藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。   作:ジャーマンポテトin納豆

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正直次の話に行ってもいいかな……とは思ったけど一人か二人ぐらいはサーヴァント視点でやっぱし書いとこう、って事で。
まぁ誰を書くか、ってのはこちらで決めました。
だってアンケートなんか取ったら荒れに荒れそうだし……



それと誕生日とか書いておきながら全く関係ない話が大部分を占めてしまった……
まぁでもいっか。あのクールなツンデレ他人と関わりたくない系サーヴァントのゴルゴーンさんがデレた瞬間を書きたかったし。






初めての誕生日 その3

 

 

 

 

 

 

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私の真名はゴルゴーン。

まぁ簡単に説明するとすれば、私は怪物だ。

見た者を石に変えてしまう何という能力は間違い無く怪物そのものと言っていい。

少なくとも自分はそう思っている。思っているつもりだったのだが……

 

 

 

 

「ゴルゴーン!」

 

「あ、ゴルゴーンさん。おはようございます」

 

「あー!ゴルゴーンまた部屋に籠ってたでしょ!ちゃんとご飯食べに来なきゃだめだよ!」

 

「あらゴルゴーン。ちょっと来なさい」

 

「その、未来の私。巻き込んで申し訳ありません……」

 

「早く来てください。人数が多ければ多いほど被害は少なくて済みます」

 

 

 

 

いつもこんな感じで私に絡んでくる。そんな訳だから召喚されてからというものもう完全に分からなくなってしまった。

 

そもそもの話私自身が召喚されたのは人理修復、とやらの途中で呼び出されたわけだがあんな状況とは言えこの私を戦力とするなぞ理解に苦しむ。

まぁしかし曲がりなりにも私を召喚して見せたのだから、という事でなんだかんだで付き合っていたのだが周りの態度が普通の人間に接する時とまるで変わらん。特にマスターを筆頭としたお人好し、楽天的、能天気、間抜けとでも言いたくなるような性格をしている奴らは特に。

 

マスターは呑気に笑いながら駆け寄って来る、マシュも同じ様に寄って来てはニコニコと話しかけて来る、ブーディカは食堂に行けばちゃんと食事を摂れとお小言を言って来るし。

姉様二人とまだこの姿になっていない私に関してはしょっちゅう絡む。二日か三日に一度の割合で。大抵は姉様達の無茶ぶりの被害に遭うんだが。

あとは、何処だったか忘れたが王妃にしょっちゅう一緒にお茶を飲まないか、などと誘われる始末。

その付き人だか何だか分からんがそいつらも同じ。しかも主人が言って居るのだからという訳では無く個人的にも関わりたいという意思の元だ。尚更質が悪い。

 

挙句の果てには小さい私にはもっと愛想よくするべきだなんだと説教される始末。

いや、お前にだけは言われたくない。それと事あるごとに姉様達を押し付けようとするな。本当に大変なんだぞ。

 

 

 

召喚した時の見た目は少なくとも良いとは言える代物では無かった。

蛇の尾に、腕は肘から先、足は膝から下が鱗で覆われ目を隠していた。

にも拘らずお構いなしな周りは当たり前の様に絡んで来ては騒がしくする。

今は蛇の尾や腕、足の鱗に関しては取っ払って普通の人間と変わらない姿でいる事が出来る。

 

あの姿だと重いし部屋は狭く感じるし食事量は多くなるしで色々と大変なのだ。何度も何度も天井に何度頭をぶつけ、食事をする代わりに畑で働かせられたことも。まぁ後者は働くことに関しては別段良いとして前者に関しては普通に何とかしたかった事だ。

気にしなくてもなんとかなるのだが、意外と痛い。

 

 

 

心の奥底では何処か嬉しく心地良く思っていたのだろう。なんだかんだで面倒だ、関わるなと思いながらもその日常を楽しく過ごしていた。

周りが騒がしくなければ自室に籠って本を読み耽り、誰かしらに絡まれれば相手をする。そんな対して何も無い日々。

ぶつくさ文句を言いながらなんだかんだで相手している時も、まぁなんだ……楽しい、と思っていたのだろう。これが続けばいいのに、とも。

 

 

 

 

 

 

