藤丸立夏は父親で、藤丸マシュが母親。 作:ジャーマンポテトin納豆
褒めてほしいです。
僕が生まれてから一年と暫く。
かなり色々とあったんだけど言うとすればあれかな。
歩けるようになって来たのと、結構本格的に話せるようになって来た。
歩けるようになって来たのは凄く嬉しい。
だって今まではいはいでしか移動できなかったから部屋の中ぐらいでしか動けなかったんだけどそれが歩けるようになってあちこち自由に行けるようになった。
図書室に畑、食堂とか色々。
中でもやっぱり図書室に行く事が多いかな?
でもやっぱり直ぐに疲れちゃうから結局は抱っこされて行くんだけど。
話せるようになったって言っても、流石に母さん達とは比べ物にならないくらいだけどそれでも二言三言ぐらいは続けて話せるようになって来た。
あと今更だけどお兄さんお姉さん達の名前を漸く知る事が出来た。
と言うのも皆僕の前だと自分の事を、
「お姉さん」「お兄さん」
って呼ぶから今の今まで名前の確証が持てなかったんだけど最近になって名前が分かって来た。
顔が似ている人が沢山居てちょっと困ったけど話し方とか髪の色とか結構違ったりするから覚える事が出来た。
それでも髪の色も全部同じって人が居るから戸惑うけど。
それで話せるようになってきて幾つか問題が起き始めたんだ。
と言うのも頻繁に、いや毎日僕の所に来て必死になって僕に名前を呼ばせようとするんだ。別にそれ自体は良いんだけど圧力が凄い。
あと言葉を教えてくれるんだけど、話せるようになって来てからさらに増した。
なんだか本当によく分からない、何処で使われているのかすら分からない言語だったりも教えてくれるから感謝するべきなのか困るべきなのか分からない。
だってこれって象形文字だよね?と思っていたやつがそのまま象形文字だった。
しかも古代エジプト?の言葉、文字とか、シュメールの言葉、文字とか。
これだけじゃなくてもっとあるんだけどちょっと今回はなしで。だって多すぎるんだもん。もう本当に軽く二十は超えてると思うんだ。
だけど無理に、って訳じゃないからとっても楽しい。
それに沢山褒めてくれるし、お菓子くれたりするから。
今日はマリーお姉さんとデオンお姉さん、ジャンヌお姉ちゃんジャンヌオルタお姉ちゃんと遊びに行くんだ。
おっきな森ピクニックに行くんだって。
何処だか分からないんだけど色んなものが沢山あって楽しいらしい。
だから取り敢えずジャンヌお姉ちゃんが僕の事を迎えに来てくれる事になってる。
母さんとご飯を食べて、歯を磨いてそれから部屋で着替える。
それが終わってから暫くするとドアを叩く音がした。
「ハル、迎えに来ましたよ」
「にゃんぬおぇちゃん!」
「おはようございます」
「おはよう!」
ドアを開けるとその先にはジャンヌお姉ちゃんが居た。
今の僕の身長だと見上げることになっちゃうけど抱き上げてくれると同じ目線になった。
「ちゃんと夜は寝ましたか?」
「うん」
「それは結構な事です」
「ジャンヌさん、おはようございます」
「おはようございます、マシュ」
「今日は春の事、宜しくお願いします」
「勿論です。帰りは恐らく夕方頃になると思いますので」
母さんとジャンヌお姉さんが何か話してる。
その後、母さんはお仕事に行くからって言って僕の事を何時もの様に抱き締めておでこにチューした後に行っちゃった。
今はジャンヌお姉さんと一緒に手を繋いで歩いてる。
「取り敢えず皆の所に行きましょうか」
「うん!」
手を引かれてマリーお姉ちゃんの部屋に行くともうデオンお姉ちゃん達が居た。
なんかお茶飲んでる。これは何時もの事なんだけど。
「あらハル!良く来てくれたわ!」
「おぁようマリーおぇちゃん!」
「えぇおはよう。よく眠れたかしら?」
「うん!」
「それなら良かったわ!今日のピクニックで眠くちゃ台無しだもの!」
マリーお姉ちゃんが僕に駆け寄って来て抱き上げてくれる。
それからギューってしてすりすり。
なんかいいにおいするなぁ。なんだろう?
