藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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ここで語られている事はあくまでもこの世界でだけの話ですので、本編とは関係ありません。









閑話集
間話 もしもハイスクールD×Dの世界だったならば


 

 

 

駒王学園。

それは悪魔の魔王が運営する学園。

 

そこには今、魔王の妹や今代の赤龍帝と言った大物が通っている。

そしてその中に我らが春君も含まれていた。

 

 

 

 

「藤丸ー!」

 

「イッセー」

 

父親譲りのコミュ力EXを発揮し誰とでも仲良くなれるそれは、ここでも全力で発揮されていた。

 

種族問わず、割と当たり前の様に仲良くなれるその才能は身内だけに発揮されているものではない。

初対面であろうと大体仲良くなるし、誰もが口を揃えて友人と言うほどだ。

 

当然、身内たる気難しい姉達にも発揮されている。

でなければ毎日毎日揉みくちゃになるほど可愛がられている訳がない。

 

 

毎日の日課である早朝鍛錬を終えて学校に走って向かう道すがら、友人代表たる兵藤一誠の自宅前を通り掛かり出会う。

 

自宅がある山から学校まで凡そ三十km。

それぐらい離れて居ないと山が無く、そしてシュミレーター以外に十分に鍛錬出来る場所を確保出来ないからだ。

まぁ山一つぐらいでは当然の如く足りないので金ピカ王達が辺り一帯の山々を買い上げているのでこれと言って特に問題は無い。

 

毎日の鍛錬や、長期休暇になれば首根っこを引っ掴まれ連れて行かれ、山や孤島、雪が降り積る山や森に放り出されるのは当たり前、特に酷い時は亡霊犇く影の国、魔獣やら凶暴な獣犇く鍛錬の為だけに作られた特設会場で延々と思うほどの連続大狩猟とでも言うべき鍛錬、神話や伝説、歴史にその勇名を轟かせる姉兄達との直接の打ち合い鍛錬で身に付けた体力からすれば息を乱すことすらない。

 

影の国ほどにもなると足を一瞬でも止めようものならあの世行きであるからだ。

最初は幾らか亡霊達を間引いた状況で、それから少しづつ数を増やしていき今では軍勢レベルで押し寄せる数の相手を丸々一週間戦い続けたり。

 

ワイバーン、ドラゴン、魔猪、デカいヤドカリ、海魔とエネミーオンパレードの特設会場でひたすら槍や剣、刀や盾を振るい続け、弓や銃を引き続ける。

そんな現代人からすれば想像も付かない様な鍛錬を小さな頃から徐々に積み重ねてきたのだ。

 

 

「おっす、今日も走ってんのか」

 

「家から学校までだから大したことないよ」

 

「お前ん家から学校って、割と距離あるだろ」

 

「全然?」

 

変わらずのある意味で非常識っぷりには呆れるしかない一誠。

 

「それじゃ、先に行くね」

 

「おう、学校でな」

 

見送るととんでもない速さで走り去って行く友人の背を見ながら頭を掻く。

そしてぽつりと言った。

 

「本当に、こっち側の人間には見えないよなぁ……」

 

そう呟きながら、リアスから聞いた話を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「イッセー、貴方藤丸君と同じクラスよね?」

 

「そうっすけど、それがどうかしたんですか?」

 

「彼とは絶対に敵対しないように。何があってもね」

 

「それってどう言う事っすか?」

 

「イッセーは悪魔になって日が浅いから、知らなくてもしょうがないさ」

 

言われた意味が分からず?マークを頭上に浮かべるイッセーを木場祐斗が苦笑いで言う。

 

「彼はこちら側の人間よ」

 

「は?」

 

「驚くのも、無理無いさ。何も無ければ人畜無害を地で行くような性格だからね、そんな片鱗欠片も無い」

 

「ちょちょっ、藤丸がこっち側の人間って、悪魔って事ですか?」

 

「違うわ。彼は正真正銘人間よ。まぁ、半神半人みたいな要素もあるみたいだけれど」

 

「それって神様の子孫とか……?」

 

「違うわね。ちゃんと説明するから」

 

リアスが紅茶を一口飲み、話し始める。

 

「イッセーは空白の一年、と呼ばれる期間があるのを知っているかしら?」

 

「なんすかそれ」

 

「空白の一年、って言うのは大体二十年ぐらい前にあった、文字通り一年と言う期間、世界中の悪魔、人間、天使、堕天使、神、全ての存在に記憶に無い期間があるのよ」

 

「なんすかそれ……」

 

「まぁ、貴方の両親世代とか先生達なら知っているけれど、イッセーぐらいの年代なら仕方が無いわ。私だって未だにそんな事があっただなんて信じられないもの」

 

「それで、その空白の一年ってのはなんなんですか?」

 

「細かい事を話せばキリが無いからザックリ説明するけれど、この期間に人理焼却って言う出来事があったのよ」

 

「人理焼却、ですか?」

 

「簡潔に言うとタイムマシンで時間を遡るために熱量、エネルギーがいるから人類史3000年分を燃やして熱量を確保して、惑星そのもの作り替える計画よ」

 

