南賀ノ神社の白巫女   作:T・P・R

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遅れました。
しかも短いですすみません。



話は変わりますが、僕はNARUTOだけじゃなくワンピースも好きです。
特にフランキーとかジャンゴとか、ルフィのゴム能力とか最近だとカタクリのモチもそうですけど、あの『どう考えてもふざけてるとしか思えない面白能力』なのにめちゃくちゃ強いとか本当にツボです。



41話

まただ。

また助けられた。

 

本当にいつもそう。

足手まといにしかなってない。

 

いつだって守られているだけ。

悔しい………

 

この中忍試験では今度こそって覚悟を決めたつもりだった。

今度こそはサクラ(わたし)がみんなを守るんだって決めてたはずなのに………

 

それなのに、結局私はまたみんなに助けられてる。

 

窮地に颯爽と駆けつけてくれたのはリーさんだった。

倒れたサスケ君を治療したのはコトたちだった。

 

いつも私を前で引っ張ってくれたのはサスケ君だった。

いつも私を前でかばってくれたのはナルトだった。

 

いつも私は2人の後ろ姿を見てるだけだった。

 

サスケ君のこと、いつも好きだって言ってるのに。

ナルトのこと、いつも偉そうに説教してるのに。

 

でも、もうそれも終わり。

みんな、今度は私の後ろ姿を、しっかり見ててください―――

 

 

 

 

 

 

音の三人衆とロック・リーが戦闘を始めた丁度その頃。

交戦地からやや離れた茂みの中で。

 

「あ~~~ん! 弱そうな奴なんて全然見つかんなーい!!」

 

山中いのがついに頭を抱えて絶叫した。

中忍第二試験、死の森でのサバイバルが始まってからずっとコソコソと隠れながら進んでいたが、ここにきて我慢の限界が来たらしいな。

 

面倒くせぇ………

弱そうな奴? いるわけないだろそんなの。

ここにいる連中全員中忍候補生だぜ?

みんな強いに決まってんだろ。

つーか、アスマの野郎はなんだって奈良シカマル(おれ)達みたいなド新人を推薦なんかしたんだよ。

 

「いやホント、真面目な話俺らより弱いっつったらナルトチームくらいだっつーんだよ」

 

「バーカ何言ってんのー!!」

 

「何が!?」

 

「ナルトとサクラは確かにヘボだけど、あそこには超~天才サスケ君がいるでしょォー!」

 

チームのうち誰か1人でもリタイヤした時点で失格になるルールで、1人だけとびぬけて強くても意味ねーだろーが。

 

アカデミー時代、誰ともつるむことなく一匹狼気取ってたサスケだ。

そんな奴が下忍になっていきなりチームワークに目覚めるとは到底思えねーよ。

ナルトとサクラを無視してひたすら独走し………バラバラになったところを各個撃破される光景しか浮かばねー。

 

「天才も、実戦じゃ案外モロいもんだぜ………あ~ハイハイ悪かったよ癇に障っちまって」

 

いのが物凄い形相で睨んできたので俺はすぐさま話を切り上げる。

ったく、メンドくせー奴。

サスケのことちょっとでも悪く言うとこれだもんな………

 

 

「じゃあコトのチームはどうなの?」

 

 

不意に、今までずっと空腹でへばってた班員の秋道チョウジが口を開いた。

揃って硬直する俺といの。

こいつ………俺らが必死に避けてたことを。

 

「いや、まあ………確かに、弱そうなチームではあるかな」

 

いのが目を泳がせながら曖昧に言葉を濁す。

確かに、いのの言う通り弱そうなチームではある。

ただし、実際に弱いかどうかは別問題だ。

 

「じゃあ強いの?」

 

「いやそれも分かんねー」

 

「?」

 

「要するによく分からないのよあの子。強いのか弱いのか賢いのかバカなのか」

 

普段はあっさりしてるいのが珍しく曖昧な発言をする。

まあ、言いたいことはわかる。

俺もあんな不確定要素の塊みたいな奴に手ぇ出したくねーよ。

何しでかすか全く計算できん。

なんだかんだ言って、敵に回して一番厄介なのは結局ああいうタイプだったりするんだよなぁ………

 

………まあ、あとは単純に女だから戦いにくいってのもあるけどな。

 

「とにかく、サスケ君がやられるわけがないわ! サクラやコトはともかく! これは絶対よ!」

 

いのが自分に言い聞かせるように断言した。

だから根拠ねーだろそれ。

 

「あ、サスケがぶっ倒れてる」

 

そしてチョウジは空気読めよ、またいのがキーキー喚きだす………ってマジか。

 

「―――で、サクラが戦ってる」

 

「!? あ!」

 

チョウジが指さした方を見ると、本当にサスケが倒れてやがる。

その隣にはナルトも同じように気絶? して寝かされている、こっちもやられたらしいな。

 

あの音忍(オタマジャクシ)の3人………いや2人の仕業か?