「ハル、おはよう。元気かい?」
「うん。デオンおぇちゃんもえんき?」
「勿論だよ」
デオンお姉ちゃんも僕を抱き締めてから撫でてくれた。
ジャンヌオルタお姉ちゃんは何も言わなかったけど優しく頭を撫でてくれた。
二人の時はもっとギューってしてくれたりチューしてくれたりするんだけど、恥ずかしいのかな?
「それじゃぁ行きましょう!楽しみね!」
「うん!」
「マリー、少し落ち着いてください。ハルも一緒になってはダメですよ」
それからお姉ちゃん達と一緒に食堂に行ってエミヤお兄ちゃん達が作ってくれたお弁当を貰ってから森に行った。
森に着くと、大きな草原と隣り合った森だった。
草原と言っても森の中にある開けた場所、って感じなんだけどとっても心地が良い。
風も温かいし、雲も無くていい天気。
「良い場所ね!それにとてもいい天気だわ!」
「そうですね、ここにシートを敷きましょう」
「見渡しも良いですしもし何かあっても対処しやすい」
シートを引こうとしている皆をお手伝いしようとしたらジャンヌオルタお姉ちゃんに止められた。
「ったく、ほらハル、こっちに来なさい。あんたじゃ手伝いも出来ないでしょ」
「やるー!」
「だめよ。怪我したらどうすんのよ。ほら向こうで遊ぶわよ」
そして連れて行かれて一緒に遊ぶことにした。
僕もお手伝い出来るのになぁ……
でもまた今度にしよう。
今は僕とジャンヌオルタお姉ちゃんと一緒に花冠を作ってる。
この前マリーお姉ちゃんに本で読んでもらった事があって作ってみたかったんだ。だからお願いして教えて貰ってる。
うーん、でも初めてだから難しいなぁ。
「ここをこっちに持ってくるの」
「こぉ?」
「そうよ上手ね。そうしたら次にこっちをこうやって持ってくるのよ」
「あい」
「これを繰り返して行けば完成するわ」
「あいあとう!」
教えてくれた事にお礼を言うと頭を撫でてくれた。
「ん。ほら気を付けなさい、間違えたわよ」
あれ?違った?
途中からマリーお姉ちゃんも一緒に作った。
完成した花冠は綺麗じゃなかったし格好悪かったんだけど、お姉ちゃん達に渡したら笑って貰ってくれた。直接頭にのせてあげると、とっても似合ってた。
お姉ちゃん達は可愛かった。
僕が花冠を渡すと代わりに、って言ってジャンヌオルタお姉ちゃんが作った花冠をくれた。
僕が作った物よりも違ってとっても綺麗に出来ていたけど。
それにマリーお姉ちゃんが冠じゃなくて首飾りをプレゼントしてくれた。
「ハル、ありがとうございます。とても嬉しいです。大切にしますね」
「ハル、ありがとう。どうかな?似合ってる?」
「あら!私にもくれるの?まぁ!嬉しいわ、ありがとう!」
「ありがとう。教えた甲斐があったわ。それじゃ私からのプレゼント。……いい出来じゃない。似合ってるわ」
それからお昼になってからお弁当を食べて、森の中を歩いて色んな物を見た。
リスとか鳥とか。
触ろうとしたんだけどお姉ちゃん達に駄目だって言われちゃった。
病気とかがあるかもしれないからって。
毎日ちゃんと手洗いうがいはしてるよ?だってしないとナイチンゲールお姉さんに怒られちゃうから。
怒るととっても怖いんだ……
森の中を歩いたりしてから、シートの近くで皆でボールで遊んだりしてたら帰る時間になっちゃった。
やっぱりもっと遊びたかったんだけど、駄目だった。
帰ってから母さんにも花冠をプレゼントしてからお風呂に入った。
それからご飯を食べて、それからジャンヌお姉ちゃんとジャンヌオルタお姉ちゃんに本を読んでもらってから一緒に寝た。
そう言えば父さんにプレゼント持っていくの忘れちゃった。
また今度こういうのがあったら忘れない様にしなきゃ。
