藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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遅まきながら新年の挨拶を。

新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。







宗爺電車紀行

 

 

 

 

 

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柳生宗矩は、この時とても、それはもうとんでもなく悩んでいた。

 

 

 

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私は、最近、と言うよりも数年前からそれはもうとても大きな悩みを抱えている。

その悩みの原因は、我が主殿が御子息である春のことである。

 

それはもう、とても愛くるしく、愛おしい。

それ故にこのかるであに属する者達は全員、その魅力に魅せられている。当然私もその魅力には産まれた時から魅せられていた。

人理を救った、主殿と奥方殿と比べるのもおかしな話ではあろうが、とても小さく、頼り無く、当然赤子であるから己で己を守れる程の力も何も無く。

しかしながら魔術協会やらとの凌ぎ合い削り合いに、なんだかんだと実力者であるが故参加し、辟易していた私や皆の心はあっさりと掻っ攫われていった。

 

赤子用の柵に囲まれた布団に、ころんと寝転がりすやすやと心地良さそうに寝ているその顔を見ているだけで癒やされると言うもの。

指を掌に置けば、赤子故に弱々しい握力ではあるが力強く、しっかりと握り締めてくれる。

それが、どれほど感動し嬉しかった事か。

 

生前、私にも子がいて、孫が居た。

だが、そう毎日顔を合わせられる訳でも無く、合わせたとしても礼儀作法やらなんやらで堅苦しく気軽に接して可愛がってやれることは少なかった。

特に私は、豊臣の時代が終わり徳川の治世に移り変わった頃であったから己に任された政務や軍務に忙しく、落ち着いてきたかと思えば、未だ豊臣再興を願う一派やキリシタン達の島原天草一揆が起こり。

 

家族と満足に接してやれるほど暇では無かった。

晩年も隠居してはいたが既に孫達も婿嫁として家を出ており会える機会も皆無。

 

その様な生前を送ってきたものだから当然、その様なことにはならず側に居られる事が嬉しくて幸せで、私は春を大層に可愛がり溺愛してしまう。

 

私だけでは無く、生前はもっと家族関係が熾烈であったり子殺しなどのように悲惨であった者も数多くここにはいる。

だからだろうか、極々平穏で普通とは少しばかり言い難い環境ではあるものの、その様に身内関係で心配せずに接する事が出来るし、全幅の信頼と親愛を向ける主殿の子と言うのも相まって私も皆も、主殿や奥方殿に少しばかり嗜められるほどに春を溺愛してしまうのだ。

 

その事は一々態々この口から語らずともよいであろう事は誰もが自覚しているし知っていた。

 

 

 

 

少しづつ、少しづつ月日を重ねて行く事に成長していく春を見守るのは何物にも変え難い時間だ。

私の事を、舌足らずではあるがむねじい、むねじいと呼んでくれて、後ろをちょこちょこ付いて回り、抱き上げればそれはもう嬉しそうに笑ってくれる。

砂糖菓子を与えれば、美味しそうに口に含んで頬を緩ませる。

 

他にも色々と思い出はある。

あれはまだ春が一歳にもならない、産まれてから十ヶ月頃のことだ。

 

抱き上げて、あやしていると私の髭が気になったのか触り始めた。

すると、一掴み握ると何を思ったか、そのまま私の右側の髭を一部引っこ抜いた。

 

「ぬぅぅうぅぉおぉぉあぁあぁぁ!?!?!?」

 

引っこ抜かれた時、思わず戦の時の声よりも気迫などが籠った声を上げてしまった。

流石に、いくら赤子の小さな手で掴まれた極々少ない本数とは言え纏めて引っこ抜かれたら誰だって、それこそ神話に語られる神ですら声を上げるだけの痛みはあるだろう。

 

その声に驚いてか、それとも、春はとても聡い子であるから私の痛みを感じてか泣き出してしまう。

私は痛みを堪えながら、必死に泣き止ませようと数十分以上に渡ってあやすことになる。

 

漸く泣き止んでくれたと思ったら泣き疲れてぐっすり寝てしまい、心身共に疲労させられたのはあの時が一番だったであろう。

ともかく、霊基を復元せねば、と思い立ったがその瞬間にふと思った。

 

