改めて、じっくり街を観察してみれば、少し寒い気温に、当たりの強い風。
そして飾り気のない敷き詰められた建物群は、ともすれば圧迫感や不快感をもたらすものだが、そこには実用性を突き詰めたある種の美と、建築学や防衛学、戦術学など、人類が積み上げた誇るべき叡智とが介在していた。
常日頃から、ゲームやアニメ等の2次元に入りたいと思っていた俺からすれば、この先を思うだけで流涎モノである。
士官学校に着いた時、グラン団がヴィーラたんを仲間にしていなければ、そこで会える。
もし仮に会えなくとも、入学してしまえば領主として定期的に戻ってくる彼女との邂逅は容易である。
そこからどうにかしてグランサイファーに寄生しよう。
実に容易である!
人はこれをなんというか!!
勝ち確である!!
…さて、一旦冷静になって、士官学校への道中、シェロちゃんからや、目で見て得た情報をまとめていこうか。
まず、この島はやはりアルビオンで間違いなかった。
アルビオンとは、名門士官学校を有する城塞都市。
というよりむしろ、士官学校を中心とした都市であり、生徒たちの修行のために魔物が街中に放たれている。
気が狂ってるとしか思えないが、そういう世界なので仕方ないと思う他ない。
実際、向かっている途中で魔物に襲われそうになったが、女子生徒らが助けてくれた。
鋭い牙で威嚇するオオカミのような魔物に対し、爆発的な推進力をもって、臆することなく接近し、右手に持った剣で牙を叩き折り、返す刃で一閃。
見事な手際で敵を穿っていた。
見事なパンチラで俺を穿っていた。
魔物が来て数秒で生徒が救助に入り、一瞬でカタをつけてしまうのだから、文句の付けようもないものだ。
…えっ、入学したら俺もアレやるの?ヤバくないか?無理じゃね????
……ひとまず置いておいて、話を戻そうか。
領主は代々武術大会で決めるらしく、少々特殊である。
頭のおかしい人間が領主になったらどうするのか?と思わなくもないが、どうやら卒業生は色々な場で、様々な活躍を見せているそうなので、杞憂と言ったところか。
そして、士官学校で生徒たちが学ぶことは、魔法学、武術、数学、歴史学、政治学、地理学、戦術学にマナー作法など、まだ他にもあって、挙げればキリがなく、多方面にも及び、隙のない学習カリキュラムとなっている。
成績評価は「劣」、「凡」、「優」、「越」の4つがあるらしく、「劣」が5つ以上つくと書類に書き込まれ、就職先で苦労するらしい。
入学条件は、課される試験で1つ「優」を勝ち取るか、「劣」を付けないこと。
試験日は、学校の庭園に植えてある、桃色の花を咲かせる木が、花を咲かせている日すべて。
その木は年中花を咲かせているので、いつでも受けられる。
曰く、各島の優秀な人材取りこぼさぬためとのこと。
正直な話、試験とかは頭からすっぽり抜け落ちてたので、そういうことならありがたい。
次に、俺について。
どうやら、俺の体は元の世界のものはなく、新しい肉体のようだ。
やたら自分の視線が高く、体も軽く感じたので納得はできた。
しかし、道中冷やかした商店で、鏡を手に取って見た結果、そこには茶髪の色男。
前述の通り、士官学校の生徒の動きを完璧に見切っていたし、俺には武術の才能があるかもしれない。勝ち組かもしれない。モテちゃうかもしれない。
俺の股間に装着されたスプリンクラーで女の子の蕾を花開かせるかもしれない。
まぁそれはそれ。
得た情報の中で1番驚いたのは、昨年の新入生で麒麟児と名高いある女子生徒。
そう、ビィくん狂いのみんな大好きカタリナさんである。
全ての成績が「優」以上で、戦闘系統の学問にいたってはその全てが「越」。
学校創立以来最高の生徒であり、1年時点で既に次期生徒総代は決まっているらしい。
その辺は驚くに値しないが、問題は時系列である。
どうやら俺は、ゲーム開始よりも前の時系列に来てしまったようだ。
正直ストーリーはほとんど読んでなかったので、何年経てば原作開始とか、さっぱりわからんが、とにかく前なのである。
前なのである。
………と゛う゛し゛て゛た゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛っ゛!!!!!
「スイさ〜ん?」
つまり、つまりだ!あと数年はほかの島に行っても原作キャラほ巨乳の女体が拝めねぇってこと!!!
そりゃあ士官学校のメンツはみんな可愛いけどさ!!「スイさ〜ん?」けどさ!!!俺ってばほら!!巨乳好きじゃんか?!?!
分かる?!誰に言ってんだ俺マジで!!!ああああクソ!!!
もういい!!!ヴィーラたんも、カタリナたんも、名前は忘れたけど、ちっこい銀髪の後輩ちゃんも!!全員まとめて愛でてやらあ!!!
「スイさん!!」
「ああ!!なんだよ!!!」
「着きましたよ〜?試験前で緊張するのもわかりますが、落ち着きましょうね〜?」
アッカワイイ(思考放棄)
なんだよ、ロリもありじゃん??
てかそもそも、この前まで女子と全然話せてなかった童帝(笑)男子なんだから、生意気言っちゃあいけないな。
あぶねぇ、勘違い男子とか寒すぎる。
ロリに救われたわまじ。
拝んどこ。
「…」
「スイさん、受付前ですよ〜?
あなた、落ちますよ〜?」
「あはは、すみません。
僕の地元では、感謝の念を伝えるための儀式みたいなものでして。」
この素晴らしき言い訳よ(愚か)
「なるほど〜。
それなら仕方ないですね〜。
では〜、私はそろそろこの辺で〜。」
「はい、本当に、ありがとうございました!!
この恩は改めていつか必ず!!」
「いえいえ〜。
困った時は助け合い、協力は今日すぐにでも〜。
うぷぷぷ〜。」
お、おう。(真顔)
よし、そういう訳で、試験を受ける。
エタったらごめんなさい。