藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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守られている

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はコンちゃんとお出掛け。

コンちゃんは長くて耳の中にふさふさの毛が生えてる耳で、桜色のおっきくてふさふさもふもふの尻尾が生えてるんだ。

 

いつもちゃんとお手入れしててきらきらつやつやでギュッて抱き締めたり、埋もれたりすると凄く気持ちが良いんだ。

その中で寝ると最高なんだよ。

 

「離れちゃダメですよ」

 

「うん」

 

今日はお出掛けだから耳も尻尾も隠してる。

コンちゃんも家族以外に耳とか尻尾を見られちゃダメで、知ってる僕も誰にも言っちゃいけない秘密。

 

 

コンちゃんと手を繋いで人が沢山いる街を歩く。

 

「今日はどこに行きましょうねぇ」

 

「ごはん?」

 

「ご飯はもう少しあと。朝ご飯食べたばっかりでしょうに」

 

「おかいもの?」

 

「何を買うんです?」

 

「……なにかう?」

 

「欲しいものが無いならお買い物する必要も無いですわねぇ……」

 

一緒にお出掛けするって約束してただけだからどこに行こうとか決めてなかった。

歩きながらコンちゃんと、どーしよーねー、って。

 

「取り敢えず公園にでもいきましょうか」

 

「こうえん!」

 

暫くして公園に行くことにした。

公園は沢山遊ぶものがあって楽しいんだ。

 

公園に行くと遊具があって、さっき逃げられちゃった鳩とかが沢山いる。

 

コンちゃんはあんまり身体動かすの好きじゃないから近くで見てるだけだけど。

 

暫く遊んで、お昼ご飯の時間。

もっと遊びたかったけど、また後でってご飯食べに行った。

 

また二人で公園に行って遊んでると、夕方ぐらいに知らない人が声をかけてきた。

お姉ちゃん達からは知らない人に付いてっちゃ駄目って言われてるからコンちゃんのとこに行こうとしたら捕まっちゃった。

 

どうすればいいんだろう。

怖くはないけど、このままだとすっごく大変なことになる気がする。

 

どうにかして逃げようとするけど逃げられない。

 

 

 

「あぁ、私としたことが、春から目を離してしまうだなんて」

 

どうしようって考えてたら、後ろから聞いたことがないぐらい、低くて冷たいコンちゃんの声が聞こえてきた。

 

「春、少しの間目を瞑って耳を塞いでいなさい」

 

「うん」

 

コンちゃんに言われた通りに目を瞑って耳を手で塞ぐ。

少しするともういいよって言われて目を開けると知らない人が居なくなってた。

 

代わりにコンちゃんに抱っこされてる。

 

「……なにがあったの?」

 

「今の貴方が知るべきことではありませんよ。分かりましたか?」

 

凄く気になるけど、コンちゃんがそう言うなら仕方がないや。

 

「……はぁい」

 

「それでは帰りましょうか」

 

優しそうに笑うコンちゃんに抱っこされてお家に帰った。

 

なんだか皆、凄い顔で大丈夫だった?って聞いてくるけどなんともないのにどうしてだろう。

母さんと父さんも慌てた感じで駆け寄ってきてぎゅーってしてくるし。

 

なんだか何時もよりずっと過保護な感じの皆にもみくちゃにされながら一日が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side コヤンスカヤ ーーーー

 

 

 

 

 

 

隣で私の手を握って歩いているのは何故か私に懐いているマスターが御子息、春。

よく私に懐いてくれて、コンちゃんなんて随分とまぁ可愛らしく私を呼んでくる。

尻尾に抱きついたかと思えばそのまま寝ていたり、結構自由気儘な子。

 

うーん、今更ですけれどワタクシ、この子に何か懐かれるようなことなんて一度足りともした事ないのですけど、何故こんなに懐かれているのでしょ?