「それって……」

 

「えぇ、もし人理焼却が成っていたら私達どころか貴方の両親も、神ですら消えるわ」

 

「でも俺達が居るってことはそうならなかったって事ですよね?」

 

「えぇ、その通り。そしてその人理焼却を阻止したのが、藤丸春のご両親よ」

 

「……………うぇぇぇぇっ!?」

 

それを聞かされて驚きの声をあげる。

自分の友人の両親が文字通り世界を救ったと聞かされたら誰だって驚く。

 

「でも、それじゃ藤丸を敵に回すなってことにはならないんじゃ……」

 

「いい?彼の両親が世界を救った、って言うのは物語みたいな単純な話じゃないのよ」

 

「はぁ……」

 

「さっき言ったでしょ?神ですら記憶が無いって。って言うことは、神ですら人理焼却を前にして一度死んでいるのよ」

 

それでもイマイチ分かっていない顔のイッセーに木場が説明する。

 

「要は、神様の命も救った、ってことさ」

 

「あぁ、なるほど」

 

「神様が人間を救うことは珍しくもなんとも無いけど、人間が神様を、それも命を救うだなんてまず有り得ない。だからこの世界の生物は後にも先にも全員が命を救われた、ってことになるんだ」

 

「しかも一柱二柱の次元じゃない。世界中の、ありとあらゆる全ての神々だからね」

 

「……すげぇ」

 

「だから、彼の両親は神々に特別扱いされてるのよ。もし敵対したら最悪、世界中の神話が同時に敵対することになるわ」

 

藤丸夫妻が成し遂げた功績は余りにも大きい。

大き過ぎるのだ。神ですらまさか命を救われるだとは思っていないものだから、何を礼とすれば良いのか分かったものではない。

 

そこで各神話は彼ら夫妻とその家族、友人の身の安全を確実に保障し、味方であるとしたのだ。

それならば下手に世界に悪影響がある願いや物品を強請られるよりはマシだからだ。

 

とは言えそれぐらいでも足りない程だが、そもそも礼を受け取る気が無い藤丸夫妻は、と言うより夫の方がある意味では失礼であろうが、その事をすっかり忘れていた。

 

遠くの親戚より近くの隣人、とでも言おうか。

 

もし敵対関係になれば聖書勢力だろうとなんだろうと関係無く、この世から消え去る事になるのは間違いない。

 

魔術協会が消えていないのは単にいつでも消せる、そして現状春を溺愛し過ぎている姉達をどうにかこうにかマスターが言い包めて暴走しないようにしている、ただそれだけに他ならない。

 

もしマスターが手綱を離し、好きにやらせたら冗談抜きで国が一つ二つぐらいは滅びかねないし、なんなら新しい国を春の為だけに建国しかねない。

 

 

 

 

「それに彼、人理を守る戦いの道中で両親と共に戦った神や英雄豪傑達に溺愛されてるわ。それはもう、ね。正直、神話が敵対しなくてもご両親の組織に属してる神や英霊達だけで世界を余裕で何度も滅ぼせるぐらいよ」

 

「そんなにヤバいんすか……」

 

「授業参観によく押し寄せてくるわ。その度に気が気でないのよ」

 

「あー、確かに藤丸の姉ちゃん兄ちゃん達物凄く目立ってたな」

 

そう言うリアスの顔は、本当に心底疲れている。

因みに三日ほど前にも授業参観があり、百人単位で訪れていたので物凄く目立っていた。

 

因みにイッセー含めた三馬鹿はそれを血の涙を流しながら羨ましがっていたと言う。

 

「でも神様っつってもそこまで大逸れた神様居ないんじゃ?」

 

「甘い、甘いわイッセー」

 

「えっ」

 

「取り敢えず私が知る限りだけでも日本神話とアステカ神話の主神が彼を溺愛してるわ。他の神を数えたらキリが無いわね」

 

その二柱、みこーん!だったりルチャの神様と勘違いされていたりする。

ティアマトはその存在が本来ならば虚数空間に居なければならない、居てはならないのに居ると言うことで本気で秘匿されている。

 

イッセーはそれを聞いて空いた口が塞がらなくなった。

そして明日からどんな顔で会えば良いのか、と一人問答していた。

 

「それに、藤丸君自身も尋常じゃないぐらいに強いらしいわ。実際には見たこと無いけれど彼、どうやら女神の乳を飲んだらしいから」

 

「あんな美人の姉ちゃんに囲まれて暮らしてるだけじゃなく、おっぱい吸い放題だと……!?チックショー!」

 

自分の夢を中ば叶えている様にも思える友人に、唖然となり、絶望し、そしてふつふつと怒るイッセー。

 

少し落ち着くまで時間が掛かった。

 

 

「でも神様のおっぱい飲んだって、それが何か凄いんすか?」

 

「神の体液は、大体の場合とんでもないものなのよ。ヘラクレスって知ってる?」

 

「名前だけなら……」

 

「ヘラクレスが不死になったのは女神ヘラの母乳を飲んだからよ」

 

「ってことは、藤丸も……?」

 