そんな日常を送っていたある日、マスターとマシュの間に子供が出来た。

それはまぁ当然である。夫婦にもなっていた訳だし、そうなればそう言う事もやっているだろうからな。

ほぼほぼ強制的に、何時の間にやら着替えさせられ結婚式にも出た。

……食事は美味しかった、と言っておこう。それ以外については一切を黙秘、だったか?する。

 

 

それについては別に構わない。出来ればそのまま腹の中の子供に掛かりきりになって生まれてからもそちらに流れてくれるように、望んだはずだった。

 

ハルが生まれてからというもの、出来る限り近付かないようにしていた。

絡まれるのが嫌だからな(本当は春君を怯えさせたくないから。素直じゃない奴め)。

 

なのに暫く経った頃、いきなり呼び出されたと思えば何故かハルを押し付けられた。文字通り押し付けられた。

その時はちょっと用事が在るからとかなんとか言っていたが、今考えると明らかに仕組まれていた。しかもかなり大規模に。

 

嵌められた、と気が付いた時には手遅れ。

ハルを抱き抱えて呆然としている私と状況を分かっていないのか私の胸を叩いて構ってくれと催促する春の二人しかその場には残されていなかった。

顔を見てみれば、ニコッと笑って手を伸ばしてくる。

 

どうするべきか頭を一頻り悩ませたが流石に放り出す訳にも行かず、もうこの際自棄になって部屋に連れて行く事に。ここに居るよりかはマシだろう。

 

そして部屋に連れて行ったのだが、部屋に置いてある本を見ていきなり興奮状態になった時は焦った。

そもそも赤子は行動が読めないという時点で難解だ。そこにいきなり興奮状態が加わればどうなるか分かり切ったこと。

 

 

私は盛大に慌てた。

 

 

今思い返せば無様以外の何物でもないレベルで。こんな時どうすればあやせるのか全く持って知らないし分からない。

腕の中で本に向かって手を伸ばし興奮して暴れるのを必死になって宥めようとして十数分。

ふと姉様達が、

 

「ハルは本が好きなのよ」

 

と言っていた事を思い出した。

確かその日は長時間付き合わされて……いやこれ以上思い出すのは止めておこう。

 

 

その言葉を思い出してから、取り敢えず一番近くに置いてあった本を手に取ってハルに渡してみる。

すると私に返して来た。

 

……まさか読め、という事か?

 

しょうがないので取り敢えず朗読。

この部屋にある本は児童文学なんて一冊も置いていない。

内容を理解できる云々はすっ飛ばして取り敢えず落ち着いてもらうために読むしかない。

その辺に座らせて、と考えていたのだが年齢的にそれが出来ない。

 

仕方なく膝の上にのせて読み進める事になった。

……温かいな。

 

 

 

 

 

 

かれこれ一時間は朗読しただろうか?

本人は普通に楽しそう?嬉しそう?にしているので取り敢えずは成功か……?

 

そのまま暫くの間朗読を進めた。

結論から言えば大成功。しかし物凄く疲れた。言ってみれば幼児向けの母親が読んで聞かせる為の本とは違い、こっちは文字通り何百ページもある文庫本だったりする。ただ読むだけなら何ともないがそれを一文字一文字声に出して読み進めるのは辛い。

 

しかも途中で食事の時間になったから一緒に渡されたミルク?を飲ませるのにも一苦労。勝手が分からないのは勿論だが、何よりもハル自身が本に夢中で飯なんぞいいから続きを読めと言わんばかりの態度と行動。

 

 

…………疲れた。もう本当によく分からん。

 

 

あれだけ本を読め、と催促して来たのに食事を与えて暫くすると眠ってしまった。

本当に自由すぎる。私のベッドを占領して呑気に寝息を立てて寝ているのだから何が何だか。

 

その時、色々と気が抜けていたからか色々と出て来てしまった。

蛇の尾とか羽根とか鱗とか。まぁ別にハルも寝ているし良いかと思ってそのままで居たのだ。まぁこの狭い空間では邪魔なことに変わりは無いのだが。

常に意識していなくても消せることは出来るのでそのままぐったりしている事二時間程。

赤子の世話というか相手は本当に疲れる。疲れすぎる。もういっそこのまま寝てしまいたいとすら思ったが、ふと視線を感じる。誰だ?態々この姿の私に一々視線を向ける輩は。しかし考えてみるとこの部屋に居るのは私とハルだけ。気配を探ってみても私とハル以外の気配はない。他の連中に比べれば劣るとは言ってもそれなりに探る事が出来る。

