビーストとはいっても私とカーマさんが二人掛かりでビースト状態で挑んでも勝てるかどうか。

戦闘能力はそこまでではありませんが地の能力が私達からするとカンストしてるんじゃないか、と思うぐらい。

 

なれば争う必要性はありません。

争う理由を作る必要もありません。

 

 

 

 

 

元々、私はこんな穏やかな性格をしている訳ではありません。

なにせビーストでしたし?今でこそ別のクラスを名乗ってはいますが性根は早々変わりはしません。

 

それは私自身でも十分に分かる事ですが、今までの私と他人との関わりを見ると歴然ですからね。

 

私がこうなったのには理由がちゃんとあります。

何の理由も無く変わるなんて有り得ませんよ。

 

理由と言うのは勿論我らが可愛い春君ですとも。

 

初めて会ったのは、生まれてから1日後。

まだ目も空いて無くて、髪の毛も無く生まれたばかりの本当に、本当に小さな時。

そう言えばあの時はまだ名前が就いていなかったんですよね。

 

マスター含め皆さんで名前を決めるのに大揉めに大揉めをした挙句、目が開いてから少しして漸く決まったんですよ。

きょろきょろと周りを囲む私達を小さな目で見回して、まだ表情も作れないし自分の力で手を持ち上げられないのに。

私達が春の手の平に指を置くとちゃんと握ってくれる。

 

あぁもう食べちゃいたい!

 

勿論思いましたよ?

でも生まれてすぐの赤ん坊にそんな事出来る訳もありませんし。

した瞬間に座に強制送還どころか、座にいる本体すら破壊されてしまいそう。

流石の私もそれはちょっと。

 

それになんだかんだ言ってここでの暮らしはかなり楽しいものですから、離れるのは嬉しくありません。

 

 

 

 

暫くして、首も座ってくる頃になるとそれはもう活発に動いて動いて。

手足をわちゃわちゃ、何やら本を読んでもらって。

 

当然、私も春と一緒に過ごしましたし、本を読んであげた事も。

 

どうして私がここまで落ち着いたのか。

それは、好意の種類の違いです。

 

今まで、男性の方々の好意はすぐに分かりました。

何せ、私の内面では無く外面、はっきり言えば見た目やこの身体付きしか見ていませんでしたし、女性は見た目と身体付きや男性からの視線を妬むか。

 

その程度の好意しか向けられていませんでした。

 

ところがここカルデアに来てから、確かにそう言う好意と言うものや好奇、その様な目で見られることも当然ありました。

 

ですが春は、赤ん坊だと言う事もありますがそんな目で見てこなかった。

 

何と言うか、とても不思議な感覚。

初めての感覚だった。

 

しかも春は赤ん坊らしからぬ、しっかりと意思が籠った眼差しをしているのですから余計にその感覚は増すばかり。

 

その感覚の正体は、春がだんだんと大きくなっていくにつれて分かってくるように。

 

まぁはっきり言ってしまえば、春は私の事を姉としては見ているものの女として一切見ていないから。

 

それは、当然初めての経験だった。

なにしろ今まで、生きていた間もずーっと私の事を女として見ていない人と言うのは存在していなかった。

実の両親でさえそうだったのに血が繋がっていない、ただ近しいというだけの春が私の事を一切意識していない。

 

まぁ、小さい子供と言うのもありますけど兎に角初めての経験だった。

 

そもそも子供とは関わり合いの無い人生でしたからねぇ……

大人、それも成人男性ばかりとしか殆ど関わりありませんでしたし。

 

恐らくはそれが原因の感覚だったのでしょう。

 

ハッキリ言ってしまえば純粋な好意と言うものを向けられ慣れていないのでしょうね、私は。

 

なにせ、春は私を見ても胸やら尻に視線が行くことなんて一度として無いですしじーっとこっちの顔を見てくるものだから、なんだか恥ずかしくなってこちらが顔を背けてしまう。

 

少し喋れるようになれば、

 

「きゃあらねえちゃ!」

 

とたどたどしく、しっかりと発音出来ないのに私を呼んでくれるし、とてとて近づいてくる。

 

そんな姿が愛らしくて、自然と抱き上げては頬擦りをしてしまう。

 

大好き、と言って笑ってくれる。

どんな愛の言葉よりも、どんな行為よりもずっとずっと嬉しくて心が満たされる。

 

 

 

そんな春を、私は心から愛していますよ?えぇ、とってもね。

ですけど、他の方々の様に私には教えられる事なんて無い。

 

勉強だって私よりもずっと教え方が上手くて知識に富んでいる方なんて幾らでも居ますし。

それこそ教えられる事となると、夜の方の色々な技になってしまうんですけどカルデア警察に手錠を掛けられて接近禁止命令出されるのも嫌ですからねぇ。

 

一緒に居られる時と言えば、一緒に遊ぶ時や偶に本を読んであげる時ぐらい。

 

だからこそ、今回は普段よりも春と一緒に居られると思ったのに!