この、髭を抜かれた痕は周りに自慢出来るのでは?、と。

 

それはもう皆羨ましがるであろう。

それに、なんとなく痛かったしヒリヒリもしていたが嫌と言うわけでは無く、寧ろ嬉しかった。

 

そのようなで、霊基を修復せずにそのままでいることにした。

 

お陰で、春が大きく成長し学校とやらに通い勉学に励む十数年後になっても、痕はそのままだ。

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、そのように色々とあるが春を溺愛していると言うのは変わらぬ、変えられない事実。

 

故に悩みも春に関する事だ。

 

昔から勉学や、鍛錬に励んではいたが少しづつ成長するにつれてそれらに割く時間が増えている。

ただでさえそうなのに、ありとあらゆるものを全て差し置いて可愛がってくれる姉達に一番懐いて遊んでいるのだから、これでは私と遊んだりする時間が少なくなってしまうではないか、と。

 

確かに、剣術は教えているが他にも剣術の師が居るのは確かな事だ。

しかもその師達も、遅れを取るとは言わないが誰も彼もが腕が立つ者達ばかり。

剣術だけに限らず槍術や弓術、棒術などの数多の武術の極地を極めた者も多い。

かるであには、私より遥かに強くどうやっても敵わない者もいる。

 

そんな数多くの師に囲まれて数多の教えを受けているのだから、必然的に接する時間が少なくなる。

それは、私以上以外の皆も感じ思っている事だろう。

 

しかし!しかしながらその中で皆よりも多く春と触れ合う事を望んでいるのだ!

 

しかして、どうすればいいのか。

それが、数年前からの悩みなのだ。

 

 

 

うーむ、昔の子供の好きなものも身分によって大きく違いがあるし、今の子供の好きな物なぞ尚更分からない。

菓子類が好きなのは知っているがそうではなく、こう、なんといえばいいのか、本が好きとかそう言う類の好きが知りたいのだ。

 

しかし、どうすればよいのだろうか。

春の好きそうな物なんて見当が付かない。いや、好きなものが多くて見当が付けられないと言った方が正しいか。

 

この時代の子供の好きそうなものとは、なんだろうか?

 

……この時代で育ったマスターに聞いてみるのが、最も手っ取り早く確実か。

 

思い立ったが吉日、とはよく言ったものだ。

すぐに行動に移すことにした。自室を出て主殿の仕事部屋、とでも言うべき場所に向かう。

仕事中であろうが、迷惑を掛けてしまうだろうが少しばかりの時間のみだから問題なかろう。

 

「主殿、少しばかり時間を頂けないだろうか」

 

「宗矩?どうしたの?」

 

「いやなに、現代の子供が好きそうなものとは何か、と言うのをお教え願いたいのだ。生憎とその方面に関しては門外漢も良い所。故に何でも良いので教えて貰いたい」

 

「子供の好きなもの?うーん、俺が春ぐらいのころは電車とか新幹線とか好きだったけどなぁ。爺ちゃんに連れてって貰って色んな電車乗ったりしたよ。態々新幹線にまで乗せてくれたのは鮮明に覚えてるかな?」

 

「ほう」

 

「飛行機とかも好きだったけど、流石に乗った事は数えるぐらいだけどね」

 

「ふむ……、感謝する、主殿。それでは執務の邪魔にならぬよう私は出ていこう」

 

「ん、力になれたようで何より。それじゃぁね」

 

主殿の部屋を出て、歩きながら思案する。

電車と飛行機、か。

 

どちらがより簡単に、乗れるかと考えると電車、だな。飛行機でも良いといえば良いのだが流石に無理であろう。

今の時代、ぱすぽーと、とやらを持っていなければ国々を跨げぬと聞く。

私はまだかるであの方で用意してくれたものがあるから良いが、春は持っていない。とすると飛行機には乗れないだろう。

 

とすると、電車に乗りに行くのが良いか。

いや、電車に乗るだけではなく適当なところを見て回る方がいいだろう。春にはそっちの方が良さそうだ。

 

流石に今日今すぐに行くのは無理があるであろうから、春の予定を聞いて暇があるのであれば明日にでも行くとしよう。

 