まぁ、今更考えたところで仕方がないことですし。

流石の私と言えども懐かれて無下にはしません。

 

特に何もなくとも私の尻尾や耳目当てで抱き付いて来たり、そのままくーすか寝てしまったり、他の方々相手にも割とこの子、許される範囲で自由にやってます。

 

一緒にお出掛け、と言っていますけど何か目的があっての事なのか……。

いえ、ありえませんわね。

確かに聡明な子ですが、まぁ、なんと言うか、刑部姫さんの言葉を借りるならちょっとばかりアホの子と言いますか。

アホの子と言うほどではないのですけど、抜けてるところがあったりするんですよ。

 

そも、カルデア内で全てのことを完結させられるのですから態々買い物などに出掛ける必要もない。

精々自分の趣味が揃ってなければ買いに行く、ぐらいですがそれもゲームや一部の書籍ぐらいなもの。

一部の方々が熱心にお集めなさっている、アニメや漫画などのフィギュアもダヴィンチさんに頼めばあっ、という間に世界最高のものが出来てしまいますし。

態々外界に何かを得ようと出ていかなくとも問題無しなのがカルデア。

まぁ、それで済ませられれば苦労はしませんね。

 

春、今日は本当に何故私と出掛けたい、なんて言い出したのかしら。

それこそ本体の方やケモケモしてる方に頼めば良かったのでは?狂喜乱舞して何処へでも連れて行ったりついて行ったりしてくれるでしょうに。

 

「離れちゃダメですよ」

 

「うん」

 

しっかりと手を握り、離れないように言っておく。

すると小さな手できゅっ、と握り返してくる。

ふにふにと柔らかい、幼児特有の滑らかな心地の良い肌。

 

ワタクシの本性は全く変わっておりませんが。

 

えぇ、えぇ、これは良いものです。

 

 

 

 

町中を、主に私に注がれる周りからの視線を全く無視しつつ歩き、春にどこに行くか、行きたいか聞いてみると案の定特に何も考えていなかったらしく、二人揃って目的無しに歩く羽目に。

 

町中の広場に飲み物を買って椅子に座っていると、餌を貰いたいのか鳩が寄ってくる。

動物好きな春は、ぴょい、と椅子から降りて鳩に近寄る。

すると逃げていく鳩を捕まえたいのか、それとも近くで見たいのか。

はたまた仲良くなりたいのかは分からないけれど、抜き足差し足と足音を消して近付く。

 

流石と言うべきか、未熟ながら教えられた通りに気配を消して近寄っている。

 

流石の鳩もまだまだ幼い春には気付いたのか、飛び去っていってしまいましたけど、まぁそれも自分の気配の消し方が甘い、と言う良い経験になるでしょう。

 

「どっかいっちゃった」

 

「また戻ってきますよ」

 

しょんぼりとして戻ってくる。

本当に動物が好きですねぇ。

 

抱き上げて膝の上に乗せ、頭を撫でる。

しかし、どうしたものやら。流石に一日中ここで座って鳩を追い掛け逃げたら戻ってくるのを待つ、なんてしていられませんし。

 

「取り敢えず、公園にでも行きましょうか」

 

「こうえん!」

 

提案するとそれはもう嬉しそうに顔を輝かせて行く気満々に。

ぐいぐいと手を引っ張られ、早く行こう、早く行こう、と催促される。

 

 

 

 

 

お昼頃まで公園でそれはもう楽しそうに遊んだ春。

季節は秋だからか暑くなく寒くもなくと言った感じで過ごしやすい。

 

お昼ご飯を近くのファミリーレストランで済ませ、再び公園へ。

次はどうやらどんぐり拾いに夢中になっているらしく木の下でしゃがんで様々な形や色、艶のどんぐりを拾ってくる。

 

「こっちはね、ぼうしがついてるやつで、こっちはすごくきらきらしてるやつ。こっちはふたごだよ!」

 

両手一杯にどんぐりを拾ってきて、嬉しそうにそう教えてくれる。

そう言えば今で言うクッキーのようなものを昔はどんぐりで作って食べてましたねぇ。

 

「昔はどんぐりでクッキーを作ったんですよ」

 

「ほんと?」

 

「えぇ。今度エミヤさん辺りに頼んでみては?多分喜んで作ってくれますよ」

 

「じゃぁ、これもってかえる」

 

「うーん、今日は我慢。また今度一緒に拾いに行ってあげますから」

 

「わかった」

 

どんぐりクッキーの話をすると食い付いてきて、もっと集めて持って帰ると言い始める。

どうにも食い意地が張っている、ではありませんが知らないもの、食べたことがないものを食べると言うことに興味津々なんですよ。

 

他にも子供らしく、木の棒を拾ってきて何やら剣術の得意な方々の真似事をし始めたりちっちゃいお家作るって言って落ちている枝を拾い集めてきては何やらせっせとミニチュアサイズのログハウスのようなものを作ったり。

随分と器用にやるものだ、と感心しますね。

 

そんな風に遊んでいると夕方。

ベンチに腰掛けて春が遊ぶ様を見ていると、公園の少し小高い丘の向こうへ行ってしまった。

少しすれば戻ってくるか、と思ったがどうにも姿が見えず、心配になって見に行ってみる。

 

