南賀ノ神社の白巫女   作:T・P・R

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今回も遅れました。

もう少し執筆速度があればなぁ。
他のAWとかFTとかの二次創作にも挑戦してみたかったんですが……

遊戯王二次とか完全放置状態ですし。


なお、今回イラストではないですが、オリキャラの能力パラメータを掲載してみました。
臨の書が発売されたのも、確か原作が中忍試験の時くらいだったはず………


37話 ☆(オリキャラパラメータあり。ネタバレ注意)

第1の試験を無事突破することが出来、私達受験生の緊張の糸が切れた、まさにその瞬間でした。

 

バ!! っと。

 

全身を黒い布に包んだ何者かが教室の窓を突き破り侵入してきました。

 

「な、なんだぁ!?」

 

目をむいて叫ぶナルト君。

突然の出来事にナルト君以外の私達受験生はおろか、試験官さんたちですら固まって動けません。

侵入者が投げた苦無が天井の隅に突き刺さり、苦無に結び付けられた布が大きく広がります。

『第2試験官 みたらしアンコ 見参!!』という文字が教室の前面を埋め尽くしました。

 

「アンタ達、よろこんでる場合じゃないわよ! 私は第2試験官! みたらしアンコ! 次行くわよ次ィ! ついてらっしゃい!!」

 

誰も動けなかったし、喋れもしませんでした。

残ったのは『シーン………』という耳に痛いほどの沈黙だけです。

 

「………空気読め」

 

布の影からイビキさんがボソッと突っ込み、威勢よく拳を振り上げた状態のまま固まっていたアンコ試験官の顔が真っ赤に染まりました。

 

たぶんこの元気なお姉さんは、自分なりに張り切って試験の準備をしていたのでしょうね。

あの大きいアンコ見参な垂れ幕も手作りみたいですし。

いますよね~張り切りすぎてまるっきり見当違いの努力をした挙句、盛大に空回ってしまう人。

 

「何かナルトっぽいわね………この試験官」

 

しかし、何故でしょうか。

言動は確かにサクラさんの言うようにナルト君っぽいものを感じるのですが、どういうわけか私にはむしろナルト君よりもどことなく隣の草忍さんと似てるように思いました。

 

「フン! まあいいわ……次の『第二の試験』で半分以下にしてやるわよ!! ああ~ゾクゾクするわ!」

 

何処が似ているのかと聞かれたら、何処なのか私自身さっぱりわからないのですがなんとなくそう感じてしまったのです。

 

 

 

 

 

 

第一の試験が中忍としての心構えや覚悟を試すペーパーテストだったのに対し、第二の試験は実戦でとことん基礎体力や実力を試すらしい。

 

みたらしアンコと名乗った妙にテンション高い女試験官にカナタ(わたし)達が連れてこられたのは木ノ葉の数ある演習場の中でもトップクラスに危険で過酷な第44演習場、通称『死の森』。

 

「早い話、ここでは極限のサバイバルに挑んでもらうわ」

 

猛獣やら毒虫やらが跳梁跋扈する密林を44個のゲートが囲う、ほぼ円形の演習場であり、円の半径はおよそ10キロメートルで中心には塔。

 

「あなた達にはこの限られた地域内であるサバイバルプログラムをこなしてもらう。その内容は各々の武具や忍術を駆使した……なんでもアリアリの“巻物争奪戦”よ!」

 

「巻物?」

 

「そう、『天の書』と『地の書』……この2つの巻物を巡って闘うのよ」

 

アンコ試験官はそう言って二種類の巻物を取り出して見せる。

右手には天の書、左手には地の書。

 

「ここには78人、つまり26チームが存在する。その半分の13チームには『天の書』を、もう半分の13チームには『地の書』をそれぞれ1チーム1巻ずつ渡す。そしてこの試験の合格条件は……天地両方の巻物を持って、中央の塔まで()()で来ること」

 

「つまり巻物を取られた13チーム、半分が確実に落ちるってことね…」

 

「3人……人数指定ありか……同盟とかで6人組チーム作って天地の書持っていくとかはさすがにナシかな」

 