そう決めた私は春と奥方殿が居られる部屋を尋ねる。

 

「突然訪ねてしまい、相すまぬ」

 

「いいえ、大丈夫ですよ」

 

部屋に入り、茶を出されて椅子に腰掛ける。

春は今日の分の勉学は済んだらしくろぼと言う狼に包まれて、てれびを見ている。

動物を扱ったものらしく、キラキラとした目で見つめている。

 

「今日はどういったご用でしょうか?」

 

「いやなに、今日では無くとも明日以降に春を連れて出かけようと思っていたのだ。それ故春の予定を聞いておきたく」

 

「あぁ、なるほど。因みに何をしにどちらへ行かれるのですか?」

 

「主殿に聞いたところによると、春ほどの年齢の現代の子供は電車が好きと聞いたのでな、日本に乗りに出ようかと」

 

「電車、ですか?」

 

「うむ」

 

奥方殿は驚いたようにそう聞いてくる。

 

「電車、先輩のご両親に挨拶に行った時に乗りましたが、凄い混み具合だったので気をつけて下さいね?」

 

「勿論。あの時は私も同行していた故承知している。流石にあの時間帯は避けさせてもらう」

 

「それなら良かったです」

 

「ついては、春の予定などをお教え願いたい」

 

「えーっと、明後日は一日休みのはずですよ」

 

「ふむ、ならば明後日にでも出掛けるとしよう。主殿の許可も得なければならんな」

 

春の予定を聞いて、早速主殿に許可を貰いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後。

春を連れて日本の駅を訪れる。

 

「わぁ……!!」

 

きょろきょろと、物珍しいかるであでは見ることができない物ばかりの街中の様子を興味津々、と言った表情で見回す。

春が日本に来るのは、初めてであったか。だから何もかもが始めて見る物ばかりで楽しくて楽しくてしょうがないのだろう。

 

「春、少し落ち着くがよい」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「そこまで落ち込むことはない。ただ、暴れる事は禁止だ」

 

「あい」

 

しかし、身長差が三尺ほどもあるから手を繋ぐと腰を曲げねばならず、安全を考えると抱き上げねばならない。

流石に苦でもなんでもないが、抱き上げている時に腕の中で暴れるとはいかないまでも、抱えるのに支障を来たすから落ち着くように諭す。

 

素直に頷くと、ちゃんと約束を守って再びあっちこっちを見回す。

 

 

しかし、矢鱈と視線を感じる。

まさか、ここにいる全員が春を狙う連中の手先か?いや、流石にそれは考えすぎか……。

しかし、混雑する時間を避けたのにも関わらずこうも人が多いとは。日本の電車とつうきんらっしゅとは、斯くも恐ろしいものだ。

 

 

あの時代、時計などというものはよほど金銭に余裕のある家で興味や収集癖のあるような人間でなければ持ちえぬ、代物であった。

信長公も新しい物好きであったから持っていたと聞くが、我が柳生家には無かった。

 

自惚れというわけではないが、我が家は徳川の治世になってからより一層繁栄したがそれでも時計は必要としなかった。

あの時代の時計の代わりは、寺の鐘だったから現代と比べると、時間には割と寛容であった様に思える。

いいや、私からすれば正確には現代が細かく厳しすぎる、とでも言えば良いのか。

 

しかも現代の様にでんきがあるわけでもなく、灯りと言えば蝋燭にや油に頼っていた。それも夜通し火を付けておくのは勿体無いから日が暮れてしまえば殆んどの家は灯りを落とし、寝静まっているのが普通だ。

 

日の出と共に起床して、日の入りと共に寝る。

 

それがあの時代の生活だったのだが、この時代はどうにも時を計るのもそうだが便利過ぎる。

遊郭などは夜もやっていたから煌々としていたがそれぐらいしか他に夜に灯りがあるところなんぞ想像も付かない。

でんきと比べると、使い勝手も悪いし火事にも成り兼ねないから夜になると火は消してしまうのだ。

 