 

視線の元を辿ってみるとまさかのハルだった。

 

それはもうガッツリ見ている。マジマジと。

 

 

もう完全にやらかした……

心の中で普通にどうするべきか慌てていると、何故かこちらに向かって手を伸ばしてくる。

 

おい待て、尾に触るな。あぁやめろやめろ。腕を撫で回すな。

 

私の変化に物凄く興味を持ち触ったり突いたりあろうことか口に入れようとまでした。

 

「ぬわぁぁ!?」

 

挙句の果てに背に生えている羽にまで手を伸ばして一本毟られた。

 

……痛くなかったからな。

 

だからそんな申し訳なさそうな顔で私を見るな。

あぁ分かった分かった!泣くな泣くな!怒ってなどいない!

 

 

 

 

それから十分程必死になってあやして泣き止ませる。

 

あぁ……疲れた……

 

何故だか知らんが泣いている赤子は無駄にエネルギッシュだ。

その後、何とか蛇の尾と羽、腕や足の鱗を消しておく。

 

まぁその、なんだ。正直な所、怖がられるかと思っていたのだが全く怖がらずに依然と変わらない態度をしてくる。

寧ろ泣き止んでから周りに置いてある本よりも私に興味があるというか、構ってくれと言わんばかりにこっちに手を伸ばしてくる。

 

いや、私にどうしろと?

 

 

取り敢えず、このまま相手をするしかないか……

それにしても羽や蛇の尾が生えた私を怖がらないどころか遊んでくれとせがむとは……

あの二人の息子という事か。しっかりと性格まで受け継がれている。

 

ふん……

 

 

 

 

 

それから数時間に渡り相手をして漸く満足したのか今は膝の上に座らせている。まぁベッドの上とは言え転げ落ちて何かあっては不味い。

支えてやっていると、遊んでいた玩具を私に差し出してくる。

 

「ん?なんだ?」

 

「んー」

 

「……一緒に遊べと?あぁ、分かった。遊んでやる」

 

もうこうなってはとことんやってやろうではないか。

取り敢えず羽を渡してくれ。もし病気でも移ったら大変だ。流石にそんなことは無いとは思うが……

 

 

 

 

 

 

それから更に数時間遊び倒し、流石に疲れたのか寝てしまった。

寧ろ寝たいのは私だ。赤子の相手がこれ程までに疲れるとは。

呑気に寝おって……しかも私の手を掴んで離さん。しかし今は疲れの方が大きい。

 

まぁいい。このまま私も寝てしまおう。

 

ベットに横になって気持ちよさそうに寝ているハルの横に寝転がる。

すると私の手を握っていたハルは動いたことで離れた手を探すように手を動かし始めた。

 

このままでも良いのだがまた泣かれると面倒だ。今だけは手を握らせておいてやろう。

 

 

 

 

 

そのまま寝てしまったが起きてみれば、先に起きていたハルが私に抱き付いていた。

流石の私でもこれほどまでに慕ってくれる赤ん坊を突き放せるものではない。

 

 

この私が、これほどまでに丸く、甘くなるとはな……英霊とは言え、分からないものだ。

 

 

 

 

 

抱き付いて来ていたハルを見て、目が合うと嬉しそうに笑う。

意図せず、私は抱き寄せていた。

 

うーむ、やはり体温が高いな。これは良いな……

 

 

蛇の性質があるからかそう思ってしまった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハルとよく遊んだりするようになってから数か月。

今日は春の誕生日だった。

暫く前からその為に準備を進めている周りの連中は何かと騒いでいる。

 

まぁ私も多少は手伝ったりしたがこれと言って特に何かがあったわけでは無い。

 

 