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~~~~ジャンヌ・ダルク・オルタ~~~~
ハルは私にとって弟の様な存在。
様なって曖昧な表現なのは実際に血が繋がっている訳じゃないし、そもそもサーヴァントと人間だし。
だけどまぁそんな事は些細な事。
曖昧な言葉にしているけれどもう弟だし。
毎日、というほどでもないけど二日、三日に一度の頻度でハルに会いに行く。
だって可愛くて可愛くて仕方が無いのよ。
お姉ちゃんって呼んでくれるし抱き着いて来るし本を読んであげてるときの顔なんかもう最高ね。
お風呂に一緒に入った時なんか何度死にかけた事か。
ハルが生まれてからは何時も騒がしかったこのカルデアが更に騒がしくなった。
元々祭りだなんだと騒ぐ事が好きだった連中はそれにかこつけてどんちゃん騒ぎ。
やたらと姉ぶっているアレも本当の弟が出来たみたいで毎日浮かれているし。
でもアイツ生前兄弟姉妹居たわよね?まぁその辺結構アレだし、私には関係ないから。
だってオルタですもの。
そんな人の事を言えないぐらいには私も十分にハルに毒されて来ているのはまぁ仕方が無い。だって可愛いんですもの。
喋れるようになってからまだ日が浅く舌足らず。
それでも私に抱き着いてきて私の名前を呼んでくれる。
この時の幸せで嬉しくて満たされる感じと言ったらもう何物にも代えがたい。
まぁ殆どの連中が大体私と同じようなもんだけれど。
抱き上げるともっと嬉しそうに首の辺りに抱き着いて来る。
頬を摺り寄せるとくすぐったそうに嬉しそうに笑う。
そしてそんなハルが可愛くて余計に抱き締める。
まぁ大体これが普通。
ついでにキスを頬かおでこにしてあげるともう満面の笑み。
私も満面の笑み。この顔だけは誰にも見られて堪るか。
ハルだけの特別な物よ。
話は変わるけどここに居るサーヴァント、職員も大概だ。
だってハルが居る目の前で、農場に現れたワイバーンや魔猪に斬りかかって行くイカれた奴らだ。
あの時は真顔でハルに何度もああなっちゃ駄目だからねと念を押した。
まぁどうせスカサハとかが頼まれても頼まれなくても鍛えて少なからず近づいて行ってしまう未来がハッキリクッキリ見えるのは気のせいじゃないと思う。
職員連中もそのサーヴァント相手に平然としているし、趣味が同じだと休みの日には当たり前の様にそれについて語り合ったり。
イベントがあれば一緒になって騒ぎまくる。
しかもあの人理修復という絶望的な状況を生き残って来たから肝も無駄に座っているし何が何だか分からない。
だけどそれに囲まれて育っているハルも十分に大概だと思うわ。だってあのヘラクレスや呂布と言った巨漢で顔が怖い連中や悪人面なダレイオス、メフィストフェレスやキャスターの方のジルに黒髭という面々を全く怖がらない。
まぁ黒髭はあれで結構何ともないんだけど。
少なくともそれを知る為にはある程度話をしないと分からない。
ここまでは人の形をしているから取り敢えず頷ける。普通かどうかは別として。
だけどヘシアンとロボ、バベッジやエジソンはどう?あれはもう色々と違うわ。断言できる。
頭が無い、デカい狼、蒸気で動くロボット、顔がライオン。
もう酷い。言っておいてなんだが酷い。
世の中の赤ちゃんが見たら泣き出して下手をするとトラウマになりかねないし。
そんな連中を相手に何ともない様に普通にじゃれ始める。
ロボに関しては完全に犬か何かだと思っているらしく、丸まったロボに包まれているか腹の上で良く昼寝をしているのを見かける。
そんなあまり赤ちゃん、いや今は小さい子供か。ぽくないハルだけれど、十分に子供。