それに分刻み秒刻みなんて考えたこともない。

精々半刻ぐらいが一番細かい時間の表し方だろう。

すまーとふぅおんなるものを主殿から頂いているが、使い方が点で分からない。

確かに時計としても、算盤の代わりとしても精巧な地図の代わりとしても使えるが、逆に様々な機能があり過ぎて逆に分からないのだ。

私としては、時計は時計、算盤は算盤、地図は地図で使えばいいし必要な時に必要なものだけを持てばいいのに、と考えてしまうのはおかしな事だろうか。

 

巴殿とげぇむをするが、あれもあれで慣れるのに物凄い時間が掛かった。

光を見続けるわけだから、目は痛くなるし肩は凝るし腰は痛くなるしで、ほとほと参った。

最近では、ぶいあーる、なるげぇむまで持ち出して来て、もう何が何だか。

扱って見た時は、二日酔いよりも酷く酔ってしまった。

 

この時代、色々と便利になって働きやすくなったりはしたが、それはそれで行き過ぎるのも問題であるな。

 

主殿も、ずいぶんと夜遅くまで執務に励んでいるが身体を壊さぬよう気を付けてもらわねばな。

まぁ、ないちんげーる殿達がその辺りは管理しているだろうからそう心配するほどの事でも無さそうではあるがな。

 

 

 

 

 

そう考えていると、電車がやってくる。

今日は、電車に乗るのもそうだが観光名所にも足を運んで物見遊山でもしてみようか、と考えている。

江戸……、いや今は東京であったか。

 

日ノ本国の首都であるからそういった、観光名所には事欠かないであろう。

ともすれば、どこに足を運ぼうか。

 

調べてみた限り、春が一番興味を唆られそうな博物館と呼ばれる場所が上野にあるらしい。

そこならば、春の知識欲などを満たせるであろうから、行ってみるのも良いかもしれぬな。

公園もあるようだ、少しばかり外を駆け回るのも良いだろう。

そう言ったものがあるという事は周りに食事を摂ることができる食事処もあるだろうから昼食を摂る分には困るまい。

 

「春、これから博物館に行くぞ。何か見たいものはあるか?」

 

「はくぶつかん!?」

 

「そうだ、博物館だ」

 

「えっとね、きょうりゅうみたい!」

 

「ふむ、鬼女紅葉殿みたいなものが見たいと言うことか」

 

「?もみじおねえちゃんはきょうりゅうなの?」

 

「帰ったら聞いて見るといい。喜んで見せてくれるだろう」

 

「わかった」

 

春を抱いて、電車に乗り込む。

つうきんらっしゅの時間でないと言うのに、席が埋まり立って乗る者が見られる程度には混雑している。春のような幼児から少年少女青年、老人に至るまでありとあらゆる人間がいるな。

 

しかし、ふと思うが随分と日本人の顔立ちも変わったものだ。

それに多種多様な南蛮人も随分と増えた。私の時代は日ノ本に来ていた南蛮人と言えばそれこそ宣教師や商人ぐらいなもの。

それがここまで数多く増えるとは、やはり時代の流れと言うのは速いものだ。

 

などと考えたが、椅子には座らずとも良かろう。たかが十数分程度揺られるだけだ、何処かに寄り掛かっておれば立っていても問題あるまい。

と思い扉の辺りに寄り掛かり、出発してすぐのこと。

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

横から声を掛けられた。

見たところ、かなり若いから女学生か何かだろうか。ふぅむ……、鈴鹿御前殿が言っていたじぇーけーなる者だろうか?

 

何用だろうか?もしかすると行儀がなっていなかったのか?いやしかし、騒いだり暴れたりなどはしていない筈。刀も主殿に言われて非常時以外は手にする事は禁じられている為に持っていない。

この時代、刀を持ち歩くと問答無用で縄を掛けられてしまうらしいから春を連れている時にそんな事になるのは勘弁だ。

 

そうすると、思い当たる理由が点で無い。何が理由だろうか?