1人はすでにやったらしい。

 

残っているのは確かリーとか言うオカッパ頭の先輩とサクラ、それに倒れているサスケの周囲にワラワラとたかって煙を焚いている………

 

「一番手前の包帯グルグルは音で攻撃してくるわ! 右腕がスピーカーになってる!」

 

「隣のツンツン頭さんも両腕に何か仕込んでるのですよ! チャクラの流れがおかしいです。たぶんチャクラの性質変化を補助する変換機的なやつと見た!」

 

「えっと、えっと………一番後ろの黒髪の女は千本使いだ! タコのでき方が前に戦った白さんと似てる! もう伸びてるからこの情報意味ないけど!」

 

 

 

「………なんなのあのチビ軍団?」

 

「知るかよ。俺に聞くなよ」

 

たぶん、コト達3人組なんだろーけど………なんで小さいんだ?

敵に変な術でもかけられたか………

 

「あの術、もう完成させてたんだ………」

 

「知ってんのかチョウジ!?」

 

「アカデミーに通ってた時、コトに新術開発のための参考として倍化の術のことをいろいろ聞かれたことがあったんだ」

 

「………そういうことかよ」

 

なんかもうそれだけでいろいろ察せられた。

秋道一族の秘伝を中途半端に聞きかじっていじくった結果があれか。

問題児め、いらん逆転の発想をしやがって。

 

「つーか、なんだってそんなことホイホイ喋ったんだよ!?」

 

「いや、ほとんど大したことは喋ってないはずだし………それに『どんなに少ない量の料理でも必ず満腹になれる術』を開発したいって言ってたからてっきり料理を無限に増やす術なのかなって思っちゃって………」

 

「………絶妙に嘘はついてねーのな」

 

能天気なクセして抜け目ねーな。

コトのこういうところ本当に厄介なんだよなぁ。

そして、チビ3人組に輪をかけて意味不明なのが………

 

「しゃあああああんなろおおぉああぁああ!!!」

 

獣じみた咆哮を上げて戦ってるサクラだ。

単なる暴走とかじゃねえ、普通に強えー。

動きのキレがヤバい。

あのリーって奴に全く後れを取ってねぇぞ!?

いや逆か?

どっか負傷したのかリーの奴の動きが妙にぎこちないが………いやそれでもヤベーわ。

 

「オラオラオラオラオラオラァ!!」

 

ラッシュに次ぐラッシュ。

怒涛の連続攻撃でつんつん頭のヤローに反撃の隙を与えない。

 

「素晴らしい動きですサクラさん! ますます惚れ直しました!」

 

「だぉらっしゃあああ!!」

 

 

 

「………あれがサクラか?」

 

正直、信じらんねー。

いったい何がどうなったらあの猫かぶりが………

俺やチョウジがあまりの光景に呆然としていると、

 

「っおい!?」

 

いのが不意に飛び出した。

あのバカ、いきなり何を!?

 

まさか加勢する気かと思いきや、いのは音忍のツンツン頭やスピーカー包帯男には目もくれず、まっすぐに倒れて燻されているサスケの方に向かっていき………

 

 

「くぉおらぁコトォ!! あれ絶対あんたの仕業でしょ! あんたいったいサクラに何してくれたのよ!!?」

 

「うぇえ!? いのさん? いきなりどうし………ふぎゃああ!?」

 

「ま、待って! 話せば分かる!」

 

「これには深い訳があるんだ!」

 

 

 

女ってこえー。

 

「いったい何考えてんだよいの~………ってシカマルも行くの!?」

 

「ああそうだよバカ! (いの)が飛び出したのに(オレら)だけ隠れてられるか!」

 

「俺らって僕も行くの!? って待って待ってマフラー引っ張らないで!?」

 

 

 

 

 

 

『いいですか? ではまず私の写輪眼()をじっと見てください』

 

