藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。 作:ジャーマンポテトin納豆
忙しいので投稿出来ていなかった事、申し訳ありません。
久々の休暇で急いで書き上げたので誤字脱字が多いかもしれません。
かなり短いのと31日に間に合いませんでしたが、どうかお読み頂けると幸いです。
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カルデアでのハロウィンと言うのは、例年毎年、訳の分からないヘンテコ騒ぎになるのが定番である。
そして今年もその例に漏れなかった。
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「もうやめてあげてよぉ……」
かの邪知暴虐な姉達を止めねばならないと。
横で泣き叫ぶ、エリちゃんを見て春君は思った。
そんな春君の目の前には、ただでさえ違法建築で名高いチェイテピラミッド姫路城が、その違法性を更に、より深くしたものが建っていた。
具体的に言うと、違法建築の更に上にスカディが新たに乗せたスリュヘイムの館と影の城が合わさった建物があった。
「姉さんなんでこんなことしたのさ!?」
「いやなに、物足りなさを感じてな」
「物足りなくない訳無いじゃん……」
悪びれもせずに言うスカディだが、やっぱり目立って春君に注目されたいと言うどうしようもない欲求故だった。
これのせいで、チェイテピラミッド姫路城は、チェイテピラミッド姫路城影の城館とか言う、もう本当に訳の分からないものに成り果ててしまった訳である。
昔は確かにチェイテピラミッド姫路城に目を輝かせていた時期もあったが、世間一般に触れた事でその異常性を理解した春君は頭のおかしい建築物と納得してた。
そこに、更に違法性を伸ばすだけの増設工事をしたならば、どうなるかは明らかだ。
と言うかチェイテ城なんて半分ぐらい潰れているし、ピラミッドもヒビだらけ、姫路城も上部分が潰れているのだから原型すら分からない。
「うわーん!私のチェイテ城がーー!!潰れちゃったじゃないのよー!」
隣で泣き叫ぶエリザベートの声に、若干鼓膜を破壊されそうになる。
「どうしてくれんのよ!どうしてくれんのよー!?」
スカディに掴み掛かったが、それでどうにかなる訳も無いのだから空しくへたり込むしかない。
「姉さん、なんかものすっごいナマモノいるんだけど」
「ふむ?私はそんなものを呼び出した覚えは無いんだが……。どうしてだ?」
何処かで見た覚えのあるような無いような、しっちゃかめっちゃかなナマモノやら魔獣なんかが発生しているし、と言うか感覚的にこれもう特異点になってるな、と春君は一人頷いた。
多分、姉さんの影響なんだろう。
あ、ティアマト姉さんが空飛んでる。
もう本当に訳分からない。
「これどうするの?」
『ハル』
「あ、エリカ姉さん」
昔からカルデアでオペレーターをしているエリカ姉さんから通信が入る。
多分、ここを観測したから通信を入れてくれたんだろう。
『また巻き込まれたっぽいけれど』
「うん、まぁ、スカディ姉さんがね……」
『何時も災難ねぇ』
「慣れっこだから大丈夫だけどね。それで、ここどうなっちゃった?多分、特異点になっちゃってるっぽいんだけど」
『そうね、微小特異点ってとこかしら。悪いんだけど、修復しておいてくれる?他の特異点と変わりはないから』
「分かった。そっちになんか影響とかある?」
『まぁ、巻き込まれたりでそっちに連れて行かれてたりするけど、特に問題は無いわね。存在自体もちゃんとあるし、修復してしまえば戻ってくるわ』
幾つか必要な情報を聞いて、通信を切る。
父さんと母さんは仕事でいないから両親の、と言うか父親のレイシフト適性100%と言うズルを受け継いだ春君には、特異点を修復する以外の選択肢は無い。
と言うか既に何度か、姉達の暴走によって出来た微小特異点を修復しているから、慣れたものである。
「元凶なのは、スカディ姉さんに間違いないんだけど……」
「この特異点の親玉って誰なのよ?」
「分かんない。スカディ姉さんからは全く何も感じないし、まぁ何時も通りどこかにいるでしょ」
大体、弟とイチャイチャしたいとか言う欲望に塗れた姉達が、漫画やアニメの悪の親玉宜しく居るものだと春君は考える。
と言うか今までの微小特異点もそうだったし、その度に兄達が巻き添えで被害を被っている。
中には漁夫の利を狙って焚き付けると言う余計な事をしてくれたおじさんやどこぞの教授だったりしたが、その場合は無視した。
「まぁ、でも、明らかにラスボス居そうなのはアレよね……」
「と言うかあそこにいなかったらおかしい」
エリザベートと春君は、遠くにある違法建築が増したゲテモノを見る。