 

「良かったら、座って下さい。お孫さん、ですか?抱えたままで立ってると大変でしょう?」

 

なるほど、子供を抱えて立っている私を気遣ってくれた、と言うことか。

 

「態々の心遣い感謝する。しかしそこまで苦では無いのでな、気にせずに座っているといい」

 

「ですけど、急停車とかもあるから、危ないから座った方がいいですよ。お孫さんが怪我しちゃうかもしれないし」

 

む、そう言われると弱った。

確かに春を怪我させるのは何がなんでも避けたい事だ。

 

「そうだな、それならばお言葉に甘えさせてもらおう」

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

「いいえ、どういたしまして」

 

礼を言って座る。春は窓の外を興味津々と言った表情で見ている。

コンクリートの壁が出てきたり、多くの電車が並んで止まっている場所もある。

 

「あれなに?」

 

「なんであろうな、私も初めて見るものだから分からないな」

 

博物館を見終えたら、次は何処に行こうか。

水族館と言う、魚を展示している場所もあるらしいからそこに行くのもいいか。

 

 

 

 

暫く揺られていると、目的地の博物館がある駅に着く。

降りて駅を出ると、すぐ目の前に大きな建物が目の前に飛び込んでくる。

どうやらここは博物館では無いらしい。案内板を見てみると少しばかり進んだところに博物館があり、さらに奥に行くとまた別の博物館がある、と書いてある。

近くに動物園と言う、多種多様な動物を展示している場所もあるそうだ。

この辺り一帯だけで、春の知的好奇心全てを賄えそうなほど施設が整っているな。

 

しかし、こうも多いと、どこに行くのが正解なのか分からなくなってしまう。

 

「春、どこに行きたい?」

 

「ぜんぶ!」

 

一緒に案内板を覗いていた春に聞いてみると、子供らしい返答が返ってきた。

全部、全部か……。

 

いや、一日掛けて回れば行けるやもしれんが時間が流石に足りなさそうだ。

じっくり見て回ると言うのならば行けたとしても二箇所が精々であろう。

それでもかなり駆け足気味になるであろう。

 

「今日は二箇所だけだ。選ぶといい」

 

「きょうりゅうみたい!あとどうぶつえん!」

 

「あい分かった」

 

恐竜、恐竜とな。

どこに博物館にあることは知っているがどの博物館に行けばいい?

 

「申し訳ない、少々宜しいだろうか」

 

「はい?」

 

「孫が恐竜を見たいと言っておってな。どこの博物館に行けば見ることが出来るだろうか。良ければお教え願いたい」

 

「あぁ、えぇっとここの科学博物館、と言うところに行けば見ることが出来ますよ」

 

「そうか、ありがとう」

 

その辺にいた者に声を掛けてどこに行けばいいのか聞いて見ると、科学博物館とやらに行けばいいらしい。

 

「どこに行けばいいのか分かったぞ。いざ出発」

 

「しゅっぱつ!」

 

少し歩くと、見えてくる現代風の建物。

どうやらここが件の場所らしい。

大きいとは言い難いが、入場する場所にそう書いてあるから間違いなかろう。

 

確か、入場券を買わねばならぬのだったな。

高校生以下は無料、と書いてある。

とすると春は無料だから私の分の、この一般の料金を払えばいいのだな。

 

入場料を払い、足を進めていく。

春はとにかく、好奇心旺盛だから目に写る展示物全てに関心を示して触るわけではないが顔を近づけて覗いている。

そして恐竜が展示してある場所にくると、見たい見たいと言っていただけあって先程よりもずっと嬉しそうにしている。

 

それでも、大声で叫んだり走り回ったりしない辺り偉い。

あとで何か飴玉でも買ってやろう。

 

「おー!」

 

「楽しいか?」

 

「うん!」

 

嬉しそうに、そう頷く春を見ていると連れてきて良かったと思う。

あんなに嬉しそうにするのだからまた連れてきてやろうか。

 

 

 

 

 

それから、昼食を手頃な場所で済ませて動物園に行きたいと言うからそこに向かう。

歩いて行くことができるほどの距離だから小さな子連れとしては助かる。

 

動物園の中に入ると、鳴き声などが聞こえてくる。

これまた、春は興味津々といった様子で檻の中を見ている。

かるであにいない動物の方が多く、好奇心と知識欲が刺激されるのだろう。

 

かるであでは、確かに動物も居るには居るが大凡動物らしからぬ人間と同じ程度の賢さを持っている者たちばかり。

かの玄奘三蔵や獅子王の愛馬も、馬らしからぬ賢さを備えている。

マルタ殿の、たらすくと言う一種のドラゴンもいる。まぁ動物では無いが。

 

