藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。 作:ジャーマンポテトin納豆
間に合うかわからないけど書きます。
注※春君小さいです。
初めてやる節分はとっても楽しみ。
いろんな料理をお姉ちゃん達が作って、テーブルに並べて行く。
おじさん達も、沢山お酒を持ち出してきて並べている。
あと、僕の部屋もだけど皆の部屋の廊下側のドアの横に、ひいらぎいわしっていう、やつが飾られてる。
なんかじゃきをはらうからってたまもちゃん達が作って飾って回ってた。
「節分言うたら、鬼がおらんとなぁ?」
「おに?つのがある?」
「そう。豆まき言うて、鬼は外、福は内言うてお祓いするんや」
「なんで?」
「なんでって、鬼は悪い事するから?」
「でも、おねえちゃんたちはきめつけちゃだめっていってたよ?」
「うーん、春は優しいわね……。でも、どうやっても悪い奴は悪い奴なのよ?」
しゅてんお姉ちゃんの膝の上に乗せられて、いぶきお姉ちゃんを入れた3人でお話ししてると、しゅてんお姉ちゃんはそう言った。
うーん、でもお姉ちゃん達の中にはツノがある人沢山いるよ?2人もそうだし。
「そうやなぁ……。もし、その鬼が悪さしてお姉ちゃん達が病気なったら嫌やろ?」
「う……、やだ」
「そういうことから、守るためにやるのよ」
そう言って2人は頭を撫でてくれる。
「したら、角生えてるしウチらほど適任はおらへんな。立候補してくるさかい、ここで待っとってな」
「?」
そう言ってしゅてんお姉ちゃんはいぶきお姉ちゃんの膝の上に僕を乗せると何処かに行っちゃった。
少しすると赤や青の鬼のお面を持って帰ってきた。
「鬼役はウチらに決まりや。楽しみやな」
「……うん」
そう言ってしゅてんお姉ちゃんは笑うけど、僕はなんか納得いかなかった。
「え?酒呑童子達が鬼役なのがいやだ?」
「うん」
「と言いましても、ご本人の希望ですし……」
「おねえちゃん、わるいおにをおはらいするためって、いったけどおねえちゃんわるくないもん。やさしいもん」
「なるほど、そう言う事か……」
しゅてんお姉ちゃんが鬼役なのが納得出来ないからたまもちゃんとえみや兄ちゃん、清姫お姉ちゃんに相談。
困った様にうーん、って悩んでる。
「それなら、こう言うのはどうです?」
「?」
それからたまもちゃんにある方法を教えてもらった。
「さぁ、豆まきの時間や。ちびちゃん達、気張ってなぁ」
しゅてんお姉ちゃんが、鬼のお面を頭に付けて立ち上がる。
いぶきお姉ちゃんも、いばらきお姉ちゃんも一緒に立って鬼のお面をつける。
「いっくよー!」
「ジャック、解体は駄目だからね!!」
「はーい!」
「うふふ、楽しいわ!」
皆楽しそうにしてる。
えっと、たまもちゃんに教えてもらったのは……。
「?どないしたん、春。豆まきせえへんの?」
「うぅん、するよ」
「ほんならおいで〜」
「ふくはうち、おにもうち!」
「「「「「????」」」」」
皆不思議そうに、首を傾げる。
理由を知っているたまもちゃん達だけは笑っているけど。
おかしいなー、たまもちゃんに教えてもらった通りにやったんだけどなぁ。
「あれ、ちがった?」
「春、普通は[鬼は外、福は内]やで?」
「しってる」
「ほんなら、なんでそれ言うたん?」
「おにはわるいって、おねえちゃんいってたけど、おねえちゃんわるくないもん。だからたまもちゃんにおしえてもらった」
「はぁ、なるほどそう言うことね」
「どう言う事だ?」
「春は、ウチらを悪い鬼って言うて豆投げたくないってこと。優しぃなぁ」
しゅてんお姉ちゃんは、僕の前に来て屈んで笑って頭を撫でてくれた。
なんか後ろの方でよりみつお姉ちゃんがすごい顔してるけど気のせいだと思う。
豆まき終わったあと、しゅてんお姉ちゃんと一緒に遊んでお風呂入って。
「なぁ、春」
「なに?」
「ほんとは、なんで福は内鬼も内言うたの?」
「だって、おねえちゃんたちおにじゃないもん」
なんでそんな事聞くんだろう?
お姉ちゃん達は鬼じゃないよ?
「うーん、あくまでも鬼役って事なんやけど……」
「おねえちゃん、つのはえてるからてきにんっていってたけど、ぼくやだ」
「……ほんなら、もしお姉ちゃんが本物の鬼言うたら、春はどないするん?」
今日のお姉ちゃん変なの。
でも、聞かれたから答えないと。
「?おねえちゃんは、おねえちゃんだよ?それにたまもちゃんがいいおにもいるって」
「あー、もし春の事いじめたら、って意味や」
「だいじょぶ」
「何が?」
「おねえちゃんたち、すっごくやさしいから。いじわるしないってわかるから」
「……ふふっ、あはははっ!!」
「!?」
なんか急に笑い出した!