「ナシに決まってんだろ。バカか? そんなのがまかり通ったら、極端な話78人全員が合格できちまうじゃねえか」

 

「だよね~」

 

「そこ、騒がない! ……っと、ちなみに期限は120時間、ちょうど5日間ね」

 

「5日!?」

 

「ちょっ、ごはんどーすんのォ!?」

 

「んなもん自給自足に決まってんでしょ! 何のためのサバイバルプログラムなのよ。適当に獣とか野草とか採りなさい! ただし猛獣や毒草には気を付けてね」

 

第二試験のコースプログラムの過酷さを改めて認識させられ私たちはゴクリとつばを飲み込む。

何が不気味ってアンコ試験官の表情がずっと笑顔なのが甚だ不気味だ。

一体何が楽しいのやら。

 

「続いて失格条件に付いて話すわよ。

まず1つ目、時間以内に天地の巻物を塔まで3人で持ってこれなかったチーム。

2つ目、班員の喪失、または再起不能者を出したチーム。

3つ目、試験中に森の外に出てしまったチーム。途中ギブアップはなしよ。五日間は確実に森の中!

そして4つ目、巻物の中身は塔の中に辿り着くまで決して見ぬこと!」

 

「………途中で見たらどーなるの?」

 

「それは見た奴のお楽しみ。中忍ともなれば超極秘文書を扱うことも出てくるわ。信頼性を見るためよ」

 

「だってさ。分かっているかコト?」

 

「無論ですよマイカゼ。自慢じゃないですが私はおそらく木ノ葉の下忍で最も多く超極秘文書に触れた経験(こと)のあるくのいちです! 扱いは完璧なのですよ!」

 

「それホントに自慢にならないからッ!」

 

「さっきからそこうるさい! これ以上騒ぐと本気で失格にするわよ! ったくこれだから子供(ガキ)は!」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

危ない危ない、この試験官血の気が多いだけじゃなくてものすごい短気だわ。

 

「ああそうそう、言い忘れていたことが1つあったわ。これはルールじゃなくて単なるアドバイスよ―――死ぬな!」

 

悪い人ではなさそうだけどね。

 

 

 

 

 

 

演習場にほど近い広場に展開された暗幕の中に他のチームが次々に入っていくのをじっと眺めつつサスケ()は、1人イビキの言葉を反芻していた。

 

(………なるほど。各チームのスタート地点、渡された巻物の種類、そして3人のうち誰が巻物を持っているかもわからないってわけか……イビキ(あいつ)が言っていた通りだ。この試験では情報の奪い合いが命がけで行われる)

 

第二試験の説明をする少し前に配られた同意書に目を落とす。

例えこの試験中に死んでも構わないという覚悟の証明。

これにサインしたら最後、もはや後には引けない。

だが、そんなものに怯むような愚図はイビキの第一試験でとっくにふるいにかけられている。

 

(ここに残っている奴等の決意は固い。殺し合うことにもなるってわけだ。全員が敵―――!)

 

そう思案している間にも巻物の交換は粛々と進められていく。

今は木ノ葉の第9班……コトの所属するチームだ。

暗幕から出てきたコトは嬉しそうに幕の中で渡された天の書の封をペリっと剥がし―――

 

「………って何やってんのよアンタは!?」

 

「ふぎゃあ!?」

 

―――後ろから血相を変えたカナタに思いっきり頭を殴られた。

 

「ありえない、何渡された直後に開けようとしてるのよ!? あまりの自然さに一瞬反応が遅れたわ!」

 

「てて……ふ、忍者は裏の裏を読めですよカナタ! アンコ試験官は見るなとは言いましたが、開けるなとは決して言いませんでした! つまり開けるだけならルール違反にはならないのですよ!」

 

「なん………だと!?」

 

「騙されちゃだめよマイカゼ、こんなの屁理屈ですらない、ただの曲解よ! ってそんなことより早く巻物を隠して! 他の班に種類がバレちゃう!」

 

未だに誤魔化せると思っているあたり、カナタも大概アホだと俺は感じた。

 