「ヘラクレス以上に女神達から母乳を与えられているからそうなるわね。不死かどうかは分からないけれど、少なくとも何かしらの力を得ているのは間違いないわ」

 

「木場、もし藤丸と戦ったら勝てるか?」

 

「無理だね。どれだけ周到に準備しても勝てる想像が出来ない」

 

この中で、潜在能力は抜きにして単純な武力ならば一番強い木場ですら首を横に振ったのだ。

イッセーは信じられなかった。

 

「まぁ、そんな訳だから友人として付き合うのは良いけれど、決して敵対しちゃ駄目よ。良いわね?」

 

リアスがそう締め括り、この場での話は終わった。

 

 

 

終わったのだが、彼らがまさかの形で春と大きく関わる事になろうとは誰も考えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

幾らか日が経った時。

 

一悶着あり、ライザー・フェニックスと戦う事となったオカルト部の面々。

正直なところフェニックス側に圧倒的有利な状況での試合である。

オカルト部は数では負けている、フェニックスの涙は無い、経験の差は凄まじい、と普通ならオカルト部側がハンデを付けて貰うのが常識だがなってしまったのは仕方が無い。

 

しかし試合まで十日しかなく、これでは負けるのは目に見えている。

幾ら今代の赤龍帝であるイッセーや木場がいるとはいえ、戦闘経験は相手と比べれば皆無に等しく、しかもイッセーに至ってはその能力を殆ど使えない状況であると言っても過言ではない。

 

「取り敢えず、特訓しましょう。やれるだけのことはやらないと」

 

「……それなんすけど、藤丸になんか稽古付けてもらうとか、それが無理なら藤丸の姉ちゃん達になんか頼めないもんなんすかね……?」

 

「イッセー君、それ本気で言ってるのかい?」

 

「まぁ、頼まれてくれるとは思っちゃいないけど頼むだけ頼んでみないか、ってぐらいだけどさ」

 

「確かに、彼や彼のお姉さん達の協力があれば、とは思うけれどこれは私達の問題。巻き込むのは……」

 

正直言えばもし教えを乞う事が出来るのならばそれに越したことはない。

しかし理由は幾つかあるが、頼み辛いと言うのも実際のところだ。

 

「でも、このままじゃ部長があの鳥野郎と結婚させられちまうじゃないっすか!」

 

「…………」

 

「俺、藤丸に話聞いてくる!」

 

「ちょっ、イッセー!?」

 

居ても立っても居られなくなったイッセーは走り出す。

向かうは友人の元。

 

今の時間は週に一度ほど各部活、主に武道系の部活に助っ人、では無いが顔を出している筈だ。

多分、昼飯の時に今日は剣道部に行くから、と言っていた。

 

因みに部活に入ることは出来ないが、助っ人は許されている。

理由は手加減を覚えるためだ。

 

剣道場に向かうとそこにはハンデとして数十kgもある防具を身に着け、竹刀を振っている友人の姿が。

それでも周りより遥かに疾い速度で竹刀を振るい、立て続けに判定を取っていく。

 

「藤丸っ!」

 

まだ互いに打ち合っている最中だったが勢い余って声を掛けてしまった。

 

するとパンッ!と音を鳴らしながら竹刀を横に払い、胴を持っていく。

礼を行なってから、

 

「それじゃぁ、ちょっと休憩」

 

一言言ってイッセーの下へ駆け寄ってくる。

どちらにせよ、剣道部の部員の疲労の様子ではこれ以上続けるのは無理だから丁度良かった、と言いつつ外へ。

 

「どうしたの、こんなとこに来るなんて珍しいね」

 

「ちょっと頼みがあるんだけどさ、話聞いてくれるか」

 

「別に良いけど」

 

一息深呼吸を入れて。

 

「俺達を鍛えてくれ!」

 

「は?」

 

いきなりそんな事を言われて思わず気の抜けた声が漏れる春だった。

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、要は兎に角イッセー達を鍛えればいいってことで合ってる?」

 

「あぁ」

 

「いいよ、別に」

 

「無理なのは分かってる。だけどどうにかなんーーーーー、良いのか!?」

 

必死に頼んだが、あっさりと了承されてしまった。

普通に断られるものだとばかり思っていたからなんだか拍子抜け、である。

 

「まぁ、姉さん達が許してくれたら、だけど流石にこれぐらいは許して貰えると思う」

 

「そ、そうか!ありがとう!」

 

「いいよ、気にしなくて」

 

人好きのする笑みを浮かべて言う。

持つべきものは友人だ、と心から思った。

 

 

 

 

 

「そう言えば、俺が悪魔だって言っても驚かなかったけど、どうしてだ?」

 

「え?そんなの多分イッセーが悪魔になった日に分かったよ?」

 

「え?」

 

「だって魔力の質って言うか、色々全然違うし。あんなに変化あったのに見抜けなかったら姉さん達に怒られちゃうよ」

 

「ってことはリアス部長とかの事も?」

 

「うん、知ってるよ」

 

さも当然、と言わんばかりにケロっと言った春。

実際、入学の時に姉達から彼らには気を付けなさい、と名簿を渡されていた。

それで知っていると言うのもあるが、春自身が魔力の感知に長けていたこともある。

 