あそこに間違いなく親玉と、何処から現れるのか分からないが聖杯もある。
「あ、スカディ姉さんは今回はもう何もしないで」
「なんでだ!?」
「この騒ぎを起こした張本人だからだよ!もう大人しくしてて!」
そう言われたスカディは不満そうに口を尖らせるが、これ以上春君に怒られたくないから渋々頷いた。
それから三人で特異点を歩き回った。
かぼちゃ頭の住民が暮らし、共食い宜しくかぼちゃを貪り食うヘンテコリンな町や村、お菓子で出来たエネミーや子供用品がいっぱいの家。
途中で溶岩水泳部、もとい愛が重めの姉達に揉みくちゃにされながらチェイテピラミッド姫路城影の城館へ到達した。
「うわぁ……」
「間近で見ると余計にゲテモノ感が凄いわね……」
「もうこれさっさと爆破解体しない?多分それが一番楽っぽいんだけど」
「だがそれでは特異点は修復出来ないどころか悪化してしまうかもしれんぞ」
「だよねぇ……」
違法建築だとか、もうそれどころではないモノを前に道中の珍事、奇々怪々な事が色々とあった春君は思考放棄気味だ。
春君は何となく悟っている。
多分これ、最近学校とかで一緒に居る時間が減ったことに不満がある姉さん達が共鳴して出来ているな、と。
まぁ、お陰で道中の戦闘と言えばナマモノエネミーや巻き込まれた上に従わされている兄達ぐらいだ。
姉達は何故かしっちゃかめっちゃかに好き放題されていれば勝手に満足してカルデアに帰って行ってくれたので、楽と言えば楽だった。
とは言え流石に特異点のボスともなれば一筋縄では行かなさそうだ。
城の中や外壁沿いに登ったり降りたり、転げ落ちたり吹っ飛ばされて登ったり。
なんでかドラゴンまで居て、大変と言えば大変だった。
そしてどうにかこうにか影の城に到達し、謝りながら斬り掛かってくるクー・フーリン達を下して大広間に。
何時ぞやに影の国に連れ去られて修行と鍛錬漬けの日々で見覚えのある大きな扉を押し開ける。
「待っていたぞ、ハル」
そこにいたのは、どっかで見覚えのある、目元を覆う仮面を被った長い金髪の兄だった。
「何してんの、キリちゃん」
「むっ、私はキリシュタリアなどではないぞ!」
「じゃぁ、なんなのさ……」
「ぬぬっ……、そうだな、キリちゃん仮面とでも名乗ろうか!」
「いやもうそれキリちゃんじゃん」
訳の分からない事を言っているキリちゃん仮面、もといキリシュタリア・ヴォーダイムは仮面を被ってばばん!とポーズを決める。
流石の春君も、もう面倒だしぶん殴って気絶させればこの特異点修復されないかな、と虚無った顔で思った。
とは言えキリシュタリアは今でこそ健康体になっているが、それでもまだまだ虚弱であることには変わりなく、春君の拳がまともに当たればスプラッタ間違いなしだ。
どうやらキリシュタリアはよっぽど決まっていると思っているのか、きらっきらに表情が輝いている。
確かに元凶はスカディだが、ここまでノリノリで親玉をやられるのは予想外だ。
「まぁ、うん、じゃぁ、キリちゃん仮面はどうしてこんなことを?」
「それは勿論最近、と言うかここ一年ぐらいまともにハルと過ごす時間を摂れていないのが不満だからだとも!」
その言葉は確かに嬉しいが、だったら普通に来ればいいじゃないかと。
基本的に春君の姉達を筆頭に、家族は斜め上方向にぶっ飛んだことをする。
今回も、普通なら休暇を取るなりして会いに来れば良いだけの話なのに、何故か特異点と言う方法を、与えられたものとは言えそれに乗っかって来たのだ。
多分、カドック兄さんが今頃胃痛に悩まされているかもしれない。
胃薬の摂取量が増えてなければ良いけど、今度身体に優しい薬を調合して送ってあげようと思う春君だった。
「お姉ちゃんもいるよ」
そんなやり取りの間に玉座の後ろからひょこっ、と顔を出したのはティアマトだ。
彼女もここ最近、学校生活や学校行事、部活の助っ人などが重なって春君と過ごす時間が少なくなったことに物凄く不満を持っていたから相乗りした口である。
とは言え二人とも特に悪さをしていると言う訳でもなく、ただ単純に、純粋かどうかは別として愛して愛して止まない弟と過ごしたいだけなのである。
「えーっと、取り合えず特異点を修復しなくちゃならない訳なんだけど」
「うむ、それならば戦う必要も無いな!」
まぁ予想していた事ではあるが、特異点なのに戦わずして修復出来るとはこれ如何に。
その後春君は二人とスカディ、エリザベートと共に特異点の中の時間で数日ほど、のんびりゆったり過ごすことになった。
無事特異点の修復が終わった後はそれぞれカルデアに、キリシュタリアは元居た場所に帰ったのだが、これがまた一騒動を生むことになる。
水入らずで過ごしたことを羨んだ面々が騒ぎを起こしたのだが、それはまた別の話。