藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。 作:ジャーマンポテトin納豆
しれっと投稿しとこう……。
カルデアが誇る、料理自慢達が日夜腕を振るうkitchen Chaldaeaの朝は早い。
何せスタッフとサーヴァントを合わせて軽く数百人を数える者達の食事を用意しなければならないからだ。
交代制で切り盛りするが、カルデアに属する職員、サーヴァント合わせて軽く五百名を超えるのに対して食堂で腕を振るう人数はそう多くはない。
エミヤ、頼光、玉藻の前、タマモキャット、ブーディカ、清姫、マルタ、パールヴァティ、俵藤太、他。
後日ティアマトが加わり、絶賛修行中となるのは別の話である。
気まぐれでやったりやらなかったりする面々もいるので詳細は省くが、やはり食わせる人数に対して料理を作る人数は少ない。
前日に翌日分の仕込みは一通り終えているが、少なくとも主食、主菜、副菜、汁物がそれぞれ数種類のメニューに加えて人数が人数だから時間が掛かる。
しかもそれぞれ定食やセットだけでなく、食べたいものをメニューの中から一品づつ選んで食べることも可能と言うわけだから、当然忙しくもなる。
手伝い、世間一般で言うところのアルバイトみたいな形で、大喰らいであるアルトリア達を始めとして数人づつが配食を手伝っているがそれでも忙しい。
「さぁ、今日も頑張って行こう!」
ブーディカの一声に面々は頷いてそれぞれの役割に取り掛かる。
早い者だと、それこそマスターあたりなんかは六時を少し過ぎたぐらいには食堂に来て朝食を摂る。
人理修復後も会社の経営者としてだったり微小特異点の修復だったりと、なにかと多忙なマスターだから朝早くから仕事が待っているのだ。
昨日の夜からの夜勤組の為の弁当も用意するのも忘れてはならない。誰もが楽しみにしていてくれるのだからその分、腕によりを掛けて拵えなければ食べてもらう側として沽券に関わる。
出来た弁当をうむ、と頷いて布に包むエミヤである。
カルデアそのものの始業時間自体は八時十五分からだが、カルデアは兎に角多忙を極めている。
そもそもが人手不足に加えて早めに仕事を始める者もいるし、のんびりとはしていられない。
キッチンは戦場、とは誰が言った言葉だったか。
ここは正しくその通りなのである。
昨晩のうちに仕込みは一通り済ませてあるので、それらの食材を取り出す。
勿論食材はすべてに安心安全新鮮なカルデア産だ。
焼いて茹でて煮て蒸して。
切って潰して叩いて捏ねて。
皆が寝静まり静寂に包まれているカルデアの中で、ここだけは様々な音に包まれている。
ついでに言っておくと、夜食や間食をたのむとこれまた希望したものであったり、出来合いのものが届けられる。
職員たちは食べすぎて太っても安心。
レオニダスをはじめとしたマッスルサーヴァント達のブートキャンプが待っている。
「はい、A定食ね!」
「日替わり朝定食お待ち!」
「Bセット二つ!」
「承った!」
「マスター、朝から肉ばかりは関心しないな!」
食堂入り口に置かれた注文用紙にそれぞれが食べたいものを書いて、出す。
それを受け取ったキッチン側が用意する。
注文から流れはこんな感じだ。
因みにお残しをするとそれはもう怒られてしまうので、食べられる量をバランス良く頼むのが決まりである。
肉だけとか、炭水化物だけ頼むと不思議なことに山盛り野菜がボウルごと付いてくるのでそうなりたくないならば、口の中全てが青々とした草の匂いに包まれたくなければ、自分からバランス良い食事を頼むのが吉である。
ここ最近は塩バターパンが人気だ。
外はサクサクカリカリ、中はフワフワモチモチ。
齧るとバターがジュワッと滲み出てくる。
塩といい感じの塩梅に溶けた味は最高に美味しい。
当たり前のように数百、数千単位で皆の胃袋に消えていくものだから大変だ。
通りすがりのどうせ暇であろうサーヴァントを一人二人捕まえて夜勤組に弁当を持って行かせるのも忘れてはならない。
ぶつくさ言っているがまぁ良い。
八時半過ぎになると忙しさも落ち着き、遅起きのサーヴァント達がちらほらと来始める。
中には昼過ぎまで寝ている者達も居るが、そうなったら昼食と朝食は一緒であるから気にしなくて良い。
とは言え誰もが恐る医務室の世話になりたくなければ気をつけた方が良いのは確かであろう。
ベッドを担いだクリミアの天使や注射器を構えた医神に追い掛けられたりしたくないのならば、だ。
朝食時が過ぎたとは言え食堂に留まり雑談に花を咲かせるサーヴァント達は多い。