普通、魔力と言うのは誰でも持っている。

人間と悪魔や天使達の違いは生まれながらに持っている魔力量の違いだ。

 

と言うことは、漏れ出る魔力の量も比例していく。

抑えたりすることも出来るが、少なくともこの学園にいる者達は出来ない。

 

それが他とは段違いだったからしっかりと記憶していたのだ。

 

とは言えイッセーに関しては保有魔力が下手をすれば子供以下しかない。それでも悪魔であると分かったのは単純に人間じゃないな、と感じたからである。

侮る事無かれ、亡霊やらなんやら相手に鍛錬してきたのだ、当然中には人間に擬態する様なのもいる。

見破る事が出来なければ、寝首を掻かれかねないからその辺はしっかりと叩き込まれているからわかったのだ。

 

 

 

 

 

 

「それじゃぁ、ちょっと待ってて。連絡して聞いてみるから」

 

携帯片手に少し離れていく。

 

「もしもし姉さん?」

 

『どうしたのハル!?何かあった!?』

 

電話に出たのはマルタ。

お姉ちゃん達の中では割と常識人寄りである。

 

が、期待しない方がいい。

 

「何も無いから安心してよ。そんな心配しなくても大丈夫だからさ」

 

『学校に居ても普段電話掛けてこないのに急に電話掛けてきたら心配するでしょ!』

 

「ごめんって」

 

『それで、何かあったの?』

 

「ちょっと十日ぐらいなんだけど、友達達の特訓に付き合っても良いかな?」

 

『どう言うこと?』

 

「えーっとね」

 

そして経緯を説明する。

 

『ちょっと待ってなさい。皆に聞いてくるから』

 

「うん、ありがとう」

 

『良いのよ』

 

十五分ほど待っていると、再び電話から声が聞こえてくる。

 

「どうだった?」

 

『皆不満そうだけど、取り敢えずOKよ』

 

「本当?」

 

『本当よ。まぁ、場所とか日時は細かく教えること。あんたのことだから大丈夫だとは思うけど、万が一があるから』

 

「ありがとう、姉さん。それじゃ一回家に帰って荷物取りに行くから。じゃあね」

 

『ん』

 

電話を切り、イッセーの方を向く。

 

「オッケーだってさ」

 

「よっしゃぁっ!」

 

「それじゃ、皆に言って荷物纏めて持って来させて」

 

「おう」

 

「あ、言っとくけど山籠りするから、十日分の荷物は全部しっかり持ってきてね。忘れ物しても取りに帰れないし帰さないよ」

 

「分かった。他になんか用意しとくものは?」

 

「自分の武器とか、自分が山籠りサバイバルに必要だって思ったものは持ってきていいよ。生存力を上げるわけじゃないから縛りは無し。そしたら夜の十時ぐらいにまた学校で会おうか」

 

「分かった。本当にありがとうな」

 

「うん。それじゃまた後で」

 

そう言って別れた二人だが、イッセー達には断られた方がマシだったかもしれない、と後日ボヤく羽目になるほどの地獄に叩き落とされるとはこの時は欠片も思って居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、本来ならば学校にあるはずのない人影が幾つか。

 

「ねぇ、イッセー、また聞くけれど本当に了承してくれたの?」

 

「間違いないっす。藤丸はそんな悪質な嘘とか冗談を言うような奴じゃないんで大丈夫っす」

 

そう会話していると。

 

「お待たせしました」

 

春が到着した。

 

「藤丸君、こんばんわ。今回は本当にありがとう」

 

「いえ、気にしないでください。これも一応俺の鍛錬も含まれているので」

 

「鍛錬?」

 

「はい、手加減を覚えるって言う鍛錬です」

 

冗談の様なことを言う春に、皆が首を傾げる

それはそうだろう、幾ら強いとはいえそこまで実力に差があるとは考えていないからだ。

 

実際にはかけ離れているのだが、それを知るには実際に手合わせをしなければ分からない。

 

「……えーっと?」

 

「大丈夫、死なない限りなんとかなるから。それじゃ行きましょうか」

 

聞こうとした木場を尻目に、藤丸家所有の山に向かって車を走らせる。

因みに運転はカーミラである。

 

それぞれ挨拶済みだ。

 

「取り敢えず、説明しますね。今から向かうのは兄さんから借りた山です。結構派手にやっても姉さん達が色々施してくれたから大丈夫」

 

「大丈夫って、何が?」

 

「んー、音とか気配とか。派手にやったら爆音とかするでしょ?そう言うの気にしないで大丈夫ってこと」

 

「普通爆音なんかしないと思います……」

 

小猫が言うと春はえ?と首を傾げる。

 

「え?そうなの?」

 

「はい」

 

「そっかー、まぁ、じゃぁ今回はそうなるって事で」

 

なんとなくこの時点で不穏な気配を感じた面々は少しばかり後悔し始めていた。

 

説明をしつつ、山に到着。

 

「ありがとう、姉さん」

 

「えぇ、それじゃ気を付けてやりなさいね」

 

「うん。おやすみ」

 