『はぁ!? どういうことよ!? 私はなんでもいいから身体が動くようにしてくれるだけで………』

 

『いいから見るの! ………いいですかサクラさん? 3つ数えたら貴女は強くなります』

 

『いや本当に何言って………冗談に付き合ってる暇は!』

 

『冗談じゃないのです! 信じてください! 私、幻術は本当にヘタッピだから相手の方からかかりに来てくれないと成功しないんですよ。だから疑わないで私の眼をじっと見る! ほ~ら貴女は強くなる。疲労は完全回復し、だんだんだんだん強くな~る』

 

『な、なんか写輪眼の使い方致命的に間違えてない? ってか、これ幻術じゃなくて催眠術………あれ、なんだか吸い込まれそうな………』

 

『今こそ、内に眠りし本当の自分を解放する時!』

 

『眼の………紋様が………変わって』

 

『いち、にー、さーん!』

 

魔幻・心操真裏(しんそうしんり)

 

 

 

 

 

 

かくかくしかじか。

コトがサクラに何をしたのかいのに大雑把に説明する。

案の定というか当然というか、想像したとおりにいのがキレた。

 

「コト! アンタまたそんなアホな術を………」

 

「だ、だって私! 知らなかったんです! サクラさんの内側にあんなおっかないのが眠ってたなんて! そりゃ人間誰しも裏表があって当たり前とは言いますけどそれにしたって限度があるでしょう限度が!」

 

「開き直ってんじゃないわよ! ってかカナタもマイカゼも見てたんなら止めなさいよアンタ等の役目でしょーが!」

 

「そ、それに関しては返す言葉もないわ………でも大丈夫! 所詮は単なる暗示、効果は一時的よ! だから落ち着いて山中さん!」

 

「そうだ! だから何も心配はない! 私たちが保証する!」

 

「べ、別に私はサクラのこと心配してるわけじゃ………」

 

俺は努めて冷静にサクラたちと戦っている音忍たちを観察する。

女ばっかりがギャーギャー騒いでいるのに極力関わらないようにしながら。

女の友情は本当にメンドクセーなおい。

 

「俺さ。コト(あいつ)だけは敵に回したくねーとは思ってたけどよ………ぶっちゃけ味方にも回したくねーわ」

 

「コメディの登場人物にしかなれないタイプだねきっと」

 

なんなんだよこれふざけてんのかよ。

いやふざけているわけじゃない、真面目にやってこれなんだ。

マジありえね~。

ただそれでもウソはついてないみてーだが。

なるほど確かに、サクラのパワーアップは一時的なものであるらしい。

こうして見ている間にも徐々に動きが悪くなっていくのが分かる。

後リーも限界が近いみてーだ。

仕方ねー。

 

「めんどくせーけど、やるしかねーな。行くぞチョウジ!」

 

「ええ~? 猪鹿蝶じゃなくて僕たち2人だけでやるの!? 無理だってあいつらヤバそうだし………」

 

 

「っち、また木ノ葉の子虫がうようよと………まあ、問題はありませんか。特にあの()()は大したことなさそうだ」

 

 

「やろうシカマル。どうやら音は戦争をご所望のようだ」

 

 

「僕はデブじゃない! ポッチャリ系だこらあああ!!」と突っ込んでいくチョウジ。

チョウジにとってデブは禁句だ。

ラッキー………んなわけない。

 

俺は視線だけで後ろを振り返る。

 

「………後でちゃんと謝っておけよ?」

 

「………うん、わかってるわ」

 

カナタはバツが悪そうに目をそらした。

 

 

 

いや本当にこのチームは敵に回したくねーな。




ワンピースが連載を開始してずいぶん経った昨今、エネルギーステロイドとかチユチユの実とかいろいろ強化、支援するバフ系の能力、アイテムのバリエーションが増えてきていますけど。

未だにこれといったデメリットもなく最強なのはあの催眠術だと思っています。

なお、この催眠眼は『内なるサクラ』を秘めたサクラだからああなったのであって、他の人ではそれぞれ違った効果になります。

リーの場合は泥酔酒乱モード。
ヒナタだと限定月読の時のようなギャルヒナ化するんじゃないかなと妄想。


各キャラが内に何を秘めているか想像するのは愉しいです。
二次創作のだいご味です。

………キャラによっては力と引き換えに(社会的に)死にかねないですねこれ。

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