 

 

 

 

「機嫌直しなって、キアラ」

 

「マスターは毎日寝顔を見たりしてるから言えるんです!私なんて皆さんに警戒されてるんですよ!?」

 

「そんな事言われても、俺だって最後に春と休日に遊んだの二週間ぐらい前の話だし……」

 

「……申し訳ありませんでした」

 

そう言えば、マスターも仕事が忙しくて息子であるのに全くと行っていい程遊んだり触れ合えていない。

 

なんなら私の方がずっと春と触れ合っています。

 

「いいよ、別に」

 

 

 

 

ふと、疑問に思っていた事があったので思わず聞いてしまいました。

 

「そう言えば、マスターとマシュは私が春と触れ合う事に警戒したりしないのですね?」

 

「キアラが春になんかするとは思ってないからさ」

 

「私も同じ意見です」

 

「どうして、言い切れましょう?あの時の私に何時戻るかも分かりませんのに」

 

「なんて言うかさ、言い表せないけどキアラの春を見る目とか態度で分かるよ。今のキアラは良いお姉さんしてるんだなぁ、って」

 

「あまり言いたくはありませんが、キアラさんがその気ならもう今頃座に還られてしまっている筈ですし」

 

そう言って二人は笑う。

人によっては呑気だとか、危機感が足りないとか言われるかもしれないけれど、少なくともマスターの人を見る目と言うのは確かだ。

でなければ、数多のサーヴァント達と絆を結んでこうして居られない。

 

マシュだってその隣に立って戦ってきて、夫婦として生きているのだから同じだ。

 

そう言う二人は、遊びまわる春を見てニコニコと笑っている。

 

 

 

すると、唐突に春が何かを手に持って走ってきた。

 

「これあげる!」

 

「本当に?」

 

「うん!」

 

私に、内側が綺麗な真珠色の様な光を放っている貝殻を渡してくる。

 

「ありがとう、春。大切にしますね」

 

「うん!」

 

「春ー、父さんと母さんには何か無いのー?」

 

「とうさんにはね、かにさんあげる!」

 

マスターが、何かくれないの、と強請るとバケツの中に入ってたカニを一匹、差し出す。

そのカニは随分と立派な大きさのもの。

十五cmはあろうか、というぐらいなのに、どうやって捕まえたんでしょう?

春の腕力では、どう見ても手に余りそうなのに。

 

「カニ?おぉ、おっきいじゃん!」

 

「いちばんおっきいかにさんなんだ」

 

「本当に良いの?」

 

「うん、いっぱいつかまえたからとうさんにもわけてあげる。えみやにいちゃんたちにあげるとたべられちゃいそうだから」

 

食べられちゃう……

流石にそんな事はしないと思いますけれど。

 

なんなら死ぬまで大事に飼って、死んだら剥製にするぐらいやりそうな……

 

 

 

 

「捕まえたの見せて見せて」

 

「いいよ」

 

バケツの中を覗いてみると、大小様々なカニとヤドカリがワシャワシャと数十匹犇めいていました。

 

「随分と、捕まえましたね……」

 

「これ昨日からずっとやってたんでしょ?」

 

なんというか、いっそこの小さいバケツに入れられているカニ達が可哀想になる程の密度。

 

「いっぱいかにさんがいるとこみつけたんだ。だからたくさんつかまえれたの」

 

そう言って、自慢気に話す春は年相応の可愛らしさ。

もう、思わず頭撫でちゃいました。

 

「?えへー」

 

不思議そうに私の顔を見ながらも、撫でられた事が嬉しいのかにっこりと笑う。

 

「そーだ、きあらおねえちゃんもいっしょにあそぼうよ」

 

「もうカニさんはいいの?」

 

「いれておくとこがもうないから。ばけつのなかじゃちょっとかわいそうだしにがしてあげるの」

 

誘ってくれたけれど、私が聞いてみるとバケツの中を見てそう言った。

確かにこの様子じゃもう入れられそうにない。

 

「それなら、水槽持って来て捕まえたやつだけ入れておけば?多分あると思うよ」

 

マスターはそう提案すると、ギルガメッシュさんと何やら話して水槽を持って来る。

幅五十cm、奥行き二十cm、高さ四十cmの立派な水槽。

中にはカニやヤドカリが隠れられるように砂を敷き詰めて岩まで入っている。

 

これはあれですね、ギルガメッシュさんがやりましたね。

なんだかんだ言って、見た目はともかく中身が丸っ切り子供な方ですから意外とこう言うのが大好きなんでしょう。

春を溺愛していると言うのもありますが。

 

「おっきいすいそうだ!」

 

「この中なら、カニさん達も窮屈じゃないでしょ?」

 

「うん!ありがとうとうさん!」

 

「どういたしまして。こっちにカニさん達を移したらまた遊んどいで」

 

マスターがそう言ってから、春は水槽に移してバケツを置くと私の手を引いて砂浜に駆け出す。

 

「何をするのですか?」

 

「おしろつくってみたいんだ」

 