「おやすみ」

 

皆の目の前で普通にハグし、キスまでしている二人だがいつも通りである。

結局のところ、春自身もお姉ちゃん大好きお兄ちゃん大好きであるし根っこの性格が甘えん坊である。

なんだかんだ言いつつこうするのが好きなのだ。

 

 

 

 

 

「じゃぁ、早速やろう、って言いたいとこだけど取り敢えず寝床、作ろうか」

 

「「「「「「えっ」」」」」」

 

「多少適当でも問題無いかな、凍死しないし。じゃぁ、取り敢えずやり方教えるから、あとは自分達でやってね」

 

姉から受け継いだ、「やれ、出来ぬなら死ぬのみ」と言う教えの元、 進めていく春。

実際、鍛える時間がないことからやり方は間違っていない。

 

時間があれば一から十をしっかりと教え込めるが、何せ明日から数えて十日間と時間が無い。

ならば場数を踏み、強引に、無理矢理に実力上げを行うしかない。

 

三時間後、ひーこらひーこら言いつつそれぞれの寝床を作り上げた面々は手早く食事を済ませて疲れた身体を横たえ眠りに付いた。

 

 

 

 

 

翌朝、少し遅めの十時に自分の鍛錬を既に終えた春に起こされた。

食事も焼いた肉と水のみ、と言う簡素なものではあったが用意されていた。

 

「それで、具体的にはどうするのかしら」

 

「兎に角、今日一日は皆の実力を測る。明日からは場数を踏んで貰います。やるからには勝ってもらわないと、姉さん達の名前に傷が付く」

 

「もし負けたら……?」

 

「んー、俺も皆も鍛え直しかな?」

 

ケロッと言ってのける辺り、やっぱりシスコン。

因みに勝った場合はそれで済むが、負けた場合春含め全員が師匠軍団による地獄に送られる事になる。

 

「一対一?」

 

「最初の方は実力見たいから一対一でやるけど、少ししたら多対一でやる。それに、アーシアさん、回復出来るんだよね?」

 

「は、はい」

 

「じゃぁ、ゾンビ突撃だね」

 

「ぞ、ゾンビ?」

 

「うん、皆はひたすら俺と戦って倒れたらアーシアさんが回復してまた戦う。だからゾンビ突撃」

 

少し考えながら、プランを組み立てて行く。

それを聞いて耳を疑うグレモリー一派。

 

「でも、藤丸は大丈夫なのか?俺達全員を一斉に相手して」

 

「うん、大丈夫大丈夫。だってーーーーー」

 

実力を疑う訳では無いが、流石に、幾らなんでも全員を一斉に相手出来るものなのか、と聞くイッセーだが。

 

その一瞬の後、スカサハから授けられた深紅の朱槍の鉾先が木場とイッセーの首に寸止めで当てられる。

しかもその鉾先は、寸分も揺れずに固定されている。

 

「今の、誰も反応出来ないでしょ?」

 

「「ッ!?!?」」

 

「今のを反応するか、防げたら一対一にしようか考えたけど、反応すら出来ないんじゃ無理だよ。多分、鍛錬にすらならない」

 

実際、誰一人として春の振るう槍に反応出来なかった。

寧ろ反応出来たならば態々こんな山籠りまでして鍛錬などしなくても今回のレーティングゲームは勝てる。

 

春の実力は、確かにカルデアで数えれば下の方だろう。

とは言えそれでも外に出ればそこらの悪魔や天使ぐらいなど全く敵わないぐらいには強い。

実際、理由は多々あるが相手が姉兄達ほどの実力を持っていなければなんとでもなる。

とは言え姉兄達の中には神殺し、神をも殺して見せたとんでもない力の持ち主揃いで、神ですら殺してみせる様な面々だ。

それと比べるのもおかしな話なのだが。

 

魔王クラスならば勝てるだろう。

更に言ってしまえば悪魔達の魔王とは自称魔王、みたいなところがあるが、春の姉の一人であるカーマは仏教における本物の魔王である。

そんな姉に手加減ありとは言え、魔王クラスの数段上である力で戦う相手に食らい付く程度の実力があるのだから自称魔王に負けるべくも無い。

 

驚くべきは未だ姉兄達をも舌を巻くほどに成長の伸び代があることだ。

その伸び代を更に伸ばすべく日夜鍛錬に励んでいるのだ。

ところが同年代どころか姉兄達以外に春が全力を出して打ち合える存在が同じ人類、と言う括りで見た場合殆どいない。

 

当然自分よりも遥かに強い存在しか知らない春がそんな時に、兄姉達以外と何かの拍子に打ち合う事になったら目も当てられない。

そこで部活に属するのではなく偶に助っ人程度の立ち位置で参加し、加減の仕方を覚えろ、と言われたのだ。

 

最近は生身の人間相手にも怪我を負わせる事も無く練習などを行える様になったが今回は人間ではなく人間よりも頑丈で強い悪魔や天使が相手でも、出来るようにする為に許可された。

もし何かあってふとした拍子に戦う事になり、うっかり殺してしまいました、では色々と不味い。そこで撃退出来る程度の力加減が出来るようにした方が良い、と言うことで許可が出たのだ。