それに、農園の方にはわいばーんやらどらごんや魔猪も出没しているから割と動物などには馴染み深い生活を春は送っている。

 

鳥類に始まり、蛇や蜥蜴と言った爬虫類、蛙などの両生類。

蝦夷にいる羆、白い毛皮の熊もいる。

 

「しとないおねえちゃんのとこのしろうににてる」

 

「あぁ、そう言えば……」

 

「でも、ろぼのなかまはいないね」

 

「そうなのか?」

 

「うん、みんなちがうよ」

 

「そうなのか。私には全く見分けが付かんな……」

 

それぞれの動物の檻の前に説明が書いてある板を読みつつ歩を進めていく。

春が夢中になっていて会話らしい会話は少なかったが、これはこれでいいものだ。

 

 

それら全ての動物を見て回り終える頃には太陽がもう沈み掛けていた。

 

「そろそろ、帰ろう」

 

「えー、まだみたい!」

 

「だが、もう閉園の時間らしい。また今度来るとしよう」

 

「うー、わかった」

 

春を連れて再び電車に乗り、転移を行う予定の場所に向かった。

電車の中、遊び疲れたのかすやすやと眠っている春を抱き抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かるであに帰ると、一日留守にしていたからか姉達から熱烈な歓迎を受けた春は揉みくちゃにされていた。

結局その日は、姉達に春を取られてしまったからお開きとなった。

 

 

 

 

 

 





場所で物凄く目立っていた。
180cmを超える明らかに雰囲気が一般人じゃない侍を彷彿とさせる和装の老人に、これまた日本人らしからぬ幼児という組み合わせだからそら目立つわな。
刀持ってたらもうまんまタイムスリップしてきた侍。

席を譲ろうと声を掛けたJKは偉い。


因みにではあるが、西洋のドラゴンはファヴニールやヴリトラなどのようにどちらかというと悪の権化と言うか、そんな感じのイメージが大きく、同様にそのような扱いをされている。

しかしながら東洋の龍は一部例外を除いて大抵は神獣、霊獣として、吉兆の象徴として扱われる。
因みに作者の独断と偏見による一部例外とは、八岐大蛇とか。
まぁ、あれもあれで諸説ありなので作者の言葉を信ずるべからず。

タラスクも、マルタ姉さんにボコボコにされる前は明らかにドラゴン側。







宗爺
カルデア爺馬鹿その1。
他の話でも語られるように春君に甘い。物凄く甘い。
お小遣いの限度は知らないし、お菓子を与える限度も知らない。とにかく春君が喜んでくれる顔さえ見れれば問題無し。
ただしもし春君が間違ったことをすると周りと一緒になって雷を落とす、甘やかしているくせに善悪はしっかりと判断するタイプ。

と言うか春君自身がその辺しっかり分かっているからそうはならない。
普段着は常に和服で正装の時だけ、裃(かみしも。時代劇とかでお侍さんがよく着てる肩パッドみたいなのがついてるやつ)などになる。今回は正装ではない。






皆さん、二度目となりますが新年あけましておめでとうございます。
昨年は如何お過ごしでしたでしょうか?

色々とありましたが、何か変わった事はありましたでしょうか?
新型コロナウイルスによる影響で作者は少なからず生活様式から何から何まで大きく影響を受けました。
それに伴い、ドタバタと慌ただしくなっていて複数作品を同時並行で執筆することが難しくなり作品毎の投稿間隔が大きく開いてしまったりとしましたがこれからも投稿を続けていく所存です。

読者の皆様におかれましては、今年一年どうか健康にお過ごし頂けると幸いです。


そして、この場をお借りして現在新型コロナウイルスの対応に奔走している行政、医療関係など全ての関係各所の皆様に熱く御礼申し上げます。
出過ぎた発言であるとは思いますが、状況が状況なだけに大きな声で言えることではありませんがどうかご自分のお身体もご自愛下さるよう、その様に願っております。

作者の書いた作品が皆様の励みなどに欠片ほどでもなれれば、幸いです。



それでは、今年一年もどうか本作含め、作者ジャーマンポテトin納豆の作品を読んで頂けると有り難く嬉しい限りです。







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