大きな分厚い本を抱えて持って来たと思えば読んで欲しいとせがんできたり、色んな物に興味を示したり。
その好奇心はもう色々な方面に向いていて植物、動物は勿論、私だって読まない城塞建築学なんてものまで。
もう読んでくれと言われたときはとても困ったわ。だってそんな物私には分からないもの。
でも分からないなりに精一杯読んであげたけど。
本を読むだけに留まらず実際にそれをやってみたいやらせてくれ、見てみたい見せてくれなんて日常茶飯事。
それに付き合ってあっちにこっちに振り回されているのは珍しくない。というか毎日。
でも誰も文句を言わずに、寧ろ俺が私がと立候補してまでついて行こうとする始末。まぁハルが教えて欲しいと言った事に向いている奴が大体選ばれるんだけどそれまでが短時間なのに無駄に熾烈な争いに発展して、ハルが見たらどう思うのかと思うぐらいには酷い。
私はハルが私の方に向かって来るから態々そんな事しなくても良いのよ。
今日はハルに私とジャンヌ・ダルク、マリー、デオンの五人でピクニックに来ている。
今日はマシュもマスターも仕事だから代わりに私達が、という訳なんだけどカルデアの中なら私を含めてサーヴァントの巣窟になっているから少なくとも常識的に考えれば世界最高の戦力が集まっている訳だしそりゃもう死ぬほど安全。
まぁ毎日マシュが仕事って訳じゃなくて週に二回ぐらいでマスターの仕事を手伝っているからその日に限っては完全に私達がハルの面倒を見る事になっているんだけど、そうじゃない日でも当たり前の様にマシュと一緒にハルの所に入り浸ってるから大して変わらない気がするけど。
しかし安全という物は一度外に出ればどうしようもない。だから霊体化している連中が8人森の中からこっちを見守っている。
ロビンフッドにアーラシュも居るわね。他にも今日はマスターが出張じゃないから百貌のハサンも居るわ。あいついっつも付いて来てない?
でも分身出来るから使い勝手が良いっちゃ良いんだけど。
あれもあれでどうして聖女なのか首を傾げる様なマルタ、アタランテ、カルナ、クーフーリン。
……百貌がペコペコしてるから多分山の翁も居るのかしら?
これだけ見れば割と真面目に国盗り出来る様なレベルの戦力よね。
そんなのに見守られているなんてハルは欠片も思っていないに違いないわ。
だってここに来てから周りに咲いている花や森に夢中であっちにフラフラこっちにフラフラ。
気が気でないわよもう。
まぁでもここ、人里離れた森の中だから事前に情報を得ていない限りは、って事。
魔術師連中は転移装置なんて持って無いだろうし、持って居たとしても指定した座標にポンと行けるもんなんてある訳無い。
あれ作ったのウチのマッド達だから。
シートを引こうとするとそれを手伝おうと寄って行くが危ないし、ハルを連れて行く。少し、いやかなり手伝いたそうだったけどそこは我慢してもらうわよ。
少し離れたところに行けばシロツメクサが沢山咲いている。
するとどうだ、ハルはそれを見て目を輝かせている。
ハルに袖を引っ張られたから顔を見るとキラッキラした目で何かを訴えて来る。
「凄いわね」
「うん!」
「ほら、もうちょっと行ってみましょ」
ハルの手を引いてシロツメクサの花畑の中に入って行く。
「あえつくいたい」
「あれ?……花冠の事?」
「そえ!」
花冠か。まぁそれなら作り方分かるし教えてあげられるわね。
うーん、でもハルに作れるのかしら?ま、なんとかなるか。
「良いわよ。ほらそれじゃもうちょっとあっちに行きましょ」
「あい」
もう少し奥の方に行くと更に沢山のシロツメクサが咲いている。
ここまでの数は結構珍しいもんなんじゃないかしら?