 

 

 

 

 

第44演習場、通称『死の森』。

毒虫、毒草、猛獣、およそ人の生命を脅かすあらゆる要素が混在し、手練れの忍びですら命の危険がある過酷な環境。

大樹が鬱蒼と生い茂っているため森の中はたとえ昼でも暗く薄気味悪い雰囲気を放っている。

 

そんな森の中で、第9ゲートからスタートした木ノ葉第9班チームはというと。

 

「マイカゼ、釣果はどうでしたか?」

 

「大漁。死の森といっても生き物はいっぱいだな。波の国での経験がこんなところで役に立つとは、海と川で多少勝手は違えどカイザさんにはホント感謝だ」

 

「運がよかったわね。まさかスタート地点のすぐ近くに川があるなんて。日頃の行いかしら。コト、火の具合はどう?」

 

「ばっちりなのです。献立は何かリクエストありますか?」

 

「とりあえず全部燻製で」

 

「ええ~? そんなのよりももっと他にムニエルとか味噌煮とか」

 

「バカね。試験中なのよ。そんな手の込んだ料理する暇があるわけないじゃない。だいたい保存できないでしょうが」

 

 

 

楽しそうに、実に楽しそうにキャッキャと騒ぐ女の子3人を、雨隠れの3人組は何とも言えない表情でじっと観察していた。

正直ここまで隙だらけだと、かえって手を出しにくい。

 

「………あいつらはこの中忍試験をキャンプか何かと勘違いしているんじゃないか?」

 

「知るか。開始前にいきなり自分の巻物の種類を暴露するような連中だぞ」

 

「ある意味ヤバい奴らだな……さすが木ノ葉。頭に花が咲いているぜ」

 

そういうしてるうちに、料理の一通りの下ごしらえが済んだのか、拠点の家(扉も壁も窓も煙突まである本当に本格的な『家』。小屋ですらない。どうやって建てた?)に入っていく木ノ葉くのいち3人組。

 

「………行くか。もう細かい作戦とかいらねえだろ」

 

「だな。サクッと天の書奪って……それで俺たちは試験突破だ」

 

そして雨忍は気の抜けたまま行動を開始した。

三方に別れ、ある者は扉から、ある者は窓から、ある者は煙突から。

彼らはそれぞれ最低限の警戒をしつつ家の中に侵入していき………

 

 

 

………そして二度と出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

「食虫植物の中には、粘着する特殊な液体を分泌して獲物をからめとる性質をもつものがあるんですよ。本来は小さな虫を捕るのが関の山なんですが、メートル単位に拡大すれば人間だって捕獲できるんです。名付けて『木遁四柱家・忍びホイホイの術』!」

 

波の国の経験を経て、コトの木遁は大幅にバリエーションが増えていた。

確か水遁系の忍術に似たようなのあった気がする。

確か水飴……なんちゃらの術だったような。

何だったかは忘れた。

マイカゼ(わたし)の基本性質は一応風で水遁とはまるで縁がないから仕方がない………訂正、性質変化そのものに縁がない。

 

すでに複数の性質変化をマスターしているコトとかサスケとかに比べると自分の凡骨具合に泣けてくる。

ヤマト先生は、アカデミーを卒業したばかりなんだから仕方ない、というかそれが普通とかいろいろ言ってくれたけど……本当かなぁ?

 

森の中に突如出現した家、コトが言うところの忍びホイホイの術はもちろん彼女が作り出したもので、見た目は立派な家、中身は巨大ゴ○ブリホイホイだ。

コトの木遁はヤマト先生のように硬い木を出すことはできない、できないが元から生えている樹木を変形させて操ることはできるようになっていた。

もはや彼女にとって森は素材の宝庫だ。

 

「……それにしても恐ろしい光景だな。このサイズだともはや食虫というより食人、いや食獣植物じゃないか」

 

事実、忍びをからめとっている。

あくまで食虫で人は食べないとコトは断言したが………黒づくめの人間がそろいもそろって床にへばりついて動けなくなっている様はいろんな意味でぞっとしない。

これは撤収する時ちゃんと処理しないとヤバい。

下手に野生化したりしたら、死の森の生態系が心配だ。

 