しかし誕生日プレゼントにはかなり悩んだ。

色々と悩んだ挙句、自身の羽根を使ってペンを作ることにした。

別段問題は無い。流石に毟られるとあれだがこの羽根は勝手に抜け落ちる。

その抜け落ちた羽根の一本を使って所謂羽ペンという物を作成した。

というよりは作成して貰ったというべきか。

 

流石にそんな技術は持って居ないからな。ダヴィンチの所に持って行って加工して貰った。ついでに私が座に帰っても問題無い様に細工してある。

 

それ以外はまぁ特に何も無い。普通の羽ペンだな。

それを用意した。今すぐに使えるという訳ではないがこの際気にしない。玩具などは他の連中が山ほど用意するだろうし服なんぞセンスが分からん。

 

ただ腹が立ったのはこれを作る時にダヴィンチにからかわれた事だな。

 

 

「いやー、君がここまでハルに入れ込むとはねー。いやはや召喚された当時の態度性格からは全く持って考えられないね。立夏君に噛みついて、気が付けば色々と懐柔されて?今じゃ可愛い可愛いハルの事ばかりと来た。しかも今回の誕生日プレゼントは自身の羽根!いやー、驚きだよ」

 

などとほざきおった。まぁその後はしっかりと吊るしてやったが。

からかわれるのは嫌いだ。

 

 

そんな事もあったが何とかプレゼントの用意は整った。

あとは当日に渡すだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルの誕生日会当日。

 

 

予想通り酒は禁止されているのにも関わらず何故か酔っぱらっている連中を始めとして、この組織の職員、サーヴァント全員が食堂に集まって大騒ぎ。

 

主役であるはずのハルはマシュに抱えられて端に居る。マスターも一緒だ。

あの騒ぎに巻き込まれれば怪我をするかもしれん。

 

その周りにはあの騒ぎの輪に入らずにいる者が座って料理を食べたりと各々が過ごしている。私もその一人だ。

 

 

 

 

暫くすると騒ぎは誰が一番にプレゼントを渡すか、という事で揉め始めた。

挙句の果てに掴み合いにまで発展する始末。

 

それを止めに入ったマスターまでもが、

 

「俺が一番最初だ!」

 

と中心で宣言し始めるしもう訳が分からん。

というかあれだぞ?もうこっちでマシュがプレゼントを渡したから一番は無いぞ。

 

そんな事を知ってか知らずか結局もう決着が着かないから自由に渡して行こうとなった。

少なくともハルの周りに居るメンバーから渡し始めている。

 

そろそろ私も渡しに行くとしよう。

 

 

 

 

 

「ハル、誕生日おめでとう。これはプレゼントだ」

 

そう言って渡す。

受け取ったハルは、嬉しそうにそれを弄り回す。

今は使えないだろうが大きくなってから是非とも使ってくれ。

 

 

ハルを抱き上げて同時に頭を撫でる。

あぁ、あの時よりも随分と大きく重くなったな。

何度も何度も抱き上げた筈なのだが改めて思ってしまう。

 

 

 

 

 

これからも、大きく元気に育ってくれ。

 

 

 

 

 

 

そう思いながら、今回ばかりは周りの目があるがおでこに軽くキスを落した。 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 




~~~~ゴルゴーンさんの部屋にて~~~~

「ゴルゴーンさーん、入りますよー……?あ……」

「…………」

「…………」

(ふふ、打ち解けられたみたいですね。このまま起こしても良いんですが二人共気持ちよさそうに寝ていますしもう暫くこのままにしておきましょうか)

「あ、そうだ。写真を撮っておきますか。後で皆さんに見せて差し上げましょう」

その後、マシュの手によって取られた春君とゴルゴーンさんが一緒に寝ている写真はバラ撒かれ、起きた後に思いっ切り赤面するゴルゴーンさんが居たとか。

でもちゃっかり現像された写真を受け取ってアルバムに貼ってあるものと写真立てに入れてある物と合計四枚程貰った。


ゴルゴーンお姉さんがデレるのは春君の前だけ。
見られるのは恥ずかしいやらなんやらで許せないのだとか。



ツイッター始めました。

ジャーマンポテトin納豆
@potatoes_natto





追記

なーんか評価が付きまくってランキングにも浮上し始めた……
なんやこれどう言う事じゃありがとうございます。

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  • カドック
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