 

勿論相手方の心配なぞ仕掛けて来た方が悪い、と言うことで姉達は容赦せんでもいい、とか言っていたがそれが理由で世界をティアマトが創り変えようなんて言い出したら目も当てられない。

 

 

 

 

 

 

寝床から離れた場所に歩いて行き、幾らか開けた平地に出る。

 

「それじゃぁ、早速やろう!全員、自分の全力を出して挑んでね」

 

それからと言うもの、一人づつ春と打ち合った。

しかし誰一人と一撃を与えることは叶わず、それどころか何度も加減の調整を誤ったと言って春がどんどん加減して行くのだ。

 

アーシアに至っては全員の回復をし続けたせいで疲労困憊でひっくり返っている。

 

「強い……っ」

 

「うーん、そうだなぁ」

 

少し考えて、はっきりと言い放った。

 

「皆、甘いね」

 

「あ、甘い?」

 

「うん。フェニックスと戦うんでしょ?当然、空を飛ぶわけだ」

 

「そりゃぁ、そうだけど」

 

「だけど全くと言って良いぐらい見通しが甘い。そこらに飛んでる鳥どころか山野に住んでる動物だって武器を向けられたら必死に走り回る。狩りって言うのは皆が思っているほど簡単なものじゃないんだ。なのに、野生動物よりももっと深く考えて行動してくるフェニックス相手にこの程度で挑もうなんて、はっきり言って甘い」

 

この時グレモリー一派が考えていた作戦とは、赤龍帝の籠手で攻撃を倍化しぶちかまそう、というものだった。

しかし彼らはどうやって当てるのか、と言う肝心なところを全く考えていなかった。

 

誰だって見え見えの攻撃を喰らう様なことはしない。

少なくとも、鍛錬をしないままでの実力では策を十、二十と用意し、破られた場合の予備のプランを更に十数考えておかねばどうやっても当てることなど出来なかっただろう。

 

そこのところの考えが甘い、と春は断言した。

 

「現に相当手加減してる俺にすら攻撃を一度も当てられていない。一対一ってのもあるだろうけど、これじゃ多対一だって結果は変わらないと思うよ」

 

その意見に誰も反論出来なかった。

一日中やって、どれぐらいの実力があるのか、どれぐらい手加減をすれば良いのかを見極めつつ戦っていたが春は思っていたよりも弱いことに驚いていた。

 

悪魔だと言うから、悪魔と言えばメフィストフェレス兄さんかな、と勝手に考えていたと言うのもあるが、それを差し引いても、である。

メフィストフェレスは、あれはあれで十分規格外であるので同一視されたグレモリー一派には同情せざるを得ないが。

 

「イッセーが力を溜め切るのに数分ぐらい掛かるし、その間にフェニックスが同じ場所や射程内にいる?撃てたとしても攻撃を当てられる?それかイッセーが力を溜め切るまで人数差がある相手に一人も欠けずに持ち堪えられる自信がある?」

 

誰も答えられなかった。

言われてから全員が考えたが、どうやっても当てられるとは思えなかったからだ。

 

「それと、姫島先輩」

 

「え?」

 

「俺、全力で戦ってくれ、って言いましたよね?なのに、なんで全力を出さないんですか?」

 

「それは……ッ」

 

「全力を出している、とは言わせないですよ。それぐらい俺でも分かる」

 

「藤丸君、それはーーー」

 

リアスが何か言い掛けるが、春は止まらない。

 

「どんな理由があるかは知りませんし、聞きません。けれど、やるからには覚悟決めてやって下さい。持てる力を全部使わないで挑んで勝てるほど相手も甘くない」

 

「これを聞いて、自信を無くして逃げるでも、強くなる為に死ぬ気で向かってくるでも良い。皆がどうするかは自由。さぁ、どうする?」

 

強くなりたいと言うのであれば、それ相応に真摯に向き合え。

暗にそう言っているのだ。

 

最後にそう言い切り、その日の鍛錬は終わった。

 

 

 

 

 

 

寝床に戻ったグレモリー一派の空気は重かった。

何せ自分達の実力に少しは自信があったのに、その鼻っ面を同年代で、しかも温厚で誰とでも仲が良いと評判の人間に全面否定されたのだ。

 

必死に殴りかかり、斬り掛かり、持てる技を放ったと言うのに一度も攻撃は当てられず、それどころか一瞬の内に懐に潜り込まれ吹っ飛ばされる。

もしこれが本当の殺し合いならば、自分達は何度死んだ事だろうか。

 

春が運んできた食事を食べ進める速度も遅い。

 

「俺って、弱いんだな」

 

「イッセー?」

 

「ライザーの野郎に、大見栄切って、部長守るとか言ったくせに、全く駄目だ」

 

拳を握ってイッセーは言う。

 

「イッセー君……」

 

「悔しいけれど藤丸君が言ったことは、事実ね。私の見通しが甘かったのもそうだし、実力も足りていない。どうやっても今の私達じゃライザーに勝てない」

 

「あぁクソ!」

 