「そうね。ただでさえ危険な森がより一層ヤバくなったら怒られちゃうわ」

 

「大丈夫です。そのあたりは抜かりなく。一流の鳥と忍びは立つ時跡を濁さないんですよ」

 

「そうなのか」

 

普段から変な実験で失敗ばかりしているコトだけど、否、しているからこそ、この手の事後処理とか誤魔化しのスキルは一級品のそれだ。

毎回なんだかんだで洒落にならないような事態は陥っていないし、彼女が大丈夫というならおそらく本当に大丈夫なのだろう。

 

「……っと見つけました。()()『地の書』です」

 

「なんというか、ずいぶんとあっさり集まっちゃったわね」

 

「だな……ここまで私何もしてないんだが……」

 

「魚獲ったじゃない」

 

「いやそうだけど……そうだけど!」

 

「ごめんごめん、言いたいことはちゃんと伝わってるから」

 

この忍びホイホイに引っかかったのは今ので2チーム。

つまり合計6人も捕獲できてしまったことになる。

おかげで地の書がダブってしまった。

サバイバル初日からとんでもないスタートだ。

 

いや、むしろスタート前から始まっていたとも言えるかもしれない。

 

一流の忍びが本気で警戒したらたとえどんなに巧妙な罠を仕掛けてもたちどころに見破られる。

故に忍びを罠にはめるためにはまず相手の警戒を削がなければならない。

 

アカデミー時代に教えられたイルカ先生の言葉だが、今まさにこの言葉の重みを痛烈に理解させられた。

 

「コトのあのバカさ加減を目撃したチームはほぼ間違いなく私たちのことをカモだと思っているわ……2チームどころかまだまだ来るわよこれ」

 

「舐められすぎじゃないか私達……いや自業自得なんだけど」

 

そう、『警戒を削ぐ』という前段階は幸か不幸かコトの所為(おかげ)でこれ以上ないくらいに大成功しちゃっているのだ。

 

「フッフッフ、作戦通りですにゃはひひゃいひひゃい!?」

 

「何が作戦通りよどう考えても素だったでしょあれ!? というか作戦考えたの私! あのマイナススタートからここまでリカバリーする策をひねり出したの私!」

 

「いひゃひゃひゃいひゃいいひゃいほへんははい!」

 

カナタに頬をつねられて黄色い悲鳴を上げるコト。

いいなぁ……やることがあって。

 

「うう……私だけ何もしてない……私の意味って……」

 

「大丈夫よマイカゼ。試験はこれで終わりじゃないからね。むしろここからは巻物を奪われない様に注意しないといけないわ」

 

「………そうだな、その通りだ」

 

こんな序盤で巻物を天地そろえたということはつまり、天の書を狙っているチームと地の書を狙っているチーム両方から狙われるということに他ならない。

私は深く気を引き締める。

 

「私はみんなを守る」

 

「うん、お願いね………しかしあれね。このミミックな術、コトの考えた術にしては効果が普通に有用というか凶悪というか……」

 

「……確かに」

 

木を変形させたり中に食虫植物を展開したりと準備にこそ時間がかかったものの、大したリスクもなく役に立つ術というのは良い意味でコトらしくない。

 

「それはもう波の国でエライ目にあいましたからね……私だって成長したんです」

 

もうあんな思いはゴメンです、とコトは何かを思い出したのかブルっと身を震わせる。

 

「……何? 自分より大きなゴキブリにたかられでもしたの?」

 

「そ、そそその名を口にしないでください!」

 

目をむいて、写輪眼をむいて本気で嫌がるコト。

本当に何があったんだ。

 

「……え? 本当にそんな悍ましいのがいるの?」

 

「ありえない話じゃないな。ついさっき森のすぐ向こうで長さ10メートルはありそうなムカデを見た」

 

あんな化け物がいる森なのだ。

メートルサイズのゴキブリがいたって何も不思議じゃない。

 

「………撤収準備よ。そんなのに遭遇する前に森を抜けましょう」

 

「「了解」」

 

カナタの号令のもと、私達は捕まった忍びを適当に縛りやや慌て気味にその場を後にした。

 

 

 

その後、紆余曲折あって私達はゴキブリが可愛く見えるほどに悍ましい生き物に遭遇することになる。

 

 

 

 

 

 

決して油断はしていなかった。

らしくないことを自覚しながらもナルトやサクラとも意見を交換しあったし、森に入る前から作戦を考えた。

 

だが………

 

(こいつは次元が違い過ぎる!!)