地面に座って花冠の作り方をハルに作り方を教える。
「一本目にこうやって、こうするの」
「こお?」
「そうよ。そうしたら次にこうするの」
年齢と初めてにしてはかなり上手ね。
それでもちょっとぐちゃっとしているけどそこはご愛嬌ってやつかしらね。
小さい手を必死にあっちゃこっちゃ動かして編み込んでいく。
「そこはそうじゃないわ。こっちに持ってくのよ……そうよ、上手ね。そしたら次はこっちにこう持って来るの。ほら、次は一人でやってごらんなさい」
「でちた!」
「……うん、とても良く出来ているじゃない。これを繰り返しなさい」
そして最後に端と端を繋げるやり方を教えて完成。
ハルが一つ目の花冠を作り終えた頃にマリーがこっちに合流して来た。
そして一緒に花冠を作り始める。
ハルは夢中になって二つ目を作り始めて、あっちこっちからシロツメクサを持って来ている。
それを少し分けてもらいながら、ハルの動かす手を見ながら私も一つ花冠を作っていく。
出来るだけ花の数が多くなるように、だけど詰めすぎて汚くならないように丁寧に丁寧に作っていく。
暫くすると私の作っていた物は完成。
ハルの方はと言うと二つ目を作り始めていた。
随分と早いわね。まぁでもちょっとまだ作りはアレだけどこれだけ作れるのなら十分すぎると思う。
マリーも花冠にしては大きい物を作っている。
完成した花冠を隣に置いてハルを見る。
何て言うかアレね、微笑ましいしやたらとのどかね。
正午を少し過ぎたぐらいの時間になってハルが花冠を作り終えた。
五つも作ってどうするのかしら?
と思っていたらハルは作った花冠のうちの一つを私にプレゼント、と言いながら渡してくれた。
なにこれ天使か。
ニコッと笑いながら舌足らずな喋り方で。
「ぷえぜんと!」
って。
しかも頭に乗せてくれたし。
「おねえちゃんたちかあいい!」
って言ってくれてもう死ぬかと思った。
残りの四つも一緒に来ていた面々に渡して、残りの一つはマシュに。
マスターは自分の分が無いって落ち込んでたけど。
それからは取り敢えず外に出てはしゃいで汗もかいたから、って五人で風呂に入りに行ってそこでもハルは元気に遊んでいた。
椅子に座らせて頭を洗おうとしているのにシャボン玉みたいに泡を膨らませたり、終わってから湯船に浸かっている時も何かやってるし。
でも笑いながら
「くあげ~!」
ってタオルで作ったあれを見せてきた時は周りと一緒に本気でぶっ倒れるかと。
風呂から上がって着替えさて食堂に向かってハル用のご飯と自分の分を何時ものシェフズから受け取って食べさせて、部屋に戻ってから歯を一緒に磨いて。
ハルが寝るまでは本を読んであげてから、マシュが迎えに来るまで一緒にあの姉(笑)とハルを挟んで寝ていた。
やっぱり寝顔も最高。
手を握って来て、更にニへっと笑った時も二人して他人には見せらんないような顔をしていた。
こんな感じで今日もハルの可愛さに死にかけた一日だった。
~~~~~~~~~~~~~~
~~~~マリー・アントワネット~~~~
今日はハルと一緒にピクニックに行くわ。
とても楽しみだわ!だってあのハルと一緒にお出かけなんですもの!
何時もは一緒にお茶したりするだけだったんですもの。
ハルは好奇心旺盛でとっても良い子。
沢山本を読んで学んで遊んで寝て食べて。
それにとっても可愛いの!今はまだ小さくて軽いけれど将来はきっと今よりももっともっともっと輝いているに違いないわ。何故なら今でもこんなに輝いているんですもの!
ハルの事をジャンヌ達が迎えに行ってから、食堂で頼んでおいたお弁当を受け取って転移装置を使って前以て調べておいた森の中にある開けた場所に向かう。
ここはとっても良い場所ね。
シロツメクサを始めとした沢山の花が咲いているし、森の中には沢山の動物達が居る。
しかも危険な生き物は居ないみたいね!