そう、春は言いながら砂を盛って行く。

私もその小さな手と一緒になって砂山を作っていく。

 

「因みにどんなお城を作りたいんです?」

 

「えっとね、ひめじじょう」

 

……えー、何というか、まぁ、その、頑張りましょう。

そんなの絶対プロでもなければ無理な気がしますけど、春の要望に応えるべく私も頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

あれから七時間後。

なんだかんだと必死に作って、夕方になってしまいました。

 

砂浜には、それはもう立派な砂で出来た元姫路城、現チェイテピラミッド姫路城が夕陽に照らされて佇んでいる。

 

どうしてこうなったのでしょう……

 

 

 

時は大凡四時間前に遡ります。

結局あのあと、二人だけではどうやっても無理だと悟り応援要請をしました。

 

春が連れて来たのは、刑部姫、エリザベート、オジマンディアスと言う、もう狙ったんじゃないかと言うぐらいのドストレートなメンバー。

 

まず、姫路城を作っていたらオジマンディアスさんがピラミッドが無いではないか!言い出してその上にピラミッドを。

 

すると次に応援な来たエリザベートさんがチェイテ城の方が絶対良いとと言ってその上にズドンと作りました。

 

こうして完成したわけです。

順番は違いますが、紛れも無くあの悪名高き違法建築、チェイテピラミッド姫路城に間違いありません。

 

「すごー!」

 

まぁ、春が目を輝かせてはいますけどだからと言って良しとすべきなのかどうなのか。

 

と言うか、これどうやってバランス取ってるんです?

明らかに砂だけじゃ支えられない部分とかあるんですが。

 

絶対魔力使っていますね、じゃなきゃこんな違法建築成り立ちませんし。

当の春はその周りを嬉しそうに飛び跳ねて回る。

 

……この姿が見られたので良し。

 

 

 

あれから、いつも通りにお風呂に入って晩ご飯を食べて。

春が眠くなる大体9時ぐらいまで一緒に本を読んだりトランプをしたり。

最近のお気に入りはUNOらしく、テンション高くうのー!と言う姿は最高!

 

 

 

春がだんだんと眠くなって来たのか、うつらうつらと船を漕ぎ始め目蓋も重そうに下がっている。

 

「もう寝ましょうね。また明日になれば沢山遊べますよー……」

 

抱き上げて背中を優しく叩いてあげるとすぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。

同時に春特有の匂いがして至福の一時ですがそろそろマシュ達の所に連れて行かないと。

 

 

「マスター、マシュ、春を連れて来ましたよ」

 

「キアラさん、どうぞ入って下さい」

 

招き入れられ、春をベッドに寝かせようとする。

 

「ん〜……」

 

離してくれない。

これはこれで嬉しいのですが……!

 

「あ、もうしっかり服掴んじゃってますね。そうなると起きるまで離れないので今晩はキアラさん、春の事宜しくお願いします」

 

「はぇ?」

 

思わず変な声が……

いやでもしょうがないでしょう!?

 

だってもし本当にマシュの言う通りなら、私は春と一緒に寝ると言う事ですよ?

 

私初めてですよ!?

 

「え、でも宜しいので?」

 

「まぁ、無理にでも離させる事も出来なくは無いんですがそうなると愚図り出すかもしれませんし、そうなるとまぁ、あやすのに物凄く時間が掛かってしまうんです。それならキアラさんにお任せした方が宜しいかな、と。気持ち良さそうに寝ているのを起こしてしまうのも可哀想ですしね」

 

そうマシュは言った。

面倒だからとか、そう言う理由では無い。

 

今だって春の頭を優しい目付きをしながら撫でている。

私達だって春の事は心から愛していると断言出来る。

 

だけれど、一番に愛情を持っていて、一番にその愛情を注いでいるのは間違い無く母親であるマシュだ。

 

「分かりましたわ、今晩は私にお任せくださいな」

 

「はい、お願いしますね」

 

そう言って私はまた、春を抱き抱えながら自分の部屋に戻った。

 

 

 

ベッドに一緒に入る。

 

改めて、春の高い体温を感じられるし心地良い。

軽く抱き締め直して、額も頬も私に抱き付いて無理だから頭にキスを落とす。

 

お休みなさい、また明日。

 

そう、心の中で言って目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ーーーー

 

 

 

 

 






キアラさん

元ビースト。
性格がガチヤベェ人。

今は影も形もないぐらいに落ち着いた。
成長した春君相手に赤面して口元や顔を覆っちゃう未来があるかもしれない。

そして作者は書いてて思った。

誰だコレェ!?

だけど思うんだ。
キアラさん、純粋な好意に慣れてないんじゃね?って。
子供相手に優しいキアラさん、良くね?って。






チェイテピラミッド姫路城の順番ですが、都合により違います。
姫路城を一番先に出しちゃったので……
許して。


小さい頃、海に行って捕まえたカニを入れるバケツの中の岩だったりを物凄く拘って配置した記憶があります。
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