 

サスケ(オレ)は恐怖で身体が震えそうになるのを必死に抑え込みながら傘をかぶった長髪の草忍を睨みつけた。

霧の氷遁使いに忍び刀七人衆、そしてイカ、それなりに修羅場をくぐってきたと自負していた俺だったが、目の前のこいつは過去のどの強敵と並べても比べ物にならない。

一体なんでこんな化け物が中忍試験受けているんだ?

これが下忍? ふざけるな!

今の殺気、どう考えても再不斬13人分はあったぞ!

 

(いったいどうすればいい!?)

 

サクラは完全に戦意喪失してしまっている。

ナルトははぐれていたおかげで殺気を浴びずに済んだものの、合流したばかりで状況を把握できていない。

 

「フフ………あの大蛇を見事倒してきたようね。ナルト君」

 

「なんだこいつ? 舌長いし胴体も蛇みてーな………そうかお前が。やいやいやい! どーやら弱い者イジメしちゃってくれたみてーだな!」

 

「ナルト! 下手に刺激するな!」

 

このままだと3人ともやられる。

もうこれしか……方法がない!

俺は覚悟を決めると写輪眼を解除し、ポーチから巻物を取り出した。

 

「巻物ならお前にやる。頼む……これを持って引いてくれ」

 

「はあ!? サスケ! 何とち狂って……」

 

「わりぃなナルト、サクラ。でもこれしか、こうするしかない!」

 

「……なるほど、才能(センス)がいい。“獲物”が“捕食者”に期待できるのは他の餌で自分自身を見逃してもらうことだけですものね」

 

好き放題言いやがる。

獲物か……くそ、俺たちは敵ですらないのかよ。

だが今は何も言い返せない。

 

「受け取れ!」

 

俺はナルトとサクラに目配せしつつ、巻物を放り投げた。

草忍が飛んでくる巻物に目を向けて………今だ!

 

「っなに!?」

 

ナルトが起爆札着きの苦無を。

 

サクラが煙球を。

 

そして俺は閃光玉を。

 

ほぼ同時に巻物めがけて投げつけた。

 

 

 

 

 

 

「っく、やるわね……こちらが巻物に注意をそらしたまさにその一瞬を狙って視界を奪うなんて」

 

煙がはれ、視力が回復したときには3人はすでに姿を消していた。

残されているのは放り投げられた天の書のみ。

地面には3人の者と思しき足跡が南に向かっている。

東側の樹の枝がついさっき蹴られたばかりのように揺れていて、血の跡が点々と北に続いていた。

 

「なるほど、追撃対策も完璧というわけね。あのカカシの部下なだけあるわ」

 

個人で、とっさの判断だけでできる芸当ではなかった。

おそらく事前に議論を重ね作戦を決めていたのだろう。

各々ができることを最大限に実行したチームワークのなせる業。

 

戦っても決して敵わないことを瞬時に理解し、さらに巻物を渡したところで見逃してもらえる保証がないことも見越しての作戦。

 

「さすがに巻物を回収している余裕はなかったようだけど……フフフ………大正解よ貴方達」

 

格上の敵と遭遇した時の対処法としては文句のつけようのない満点だ。

正直、周りのはゴミだと思ってたけど……やっぱり木ノ葉は人材が揃っているわ。

そう思いつつ、天の書を拾い上げて………

 

「……っこれは!?」

 

違う、外見こそ細工されて似せてはいるものの、手に持った時の感触が微妙に違った。

偽物! まさかこんなものまで………よく見れば天の文字の右下に小さく、本当に小さく『パ』と書かれている。

 