これなら森の中を歩いても大丈夫そう。
それに何かあっても私達の他にも頼れる人達が居るみたいだし心配無用ね。
シートを取り出して、デオンとジャンヌと一緒に敷いて、その上に荷物を置く。
ちょっと座って一息入れたらハルとジャンヌ・オルタの所に向かう。
二人は荷物番をしているからって言って残ったわ。
ハルとジャンヌ・オルタはシロツメクサの花畑の真ん中に座って何かやっていたわ。
近付いて見てみると、この前私がハルに読んだ本に載っていたシロツメクサの花冠を作っている所だった。
「あら、花冠ね?」
「あら王妃様じゃない。そうよ、ここに来てシロツメクサを見てから作り方を教えてくれってせがまれたのよ」
「良い事じゃない。だって貴女の事を一人のお姉さんとして慕ってくれている証拠じゃないかしら?」
「どうかしら?他のサーヴァント全員の事もお姉ちゃんお兄ちゃんって呼んでいるから。ほらハル、そこはこっちに持ってくるの。……そうよ、上手ね」
「ふふ、焼き餅焼きかしら?」
「違うわよ。まぁでもこの瞬間だけはたった一人の姉という事になるのかしらね?」
「そうしたら私はお邪魔だったかしら?」
「さぁ?でもハルが喜んでるから良いんじゃない?」
「貴女も随分と変わったわね。勿論良い方向によ?」
「そうね……まぁでもこんな私でもいいんじゃない?……上手に出来たじゃない。もう一個?そう、見ててあげるから好きなだけ作りなさいな」
ジャンヌ・オルタでお話している間にもハルは一生懸命に花冠を作っているわ。小さい手を必死になって動かして、茎をあっちにこっちに。
作っている花冠が完成すればまた新しい物を作り始めて、さっきよりも幾らかは上手に作っていく。
「はい!あげう!」
「あら!私にくれるの?」
「うん!」
「本当に?ありがとう。嬉しいわ!」
作った花冠の一つを私にくれるハル。
ありがとう、とお礼を伝えると嬉しそうにニッコリと笑う。
そして私の頭に花冠を乗せてくれる。
「どうかしら?似合ってる?」
「うん!きえい!」
「本当に?とても嬉しいわ!ありがとう。そうしたらお礼をしなくちゃいけないわ。ハル、目を瞑って」
「あい」
目を瞑ったハルの首に同じ様に作ったシロツメクサの首飾りを掛けてあげる。
首飾りなのは隣で一緒に作っていたジャンヌ・オルタが花冠だったから同じ物じゃつまらないじゃない?
「はい!目を開けて!」
「……わぁ!」
「マリーお姉ちゃんからのプレゼントよ。どうかしら?気に入って貰えた?」
「あいあとう!」
嬉しそうに笑ってはしゃぐハルを抱き上げてクルクルと回るとキャッキャッと声を出して笑うその姿は、とても可愛い。
そして完成した花冠を持ってシートの方に戻っていくとデオンとジャンヌの下に駆け寄って同じ様に花冠をそれぞれ頭に乗せていく。
二人共嬉しそうに笑っている。
ただハルがその場に居るだけで周りが笑顔になる。
あの気難しかったジャンヌ・オルタも誰も近づくなと言わんばかりだったゴルゴーンもハルが居る時は勿論、居ない時の性格が温厚に素直になったなんてカルデアに居る人達なら誰もが知っている当たり前の事実。
霊基に刻まれたものは変わらないはずなのに、あんなにも変わってしまうなんて誰も想像付かなかったわ。
ハルはこのカルデアにありとあらゆる意味で大きすぎる影響を与えている事は間違い無いし、私もその一人。
これから先も私達に沢山の笑顔を届けてね。
それからお昼ご飯を皆で食べて、それから森の中をお散歩したわ。
やっぱり森の中で色んな物を見て興奮しているハルはとっても可愛かったわ。
カルデアに帰ってからお風呂に入って、ご飯を食べて。
そこで私とデオンはお別れ。
また今度遊びましょう、と約束して手を振るハルを見送った。
~~~~~~~~~~~~~~
春君の舌足らず感が出せていない気がする……
追記
すっかり忘れてた。
今作ではデオンちゃんです。
理性蒸発なアイツは君です。
Aチームで登場させるとしたら誰が良い?
-
ぺぺさん
-
カドック
-
オフェリア