今日のしゅてんお姉ちゃんは、すっごく変だ……。
お酒飲み過ぎた?でもお酒飲んでなかったし、どうしたんだろう?
「春はええ子やなぁ!」
「?」
「ほんにええ子や」
しゅてんお姉ちゃんは、すっごく嬉しそうに笑っておでこを擦り寄せながらぎゅーって抱き締めてくる。
「春は、ほんにええ子やな……」
頭も撫でてくれた。
ちょっと悲しそうな顔してたけど、すぐに元の顔に戻った。
「ほら、もうねんねの時間や。今日はお姉ちゃんと一緒に寝よな」
「うん!」
「なんかお話聞かせたる。どんなお話聞きたい?」
しゅてんお姉ちゃんが、お布団に僕を抱き締めたままごろん、と横になってからそのままお話を聞かせてくれた。
少しすると、段々眠くなって来て寝ちゃった。
ーーーー side 酒呑童子 ーーーー
節分。
季節の変わり目には邪気、鬼が生じる事からそれを追い払うための悪霊ばらい行事が執り行われている行事。
このかるであでも、春が生まれてから初めて行われるそのいべんとは、騒ぐのが好きな連中もいるとあって普段も騒がしいけど、より一層騒がしゅうなっとる。
手伝いをして、休憩中の春を見つけてひょい、と膝の上に乗せて椅子に腰掛ける。
顔をあげてこちらを見るくりくりして、綺麗な目を覗き込むと嬉しそうに表情を崩した。
「お手伝いしてたん?偉いなぁ」
「しゅてんおねえちゃんはなにしてたの?」
「んー?つまみ食いしとった茨木捕まえとった」
「いばらきおねえちゃんこりないね」
「まぁ、食い意地張っとるからなぁ」
ついさっき、厨房のかうんたーに並べられとった料理をつまみ食いしようとした茨木をとっ捕まえて突き出してきた。
あの子も懲りずに毎回毎回こうやって何か豪華な料理が並べられる時になるとつまみ食いしようとこそこそやっとる。
一応、ウチらは鬼やけど春のお姉ちゃんでもある。
産まれる前に、お姉ちゃんとして恥ずかしくない姿を、って。
悪い事しないさせない許さない、って。
皆で決めたからなぁ。
茨木には悪いけど、その辺厳しく行かせてもらっとる。
ついこの前、姉として春に威厳を示さなければ云々言うとったけど威厳なんてとっくの昔に消え去っとる事は言わんといてあげよ。
まぁ、あの子もあの子でええ子なんは間違い無いんやけどね。
春を膝に乗っけて節分の話をする。
やり方とか、色々教えてあげると。
決めつけちゃダメって。
悪くないかもって。
そう言った。
そう教えたんはウチちゃうけど、お姉ちゃん達の教えをしっかり取り込んでるらしい。
ウチは、春と遊んだり昔話や童謡聞かせたりするのが殆どやから、何かを教えるって事は少ない。
あぁ、でもこの前、幾らか前に聞かせた童謡を丸々覚えてきて、嬉しそうにウチに聞かせてくれはったなぁ。
あれは、嬉しかった。
こんなウチでも、少しだけでも確かに春の成長に役に立っているって。
思わず、頭を撫でくりまわした。
でも、今回の節分は春にとって初めて。
だからちゃんと思い出に残るようにしてあげたい。
隣に座っとる伊吹童子も、同じように思っとるのかチラッと私の目を見て頷いた。
それからは、ますたーに鬼役をやらせてもらいたいって交渉して。
さぁ、いざ豆まきとなったら、何やら考えてる。
「?どないしたん、春。豆まきせえへんの?」
「うぅん、するよ」
聞いてみるとやりたくない訳じゃないらしい。
手を引いて、豆投げな、と促すと他のちびちゃん達は普通に、「鬼は外、福は内」って楽しそうに駆けながら豆まきしとるのに手に豆を握ると、
「ふくはうち、おにもうち!」
って。
確かに、そのやり方も一部地域でやってる。
せやけど、かなり珍しい事には違いない。どこで知ったんやろ?本?てれび?