つまりこれは『天の書』ではなく『天パの書』である。

 

「………本当にいいセンスしてるわね」

 

ボンッと。

手にしていた『天パの書』が炎に包まれて爆散した。

ここまでカチンときたのは随分と久々の事だった。




天パの書の発案者はナルトです。
元々原作でも偽の巻物を作るという案自体は思いついていたので、サスケが歩み寄る姿勢を見せればこれくらいの作戦は実行できたと思います。

今後も数値的な能力パラメータこそ変化はさせないつもりですが、その他の数値以外での行動は徐々に変化させるつもりです。
コトみたいなオリキャラとかかわっているのに、原作と行動が全く変化なしというのも不自然ですので。


そして、前書きで語った能力パラメータです。
以下各数値解説(こちらの独自解釈を含みます)

忍 → 忍術への精通度や熟練度を示す。『忍術』には忍具を用いた術、刀などを用いた剣術、手裏剣術なども含む。要はどれだけ()()な術を使えるかを示すパラメータ。一部にしか効果のないお色気の術や、ただただ迷惑なだけの心転魂突きなどは如何に強力でも評価対象外。
体 → 体術への精通度や熟練度を示す。体力ではないことに注意。素手での戦闘力の数値なので忍具、武具、刀などの道具を用いた場合は含まれない。
幻 → 幻術への精通度や熟練度を示す。下忍では幻術の使い手はほぼいないので実質幻術をどれだけ見破れるか、食らった時にどれだけ抵抗できるかの値。
賢 → 知識の豊富さやIQの高さを示す。所謂賢さの値だが、忍びには頭が良くてもバカな奴、バカだけど悪知恵が働く奴などかなりいるのであまりあてにはしないよう。
力 → 腕力、脚力を始めとする全身の筋力を示す。速さと並んで戦闘力に直結する重要なパラメータ。
速 → 動作、反応などの俊敏さを示す。力と並んで戦闘力に直結するパラメータ。極端な話、パワーとスピードさえあればある程度までは戦える。
精 → チャクラの基である精神(スタミナ)量を示す。体力(スタミナ)の値でもあり、耐久力の値でもある。高ければ高いほどバテにくく、また打たれ強い。
印 → 印への精通度や熟練度を示す。術式の知識や理解度の値。これが高いとより有用な忍術が使えるようになるため、実質『忍』のパラメータとセット………のはずが、ナルト世代には血継限界、秘伝など知識がなくとも関係なく強力な術を使えるやつが多すぎるため、直接的な戦闘力とはほとんど関係のない、ただどれだけ勉学に秀でているかを示す値になってしまっている。

0~1 アカデミーレベルの数値。
1~2 標準。平均的な下忍はだいたいこの範囲に収まる。
2~3 優秀。新人中忍レベル。通常の新人下忍ではまずありえない。ナルト世代はオカシイ。
3~4 天才。ベテラン中忍、特別上忍レベル。スペシャリストを名乗っても恥ずかしくない数値。
4~5 規格外。上忍、火影レベル。5は事実上のカンスト、つまり計測不能。

さて、以上を踏まえて参考までにナルトたち第7班のパラメータを見てみると……

【挿絵表示】

彼らは新人下忍です。
新人下忍でこれです、非常識もいいところです。
サスケは全パラメータがほぼ中忍レベルだし、落ちこぼれなはずのナルトですらスタミナがぶっ飛んでます。
サクラはなんで情報処理室とかに行かなかったのってレベルの才女。
ナルト世代は全員こんな感じです。

そして第9班はというと

【挿絵表示】

はい、こんな感じになりました。
むっちゃ歪です。
コトは印と賢がカンスト(ただしバカじゃないとは言ってない)している代わりに、力、速、体などのフィジカル方面が壊滅しています(精が妙に高いのは千手の血と彼女自身の性癖故)
カナタは幻術使いだけあって幻の値が高いです。
マイカゼが実は一番バランスのいいパラメータしています。

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