普段からお茶会を開いたりカードなどで賭け事をしたりと、わりかし常に居るとは言え、ここ最近は特に食堂にいるサーヴァントが増えた。
理由はもうすぐに分かる。
この時間帯になるとマシュが食堂にやってくる。
今までならばマシュもマスターと共に起きて食事を摂っていたが、ここ最近は諸事情あって遅い時間に来る。
「皆さんおはようございます」
それぞれがおはよう、とマシュに返事をしながら注文を終えて席に着くのを待つ。
本来ならば受取口で頼んだものを自分で持っていく方式だが最近のマシュはそれをやらずとも許されている。
「マシュ、待たせた」
「ありがとうございます。エミヤさん」
「ハルもおはよう」
マシュはこの時間帯になると、春を抱いて朝食を摂りにくる。
普段もマシュ一人に負担をかけないよう……、いやただ単に自分達が春と触れ合いたいだけの皆が交代で世話をしたりしているのだがやはり赤ん坊にとって母親は大事だ。
「春を預かろう」
「いつもありがとうございます」
「なに、厨房の方はひと段落着いているから任せたまえ」
エミヤはそう言って春をマシュから預かり、対面に座ってあやす。
春は他の赤ん坊と比べても滅多に泣く事はない。
寧ろ誰に抱かれていてもおとなしく、すやすやと寝息を立てていたりする。
それでも子育ては始めて故に何かと気を遣いながらの生活でマシュの疲れはそれなりにある。
マシュが朝食を食べている間、サーヴァント達は春におはよう、と言って頭を撫でていく。
ちょっと前に目を覚ましてエミヤ達にあやしてもらいながら大人しく待つ。
「ん〜」
「おっと」
小さな手を伸ばしてエミヤの顔をぺたぺたと触る。
それを嬉しそうに受け入れてだらしなく顔を緩ませている。普段の姿からは中々想像出来ないものだ。
「何かね?私の顔にはなんにもないぞ」
「あら、随分と機嫌がいいのね?」
「む、イシュタルか」
「相変わらずちっちゃいわね」
イシュタルが横から現れてほっぺを突く。
春はにこっと笑いながらイシュタルの指を握った。
「ン"ゥ"ッ"!!」
「ん?」
「んんっ、なんでもないわ」
「そ、そうか」
変な声を出して取り繕うが、だらしない顔をしている。
少しの間、春に構ってから後にする。
「ンンンン!!」
「出たな」
「酷い扱いでありますなぁ」
独特の笑い声と共に現れたのは道満である。
胡散臭さではカルデアトップクラスだ。
「拙僧にも春殿を抱かせて頂きたいのですが、宜しいですかな?」
「……」
「ンンンン!疑いの目!」
無駄に素早い動きでシャカシャカ動いて回る。
「変なことはするな。何があったら、分かるな」
「拙僧信頼無さすぎ?」
マシュから目線で構わないで許可を貰って道満に春を渡す。
「あいも変わらず小さいですな、なに、拙僧にお任せ……あ!春殿!おやめなされ!拙僧の髪を引っ張るのはおやめなされ!!」
それを見ながら何人かはにやにやと笑みを浮かべている。
ひとしきり道満の髪を引っ張って、式神で遊んでもらって満足したのかいつの間にかすやすやと寝息を立てていた。
道満は息を吐いてエミヤに春を預けるとぐちゃぐちゃになった髪を整えながら去っていく。
「エミヤさん、ありがとうございます」
「食べ終わったかね」
「はい」
食べ終わったマシュに春を返して、エミヤは食器を持ってキッチンの方へ。
ちゃんと朝にミルクをどれぐらい飲んだかを記録するのも忘れない。
以下、春君の食育記録である。
○*年一月二十日
記録 エミヤ
今日は初めての離乳食を食べさせてみた。
嫌がるそぶりもなく、綺麗に完食。
医療班曰くアレルギー等は無いとの事なので、色々な組み合わせを考えてあげたいものである。
⭐︎年八月十日
記録 ブーディカ
初めての固形食は、柔らかめにしたお肉とご飯、野菜スープ。
美味しかったらしくておかわりを要求してくるぐらい食べてくれた。
次は何が良いかな?
〆年十二月八日
記録 源頼光
歯が生えそろってきてむずむずするのか、噛みごたえのあるものをよく食べます。
最近のお気に入りはちょっと柔らかめに揚げたバナナチップス。
堅めの食感と甘さが良いらしい。
¥年二月十三日
記録 玉藻の前
食事において好き嫌いは無く、好きと大好きの二択になっていますね。
最近はあちこちでお菓子や飲み物、食べ物をこっそり貰っているらしく、偶にお腹いっぱいを誤魔化そうとするのはいけませんね。
みなさんにおやつなどをあげすぎないように、としっかり注意しておかないと。
♪年五月四日
記録 タマモキャット
春は小さいながらたくさん食べるのだワン!
この前はちょっとばかり食べ過ぎな気もしたようなしなかったような、育ち盛りだからヨシとしよう!