まさか、そう言うなんて誰も思っとらんかったからポカンとしとる。
「春、普通は[鬼は外、福は内]やで?」
「しってる」
「ほんなら、なんでそれ言うたん?」
「おにはわるいって、おねえちゃんいってたけど、おねえちゃんわるくないもん。だからたまもちゃんにおしえてもらった」
聞いてみると、そう言う事らしい。
それを聞いて、
「はぁ、なるほどそう言うことね」
「どう言う事だ?」
「春は、ウチらを鬼って言うて豆投げたくないってこと。優しぃなぁ」
ウチと伊吹童子は、なんでかすぐに分かった。
茨木は分っとらんかったようやけど。
その後は、何度か繰り返して豆まきをやって。
春はその間、ずっと福は内、鬼も内ってやっとった。
豆まきが終わったあと、春と一緒に遊んで。
お風呂に連れてって一緒に入って。
ウチと一緒に寝る言うて聞かんかったから、今日は一緒に寝る事にした。
部屋に着いて、落ち着いてから春に本当はどうしてあぁ言ったのか聞いてみた。
当の春はひくひく鼻を動かして、畳の匂いを嗅いどる。
「なぁ、春」
「なに?」
「ほんとは、なんで福は内鬼も内言うたの?」
「だって、おねえちゃんたちおにじゃないもん」
不思議そうにこてん、と首を傾げてそう言う。
「うーん、あくまでも鬼役って事なんやけど……」
「おねえちゃん、つのはえてるからてきにんっていってたけど、ぼくやだ」
「……ほんなら、もしお姉ちゃんが本物の鬼言うたら、春はどないするん?」
どうやら、見た目で鬼役になるって事が気に入らなかったらしい。
春は知らんけど、ウチらは正真正銘の鬼。
今でこそ、こうしてかるであで悪さもせず暮らしとるけど、昔は人を喰ろうたりしとった。
そんな事繰り返してたから、牛女に殺されたんやけど。
春にそう聞いても。
「?おねえちゃんは、おねえちゃんだよ?それにたまもちゃんがいいおにもいるって」
「あー、もし春の事いじめたら、って意味や」
「だいじょぶ」
「何が?」
「おねえちゃんたち、すっごくやさしいから。いじわるしないってわかるから」
なんてにこっと笑いながら、ウチの顔見て当たり前のように言う。
それが、どうにも可笑しくて、嬉しくて。
「……ふふっ、あはははっ!!」
「!?」
つい、笑い転げた。
流石に、春をほっぽり出して笑った訳やないけど、膝の上の春をぎゅっと抱きしめて笑う。
そんなウチの顔をびっくりした表情で見る。
「春はええ子やなぁ!」
「?」
「ほんにええ子や」
ひとしきり、笑った後。
嬉しくて嬉しくて仕方が無くて。
自然と笑みが溢れてまう。でこを擦り寄せ抱き締めて。
「春は、ほんにええ子やな……」
口から、またそう漏れた。
春の頭を撫でながら、こんなにも素直でええ子な春を、自分の本当の正体を隠している事がどうにも、申し訳ないような気持ちと、知られたらどうなるのか怖くて言いたくない気持ちが鬩ぎ合う。
あぁ、そんなにウチに春の事を好きにさせんといてぇな……。
せやないと、どろどろに蕩かして、喰べてしまいたくなる……。
そう、考えてしまう鬼としての本性が恨めしい。
今この時だけは、そんなもの無くなってしまえと、心の奥底から思う。
「ほら、もうねんねの時間や。今日はお姉ちゃんと一緒に寝よな」
「うん!」
「寝るまでなんかお話聞かせたるさかい、どんなお話聞きたい?」
そんな気持ちを隠して、殺すように布団に春を抱き締めたまま勢い良く横になって、まだ聞かせた事の無いを話を聞かせた。
少しすると、段々眠くなって来たのか、うつらうつらと船を漕ぎ始めた。
瞼が段々と下がって来て。
それでも話を聞きたいのか、起きて居ようとして何やら目をくしくし、擦って。
身体を起こして、抱き上げて。
左腕で支えて軽く優しく揺すりながら右手でぽん、ぽん、ぽんと優しく背中を叩いて。
一分も続ければ、瞼は完全に落ち切って規則正しい小さな寝息が耳元から聞こえてくる。
暫く、そうして完全に寝入ったのを確認して。
ウチもそうやけど、部屋を好きにしていい言われとる。
せやからべっどよりも畳の上に布団敷いて寝るほうが落ち着くから、部屋を頼んで和式にしてもろてる。
枕に頭を置いて、ウチも横になって掛け布団を春と一緒に被る。
部屋の気温は、丁度良く保たれとるけど万が一風邪でも引いたらあかん。
春を抱き寄せて、寒くないように布団を被り直した。
ーーーー side out ーーーー
しゅてんお姉ちゃん
表面上は、他のお姉ちゃん達と違って春くんを溺愛してなさそうだけど、実のところ、トップクラスに溺愛してる。
他が際立ってヤバいだけで、鬼というだけあってとんでもなくヤバい。
なんなら溶岩水泳部の方が遥かにマシ。
いやもう、今更だけど手遅れ手遅れ。笑って受け入れるしか無い。だって拒絶したらどうなるか分かんないからね、仕方ないね。
よりみつお姉ちゃんとは、春くんが産まれてから喧嘩しなくなった。
余裕で間に合いませんでした。
京都弁?難しい……。
作者、生粋の埼玉県人だから勘弁して……。
(酒呑童子と伊吹童子の声を聞くと)金髪、幼女、少佐……。ウッ、頭が……!