すると見知らぬ男が春を抱えて連れ去ろうとしているではないですか。

それを見た瞬間に全身の毛が逆立ち、追い掛け声を発する。

 

 

 

 

「あぁ、私としたことが、春から目を離してしまうだなんて」

 

その声は自分でも驚くほどに底冷しているもので、在りし日の私すら出さなかったであろうほどの声。

 

「春、少しの間目を瞑って耳を塞いでいなさい」

 

「うん」

 

目を瞑り耳を塞ぐように言い、春がそうしたのをしっかりと確認してから。

耳と尾を出し、そして。

 

「春に手を出したこと、生きながらに後悔させてあげましょう」

 

目の前の男を適当に作り出した空間に送りこみ、死なぬよう、拷問に掛ける。

絶叫や苦悶の声が口から漏れ、終いには私や皆さんへの罵詈雑言を吐き始める。

 

あぁ、なんとおバカさんなんでしょうか。

 

それを封じて、放っておく。

暫くすれば廃人になるでしょうけど、そうしたら誰にも悟られぬように始末してしまいましょう。

勿論、春に知られることも感づかれることも無いように。

 

カルデアに連絡を入れておくのも忘れない。

 

今回の裏に、魔術師がいるのか、それとも身代金目的のゴロツキかテロリストか。

いずれにせよタダで済むと思っているのなら、とんだ阿呆です。

 

 

 

 

 

諸々を済ませて。

 

「もう目を開けていいですよ」

 

「……なにがあったの?」

 

きょろきょろと不思議そうに辺りを見回し、そして聞いてくる。

だけれど教えることなど出来ない。

 

「今の貴方が知るべきことではありませんよ。分かりましたか?」

 

「……はぁい」

 

適当にはぐらかすと、笑いながら頷いた。

頬を撫で、頭を撫でて改めて無事を確認し、ぎゅっと抱きしめる。

 

「怖くなかったですか?」

 

「だいじょぶ」

 

「本当に?」

 

「うん。こんちゃんがたすけてくれたから」

 

「……そうですか。なら良かった」

 

抱き締めた私を、春もまたぎゅっと抱き締め返してくる。

小さく細い腕を首に回して。

 

私を案じるように、すりすりと顔を寄せてくる。

どうやら、私の方が心配を掛けてしまったらしい。

 

出来るだけ、それ以上に感じさせないように優しく笑みを浮かべて。

 

「それでは帰りましょうか」

 

「うん」

 

帰路に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰ってからと言うもの、それはもう大変でした。

春の身を案じる方々に春が揉みくちゃにされ、精密検査を受けさせられ。

 

私も私で色々と問い詰められましたとも、えぇ。

春が庇ってくれなかったら、これから先春と一緒に過ごせなくなっていたところです。

 

そんな春は私が心配なのか、ずっとくっ付いたままで寝る時も離れず。

珍しく私の尻尾ではなく、私自身に抱きついてそのままぐっすり。

 

一日中遊んでいたから仕方が無いとは言え、周りからの視線が痛い。

 

「仕方がないですねぇ……」

 

抱き上げ支え、マスターの許可を得て自室に連れ帰り、一緒にベッドに潜り込む。

 

ありがとう、そしてごめんなさいと言う意を込めて額にキスを一つ落とし、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー side out ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










コンちゃん
なんだかんだで面倒見がいい。
因みに珍しく春君に懐かれようとして懐かれていない為、
「なんでこんなに懐かれているんでしょう?」
と不思議に思ってる。
嬉しいとは絶対に言わないけど、嬉しい。
冗談で結婚の約束なんてしようものなら、大きくなった時に書類を盾に迫ってくる。

自慢の尻尾と耳は春君のお気に入り。
しょっちゅうモフられては、偶にそのまま寝てしまうことも。
春君曰く、凄く良い匂いがする。

玉藻ちゃんはお日様のあったかくて優しい匂い。
一応、あんなんでも太陽神らしい。

キャットは犬と猫とお日様と食材の匂いを全部足して割ったようなよく分からないけど何故か良い匂いらしい。
猫なのか犬なのか人なのか神なのか妖なのか分からん。

因みにコヤンスカヤ、春君のお父さんの会社では警備部門のトップを任せられていたりする。
仕事に関しては契約内ならば確実に信頼出来る。
春君とは契約関係無しに普通に接しているとのこと。





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