ヤケクソの様にイッセーは肉に齧り付く。

 

「こんな時でも腹減ってんだな、なんか何時もより肉が美味いや。……よっしゃ、明日は藤丸に一撃入れてやる」

 

それでも目は死んでいなかった。

それどころかやってやると闘志を剥き出しにして明日こそ、と息巻いているのだ。

 

「……そうだね。明日は、僕も一撃入れてやろう」

 

「私も、です」

 

「か、回復はお任せ下さい!」

 

それに感化されたように、皆が奮起する。

姫島朱乃、その一人を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「それじゃぁ、今日も頑張ろう!」

 

「今日からは全員でやるのよね?」

 

「はい」

 

「藤丸君」

 

「はい?」

 

「その前に、一度だけ、私とお願い出来ませんか」

 

その顔は何やら覚悟を決めたような顔付きである。

春はちらりとリアスを見て頷いたのを確認し、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……!はぁっ……!」

 

「うん、これぐらいにしましょう」

 

「はぁっ…、うっ、何も、聞かないんですの?」

 

「んー、まぁ昨日、覚悟決めたんでしょう?なら、取り敢えずそれでいいです」

 

昨日、自分の知られたくない秘密を容赦無く暴き、皆の前で詳細には言わなかったが言い放った本人とは思えない。

 

しかしながら春の中で、あくまでも鍛錬に全力を出してくれさえすれば良いのだ。

そこに他の理由は無い。

 

 

 

「じゃ、始めましょう」

 

少しの休憩の後、その一言と共に鍛錬が本格的に始まった。

 

 

 

 

 

 

山の中に幾つもの魔術や剣戟が飛び交う。

 

その殆どが春に向けられて放たれたものであったが、そのどれもが春を捉えることは出来ないで明後日の方向へ飛んでいく。

 

「ぐぅっ!!」

 

近距離でやり合っていたイッセーと木場が一瞬の後に意識を刈り取られる。

それを見て、小猫が飛び出し二人を回収すると、援護の為にリアスと朱乃が放った魔術が飛んでくる。

 

しかしそれを難無く避け、ルーンを刻み飛ばす。

ただのルーンでは無い、スカサハやスカディ達から直接教え授かった原初のルーンである。

詠唱速度も威力も折り紙つきだ。

 

とはいえ本気でやろうとしたら肉体が耐えられない為に随分と威力は落としている。

 

火を使うのは山の中であるから躊躇われるが、氷ならば問題ないとバンバン飛ばしてくる。

 

頑張れば避けられる程度に加減されたそれは飛んでいき、地面に落ちると衝撃を撒き散らす。

土煙と衝撃波、それと少しの爆発に巻き込まれながら転がりつつ、それでも避けた二人は自分の視界に春がいない事に焦る。

 

その一瞬を使って真後ろにまで移動した春は槍を振るう。

それを戻って来た小猫が拳を振り上げて避けさせる事でリアスと朱乃が退場することを防ぐが返しに小猫が槍の柄で殴られて昏倒する。

 

するとアーシアによって回復を終えたイッセーと木場の二人が接近戦を挑んでくる。

それを受けつつ、リアスと朱乃の放つ魔術を盾のルーンで平然と防ぐ。

 

 

十数ほど剣戟を交わし木場を、そして槍を空中に放りイッセーを拳で沈める。

落ちてくる槍を受け止めてリアスと朱乃の元へ詰め寄り倒す。

 

「はい、終わり」

 

四人を叩き起こして、癒しのルーンを刻み回復させ、アーシアに引き渡す。

 

これでも随分と手加減し、全員で連携すればまぁ一撃ぐらいは与えられる、と言うほどにしている。

 

 

 

 

 

数日後。

全員の成長であるが、これまた春は随分と驚かされている。

と言うのも、数日間の鍛錬で分かったことだがグレモリー一派のポテンシャルが高い。

 

それに加え、やるかやられるか、と言う状況に無理矢理叩き込んだお陰もあって目覚ましい成長を遂げている。

流石に魔王クラス、とまでは行かないが今現在のところ上級悪魔程度には加減を引き上げているほどだ。

 

少しの休憩を挟んだ後、すぐに鍛錬が再開された。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

十日後。

レーティングゲーム当日、グレモリー一派の顔付きや面構えは随分と変わっていた。

 

当然と言えよう。

死なないと分かっていても、殺気を纏った槍や剣、矢が向かってくれば誰だって必死になって回避する。

死ぬと分かっていてむざむざやられるような奴は居ない。

結局グレモリー一派の成長速度が恐ろしく早かった為に最終的に最上級悪魔の中でもトップクラスと同程度にまで加減を下げていたのだ。

 

流石に魔王クラス、とまでは行かなかったが、それでもフェニックス相手にならば問題無く戦えよう。

 

会場には大勢の悪魔達が集っており、鍛錬終わりに付いて来た春に注目が集まっている。

因みに顔を出していないだけで周りに霊体化した数人のアサシン‘sが居る。

 

 

 

 

 

レーティングゲームが開始された直後から次々と戦闘不能、とアナウンスが入ってくるがそのどれもがフェニックス側のものである。 

 

「弱い者いじめってつまらないんですのね……」

 

電撃を放ってまた一人脱落させた朱乃は地獄とも思えるほどの十日間に目を遠くしながらぽつり、とそう漏らした。

なんせ鍛錬の最後の二日ほどは放ったルーンが追尾してくる様にされたのだ。

 

一度避けたぐらいでは思いっきり背中から衝撃を喰らい、避けることに夢中になってしまったらそれはそれで接近されて終わり。

そんな毎日を山の中で過ごさざるを得なくなり、精神的にも身体的にもこれ以上無いだろうと思うぐらい追い詰められたのだ。

 

 

 

イッセーに至っては赤龍帝の籠手で禁手を使えるまでになっていた。

流石に赤龍帝の鎧までは至っていないが、それでも何かきっかけがあれば解放出来るまでに成長している。

 

他の皆も実力そのものが大幅に上がった他、何らかの力を得た者もいる。

 

当然、勝てるとばかり考え自分達の実力を過信していたフェニックス一派は十日間特に何がする訳でも無く。

 

自分達より下だと思っていた相手に味方がどんどんやられていく。

それは心理的にも大きな影響がある。

慌てて対策しようとするも、時既に遅し。

 

暫くすると、フェニックス一派の眷属全員が退場した。

残るはライザー・フェニックスのみ。

イッセーと一騎討ちである。

 

とは言え、顔面を思いっ切りぶん殴られて歯や顎が砕けた、としか言えないのだが。

 

 

 

 

「お疲れ様、それとおめでとう」

 

「おう!」

 

春が拍手と共に出迎え、祝う。

 

「藤丸君、本当にありがとう。貴方の協力が無かったら勝てなかったわ」

 

「いえいえ、お気になさらず。皆が頑張った結果です」

 

すると、何もない空間からいきなり春の姉が一人であるスカサハとエウロペが姿を表す。

 

「ハル」

 

「姉さんとお婆ちゃん?」

 

スカサハは十日ぶりの愛しの弟にぎゅぅっ、と抱き着いて離れない。

エウロペは頭を撫でる。

 

「あらあら、お風呂に入ってないから髪がボサボサね。ニトクリスやクレオパトラに怒られちゃうかしら」

 

「怖い事言うの止めてよ」

 

「藤丸君、その方達は……?」

 

「あぁ、えっと紹介します。こちらエウロペお婆ちゃんとスカサハ姉さん。お婆ちゃん、姉さん、俺の弟子?の皆」

 

まさかのギリシャ神話が主神、ゼウスが愛した神妃エウロペと、その武勇を轟かせて止まないスカサハ。

その場にいる誰もがその美貌に息を呑み、そして余りの大物の登場に凍り付く。

 

スカサハはケルト神話にその名を轟かせる英雄を育て、そして自分は神殺しや影の国での亡霊を殺し過ぎたが為にこの世の理から外れ、死ねずにいる。

世界の外側にある影の国におり、外界には出られないだとか出てこないだとか、人としての理性を失い獣に成り下がっただとか言われている存在だ。

まぁ、春関連のことに関しては獣になるので最後に関してはあながち間違いではない。

 

エウロペはかのゼウスが一目惚れをし、連れ去った女神である。

まぁゼウスに関しては割とよくある事なのだが、それをふわふわと笑いながら慌てないと言う胆力の持ち主だ。

ヨーロッパの語源になったと言われ、そのことからヨーロッパ出身の者には例外無く愛情を向ける。

と言うか他の神話だろうがなんだろうが普通に可愛がる。伊達に神妃ではない。

単純な神格ならば上から数えた方が早い。

 

「今日はタロスいないんだね」

 

「流石にここに連れては来れないもの。お留守番よ」

 

タロスとはエウロペに従っているでっかい青銅製の巨人である。

巨人と言うかスーパーロボット。

かっちょいいのでカルデアの男共に人気。

 

 

 

「それじゃぁ、これで帰りますね。これ以上姉さん達を我慢させたら俺がどうなるか分からないから……」

 

「えぇ、本当にありがとう。このお礼は必ずするわ」

 

「自分の為でもありましたから。それじゃあ、また」

 

「藤丸、ありがとな!」

 

「うん、イッセーも気を付けて帰ってね」

 

皆に挨拶をし、最後にイッセーと言葉を交わして三人は帰っていった。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、木場」

 

「なんだい?」

 

「俺はいつか、藤丸に本気を出させて戦えるようになりたい」

 

「そうだね、僕も同じだ」

 

「イッセー、祐斗、意気込むのは良いけれど今日はもう休みなさい。それに明日は学校よ」

 

「そうだった!」

 

 

 

 

 

 

 





春君
中々に戦闘狂になった。



お姉ちゃん達
山籠りを許可するに辺り、弟離れが出来ない、そもそもする気が無いので一悶着どころか十悶着ぐらいあった模様。



メッフィー
カルデア散髪屋。春君の髪の毛も切っている。



グレモリー一派
おうちかえりたい。









最後ちょっと駆け足になっちゃったかな……。

次は小学生編辺りを更新しようかなと思ってます。


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